10年

今日で東日本大震災から10年が経った。
あの時の事は、ついこないだの事のように鮮明に覚えていて、思い出したらなんとも言えない気持ちになる。
悲しいとか、怖いとか、その一言では表し難く、いろいろな物が入り混じった感情。

あの時の私は小学6年生で、卒業式のリハーサルを終えて大掃除をしていた。
ある程度終わって友達と何人かでいつものようにヘラヘラふざけあってたら、あの地震がきた。

今まで経験してきた事のない揺れで、もしかしたらこれは地震じゃない、何かなんじゃないか?って変な思考に走ったことも覚えてる。

天井は落ち、先生たちも動けない状態。
教室から出てふざけてた私たちは取り残されて、怖くて、大きな揺れの中、匍匐前進で教室に入った。

揺れが収まって、みんなで並んで外に出たら、雪が降ってた。
パートに行っていたお母さんが、仕事用のエプロンを付けたまま校庭に迎えに来て、ホッとした。

お兄ちゃんは高校が早く終わってたまたま家にいたから、飼ってる犬も大丈夫だった。
仙台市の職員のお父さんは、遠くの山で働いていて、夕方くらいにやっと帰ってきて、家族全員を抱きしめた。

電気も付かないし水もでない。
真っ暗な部屋にロウソクと懐中電灯の光を照らして、みんなで丸くなった。
プロパンガスだったから、火はついた。
冷凍庫にたまたま入ってた牛タンを焼いてみんなでちょっとずつ食べた。

次の日朝が来て、家の壁に沢山ヒビが入っているのを見て驚いた。

ライフラインが戻るまでどれくらいかかったっけ。1週間くらいシャンプーも出来なかった気がする。

テレビがつくようになって、そこで初めて津波の事を知った。仙台の山の方に住んでたから、何も知らなかった。海沿いに住んでる従兄弟や、お父さんの友達たちは大丈夫かなって、怖くなった。

少ししてから、全員と連絡が取れて、幸い私が知ってる人達はみんな無事だった。

ちょっと離れたところに暮していた当時90歳近い爺ちゃんがうちに来て、少しだけ一緒に暮らした。ずっと1人暮らしをしていたから、すぐに帰りたがった。
そしてそのあとすぐ癌が見つかって入院した。
色んなところに転移して、1年後くらいに亡くなった。

あれから10年、わたしはもう社会人3年目になろうとしている。

テレビもネットニュースも、今日は震災の事で溢れていた。

あの時生きようとしていた人達が何人もいる中で、今自ら命を絶とうとする人も何人もいる。

私は今生きてる。

10年あっという間だったけど、その中で経験してきたことや、出会った人達のおかげで今の自分がある。

最近、仕事にも責任感が増えてきて毎日がしんどいと思ってた。
だけど、生きてるんだから、そんな経験もあって良いと思った。

しんどくても、辛くても、私を大切に思ってくれる家族がいて、話を聞いてくれる友達が1人でもいるのって、本当に素晴らしいこと。

明日なんて来なければ良いのにって思う日が続いてたけど、何もしてなくても明日が来るのって、本当に素晴らしいこと。

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