住民票なし31歳のADDress生活【DAY1】
ADDress生活マイナスDAY1
昨日は23時から3時まで1週間滞在させてもらったコミュニティスペースの掃除。誰のものともわからない髪の毛ヘドロや垢を引き出して液体をぶっかけて擦って徹底的にきれいにする。私はこういうことが嫌じゃなくて、むしろ楽しいとさえ思う。人の糞尿、体液に対する抵抗感が自分は薄い。自分自身の汚さが漏れ出ることには過敏なのに(だから?)他者の汚さに対しては寛容。お礼の手紙を書いて4時に寝た。
高速バス女性専用席で自分を手段化
翌朝は8時起床。掃除機をかけたあと新宿へ。バスタから高速バスで上諏訪へと向かう。バスはガラガラだったが私の予約した女性専用席プランだけ横に人がいる仕様になっていた。
私は横の上品な50代の女性の目を見て「ほかの席もあいているみたいなので別のところに移りますね。でもそこに人が来たらまた戻ってきてもいいですか?」と尋ねた。
私のこういうところは他人から好感を持たれるけど、このときも私は自分がゆったり席を使いたいからではなく「相手の人が本当は一人で二席使いたいと思っているのではないか?私の隣でアンラッキーだと思っているのではないか?空気を読んで早く移れよ、と思っているのではないか?でも何も言わずにうつったら自分が嫌で移られたのではないかと気にするのではないか?」と、相手の心情・顔色を伺って一番相手を害さない形でのアクションをとったのだった。
いまの私は自分のここちよさに目をつむって相手の希望を想像し応えるために動く。こういうことを減らしていきたい。判断の主体を自分に切り替えたい。
バスに乗ってすぐに応募していた「スタートアップゲートウェイ」の提出物締め切りが近かったような気がして検索すると、4時間後の14時だった。東京を離れる感傷に浸る暇もなく必死でテキスト編集。
スタートアップゲートウェイは1分の動画PRがあり、4時間中3時間バスに拘束される私には撮影のチャンスは休憩中のサービスエリアか上諏訪駅しかない。しかも13時からは上諏訪の名店「あゆみ食堂」でランチの予約がある。
ならばと二子SAの15分休憩で名刺を片手に(ロゴを出すため)大声を張り上げて撮影。
何度か撮り直し、いけそう感に満ちた状態で最後の撮影、をしていたら日光にやられたiPhoneがダウン。嘘だろ!?と思いながら断念してバスに再乗車。結局上諏訪駅横の謎空間にある赤いポスト?(横にはアメスピの空箱)の上に台座としてiPadを置いた上にiPhoneを設置して撮影。
さらに顔写真も正面からでないといけないことに気づき、あゆみ食堂に向かう途中の白壁の前で自撮り。歩きながらYouTubeに動画をUP。結局13時までには終わりきらずあゆみ食堂でもフォームへの入力作業を継続。
あゆみ食堂のランチプレートは本当に本当に本当に本当に美味しくて、私は応募への焦りもある中で、目の前に出してもらったカレーに口をつけた瞬間「このおいしいものを温かいうちにベストな状態で食べること、味わうことと、スタートアップの大会で通してもらうことどちらが大事か?」と自分に問うた。ここで前者を選びきれたらかっこいいんだけど私にはどっちも大事に思えたので、前半はプレートを満喫し目をつむりながらひとつひとつの味と食感を楽しみ、途中からはフォームにシフト、入力し終えた上でプレートに戻ってきた。
帰りがけ、あゆみさんに話しかけて色々お話。自分に向き合わざるを得なくなったときは貴重でそこで向き合わずに逃げる人が多いけど、そのチャンスを活かして見つめ切ったほうがいいと言ってもらった。そして出口は突然訪れるとも。2年、3年向き合ってやっとふっと抜けるときがある。
場を背負う覚悟
その後以前にも一度行って大好きになったリビセン(リビルディングセンタージャパン)へ。ほんとうにいいなあ、いいなあの連続でほーっと見惚れてしまう。空間から滲む価値観やひとつひとつの取り組み、見せ方、そういったものに引き寄せられて集まった人からまた生まれていく取り組み・・・ひとつひとつが好きででもその真ん中に自分がいるイメージは湧きづらい。
コアキナイにおける嶋田さんにも同じ感覚を持って、私は中心で場所を背負っている人を尊敬するし眩しいと感じる。これは3331の中村さんに対してもそう。でも同時に自分が場所に固定されて人から頼られるイメージがわかない。
私は一箇所に固定されてそこを背負うのがこわいし、少なくとも今の自分にとってはそれはここちよさではない。こころが安定している人たちは固定、変化しなさを好ましいものと感じる傾向がある気がする。持ち家、生涯雇用、親と同じ数だけ子を産むこと。私はそのすべてがこわい。
講談社で20年後も同じ会社の同じエレベーターの箱で偶然同期と会って「おつかれ」とか言ってる未来を見たとき私はゾッとしたけど、多くの人はそれに「ゾ」とはしないのだろう。
上諏訪から電車に乗って村井駅へ。駅に着いたとたん雨。目にも留まらぬ速さで雨足強まり豪雨。前日新宿三丁目ビックカメラで買ったばかりの798円の晴雨兼用傘(ポイント利用で200円弱)をさしながら宿まで2キロの道を歩く。
「私は何をやっているんだろう」と感じながらも、できる限りこの質感や感覚を感じようとつとめる。買ったばかりの去年と同じTevaがずぶ濡れになる。道路の水溜りの上を走る車が飛び散らす水飛沫に怯えたが、歩行者(私)がいるのを見ると車の人たちはゆっくり走ってくれるようになった。小さな優しさを都度感じる。
最初の拠点に到着
馬鹿でかいパチンコ屋を抜けて私のADDress生活一軒目の拠点「松本A邸」へ。事前に指示をもらっていたとおりに鍵をあけて室内へ。扉には号数はなく以前入っていたと思われる鍼灸院の名前が日焼けしている。
リビングに行くと先に到着していた青年がいて会話する。この拠点はADDressには珍しいシェアハウス内の拠点だそうで、少しすると住人の方々がいらっしゃる。
ADDressで最初は旅していて思いの外気に入ってメインの住処にしたという方やクラファンがきっかけで住んでいる方がいた。初対面の私の要望に応えてジビエカレーを味見させてくれたり、紫蘇ジュースをご馳走してくれたり、車を出してくれたり、おしゃれなサウナハットを貸してくれたりする親切な皆さんの中に存在して一気に状態がよくなった。
夜はADDress先住民の方の車に乗せてもらって4キロほど先のスーパー銭湯「あぐ〜の湯」へ。サウナを満喫して帰宅しハイボールを奢ってもらっておしゃべり。
ひとしきり「人欲」を満たしたあと部屋に戻ると不思議とさっきよりも部屋がよいものに思えた。壁にはたくさんのシミがあってこれまでの居住者を思う。私は黒子が多いのが小さなコンプレックスだけど、黒子は置いておいて傷は自分の歴史なので、シミや傷、汚れはあればあるだけいろんな経験を積んできたということだ。身体に語れる傷をたくさんつけよう。
あとたぶんADDress生活では同じ問いを何度もされることになるのだろうと思った。私が嫌いな私、台本を読み続けるパフォーマンス的自己を感じるシーンが増えそうでそれがいやだ。自己を演じそうになったら意識して、話す内容をずっと同じじゃなくて今日のもの、今日ピンとくるものに変えていきたい。
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私が起業している会社「セカミー」の掲載事例もよかったら。
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