唯一の欲望。ADDress生活【DAY13／熊本】

朝予定していたよりも30分早く目が覚めてしまい、風呂に入ってから支度をした。朝食会場に向かうと昨夜と同じ60代の夫婦がいて「あ、しまった」と思う。

どうしようもなくこわいもの

私はもうどうしようもなく自分に恋愛的な期待を向けてくる50−60代男性がこわいのと同じに、高所得で選民思想が強い50−60代の夫婦の会話が耳に入ってくるだけで普通でいられなくなる。
田舎の電車やADDressの家で耳に入ってくる会話や声は気にならなくてむしろ心地いいのに、彼らの声が頭の中に入ってくるとそちらばかりに気がとられて味がわからなくなる。置き忘れたイヤホンを取りに部屋まで戻った。

阿蘇の道の駅で買った黒光りしたトマト

素材好き

牛乳がおいしくてほぼ一気に飲んでしまった。朝食もとてもおいしかった。食べていて気づいたが、私はほんとうに素材が好きなようだ。調理ができるだけされていない純粋な状態に近いもの、野菜、牛乳、卵、ヨーグルトそういうものを食べたときにうれしいと思う。ケチャップやマヨネーズ、ジャムや砂糖は私には必要ないもので、そういうものが入ってない素材のほうがおいしいと感じる。それはカロリーがうんぬんという話ではなく、いまの私はそう感じるのだ。手間をかけてくれる人たちには非常に申し訳ない話なんだけど。

肉体と移動

あとほんとうにこれも申し訳ないけど、いまの私が私でいいと感じることができるのは自分の肉体が美しいと感じられるときだけだ。自分の食や行動をコントロールして、できるだけ理想的な状態の身体であれることが私の喜びで、そうして初めて会話や恋愛ができる。

祖母にパラサイトする孫

私は欲求がほとんどない人間で、そんな私の唯一の欲求が太りたくない、私が考えないでいられる状態に自分を維持したい、なのだ。すごく悲しいけどいまの私の欲望はそれくらいだ。
あとは移動したい。移動への欲望はある。自分の足や自転車で自分を動かしたい。外にいたい。身体的に固定されたくない。論理的な考えをしたくない。人にお礼を言いたくない。でも人といたい。人の中にいながら自立していたい。自立のためには足が必要。

自然と対峙