準備

美子ちゃんについて、神社に行きました。
私も夏祭りに参加するのです。
私はお金を持っていないし、持っていたとしても使えないので準備や片付けの手伝いをすることになっています。
神社に着くと、コマさんたちがテーブルを準備していました。
「やぁ、市松さん、今日は来てくれてありがとう」
「こんにちは、コマさん、今日はお世話になります」
手伝いに来た旨を伝えると、コマさんはじゃぁ、と言いました。
「じゃぁ、椅子とテーブルを拭いてもらおうかな」
一年間倉庫に入ってたからね、と、コマさんは説明を締めくくりました。
私は人形なのであまり大きなものは運べません。
テーブルや椅子を拭くのはコマさんが気をつかってくれたのだと思います。

テーブルを拭いたら、今度は提灯の準備に取り掛かりました。
「電気がつくか確かめて」
タカシさんが言いました。
「はい…あ、ついた」
コンセントを差し込むとそのまま灯りがつきました。
コマさんと護さんが一通り見回します。
「電球が切れてるのはないみたいだね」
「こっち半分も問題なしだな」
そういうと二人は会場にセットし始めました。

「ねぇ、市松さん」
美子ちゃんが来ました。
美子ちゃんは私のことを座敷童子の職場ではボス、ですが普段は市松さんと呼びます。
「提灯の間に飾りを作ろうよ」
そう言って折り紙を出しました。
「それならいいものがある」
超狼が銀紙ベースの折り紙を出しました。
「提灯の間ならこっちが綺麗じゃろ」
私達は三人で色々な飾りを作り始めました。
できた飾りを、護さんとタカシさんが提灯の間にさげてくれました。
「あら、コマさんは?」
「今、中で女神様とおにぎり作ってる」
「コマくんのおにぎりはすごく大きいから見ていて楽しいなぁ」
コマさんのおにぎりは爆弾おにぎりより一回り大きいくらい、女神様のおにぎりはその半分くらいです。
中から声が聞こえて来ました。
「コマ、大きすぎ、ご飯足りなくなるでしょ」
「あれ?ごめんなさい」
超狼は笑いました。
「毎年のお約束じゃな」

こうして、少しずつ準備ができていきます。
夏祭りは今夜、6時スタートです。

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