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子どもにとって価値のある学校コミュニティーとは? / うつほの杜サマースクールに参加して思うこと
「食」をテーマに探究型WSをしました
2023年夏、和歌山県田辺市の旧二川小学校で行われた、うつほの杜サマースクールに、教師役として参加させてもらいました。
うつほの杜学園は、廃校となった旧二川小学校を用い、新たな教育にチャレンジしようとしている団体です。代表の仙石さんとは、IBのつながりで知り合いました。
この学校がテーマに掲げるのは「探究×グローカル」。「グローカル」とは、文字通りグローバルとローカルを掛け合わせた言葉で、地域のコミュニティーとのつながりを強く持つ中で、イタリアを中心とした提携国との交流など、世界とつながる教育をおこなっていくということです。
今回のサマースクールは、入学を検討しているご家族向けのWSを実施するもので、僕はお子さんたちの授業担当者として、IBの考え方を用いてプランナーを作成し、授業をしてきました。
授業でテーマにしたのは「食」です。これはうつほの杜学園の理念に食育が含まれていることに由来しています。今回は、バーベキューを自分たちで組み立てる中で、「食」について探究する授業を作りました。
子どもたちは、バーベキューに必要なものを考えます。例えば食材とか、火起こし、バーベキューをする場所、冷えた飲み物などがあがってきます。これらの必要なものごとに核となる問を設定し、仮説を立て、それを実行する形で手分けして準備をするというのが、今回の授業の大きな流れです。
各班の問いには次のようなものを設けました。
火おこしでつけた火の強さを変えるにはどうしたらいいの?
バーベキューにぴったりの食材の切り方ってどんなもの?
冷蔵庫がない!飲み物をキンキンに冷やすには?
バーベキューにふさわしい空間には何が必要か?
探究テーマは「わたしたちは食べることでつながっている」。PYPのTDT「sharing the planet」からイメージを膨らませています。
食について考える中で、わたしたちと食材、わたしたちと自然、そして身近な他者、その他のコミュニティーなどわたしたち同士のつながりを考えるきっかけになってほしい、と思いこのテーマを設定しました。
僕自身WSの教師役は初めての経験だったのですが、当日はなんとか盛況のうちに終えることができました。よかった、よかった…
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子どもたちはどのようなコミュニティーを望むのか
WSを実現するにあたり必要不可欠だったのが、地域の方々の存在です。
子どもたちからするとおじいちゃん、おばあちゃん、もしかしたらもう少し上の世代の方々が、子どもたちのバーベキューを見守り、サポートしてくれました。授業では「プロ」たちに、いろいろなことを教わります。その時の子どもたちの目は、好奇心でいっぱいで、本当に輝いていました。
やはり、子どもたちが学ぶ場は学校を含んだ地域コミュニティーなのだということを強く感じます。
子どもたちにとってとっても重要なコミュニティー。では、今はそれがどんな形であるべきなのか、ということを漠然と考えています。
今回のWSを通して、うつほの杜学園のもつコミュニティーの強みには次のようなものがあると感じました。
ローカルなコミュニティーが、常に学校の教育に携わっている(一体感)
複数の力強いコミュニティーが、学校の教育に携わっている(多様性)
一般的に、学校が提供するコミュニティーの中で学ぶ機会は、単発になりがちな印象があります。そうすると、「学習」ではなく「体験」で止まってしまうことも多いような…
「学校の外に出て」とかではなくて、常にコミュニティーで学ぶ、常に学校にもコミュニティーが入ってくる、という前提があるのは、とてもいいことだと思いました。地域への愛着も湧きますしね。
ただ、そのローカルなコミュニティーだけでは、広い社会を見ることは難しいと思います。そういった意味でうつほの杜学園は、地元田辺市を中心としたいくつものコミュニティーを持っている(もしくはこれから開拓していく)ところが素敵だと感じました。
中学生や高校生になって、子どもたちが自分で「コミュニティーのために活動したい」とか「自分の興味をより深く知りたい」とか思った時に、利用できるコミュニティーの数は多ければ多いほど良いように思います。
学校の職員としてできること
このような地域コミュニティーとのつながりは、子どもたちはもちろん、わたしたち教員にも大きな影響を与えるものだと、しみじみ思います。
僕自身が現在勤める学校は、そういった意味でのコミュニティーの形成がいまいちで、まだまだ成長できると感じています。
では、そういった「子どものための学校コミュニティー」を作るために、僕は学校の職員として、何ができるのか…
一つ目は、僕自身が興味を持って面白がること。人との繋がりの中で面白いことに巻き込んでもらって、自分も人を巻き込んでいく。そうした面白いことには、人が集まってきて、それがコミュニティーになる。のかな?と考えるようになりました。なんだかワクワクしてきます。
そしてもう一つ、何か新しいことを始めようとした時に、学校内でそれを止めてしまうことがないように動き回ること。根回しもしながらですが、たまには「えいやっ」と既成事実を作ってしまうことも有効だと最近は覚えました。笑
実際、僕は火が起こせませんし、竹で食器を作ったこともありません。でも、それができるコミュニティーの方々と子どもたちとをつなぐことはできます。そのことを改めて認識した1日でした。
貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。
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増田 一暁(ますだ かずあき)
栃木県宇都宮市出身 平成9年生まれ
IB認定校 探究部主任 / 国語科教諭
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