5日目 個室へ

ICUから個室へ移動になった。

今までいたICUは大きな部屋で、室内中央にナースステーションがあり、周りにベッドが並んでいた(おそらく)。それぞれのベッドはカーテンで仕切られていた。

個室に移動すると、部屋の設備について看護師さんから説明を受けた。身の回りのことはほとんどできなかったけれど、筆談で意思を伝えることができた。利き腕の右腕、右手は擦り傷程度だったので、動かすことができた。本当にこれはありがたいことだった。

ベッドに仰向けに寝ている基本姿勢は変わらない。腰を浮かすことは禁止。骨盤には金属の棒が左右3本ずつ刺さっており、それらはチタンの棒でしっかりと固定されていた。横を向くことはできない。床ずれを防ぐために、時々看護師さんが「向き変え」をしにきてくれる。クッションを左右交互に挟むことで、同じ姿勢が続かないようにするのだ。

少しずつ頭をあげてもよいという許可がでた。4日間ずっと寝ていたので、少し頭が縦になるだけで、ふらふらした。少しずつ、ベッドの背をリモコンで起こすようにして、慣らしていく。だんだん視界が広がって、部屋の様子がわかるようになってきた。眼鏡も手元に戻ってきた。

気管切開をしたところにはチューブが差し込んである。そして呼吸器につながれている。首をひねったり、顔を大きく動かすことはできない。下手に動くとのどをダイレクトに刺激してすぐにむせてしまう。そして、のどに異物が入っていることで、痰がたくさんでる。自力で排出できないため、痰の詰まりを感じたらナースコールをして、吸引してもらう。吸引は毎回緊張する。

呼吸器はどうしたら外せるようになるのか、回診の時に先生に尋ねてみた。酸素の値が95以上キープできたら、という具体的なアドバイスをいただいた。「深く息をするようにしてください。」それからは酸素値が表示されるモニターを見て、自分の呼吸を意識するようにした。

リハビリが続々と始まった。包帯でぐるぐる巻きになって吊られているパンパンに腫れた左腕は、指をほぐしていく。奇跡的に怪我をしていない足は、筋肉が落ちるのを少しでも防ぐために、足上げと血栓予防の足首パタパタ。

自分で頑張れることが見つかって、うれしい。

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