3日目 目が覚めた

どのタイミングで意識が戻ったのかはわからないけれど、周りにいる人が喜んで私の顔を覗いていることに気付いた。女性が「今日は6日だよ」と話しかける。・・・昨日は4日でしょ?混乱する。落ちたのは4日だった。一晩寝て起きたなら今日は5日のはずなのに。「昨日もご家族が来てくれていたけど、起きなかったから、目が覚めたの知ったら喜ぶと思うなぁ!」

その日のうちに家族が面会に来てくれた。遠方に住む兄弟もかけつけてくれた。夫の家族も来てくれた。ほっとした顔、それでいて疲れた顔をしてこちらを見ている。身体は少しも起こせない。眼鏡もないので、ぼんやりとしか見えない。かろうじて動かせる右手で、ひとりずつ握手をした。この時、私にはわからなかったけれど、身体にはいろんな管がつながれていた。口には人工呼吸機。口は閉じられず、のどに違和感があった。肺、胃にも管。右腕に点滴。左腕は何かに巻かれて高く吊られている。骨盤には創外固定。足には血栓予防の機械。

ここはどこ?ときくと、「最初の病院だよ」母が答えた。「明日の手術の話をさっき聞いてきたよ」明日は気管切開をすることになったという。今後の顔や顎の手術のことを考えると、気管切開をした方がよいという判断だった。のどに穴を開けて、そこかた呼吸管理をするのだ。

口にはいっていた二本の管のうち一本を抜いた。少し楽になったが、のどに異物が通っている感覚が辛かったので、もう一本も抜いてもらえるなら、手術は怖くなかった。

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