むりをしないで、振袖を着よう。
こんにちは。寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。私は相変わらずマイペースで生活しています。つらい世の中ではあるけれど、マイペースで過ごすのが一番だと思います。
さて、今回の着物の小話は、「むりをしないで、振袖を着る」です。変なタイトルのように見えますが、読んで字のごとく、むりをしないで振袖を着るのです。これだけでは意味がわからないですよね。詳しく説明しますと、対象年齢にあった着物を着ようということです。
きっかけは、国立能楽堂にいったときだったのですが、そのときは能にまつわる知識もなく、他の人たちが訪問着や色無地を着ていたので、私も色無地を着ていきました。しかし、いざ能楽堂にいきますと、
「若いくせに年寄りの格好をして生意気だ。」とか、
「無理して年寄りの格好はしなくてもいいよ。」
という、内容のセリフをたくさん言われました。
なんで私ばっかり言われるのかなぁと思いましたが、やっぱりお能を見に行くひとは、お年寄りが多いため、皆さん自動的に色無地や江戸小紋を着るんですね。全く柄のない色無地や、小さな柄を隙間なくびっしり入れてある江戸小紋は、格も高いし汎用性がありますが、どうしても「お年寄りが着るもの」というイメージがあるようです。それで、「無理しないで良い」という、セリフが出てしまうんでしょう。
若い人が色無地、というのは間違いでは無いですけど、不自然に見えるし、人によっては、生意気だと思われてしまうのかもしれません。
だから、国立能楽堂とか、そういう場所に行く場合は、色無地や江戸小紋はあえて使わず、若い人用の礼装をするべきなんだなと思います。
その代表選手は何よりも振袖ですよね。もし、目立ちすぎるのが嫌だなあと思われるのであれば、こう言う感じの落ち着いた振袖を選ぶと、安心です。柄も、蝶柄などの現代的なモチーフはつかわず、松や梅などの古典的な柄を着ると良いと思います。とくに、正面席などに座った場合は、意識の高い方が多いため、より振袖が必要になるでしょう。振袖は、3種類在りますが、お正月公演などの記念日的な公演であれば大振袖、それ以外なら中振袖を勧めます。アマチュアの能であれば、小振袖も使えますが、あまり下品すぎない柄を使うようにしてください。
そういうわけで、お能を鑑賞するときに向いているかな?と思われる振袖を紹介します。
紫に、松や御所車などの古典的な柄をいれた大振袖です。
紫なので、やや落ち着いており、能楽堂には向いていると思います。
お正月公演、襲名披露公演など、記念碑的な公園にいかがでしょうか。
こちらは、中振袖ですが、菊や御所車などの縁起良い柄が入れられています。
定例公演や普及公演には、中振袖が便利です。
いかがでしょうか、なかなか足を踏み入れることが少ない能楽堂や、国立劇場ですが、やっぱり若い人が色無地や江戸小紋ですと、必ずなにか言われてしまうのも仕方ないことです。それなら、若い人は若い人の礼装をすればいい。幸い、振袖を入手するのもさほど難しくないので、むりをしないで振袖を着るようにしましょう。誰かに嫌味を言われるのは、本当に嫌なものですから、それに対策を取ることも大事です。
無理をしてお年寄りの格好をするのではなく、若い人しか着られない、そのときにしか着られない着物を着て、楽しみたい。そんな気持ちがあっても良いとおもいます。はずかしいとか、目立ち過ぎるなど思わずに、どんどん着て行ってほしいです。そして私も実践したいと思います。