ゴスペラーズメンバー分析vol.5「酒井雄二」〜澄み渡るローカルパンハンター〜
お疲れ様です。考える犬でございます。
さて、今回はゴスペラーズメンバー分析記事、第5弾となります。
第5弾ということはそう、最終回。
早いものですね。
これまでの記事を未読の方は以下よりどうぞ!
さて、去年10月に軽い思いつきで始めた当企画も今回で終わり。
気づけば3ヶ月以上も続けていたことになります。…いやぁ感慨深い。
思えばフォロワー数が増え始めたのも、初期のゴス記事を一人のゴスマニの方に見つけていただいたことがきっかけでした。
自分の記事は誇張も多く人を選ぶと思うのだが、5人の人徳のためかゴスのファン界隈はベタ凪の水面のように平穏な方が多いので、多くの方に温かく受け入れて頂いた。この世界は優しい。
執筆中、心優しいゴスマニの皆様から温かい言葉を頂いたり、別の推しが炎上した結果フォロワーが激増したりと色々なことがありました。
しかし、そんなシリーズも今回で最終回。
何と言うか、ここまで本シリーズを応援してくださった方たちのためにも、半端な記事は書けないな…というプレッシャーがある。
ましてや今日取り上げる酒井雄二氏は、ゴスマニ間で屈指の人気を誇る。ゴスマニの約半数が、北山沼にハマりサカイストに行き着くという。あの澄み渡るボーカルの魅力と卓越した作曲センスを、余すところなく伝えられるだろうか…正直、身の引き締まる思いである。
…などと、前置きばかり長くなってもしょうがない。
それでは早速始めましょう!
ご紹介します!!
ゴスペラーズ5人目を飾るのは、酒井雄二さんです!!!
なんだこの画像????
……と思われた方。待ってください。
「戻る」ボタンを押さないでください。
ちゃんと順を追って説明します。
これはですね、彼の公式インスタ(正確にはゴスアカのリポスト)に掲載された数少ないご本人画像のひとつで、パンを心より愛する酒井氏が携わる企画の一環として、「食パン」と書かれたトートバックを作成した際のものになります。
参考までに本画像に添えられた文章を記載します。
どうですか。
これを見てまだ「ん??どういうこと???」と思いますか。
僕もそう思います。
1.歌唱について
さて、彼のパンに懸ける思いが十分伝わったところで本題です。
これから語るのは、彼の音楽性について。
そう、酒井氏の本業はミュージシャン。パン評論家じゃないよ。
危ない危ない。忘れるところだった。
さて、彼の歌声の特徴は、なんといっても芯の強さと極上の透明感を兼ね揃えたクリスタルボイス。肺活量に裏付けされた発声は、明瞭にして快活。聞くものに一切のストレスを感じさせず、どんな曲を歌わせても観客を「心地良く」させる魔力があります。
ちなみに、氏の肺活量に関してだが、とある音楽番組の企画で肺活量を測ったところ前代未聞の5750ccという記録を叩き出し、企画自体を終了に追いやったという前歴がある。ちなみに成人男性の肺活量平均は、大体3500cc程度と言われてます。化け物やん。
尚、後にご本人Xより、この記録も本人により既に更新済であることが報告されている。
6010cc。
やっぱり化け物やん…。
そんな規格外のポテンシャルを誇る酒井氏。ゴスの曲では2ndコーラスをとることが多い。1stのファルセット番長村上リーダー、そして3rd安岡さんに挟まれ、中間管理職のような難しい仕事を完璧にこなしている。この磐石のハーモニーに黒沢リードを乗せるのが、ゴスの鉄板布陣と言って良いだろう。
個人的な意見で恐縮だが、男声コーラスの2ndは、ベースボーカルに負けず劣らず素質が必要なパートだ。なぜなら、2ndで多用する音域(midドレミファソ…辺り)の高音部分は、多くの男性にとって最も出しにくい音域なのである。
2ndに要求されるのは、他者と溶け合う繊細な高音域を地声(厳密にはミックス)で出すという超絶スキルである。高音を張ってリードボーカルを歌うのとは、全く別のスキルと言って良い。
…にも関わらず、ハーモニーになると完全に溶け込み、一番見つけ出すのが困難なのが酒井ボイスである。なんで?不思議でたまらない。
そう、彼の声はグループのハーモニーに厚みと透明感を付与するという一見矛盾したことを、さも当たり前のようにやってのける。どーいうこと???スキルも化け物レベルである。
コーラススキルを解説したところで、ここで少し酒井さんのリードボーカルについても言及したい。
氏のリードといえば、クリアで明朗、そしてソウルフル。歯切れが良く、どこまでも耳に心地よい、まさに聞く清涼剤。それが堪能できる楽曲を挙げてみると、「いろは」、「一筋の軌跡」、「1,2,3for5」に「Fly me to the disco ball」…
いやマジで、宝物みたいな楽曲ばかりだなぁ…。
後で詳しく解説するが、上記の楽曲は全て酒井氏本人による作曲であるところも注目したい。主要バラード曲に比べると知名度は劣るかもしれないが、どれもライブでは鉄板のアッパーチューンである。ぜひ聴いてみてほしい。いや聴いてください。頼む!!!
ちなみに酒井さん、村上&黒沢の二台巨頭に隠れがちだが、実は高音域リードでの採用率が非常に高いことにも注目したい。そう、ゴスペラーズはハイトーンの名手を3名も擁する。なおかつ、下記の通りそれぞれの個性が全く違うのが素晴らしい。
ゴスの楽曲はサビでかなりの高音域が続くことで知られる。カラオケでうかつに歌えば開幕早々に喉が終わるというのは、誰もが通る道だ。しかし実際ゴスのライブでは、彼ら3名での歌い分けにより、一人当たりの負担を削減すると同時に、同じ高音域でもよりバリエーション豊かな歌い分けが可能となる。
参考までに、以下動画をご覧ください。
2014年ツアーのオフィシャルトレーラー動画だが、
①1,2,3for5(酒井L)→②ミモザ(黒沢L)→③永遠に(黒沢L)→④ひとり(村上L)→⑤一筋の軌跡(黒沢→酒井L)
と、まさに3名の高音エキスパートたちの夢のバトンリレーともいうべき内容となっている。最強だ。まさにゴスに死角なし…!
2.作曲について
さて、次に酒井さんのソングライティングについて解説します。彼の手がけた楽曲が、「いろは」、「一筋の軌跡」、「1,2,3for5」に「Fly me to the disco ball」等々…歯切れの良いビートと、「そうくるか!?」的な意表をついた楽曲構成が魅力。
グループ内でも彼のソングライティングは一際特徴的で、それが打ち込み主体のビートをメインとして構成された曲が多いということ。
コロナ禍でメンバーそれぞれ手がけた手洗いソング動画では、酒井さんのみがビートありきの楽曲を作成した。この場合は自身のビートボックスを土台にしていますね。
アカペラを多重録音する場合、リズム→ベースときて、そこからコーラス、リードと重ねるのが一般的だが、彼は録音だけでなく楽曲制作の段階から、その手法を採用していることで知られる。
DTM(デスクトップミュージック)を用いた打込みは今となっては王道とも言える手法だが、彼はデビュー直後、少なくとも90年代からPCではなくシーケンサーを用いてこの手法を採用していた。もはやDTMの始祖と言って良い大ベテランである。
この辺りは以下の文献に詳しいので、興味ある人はどうぞ。
少し脇道に逸れるがこの本、2001年初版の古書だが、メンバーの掘り下げ方が異様に深いばかりか、北山先生が「肉体関係が介入しても、男女の友情は成立する」と語る攻めすぎなインタビュー掲載等、特濃の一冊でもある。
筆者はこれを中学時代の図書室で借りて読んだ記憶があったが、今回記事作成にあたり、amazonで再度購入し直しました。中古で50円。50円て。送料のが高い。ゴスペラーズを心より愛するファンにとってはついつい頬が緩む内容となっておりますので、一冊持っておいても損はありませんよ!
本筋に戻します。えーと…なんだっけ??
そう、酒井さんの楽曲でした。そんなわけで酒井さんの楽曲はビートが効いて、歯切れ良く、あと何と言っても言葉遊びにユーモアセンスが爆発している。聞いていて非常に楽しい曲が多い。
「いろは」なんて、特に顕著だよね。「A~Zのアルファベットの羅列で曲を作る」なんてぶっ飛んだ発想だけでも常人離れしているのに、そこに乗せるリリックの秀逸さ。あと「VOXers」も凄い。それぞれが違う色のコーナーに立ち、一人ずつパンチを食らわせていく。視点を引けば、このリングは五角形になっている……格好良すぎるだろ。この5人だからこそ映えまくる、最強の楽曲コンセプトだ。
…というわけで、北山さんが和音、安岡さんが作詩に異常な拘りと関心を寄せるように、酒井さんの楽曲制作における関心は良質なグルーヴと、そこに乗せるワードのチョイスと言えそうだ。この辺りも各々が独自の関心を追究している結果、グループ全体として楽曲が非常に多種多様で、リスナーを飽きさせない。つくづくバランスの良いグループだなぁと思う。
3.人となりについて
最後に、彼の人となりについて触れたい。といってもそんな大仰な話ではなくて、これゴスマニならなら全員共感してくれると思うんだけど、酒井さんのトークって凄く良いよね…っていう。そんな話がしたい。
何と言うのかな、その優しい口調と目の付け所のマニアックさで、ついつい笑ってしまうんですよね。あ、先日のマツコの知らない世界見ました?…え、見てないの?……どうして??(サイコパスの目)
(これは初回放送分。先日1/16に第2弾を放送。)
少し補足すると、一流ミュージシャンとして…ではなく、ローカルパンハンターとして、マツコの知らない世界に異例のソロ出演したのが、昨年9/21のこと。ローカルパンハンターって何だよ???
初回放送時ではその優しいクリアボイスとMCで鍛えられた対話力で、マツコのハートを一瞬で掌握。持ち前の人たらし力を遺憾なく発揮しつつ、ウキウキとローカルパンへの愛を語った。
音楽の話など皆無だったけれど、おそらく好評だったのでしょう。つい先日1/16に、新年特別会としてファン待望の第2弾を放送。こちらも彼の優しさと狂気とパンへの溢れんばかりの愛が存分に濃縮された神回でした。
…で、である。
結局何が言いたいかというと、これら一連の「マツコ事案」からもお分かりの通り、彼のトークや人となりは、人の心を惹きつける。でもそれは当然で、大好きなものについてニコニコ嬉しそうに少しマニアックな話をするおじさんを、誰が嫌いになれようか。僕には無理である。
…で、さらにもう一歩踏み込んで言うなら、酒井さんは「楽しい話だけをしよう」「人に優しくあろう」ということを強く心に決めた人だと思う。
ライブMCでも、SNS上でも、徹底してユーモアを発揮して、誰かを笑顔にすることに注力している。実際、彼が誰かを傷つける可能性のあることを口にするのを、一度たりとも目にしたことがない。余談かもしれないが、これは以前記事にした、今は亡きKANさんにも通じるなと少し思った。
天然で優しい人というのは、もちろん素晴らしい。愛すべき人だ。
でも、何かの決意を胸に後天的に優しくあろうと実践する人は、それだけに止まらない、何か強さのようなものを感じさせる。
そういう人と一緒にいると絶対的な安心感を感じるし、僕らは皆、そういう人が発揮してくれるユーモアで腹の底から笑っていたい。
色んなメンバーに惹かれたゴスマニが、結果サカイストに落ち着くというあるある現象は、そういった理由ではないかと思う。
結局最終的には、安心感と優しさと、ユーモアで笑わせてくれる人が一番。理想の結婚相手と同じである。
守りたい。この笑顔。
ゴスペラーズ、酒井雄二さん。
今後も規格外の肺活量から放つクリスタルボイスを、たっぷり聴かせ続けてほしい。
そして会場の誰もが予想だにしないマニアックなトークを、我々ファンは密かに心待ちにしております。
4.最後に
というわけで、これにてゴスメン5名、全員分の分析記事が掲載完了となりました。
当初は20年以上彼らを応援してきたファンという目線から、未だかつてない熱量と重箱の隅を突くような視点でメンバー一人一人を分析してみようと始めた本シリーズ。当初の予想を超えて多くのゴスマニの方々に読んでいただき、多くの反響も頂きました。大変嬉しかったです。本当にありがとうございます。
本シリーズはこれで終了となりますが、これ以降もゴスペラーズの記事は定期的にあれこれ書いていきたい気持ちがあるので、良かったらフォローお願いします(本音)。Xもやってます。
というわけで、当シリーズは以上となります。
ここまで長文にお付き合い頂き、大変ありがとうございました。
今後ともよろしく!
考える犬でした。
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