藤井風のFeelin’ Go(o)dはゴキゲンなデザート 〜(o)の表す意味とは〜
こんにちは。考える犬です。
ついに出ましたね!藤井風の新曲。
それがこちら。
2024年7月26日に配信リリースの、“Feelin’ Go(o)d”。
カラフルですね〜!!
ポップな色彩に、キラキラしたサウンド。
それに藤井風本人も含め、可愛らしいキャラクターたち。
最初から最後までずーっとわくわくするような映像。
その印象に違わず、藤井風自身もこの曲を「かわいいデザートみたいな曲」と評している。その感性がかわいい。
ということで、今日はこの曲について見てみましょう!
…といっても、彼の曲は深く考えすぎると迷宮に入って戻って来れなくなることがあるので、その辺りは深入りしすぎず、「個人的にこう思う」程度の感想に止めようと思う。
そう、それくらいがちょうど良い。
僕はそれを一つ前の「満ちてゆく」あたりから学習した。
それでは参りましょう!!
1.サウンドについて
まずサウンドについて。
冒頭でも少し触れたが、初めて曲を聞いてまず感じたのが
「キラッキラなサウンドやな!!!」ということ。
イントロの宝石みたいに煌びやかなシンセのリフから始まり、パンチの効いたフィルとともにリズムトラックが合流すれば、あとはもうただひたすら心地良い。まさにFeelin' Good。
これを皮切りにエンディングまで、夢のようなサウンドが続く。それも、子どもの頃に「明日はディズニーランドに行くぞ!」という最高のシチュエーションで眠った時みたいな、とびっっっきり楽しい夢である。
また、楽器だけにとどまらず、「キラキラキラ…」「ピューーーン!」といったユニークなSEも、これらの楽しさを演出している。後述する藤井風本人による解説動画でも、「色々な音を取り入れて、遊び心がつまった曲」という解説があった。おそらく現場はさぞ楽しく、プロフェッショナルな遊び心に満ちていたのだろうなと思う。
では次に、少し音楽的な部分に目を向けてみましょう。
リズムトラックはループさせ、コードも基本は循環コード。それをベースにアクセントになるような音やリズムを加えていくことで、展開させていく。おや、風さんお得意のやつですね。
ちなみにこのベースになるコード進行だが、ソウルの名曲でありセッションの超定番曲、「Feel Like Makin’ Love」の類似コードである。
オシャレで心地よく延々繰り返すことができるという、まさに黄金のコード進行。邦楽だと竹内まりやさんの「Plastic love」などに効果的に取り入れられていますね。
一般的にこういった有名なコード進行には「カノン進行」や「丸サ(just the two of us)進行」などといった通称が付けられることがあるが、こちらも「Feel Like Makin’ Love進行」として広く知られたもの。新旧問わず数多くの洋楽をカバーしている藤井風が、その辺りを押さえていないはずがない。
…だから曲のタイトルが、同じ「Feel」で始まっているのは、ちょっとその辺りのリスペクトなのかなと。そんなことを思いました。
2.歌詞について
さて、お次は歌詞について。
一部抜粋します。
難しい言葉は一つもない。
子どもにも理解できるポジティブなメッセージだ。
系譜としては「きらり」「grace」を彷彿とさせる。
あなた、自分、そして世界、全てを愛で全肯定する歌。
「それで良いんだよ」
「全部うまくいくよ」
ただひたすらそれだけを、こんなにキラキラしたサウンドに乗せて彼は歌ってくれるのである。本当に優しい人だなぁ、このお兄ちゃんは。
また、詩としての体裁に着目すると、ほとんどの語尾の母音が「エ行」で統一されていることに気づく。これは「ガーデン」でも見られた手法ですね。藤井風、「エ行」好きなのかな。
…あと、個人的には、
「忙しない街も黄昏れ」の英訳詞が
「Sunset's kissing busy streets」なのが最高にグッときた。
直訳すると
「慌ただしい通りに夕焼けがキスしている」。
なんだよ、このオシャレな言い回し…!
…さて、ここまではこの曲の明瞭なメッセージを見てきました。
では最後に、誰もが頭を悩ませる部分。
いよいよ(o)の意味について、踏み込もうと思う。
3.(o)に込められた意味 ※推察
さて、それでは問題の部分。
「Feelin’ Go(o)dの(o)には、どんな意味が込められているの?」という部分である。
誤解を恐れずに言えば、ここってある種モヤっとしたものを感じた人もいるんじゃないか。なぜなら「o」を一つ抜かすことで「Feelin’ god」。直訳すると、「神を感じる」という意味になってしまう。
つまり、こんなに可愛らしいゴキゲンな楽曲なのに、「これ、神様を讃える歌なの?」と。さっきまであんなにワイワイ楽しくやっていたのに、「え、このパーティって宗教的なやつ??」みたいな。急激にテンションが下がってしまう人もいるかもしれない。
…そりゃそうだ。だって構造的には映画・ミッドサマーと同じだもんな。日本人は特にこの辺の話題には敏感である。
ちなみに藤井風の宗教観をめぐるあれこれについては過去に色々あったようなので、興味のある方はぜひ自身で調べ、判断して欲しい。僕の口から解説するのはちょっと荷が重い。
…で、それらを踏まえて。
結論を先に言ってしまうと、僕は「心配いらないよ」と言いたい。
藤井風は何も宗教的思想を広める意図なんて無いよと。それでも気になる人は、彼の音楽だけに耳を澄ませるのが良いよと。そう思った。
この点について考察するにあたり、ちょっとだけ藤井風氏が大きな影響を受けているという「サイババ」という人物について表面的に調べてみた。
で、このサイババ氏の教えに、こんなものがあった。
あーーーーなるほどね。
つまり神は、全知全能の唯一神的なものではなく、万物に内在する。空にも、海にも、森林にも。当然私やあなたの中にも。どちらかというと日本に土着する精霊信仰に近いものがあるかもしれない。
これを踏まえると、「Feelin god」というのは
「(僕たちの中に)神様を感じて」
というような意味合いになるが、どうだろう?
さらにもう一つ、手掛かりになる動画を紹介する。
7月25日にYouTubeにて行われた、藤井風本人による生配信のアーカイブ動画である。
この配信はファンからの質問に藤井風が答えるQ&A形式で、その中にいくつか興味深い英語での問答があったので、共有する。
訳が違っていたら申し訳ない。
筆者の英語力の限界である。
ではどうぞ。
どうだろう。
これ、もう答えでは??
つまり藤井風の考える「神」とは我々の中に内在して、それは愛と同義。ということは「Feelin God」とは、「あなたの中にある神(=愛)を感じて」という意味に他ならない。
それを踏まえて以下の歌詞の一節を見て欲しい。
つまり、ここで言う「僕の中の君」とは「神様」のことであり、「愛」そのものを指している。「神とは愛であり、それは僕であり君」なのである。全てがイコールで繋がってしまう。
…もうそろそろ難しくなってきたけど、なんとなく見えてきた。これこそが藤井風の考え方である。でも確かに、「何なんw」のハイヤーセルフも同じような考えだよなぁ。そう思うと、デビュー当時から彼の言っていることは一貫している。
4.総括
ということで、総括。
「Feelin’ Go(o)d」は、藤井風シェフがコースの最後に用意してくれた、最高にゴキゲンなデザートである。
そしてこのタイトルは、
「めっちゃ良い感じ」と、
「僕らの中の愛(=神様)を感じて」
というダブルミーニングになっている。
そこには宗教的な意味合いというよりは、
「良い感じだね」
「ぜんぶ上手くいくよ」
「僕らの中には愛があるから、大丈夫だよ」
という我々へ、そしてありとあらゆる一切合切へ向けた全肯定のメッセージだけが、ただ純粋に込められている。
個人的な考えだが、僕はここに宗教的な押し付けがましいメッセージを読み取ることはできなかった。あったのは、藤井風の途方も無い優しさ。ただそれだけである。
だから僕らは、心配しなくて良い。
彼の言う通り、全ては愛で、きっとうまくいく。
そういえば…
最初に「深入りしないように」と言っていたのに、気づけばズブズブに彼の魅力に深入りしてしまったな…。体感的にはもう腰まで浸かっている。簡単には抜け出せそうに無い。
…でも、まぁ良いか。
だって、なんか「良い気分」だしな!
それでは!!
Xやってます。↓
新着記事の情報や、ちょっとしたアーティスト分析など。
無言フォロー、いいね、リポスト、感想コメ、何でも大歓迎。
特に以下のアーティストに興味がある方は、僕と好みが合います。
どうぞお気軽にフォローしていってくださいね。
<(_ _)>
音楽の分析を主なコンテンツとしてブログを運営しております。
軽い読み物としてどうぞ。
↓
音楽の話をしよう ~深読み、分析、そして考察。~
↓また、こんな記事もどうぞ!