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【約5万字】0から始めるパイオニアで7割勝てる青白コントロールの教科書

 パイオニアを始めてからずっと擦り続けている青白コントロールについて、思考などをまとめていく。
 とはいっても使用歴はまだ短く、2022年5月に青白コントロールでパイオニアに参入してからなので8ヶ月ほどになる。

 本記事については初心者〜中級者向けとして、基本的な内容を多く記しているつもりだ。
 青白コントロールに対して興味のある方に一つの踏み台となってくれればと思う。

 大型大会での優勝などの大きな実績は特段残していない。
 ただ、約150戦で勝率73%ほどの成績を残しており、2022/11/19の第9期パイオニア神挑戦者決定戦Top4、チャンピオンズカップファイナル二日目進出などは出来ているため、ある程度の指標にはなるだろう。

 教科書と題したものの、あくまで青白コントロールというデッキを愛するいちプレイヤーの個人的な意見や思考のまとめであるという前提の下、お読みいただけたら幸甚だ。

 なお、本記事は全文無料である事をここに記する。



■更新履歴

2023/1/30 本記事投稿 
2023/2/01 誤字・脱字修正および「マッチアップ解説」にアブザンパルヘリオンを追加


■青白コントロールとは?

2023.1.29 サイクル3店舗予選突破時のリスト

 《検閲》《ドビンの拒否権》《吸収》といったカウンターで致命的なものを弾き、《冥途灯りの行進》《至高の評決》などの除去で盤面に対応。
 これらによって消費したリソースを《記憶の氾濫》《ドミナリアの英雄、テフェリー》で回復しつつ、文字通りコントロールした末のアドバンテージ差で勝利するデッキである。

 コントロールという特性上、長期戦に非常に強いことが挙げられる。
 特に4マナかつ打ち消されない全体除去である《至高の評決》の存在により、グルール機体や天使を代表するクリーチャーデッキには滅法強い。

青白コントロールを代表する一枚

 また、《ドビンの拒否権》《吸収》などの確定カウンターの存在により、ファイアーズなどの大ぶりなデッキに対しても強く出られるのも特徴の一つだろう。

 一方で全てが非クリーチャー呪文であるため、《スレイベンの守護者、サリア》でこちらの動きを阻害しつつ、短期決戦で畳みかけてくる白単人間などを苦手としている。


■Who's The Beatdown?

 まず紹介したいのがこのMTGに伝わる名記事の一つ。読んでいない方がいれば是非読んでみてほしい。

 端的に言ってしまえば、「どちらがビートダウンで、どちらがコントロールか」だ。
 青白コントロールでは基本的に名通りコントロール側に立つ事になるが、時としてビートダウン側に立つ場合もある。

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》が入ったコントロールがトップメタの一角だったスタンダードを経験した方なら分かるだろうが、当時は勝ち筋を《ドミナリアの英雄、テフェリー》に大きく依存したデッキであった。
 (ラヴニカの献身でミッドレンジに近い構成になったが)

 しかし、現在のパイオニアでは違う。《ドミナリアの英雄、テフェリー》によるコントロールしきって勝利するルートだけではないのだ。

令和最高の一枚

 たった1枚で複数のクロックと除去を兼ねる《放浪皇》。

 サイクリングによって打ち消されない飛行と共にドローもする《サメ台風》。

 土地でありながら7/7護法③のフィニッシャーでもある《ストーム・ジャイアントの聖堂》。

 カウンターや除去などで相手の動きを妨害しつつ、リソースが枯れた所にこれらのクロックでライフを詰めていくプラン――クロックパーミッションが最終的な勝ち手段となることが多い

 このように時としてビートダウン側に回るケースも多々あると意識しておくのは非常に重要。

パイオニア界のトロン

 また、ビートダウン側に立つ分かりやすいマッチアップではロータスコンボだろう。

 このロータスコンボでは《ドミナリアの英雄、テフェリー》で勝つマッチアップではない
 むしろ《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えてしまえば、これを好機と見て《見えざる糸》でこちらの土地を寝かせるか、あるいは二段構えでカウンターを乗り越えるなどでそのままコンボへと入ってしまうリスクが生じる。

 最も勝ちやすい手段としては「《放浪皇》を最速で着地させ、そのまま《ドビンの拒否権》《吸収》等のカウンターをバックアップとしたクロックパーミッションで勝つ」である。

 このように多種多様な勝ち筋が存在するため、「コントロールだから」と思考を止めて常にコントロール側に立つような考え方は捨てるべきである。

 この考え方については他のデッキにも応用できるものなので、ぜひご一読を。


■レンジとバリューの考え方

 レンジはいわゆる「有効な時間帯」、バリューはそのまま「価値」を意味する。

 例えば白単人間では序盤という短いレンジで出せなければバリューが低くなる1~3マナ域のクリーチャーを詰め込むことで、全体的に短いレンジで高いバリューを出す、つまり序盤に強い動きをする確率を高めたデッキと言える。

先手2Tで唱えられると青白コントロールに対しては1億点ぐらいのバリューがある一枚

 この白単人間の中で、短いレンジにおけるバリューの高いカードとして《スレイベンの守護者、サリア》は最たる例だろう。

 2ターン目に出せた時のバリューはとんでもなく、先手であれば相手の「2マナの非クリーチャー呪文があるからキープ」に対し、その2ターン目がスキップされるという歩く《Time Walk》になり得る。
 後手でも例えば2ターン目で《パワー・ワード・キル》を構えているラクドスミッドレンジであれば、《スレイベンの守護者、サリア》が着地した瞬間に「先手の2ターン目」という先手のテンポアドバンテージを失うことになる。いわゆる先手後手逆転と呼ばれる事象だ。

 逆に4ターン目以降ではバリューは低くなってしまうものの、それでも補うに余りある2ターン目におけるバリューの高さで伝説でありながらフルの4枚採用がなされている……というわけだ。

 その一方で、クリーチャーしか採用されていないデッキにはただの2/1先制攻撃であり、有効レンジが短い上にバリューも著しく低くなるということにもなる。
 このように対峙するデッキによってバリューが変化するため、環境に応じてリストを調整していく必要が生じることになる。

 ここまで読んで察した方も多いかもしれないが、レンジとバリューには関連性がありバリューを発揮できる時間帯≒有効レンジと言っても差し支えない。カードを評価する上で、これをまず念頭に置く必要がある。


▼青白コントロールのゲームレンジ

 このようにレンジとバリューの考え方はあらゆるデッキにも適用される。それはこの青白コントロールとて例外ではない。

 では、この青白コントロールのゲームレンジは何か? と問われれば、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えられる5ターン目以降が目安になるだろう。
 つまり長期戦思考であり後ろに寄っているということになる。

 なぜゲームレンジが後ろに寄っているかというと、採用されているカードの大半が有効なレンジが長いのである。

青白が誇る確定カウンターたち

 例えば《ドビンの拒否権》《吸収》といったカウンター類は「1-1交換を行うもの」である。
 これらのレンジとしては使用できる2ターン目、あるいは3ターン目からになり、そして有効なレンジ、つまり賞味期限としては「無限」と言ってもいい。
 なぜなら5ターン目でも、10ターン目でも「確定カウンター」として確実に相手の呪文と1-1交換を行う事ができるからだ。

 また、これらは先述した通り「確定カウンター」である点から安定した高いバリューも持ち合わせている。
 というのも、カウンターするカードが5マナ、7マナと重くなければ重くなるほどこちらはそのマナの分だけ得し、バリューも高くなっていく

5ターン目に引いてもうれしい。10ターン目に引いてもうれしい

 他には《ドミナリアの英雄、テフェリー》《放浪皇》《サメ台風》《記憶の氾濫》なども同様に有効レンジが非常に長い
 これらは長引いたゲームで例えば10ターン目に引いても安定して高いバリューを叩きだす。


▼序盤を凌ぐソフトカウンター

 このように中盤以降では有効牌の多さから青白コントロールが得意とするフィールドになるということはお分かりいただけたと思う。

 では、序盤ではどうか? これらの中盤以降に強いカードは序盤ではほぼ無力である。その序盤を凌ぐためのカードも入れていく必要があるというわけだ。

 除去はもちろん、《検閲》《かき消し》といったソフトカウンターも序盤の凌ぐための手段の一つ。
 これら《検閲》《かき消し》について、レンジとバリューを視覚化するならば下記のような形になる。
 対面はクリーチャーと非クリーチャー両方とも多く存在するエニグマ辺りを想定し、先手とする。

■2~3ターン目
《検閲》  :レンジ◎ バリュー◎
《かき消し》:レンジ◎ バリュー◎

 2~3ターン目では両方とも最高の一枚であり、この瞬間で言えばクリーチャー呪文にも非クリーチャー呪文にも対応できる《対抗呪文》級の強さを持つ。

■4ターン目
《検閲》  :レンジ〇 バリュー〇
《かき消し》:レンジ◎ バリュー◎

 ここで差が出てくる。
 《検閲》はあくまで1マナ要求のソフトカウンターであり、4ターン目となると1マナを余らせて《鏡割りの寓話》といった3マナのカードを繰り出したりと無理のないケアがしやすくなるからだ。
 一方で《かき消し》をケアしてこの段階で2マナを余らせつつ動くのは難しいし、実際にケアすると動きそのものが弱くなる。そういった意味でもレンジ・バリュー共にまだ強い時間帯であるという事になる。

■6ターン目以降
《検閲》  :レンジ× バリュー△
《かき消し》:レンジ× バリュー×

 こうなると両方とも有効なレンジからは外れる。《創案の火》を唱えられても止めることはほぼ出来ない。
 しかし、《検閲》はサイクリングによる1マナ1ドローという「最低限のバリュー」を保持している。

 このようにソフトカウンターとしてのバリューが低くなってしまう時間帯であれば、サイクリングによって1マナ1ドローという最低限のバリューを見込める点を買われ、採用がなされているというわけだ。

 ただし、《かき消し》にも《検閲》にない利点がある。それは後手での強さだ。


▼後手で強いカード

後手で強い一枚

 なぜ《かき消し》が後手で強いのかを記していく。
 《検閲》とは異なり、《かき消し》は2マナを要求するソフトカウンターである。これが後手ほど強い最大の理由なのだ。

 というのも、先手であればこちらが先に構えられる関係上、2ターン目にこのソフトカウンターを強く使える一方で後手だと「相手の方が1マナ多く動ける」のである。
 例えばラクドスミッドレンジを例に挙げると、2ターン目に《税血の収穫者》→3ターン目に1マナ余らせて《苦難の影》→4ターン目に1マナ余らせて《鏡割りの寓話》……と、《検閲》をケアした動きがしやすくなる。

 こちらが先手であれば、この2ターン目の《税血の収穫者》に対して《検閲》を当てることができる。だが後手だとそうもいかない。

 しかし、《かき消し》であればどうか? この1マナを余らせた《検閲》ケアの動きに対して、2マナ要求という形で返すことが出来る

 この1マナを余らせるという動きを咎める《かき消し》は《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》を擁し、3ターン目にマナクリーチャー分の1マナを余らせて3マナの動きをしてくる緑信心やグルール機体などに対しても有効。
 これは《かき消し》にしかない強みであると言える。

 とはいえ、中盤以降には引きたくない一枚であるため、1~2枚程度の採用に留められているのも事実でもある。
 それでもこの1~2枚で世界が変わるのが青白コントロールなのだ。これは他のデッキでも同じ事は言えるだろうが。

初期ハンドにあるとニヤリとしてしまう一枚

 ちなみに後手で強いカードの一つとして、《ポータブル・ホール》も挙げられる。
 こちらは先手の1ターン目《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》に対する明確な回答であるし、先手2ターン目《スレイベンのサリア》にも対応可能であるのが大きな理由。


  これらの「レンジとバリュー」に関する事項について、道民(AAA)氏とお話をさせていただき、私の中にあった知識が昇華されたことでこうして明確な形にできたものであることをここに明記する。

 MTGに限らない豊富な知識とそれを最大限活かす腕も持ち合わせており、アリーナオープンでのマネーフィニッシュを幾度なく果たし、MTGAのCSにも出場などの数多くの実績を収めている。個人的に尊敬させていただいている方の一人である。

  下記の通りTwitterとNoteを紹介させていただくと共に、この場を借りて感謝を申し上げる。ありがとうございます。

https://twitter.com/doumin0

 


■《空を放浪するもの、ヨーリオン》の有無について

なんかモダンで禁止されたやつ

 相棒《空を放浪するもの、ヨーリオン》を採用するか採用しないかは意見が分かれる所だろう。

 私個人の意見を述べるならば、2023年1月現在でのパイオニア環境では《空を放浪するもの、ヨーリオン》の80枚型よりも通常の60枚型の方が望ましいと考える。

 というのも、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒とすることで得られるメリットとしてはこの《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒領域から持ってきて、《海の神のお告げ》《放浪皇》などをブリンクすることでアドバンテージをさらに獲得する点が挙げられる。
 この《空を放浪するもの、ヨーリオン》の有効なゲームレンジとしては相棒回収+キャストを考えると8ターン目あたりと非常に遅い。

 これはつまり、もともとゲームレンジが後ろに寄っている青白コントロールをより後ろに寄らせるという事にもなる。
 従来の60枚より20枚増やすことで《海の神のお告げ》《かき消し》などのかさ増しを行わねばならず、1枚の質が低下してしまうのがデメリットの一つになる。

 現在のパイオニア環境は非常にテンポが速い環境であり、青白コントロールはそれに対応する立場となるのだが、対応するためのカードが薄くなってしまう点はいただけない。

良く言えばドローを安定させてくれ、中盤以降はヨーリオンでアドを取れるカード
悪く言えば序盤のテンポを巡る攻防ではほとんど貢献しないカード

 特にヨーリオン型ではマストで採用される《海の神のお告げ》も、「ただドローするだけのカード」であるため、2ターン目で唱えている暇はほとんどない。
 《検閲》《魂の仕切り》《ドビンの拒否権》といった相手の動きに対応するカードを先に唱える事になり、結果的に《海の神のお告げ》を唱えられるのは4ターン目辺りになってしまうだろう。

 それまでに抱えている《海の神のお告げ》は序盤の攻防には貢献せず邪魔なもの、いわゆる機会損失をするカードとなってしまうのが最大の欠点であると言える。
 4ターン目に唱えればいいのではないか、という意見に対しては、「4ターン目に2マナのカードを唱える事」自体がそもそも厳しい。
 もしこれが《放浪皇》あるいは《記憶の氾濫》であったらどうか。こちらの方が4ターン目に唱える《海の神のお告げ》よりバリューが高いのだ。

 また、そういったデッキ相手は序盤で大勢が決することが多く、《空を放浪するもの、ヨーリオン》が有効なゲームレンジまで伸びる事も少ないのも逆風。

 無論、《海の神のお告げ》を2ターン目に唱えても問題ない相手であれば、必然的に《空を放浪するもの、ヨーリオン》を唱えられるゲームレンジまで到達するだろう。
 そういった展開になるのであれば通常の60枚よりも80枚型の方が間違いなく強い。具体的にはエニグマファイアーズなどが該当する。

 言ってしまえば「環境次第」という回答になるのだが、現在パイオニアを取り巻くテンポが速い環境での青白コントロールには《空を放浪するもの、ヨーリオン》はあまり相応しくない……というのが私の持論だ。

Q.つまり?

A.1~3T目からガンガン動いてくるデッキ多いのにドローするだけのお告げなんて打ってる暇なんてねえよ!
 デブいミッドレンジやらが多くなった環境なら序盤からお告げ打てるし、ヨーリオンも出せるから80枚の方が強いぜ!


■メインボード採用カード解説

 本項では一枚一枚私の所見を記していく。
 これらは私見であるため、こういったカードも視野に入るのではないか、あるいはこういった視点もあるのではないか、というご意見は大歓迎である。
 是非本記事のコメントもしくはTwitter(@enzyutuheika)でご教示いただきたい。

★固定枠-カウンター

・《検閲》2~4枚

いぶし銀なサイクリング

 1マナを要求するソフトカウンター。
 こういったソフトカウンターは中盤以降に引くと腐る欠点があるが、これはサイクリングによってその欠点を補っている。

 パイオニア環境では序盤の動きをいかに押し付けるかにかかっており、そこを挫くことができるため採用される。
 青白コントロールの2マナ域では非クリーチャーには《ドビンの拒否権》、クリーチャーには《検閲》《魂の仕切り》などで対応といった形で棲み分けがなされている。

 《ジュワー島の撹乱》《かき消し》との併用も多く、こういったソフトカウンターは合計で4~6枚ほど取られている。

 ◆《検閲》は温存すべき? サイクリングすべき?

 デッキによる。基本的にはコントロールにはサイクリング、それ以外のデッキには温存しつつ折を見てサイクリングがよいだろう。

 例えばグルール機体だと1ターン目のマナクリーチャーから2ターン目の《砕骨の巨人》《恋煩いの野獣》《無謀な嵐探し》、3ターン目の《エシカの戦車》とテンポを重視するデッキである。
 この動きの強さは「マナをきれいに使い切る」点にあり、《検閲》が刺さりやすい相手とも言える。
 であるから、序盤においては《検閲》はサイクリングせずに温存が常道だろう。

 無論、相手もそれを見越して3ターン目では《エシカの戦車》ではなく1マナ浮きで3マナのクリーチャーを繰り出すなどの対応をしてくると考えられる。
 ただ、その時点で《検閲》の一つの仕事は果たしていると言えるし、ケアしてくるのであればサイクリングしてしまえばいい。

この世で一番許せないカード

 コントロール系には基本的にサイクリングするとはいえ、対青白コントロールの後手では先手が4ターン目《放浪皇》から5ターン目《ドミナリアの英雄、テフェリー》の流れがあるため温存した方が望ましい。
 また、独創力の3ターン《鏡割りの寓話》、イゼットフェニックスの3ターン目《パズルの欠片》等のマストカウンターが存在するため、それらのマストカウンターに備えて温存する必要がある。

 このように環境にあるデッキの主な採用カード、マストカウンターなどを考慮しつつ、それらのマナ域が過ぎたらサイクリングという形がいいだろう。

 なに、土地が詰まりそう? さっさとサイクリングしろ。青白コントロールにとって土地詰まりはすなわち死だ。
 逆に相手の土地が詰まったのであれば、《検閲》を強く使えるようになり価値が大きく上がるので温存する。


・《ドビンの拒否権》2~3枚

一方的に打ち消す、まさしく拒否権

 青白コントロールたらしめる所以の一つ。
 他のコントロールに対して優位を立てる大きな理由である打ち消されない《否認》
 これに対応出来るのは《ナーセットの逆転》《ゼロ除算》といった特殊なカウンターか、あるいは単純に打ち消されない呪文のみ。

 2マナの確定カウンターである事から《ドミナリアの英雄、テフェリー》の+1能力による土地2枚アンタップとの相性もよく、メインサイド合計で4枚取るべき一枚。

 基本的にメイン3枚・サイド1枚程度のバランスで採用されるが、2-2の比率であったり、あるいは2-1の比率であったりする。
 クリーチャーを主とするデッキが多い環境であれば強みは減るため、環境に応じて調整していくべし。


・《吸収》3~4枚

これでもかと言うぐらいアゾリウスを強調している

 青白コントロールたらしめる所以その2。
 青青白という中々に狂ったシンボルだが、青白コントロールにとって確定カウンターかつ3点回復はコンセプトとも合致している命のオアシス。

 当然ながらこれも《ドミナリアの英雄、テフェリー》との相性が良く、土地が6枚の状況であれば+1能力のアンタップ分で《吸収》の3マナを立てられる。

 基本的に4枚採用されているものの、《廃墟の地》との兼ね合いなどで、余ったマナで予顕しつつハンデスにも耐性がつく《襲来の予測》と散らしているリストも存在する。
 どちらにも利点はあり、この辺りは好みの域だろうか。個人的には《吸収》の3点回復に救われた場面も多いため、《吸収》派。


★採用候補-カウンター

・《ジュワー島の撹乱》

土地にもなる革新的なカウンター

 こちらは土地に変換できる唯一無二のソフトカウンター。
 青白コントロールは毎ターン土地を置きたいため、序盤での選択肢が増えるのは他にない長所。
 一方で中盤以降に引いた時は《検閲》とは異なりドローにもならないため、その点では《検閲》より見劣りするのが難点。

 中盤以降でも腐りづらいという理由から主に《検閲》の方がメインに採用され、こちらは土地カウントも含めて1~2枚ほど採用するといった形が主流。

 《思考囲い》等のハンデスがある相手に対して先手で《ジュワー島の撹乱》込みで土地2枚をキープせざるを得ない時、必ず《ジュワー島の撹乱》から置くようにしよう(1敗)


・《かき消し》

スタンで活躍している一枚

 2マナを要求しつつ、犠牲を行うとさらに2マナを要求するソフトカウンター。
 基本的にクリーチャーを繰り出さない青白コントロールで犠牲はインクの染みかと思いきや、侍・サメ・人間トークンなど意外と種は存在する。

 長所としてはやはり2マナを要求する点。
 余裕があれば《検閲》をケアして1マナを浮かせるのが青白コントロールに対するセオリーの一つだが、そこに《かき消し》が刺さる構図となっている。
 先述した通り1マナ多く使われる後手においてはより強く使える一枚。

 初期ハンドにある《かき消し》は《対抗呪文》級の頼もしさがある一方で、マナが余る中盤以降ではサイクリングや土地としての運用ができる《検閲》《ジュワー島の撹乱》とは異なり死に札になりがちなのが欠点。

 リスト公開制であれば存在をチラつかせるために1枚はあるといい。


・《襲来の予測》

このイラストはフォイルしかないのが残念

 2マナで予顕することで2マナで打てる確定カウンター。
 一般的に《吸収》と散らす形で1~2枚の採用が見られる。

 《吸収》と比較するとマナシンボルの軽さ、予顕によってマナを無駄なく使える点、ハンデスに強い点などが挙げられるだろうか。

 その一方で予顕を行うことで合計4マナになり、全体的なコストパーフォーマンスとしては悪い部類になる点、予顕した時点でほぼバレてしまうのが欠点になる。

 《多元宇宙の警告》やサイドの《シュタルンハイムの解放》と併用して予顕の中身を分からなくなるようにするのが一般的だが、予顕後に手が空いているのに《多元宇宙の警告》や《シュタルンハイムの解放》を打たない時点で9割《襲来の予測》であると分かってしまう。


★固定枠-除去

 除去に関しては環境や好みによって分かれるところであるため、ここでは私が個人的に「固定枠である」という認識を抱いているものをピックアップする。

・《冥途灯りの行進》2~3枚

にぎやかで好きなイラストの一つ

 Xマナ以下であればクリーチャーだけでなく《真髄の針》《勢団の銀行破り》といったアーティファクト、《奇怪な具現》などのエンチャントに対しても幅広く対象を取れる点が白眉。

 その一方でXより大きいものには対応できない。先に多くマナを使われてしまう後手だと使いづらいのが難点。
 この点についてはアドバンテージ損してしまうものの、手札から白のカードを1枚以上追放することで追放した枚数分だけXに2を加算できる効果で緊急時にも対応が可能となっている。

 現在のパイオニア環境で隆盛している《バグベアの居住地》《変わり谷》といったミシュラランドは0マナ扱いであり、X=0の1マナで返せる。
 青白コントロールにとって1マナでミシュラランドを対応できる点は唯一無二であり、個人的には3枚欲しい。

 《ダークスティールの要塞》などのアーティファクト・土地もアーティファクトとして対象に取れるため、1マナで土地破壊になる。覚えておこう。


・《魂の仕切り》

青白コントロールを大きく変えた一枚

 土地以外ならばどのパーマネントでも追放できる。再度唱えられる点から用途としてはバウンスに近いが、2マナが余分にかかることで二重のテンポアドバンテージを得られるのが最大の長所。

 特に現在のパイオニアは序盤のテンポが重視されているため、そのテンポを大きく挫けるこれはメインで3~4枚は取るべきと個人的に考えている

 《検閲》などのソフトカウンターの賞味期限が長くなるのはもちろん、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の+1能力から2マナを立てられ、その2マナで土地以外のパーマネントに対応できたりと活躍の場は多肢に渡る。
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》から《ドビンの拒否権》と《魂の仕切り》の両構えをしている時の全能感は病みつきになる。


 特にアブザンパルヘリオンとイゼットフェニックスに対する明確な回答でもあり、この一枚によってこれらのデッキに相性が大きく改善された。
 前者は2マナで《大牙勢団の総長、脂牙》を対処しつつ《未練残り》などのリアニメイトで再利用できなくさせる事で大きく減速させられる。

 後者では《弧光のフェニックス》が「墓地ではなく追放領域にぶち込まれ、青白コントロール相手に3/2飛行速攻を6マナで唱えないといけない」という呪いの装備と化す。
 《帳簿裂き》《氷の中の存在》といった2マナ域のクリーチャーたちもこれで対処可能である点も非常に大きい。

 欠点としてはバウンス呪文と同じように再度唱えられてしまうと単純にアドバンテージ損になるところ。
 2マナかかるとはいえ、マナが余る中盤以降では序盤ほどの効果は見込めない。
 よって消耗戦による長期戦になりがちなラクドスミッドレンジ等に対してはサイドアウト候補となる。とはいえ《黙示録、シェオルドレッド》の存在もあるので全抜きはしない。

 ちなみに自分のパーマネントではコストは増加しないため、相手の除去から《放浪皇》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》を救出したり、《一時的封鎖》などの再利用も可能である点は留意したい。


・《至高の評決》3~4枚

「シンプルなほど強い」を体現している一枚

 青白コントロールたらしめる所以その3。
 《神の怒り》の系譜を継ぐノーデメリットの4マナ全体除去であり、「この呪文は打ち消されない」という一文がシンプルかつ強力。

 この一枚で複数のクリーチャーと交換する形で荒地にした後、フィニッシャーの一つである《ドミナリアの英雄、テフェリー》へと繋ぐのが青白コントロールの黄金パターン。

 この存在により、天使やグルール機体といった雑多なクリーチャーデッキには滅法強い。
 対戦相手はこの《至高の評決》を意識したプレイをしてくることを念頭に、こちらは「本当にここで打ってもいいのか」と考える必要がある。シンプルな全体除去だが、それだけに腕が出る一枚。

 基本的に3枚程度の採用だが、メタゲームによっては4枚採用も肯定されうるだろう。


★採用候補-除去

・《ポータブル・ホール》

D&Dでの出世株

 1マナで2マナ以下のパーマネントを追放するアーティファクト。
 クリーチャーだけでなくアーティファクト、エンチャントなどにも有効。モダンであれば2マナのプレインズウォーカーである《レンと六番》まで対処できる。

 2マナ以下のクリーチャーを主体とする白単人間やスピリットなどのアグロに強いだけでなく、3マナ以上のパーマネントが主力であるグルール機体や緑信心に対しても「1ターン目のマナクリーチャーに対する回答」として非常に効果的。

 その一方でアブザンパルヘリオンやラクドスミッドレンジ、あるいはコントロール系などにはあまり有効でないこと、中盤以降は腐りやすい点などからメインの採用を見送りサイドで採用しているリストもそこそこ存在する。

 刺さる相手には中盤以降でも有効な除去として発揮する点、また相手の1ターン目のアクションに対応できる後手でより効果を発揮する点など、サイドの適性が高いのも一つの要因か。




・《運命的不在》

いつ見ても徘徊老人エドガーがいない事に苛立っているソリンの構図にしか見えない

 条件を問わずに2マナでクリーチャーやプレインズウォーカーを除去できる数少ない一枚。
 その代償として2マナ1ドローの手掛かりトークンを渡してしまう。

 この手掛かりトークンを渡すことでアドバンテージ損になってしまうことから、ほとんどの場合は1~2枚程度の採用に留まっている。

 例えば4マナ以降のクリーチャーやプレインズウォーカーには2マナで対処できるとその分だけテンポといったリターンを得られるため、優秀なのは間違いない。
 しかし、序盤の軽いクリーチャーに対しては得られるリターンに対して与えるデメリットの方が大きくなってしまうため、あまり打ちたくないのがマイナスポイント。

 特に青白コントロールの除去は序盤を凌ぐのが目的であることが多く、中盤以降の脅威に対してはカウンターで対処という考え方が主。
 そういった意味でもカウンターを打ち漏らしたものに対して対応する一枚として1~2枚の採用に留まるのは必然であると言える。

 ただ、過去にこの《運命的不在》を4枚採用しつつ、《一時的封鎖》も採用することで手掛かりトークンのデメリットを強引に無くす面白い構築を見かけた事があった。
 こういった工夫もまたデッキ構築の醍醐味とも言えるだろう。


・《一時的封鎖》

この五人の中で追放されるのは2マナの《偏執的な援護者、ステン》なのがグッドデザイン賞

 白単人間、赤単、スピリットなどの軽量アグロに対する追加の全体除去枠。
 2マナ以下のパーマネントを追放するという破格の性能の代わりに、破壊されたら場に戻ってしまうリスクを孕んでいる。

 先述したアグロだけでなく、最近再び頭角を現しているサクリファイスにも有効な一枚。
 メインには《至高の評決》が内定しているため、サイドに取られることが多い。
 上記のようなデッキにはクリティカルに刺さる効果であるため、環境によっては除去枠を調整しつつメインに1~2枚は取る価値はある。


・《軍備放棄》

令和のソープロとなり得るのか?

 《剣を鍬に》を彷彿させる除去。
 これを有効に活用するためには平地のタイプを持つ《大草原の川》を採用し、平地そのものの数を増やすといった専用のマナベースを構築する必要がある。

https://www.mtggoldfish.com/deck/5365812#online

 例として2023年1月22日に行われたPioneer Challengeで準優勝を果たしたこのリストでは平地の枚数は19枚。

 このサイトに記載されているマナベース一覧表によれば、2ターン目に平地が2枚出る確率は87.3%、3ターン目に3枚出る確率は72.27%となる。(それぞれダブルシンボル、トリプルシンボルとして考えている)
 これを低いと見るか高いと見るかは価値観次第ではある。

 とはいえ同じ1マナ除去であり中盤以降は引きたくない《ポータブル・ホール》と比較すると、3マナ以上のクリーチャーにも対応出来る可能性があり後引きでも強く使える点はこれ以上ない魅力。
 マナベースを歪めるだけの価値はある一枚と言えるだろう。


・《拘留の宝球》

アゾリウスマークが似合う一枚

 同じ名前を持つパーマネントを全て追放する。プレインズウォーカーなどにもこれで対処が可能。
 青白コントロール殺しである《敵対するもの、オブ・ニクシリス》に対する明確な回答の一つ。

 破壊されたら元に戻ってしまうものの、メインからエンチャント破壊を入れるのは考えづらいため対処されづらいのが長所だろう。
 なおサイド後では《一時的封鎖》や《ポータブル・ホール》などの存在もあるため、これらを確認されたらその限りではない。

 ハマると大きく有利を取れるポテンシャルもあり、ラクドスサクリファイスが多い環境であれば《敵対するもの、オブ・ニクシリス》を意識してこれを1~2枚ほど採用するのもアリだろう。


・《残骸の漂着》

忘れた頃にやってくるアイツ

 攻撃したクリーチャーを全て追放し、その代償として基本土地を提供する特殊な除去。
 うまくいけばインスタントタイミングで全除去を狙えるハイリスクハイリターンを体現した一枚。
 メインからこれを採用しているリストはほとんどなく、ケアもほぼされないと考えていい。

 欠点としてはやはり相手に攻撃してもらわないといけないという受け身なところ。
 例えば《黙示録、シェオルドレッド》も《放浪皇》をケアして殴ってこないであろうし、確実性に欠けるのが大きなデメリット。《鏡割りの寓話/キキジキの鏡像》なんかも殴ってこないし。

 確実性のある《至高の評決》の方が優先されるものの、意識外の一撃である事も間違いないのでアグロが多ければ1枚ほど刺してもいいかもしれない。


・《告別》

可憐なイラストから放たれる凶悪な効果

 土地とプレインズウォーカー以外を全て追放できてしまう全体除去。

 ほとんどのリストで1枚差しされている《告別》だが、採用していないリストも結構見られる。

 「プレインズウォーカーと土地以外を全て追放する」と書いてあることは非常に強力ではあるものの、6マナという重さが非常に気になる点。
 コントロールやロータスコンボ以外であれば打ちたい一枚であろうが、例えば白単人間などにはそもそも6マナに到達しないであろうし、イゼットフェニックスには《呪文貫き》が突き刺さってしまう。

 とはいえ一枚で劣勢をひっくり返す一枚であるのも間違いないため、メタゲームによっては採用に値するだろう。
 具体的に言えばグルール機体・天使・エニグマファイアーズなどが隆盛し、これによって白単人間などの速いデッキがいなくなった時。

 上記のデッキ群には非常に強く突き刺さるからだ。


★固定枠-その他

・《放浪皇》3~4枚

このイラストが一番好き

 青白コントロールたらしめる所以その4。

 青白コントロールを環境上位デッキに押し上げた一枚。
 たった一枚でコンバットトリック、除去、盤面構築、フィニッシャーと複数の役割を担うスーパーカード

 これまでに挙げてきたカウンターや除去、後述する《ドミナリアの英雄、テフェリー》などはいずれもサイドアウト候補になり得るのだが、この《放浪皇》に限ってはどのマッチアップでもサイドアウトしない

 《放浪皇》が来るまでの青白コントロールは主に《ドミナリアの英雄、テフェリー》に大きく依存した構築であったが、この《放浪皇》によって「20点削りきる」という勝ち筋が追加されたのは革命の一つであると言える。

 アグロには-2能力の除去から-1能力の侍トークンで壁を作り出し、ミッドレンジに対しても-1能力の侍トークンで盤面を構築し、コントロールに対しては瞬速の隙の無さから対処を強要させる一枚……と、ほとんど隙がない。

 まさしく最高のカード。これが抜ける日はきっと来ない。
 正直言って青白コントロールは5割が《放浪皇》のデッキだと思っている。

 採用枚数としては3枚が一般的だが、上記の理由から4枚でもいいのではないかと最近考えている。ちなみに私は4枚採用です。


・《ドミナリアの英雄、テフェリー》3~4枚

青白コントロールの顔

 青白コントロールたらしめる所以その5。
 +1能力がとにかく強力。実質3マナで出せ、なおかつその2マナで《魂の仕切り》《ドビンの拒否権》《冥途灯りの行進》《吸収》《サメ台風》《放浪皇》といったインスタントタイミングのカードを最大限有効活用できる。

 1ターンでも定着すれば勝ちに大きく近づくフィニッシャーであるため、これを唱えるタイミングとしては基本的に「次ターンまで生き延びる」ことを目安にするといいだろう。

 盤面と手札の状況によっては生き延びることが出来なくとも、相手からすれば「除去されて生き延びられるかもしれない」というプレッシャーにより、余分にテフェリーへダメージを集中して結果的に損する行動をさせられることから延命手段の一つにもなり得る。

 3枚採用が主流ではあるものの、4ターン目に《至高の評決》から5ターン目に《ドミナリアの英雄、テフェリー》という流れが美しく効果的でもあるため、4枚採用も許容されるほどのパワーカードでもある。


・《サメ台風》2~3枚

空飛ぶサメなんてサメ映画では日常茶飯事だぜ!

 非クリーチャー呪文を唱える度にそのマナ総量分のスタッツを持つ飛行のサメ・トークンを生み出す6マナのエンチャント。
 このカードの真価はサイクリングによって生み出される「打ち消されないX/X飛行のサメ・トークン」。ついでにドローもする。

 長引けば長引くほどXの数も大きくなり、速やかにゲームを終わらせるポテンシャルを持つ。《放浪皇》と組み合わせてクロックパーミッションとしての勝ち筋を作り出す素晴らしい一枚。
 ただし、出るのはあくまでトークンであるため、ラクドスミッドレンジなどの《致命的な一押し》が入っている相手には無理してサイズを大きくする事に拘らなくてもよい。

 サメ・トークンが出るのはサイクリングによる誘発能力であるため、ほぼ打ち消されないことからスピリットなどのクロックパーミッションに対するキラーカードの一つとして数えられている。

 また、イゼットフェニックスなどのエンチャントを対処できない相手には強烈なフィニッシャーにもなるので、メインかつ余裕があればハードキャストも視野に入れておきたい。《呪文貫き》にはご用心

 その一方で3~4ターン目では1/1~2/2とやや頼りないサイズであり、序盤の攻防にはそこまで貢献しないのが短所。
 白単人間や赤単などの極端に速いデッキ相手には「2マナ1ドロー」になることが多く、サイドインするカードが多い場合に限りサイドアウト候補になりがち。


・《記憶の氾濫》2~3枚

狂ってしまった子を自らの手で下した親の苦悩をこれ以上なく表しているいいイラスト

 モダン級のドローソース。フラッシュバックは7マナと重いものの、唱えるために支払ったマナの数だけカードを見ることになるのでフラッシュバックでは7枚も見られる。
 墓地から唱えられる《時を越えた探索》です。2マナじゃないけど。

 通常時でも4枚も掘ることが出来るため、アグロ相手には《至高の評決》《放浪皇》、コントロール相手には《ドビンの拒否権》《サメ台風》などの必要なカードを探し出しやすいのが強み。
 また、コントロール同士の対決では必要牌を探し出せる点、カウンターを打たれてもフラッシュバックによってアドバンテージを得られる点、重いコストのフラッシュバックも長引きやすいため唱える見込みも高い……と、非常に大きいバリューを持つ。

 しかし、あくまでこれはドローソース。必要牌を探し出せるとはいえ、4マナと1ターンを消費してやることは2枚のカードを手札に加えるだけ
 そういった意味では序盤で試合を終わらせる白単人間のようなデッキ相手には腐りがち。

 このように、環境によって枚数を調整することが多い一枚。コントロールが多ければサイドも含めて4枚も視野に入るし、アグロが多ければ最低限の1~2枚に留めるといった形になるだろう。


★採用候補-その他

・《覆いを割く者、ナーセット》

神話レアの風格

 デッキの上から4枚を見てクリーチャーと土地以外を手札に加えられるプレインズウォーカー。ついでに対戦相手には追加のドローを禁止する常在能力を持つ。

 この常在能力は《熟読》を擁するロータスコンボ、《航路の作成》《帳簿裂き》《宝船の巡航》などのイゼットフェニックスといったドローソースに依存しているデッキには強烈に突き刺さる。
 また《鏡割りの寓話》二章も同様で、たまに2枚捨ててくれる人もいる。

 -2能力を二回起動出来れば大きなアドバンテージを得られるものの、盤面には触れないためアグロ系には「3マナでデッキの上から4枚見て1枚スペルを加える」だけのソーサリーになりがち。

 この理由から主にサイドとしての運用が多いものの、例えばロータスコンボ・イゼットフェニックス・青白コントロールといった常在能力が刺さる相手が多ければメインでの採用も大いにあるだろう。

 ちなみにこの常在能力を忘れてしまい、相手に追加のドローを許可してしまうとジャッジから警告が出るので気を付けよう。自分の誘発はしっかり管理しよう!


・《多元宇宙の警告》

マナを分割できる器用な一枚

 予顕を行うことで2マナで打てるドローソース。

 《記憶の氾濫》と比べると見る枚数は少なく、フラッシュバックも持たたないものの、予顕によってマナを分割することで「相手の動きをカウンターで弾きつつ、余った2マナで《多元宇宙の警告》」という能動的な動きを早い段階から交えられるのは《記憶の氾濫》にない利点。

 《記憶の氾濫》と2-1もしくは2-2程度の枚数で散らして採用されているリストも多いが、私はカード単体の性能としては《記憶の氾濫》に軍配が上がると考えており、《記憶の氾濫》のみ採用としている。

 手札を加える《記憶の氾濫》とは異なり、こちらは引くため相手の《覆いを割く者、ナーセット》の影響を受ける点には注意。


・《発見への渇望》

基本土地を捨てればインスタントの3マナ2ドロー!

 最近試されている一枚。
 《軍備放棄》のために平地カウントとなるバトルランドの《大草原の川》の採用により、基本土地を多く採用するマナベースをさらに後押しする一枚として採用されている。
 もちろん基本土地が4~5枚しかない通常の青白コントロールでは採用されない。

 利点はやはり基本土地を捨てることができればインスタントの3マナ2ドローとなる点
 3マナ域では能動的に動けるカードが《サメ台風》ぐらいしかないため、ここに《発見への渇望》で小回りよく動くことが出来る札が増えるのは評価点。

 欠点としては基本土地を捨てられる確証がないところ。捨てられないと3枚引いて2枚捨て、アドバンテージを得られないルーティングになってしまう。
 特に青白コントロールでは土地は毎ターン置きたいものであり、あまり土地を捨てたくないのが心情。

 とはいえかなり新鮮で面白い一枚であり、《軍備放棄》と組み合わせて実際の感触を確かめてみたいものである。


■サイドボード採用カード解説

 こちらではメインで解説したものについては除外している。

 サイドボードで採用されるカードの特徴としては「有効なデッキというレンジが狭い代わりに、それらに対しては非常に高いバリューを発揮する」ことにある。
 メインボードでは幅広く見つつ、サイドボードでクリティカルなカードを入れていくという形が一般的。
 これは他のデッキにも同様の事が言えるだろう。

 省いたものとしては《一時的封鎖》《覆いを割く者、ナーセット》《ドビンの拒否権》《サメ台風》あたりはサイドボードでも採用されることが多い。


・《神秘の論争》

モダンでも使われている一枚

 通常であれば3マナで3マナ要求カウンターとややコストパフォーマンスは悪いものの、青い呪文に対しては「1マナで3マナ要求」という非常に強力な効果に変わる。

 有効な相手としては青いデッキ全般と幅広い。
 特にクリーチャー・非クリーチャーを問わないため、スピリットなどに対してはカウンターによる除去としての側面もある。

 もちろんこちらも青いデッキであるため、同様に相手も《神秘の論争》を入れてくることで《神秘の論争》を返すための《神秘の論争》という不毛な争いが起こることもしばしば。

 ちなみにこちらは《放浪皇》が青くないので《神秘の論争》を構えている所に我が物顔で通すこともできる。

 採用枚数としては環境による。青いデッキが多ければ3~4枚は取ってもいいし、多くなければお守り程度に1~2枚程度でいいだろう。


・《霊気の疾風》

除去も兼ねる革新的な一枚

 こちらは赤と緑に限定されるものの、「パーマネント」と「呪文」両方を対処できる貴重な一枚。
 主にグルール機体、赤単、緑信心といった赤と緑のデッキにサイドインする。

 打ち消しているわけではないため、《目覚めた猛火、チャンドラ》といった打ち消されない呪文に対しても有効に働く

 相手が何もすることがなくなった時の《バグベアの居住地》《ハイドラの巣》のミシュラランドには特に効果的で、一番上に置くと次のターンはタップインが確定する。
 下に送れば2マナの除去にもなり、究極の二択を押し付けることができる。

 他に対処手段がない状態でデッキの一番上に置かれると1ターンの時間稼ぎぐらいにしかならないのが唯一の難点。
 しかし《廃墟の地》があるとシャッフルさせることで実質的な打消しor除去に変わるので、この組み合わせは意識したい。


・《ナーセットの逆転》

決まると気持ちよくなるカードNo.1

 呪文をバウンスしつつ、コピーする珍しいカウンターの一種。
 手札に戻すため打ち消されない《ドビンの拒否権》や《思考のひずみ》にも対応できる

 主にロータスコンボの《出現の根本原理》、サイド後の《思考のひずみ》に対する強烈なカウンターとして採用されている。
 また、イゼットフェニックスに対しても有効で、こちらは《宝船の巡航》を跳ね返す。

 バウンスした呪文は手札に戻るものの、例えば当て先の一つである《宝船の巡航》では探査を行った後であるのでマナコストが増え、再度唱えられるまでには時間がかかるため効果的。
 《感電の反復》+《宝船の巡航》などのコピーしたものやフラッシュバックした呪文を対象にすると手札には戻らなくなる点は覚えておきたい。

 また、カウンター合戦でも有効な一枚。

 相手:《覆いを割く者、ナーセット》
 自分:《吸収》(2マナ余らせ)
 相手:《神秘の論争》
 自分:《ナーセットの逆転》、対象を自分の《吸収》に。
    《吸収》をコピーし、対象を《覆いを割く者、ナーセット》に。
    対象にされた《吸収》は自分の手札に戻る。

 このように自分のカウンターを戻しつつ結果的に1:2交換という構図になる。

 最近のMOではロータスコンボが隆盛しているため、サイドに1~2枚ほど取られているリストが大半。
 ただし紙ではロータスコンボが少ないので少し考えたいところではある。


・《才能の試験》

書いてあることはとんでもない

 打ち消したインスタントかソーサリーを根絶やしにするカウンター
 範囲は狭いものの、ロータスコンボの《熟読》《出現の根本原理》など、特定のインスタントやソーサリーに依存するデッキには強烈に突き刺さる。

 他にはイゼットフェニックスの《宝船の巡航》、青白コントロールにも《記憶の氾濫》など当て先は結構あるため、こういった青いデッキが多い環境ならば採用してみても面白い。

 緑信心に対しても入れる時もあり、こちらは《収穫祭の襲撃》がターゲット。とはいえソーサリーがこれしかないので、相当範囲は狭い。サイドアウトするカードが多く、他にサイドインするカードがなければ入れるぐらい。

 欠点としてはやはり「インスタントかソーサリーしか打ち消せない」ところ。
 プレインズウォーカーや《鏡割りの寓話》などの致命的なエンチャントを打ち消せないのは大きなマイナスポイントと言えるだろう。


・《即時却下》

最近は見かけない一枚

 こちらは呪文すべてを「追放」することにより、打ち消されない《思考のひずみ》《船砕きの怪物》といった青白コントロールに対してクリティカルな一枚への回答。
 主にロータスコンボ、緑信心などに入る。

 打ち消しの対策である《感電の反復》からコピーされた呪文もすべて追放するため、こういった動きに対して非常に高いバリューを誇る。

 他にも起動能力や誘発能力といった「能力」もすべて打ち消すため、キャストによる誘発をする《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《約束されし終末、エムラクール》、そして《街並みの地ならし屋》に対しても明確な回答手段でもある。

 一方で4マナという重さが足手まといになりがち。その重さから《神秘の論争》に刺さりやすいのも無視できない欠点。

 最近は採用されていない事も多いものの、選択肢の一つとしては覚えておくべきだろう。


・《安らかなる眠り》

白が誇る最強の墓地対策

 着地した時点で墓地を全て追放し、その後も追放し続ける屈指の墓地対策
 主にアブザンパルヘリオン、イゼットフェニックスなどの墓地を利用するデッキに対するサイドカードの一枚。

 《バーラ・ゲドの復活》《溺神の信奉者、リーア》擁するロータスコンボ、死亡誘発が多いラクドスサクリファイスなどにもある程度有効。 

 基本的に2~3枚取られているものの、この墓地を利用するデッキは現在の環境だと数を減らしているため、墓地対策を兼ねた他の一枚にしたい気持ちもある。それでも2枚は入れるだろうが……


・《真髄の針》

意外と起動能力は多く、いぶし銀な一枚

 起動能力を封じる。ただそれだけだが有効な相手は案外多い。

 例えば緑信心であれば《ビヒモスを招く者、キオーラ》《大いなる創造者、カーン》の起動能力を封じたり、あるいは《ハイドラの巣》のミシュラランドを指定するのもいいだろう。

 ラクドスミッドレンジには《バグベアの居住地》《目玉の暴君の住処》といったミシュラランドはもちろん、《鏡割りの寓話/キキジキの鏡像》や《ヴェールのリリアナ》にも対応可能。

 ロータスコンボには《演劇の舞台》を封じる役割がメイン。最近隆盛しているグルール機体にはミシュラランド、機体の搭乗を封じたりと幅広く見る事ができる。

 これらは青白コントロールにとって対処しづらいものであり、それをカバーするという意味では検討に値する一枚と言えるだろう。

 ただし、1マナのパーマネントであるため《一時的封鎖》とのディスシナジーには注意。


・《減衰球》

対ロータスコンボの最終兵器

 ロータスコンボ専用カード。

 最高のタイミングとしては3ターン目の《睡蓮の原野》を置いた返しにこれを設置する事だろう。《睡蓮の原野》から無色の1マナしか出なくなり、そこでほぼ詰む事もしばしば。

 もちろんロータスコンボ側も《耐え抜くもの、母聖樹》などで対処はしてくるものの、大きな減速を図れることは間違いない。

 欠点としてはロータスコンボ以外だとスペルを連打するイゼットフェニックス、後はギリギリ緑信心に入るぐらいという有効なデッキ範囲の狭さ。

 正直入れたくない。でもロータスコンボを殺すためなら仕方ない、仕方ないんだ……


・《勢団の銀行破り》

スタンでも大活躍

 アドバンテージ獲得手段として。
 まだ使用した事はないが、対コントロールやラクドスミッドレンジなどのゲームが遅く、アドバンテージが重要なマッチアップでは効果的ではないかと最近考え始めている。

 カウンターや除去を構えつつ、何もなければドローという動きは非常に強力で無駄なくマナを使っていけるのは高評価点。

 後述する《精神迷わせの秘本》との比較ではアドバンテージを稼ぎつつ、相手の札を対処しきった後に4/4の機体としてクロックパーミッションプランにシフトと一貫性のあるゲームプランが取れるのがポイントだろうか。
 《放浪皇》《サメ台風》などとの相性がいいのも見逃せない点。今度試してみようと思う。


・《精神迷わせの秘本》

アドバンテージに特化したデザイン

 こちらは《勢団の銀行破り》と比較すると1枚多く引け、マナが無い時でも占術ができ、使い切れば4点ゲインとかなり後ろ向きなデザイン。

 先述してきた通り、《放浪皇》《サメ台風》《ストーム・ジャイアントの聖堂》によるビートダウンプランもあるため、一つのクロックになり得る《勢団の銀行破り》の方が良さそうに感じる。

 アドバンテージが重要な偏った環境であれば採用する余地はあるものの、現在の環境では《勢団の銀行破り》の方に軍配が上がるか。


・《高名な弁護士、トミク》

手にしているのはラルのもの。エモいですね

 ロータスコンボ対策の一つ。
 土地を対象にする《見えざる糸》、《演劇の舞台》を封殺する。もちろん《砂時計の侍臣》の起動能力やサイクリングも封じる。ちなみに《バーラ・ゲドの脱出》で墓地にある土地を回収する事すら不可能になる。
 ロータスコンボがメインでこれを対処できる手段は2枚しかない《天上都市、大田原》のみ。これもバウンスのため出し直されてしまう。

 2ターン目に着地したらロータスコンボにとっては悪夢と言っていい一枚ではないかと思う。
 ただし《熟読》は土地を対象に取っていないため、こちらはアンタップする点には注意

 《ビヒモスを招く者、キオーラ》《狼柳の休息所》を封じることが出来るため、緑信心にも入る候補になり得る。
 《老樹林のトロール》も死亡誘発時に土地を選べなくなるおまけつき……と思いきや、実は「対象に取っていない」ためこちらは防げない。無念。

 青白コントロールミラーでもクロックを刻みつつ、相手の《廃墟の地》からこちらの《ストーム・ジャイアントの聖堂》《ヴァントレス城》《アーデンベイル城》を守るいぶし銀。

 白単人間やスピリットなどのアグロに対しても2/3のスタッツを活かしたブロッカーとしてサイドイン可能と、見た目以上に器用な一枚。

 ……と、ここまでいいことを語ってはいるものの、当然ながら2ターン目に出せないとバリューはそこまで高くはない。
 結局《演劇の舞台》が《睡蓮の原野》をコピーしてしまった後だとバリューは大きく減少してしまう。
 様々なデッキにサイドインできる器用さはあるものの、機を逸すると器用貧乏になりがちな難しい一枚。


・《敬虔な新米、デニック》

scryfallに両面カードの日語がない……

 2/2/3絆魂の優秀なスタッツに加え、「墓地にあるカードは呪文や能力の対象にならない」という常在能力を持つ。
 特にアブザンパルヘリオンに対してビートダウンプランとリアニメイトプラン両方に対応できる点は他にない特徴。

 その優秀なスタッツから白単人間や赤単といったアグロにも入り、降霊によって1枚で2枚の役割を担うカードでもあるためラクドスミッドレンジにも入る。
 《放浪皇》の+1能力との相性も良く、アグロ系・ラクドスミッドレンジ・アブザンパルヘリオンと幅広く見たい時はうってつけな一枚。


・《シュタルンハイムの解放》

素晴らしいイラスト

 4マナで4/4飛行警戒の天使を呼び出すソーサリー。予顕することで《天使への願い》のようにXマナでX体の天使を呼び出す。

 主にラクドスミッドレンジに対する追加の勝ち手段

 予顕によってハンデスされず、全体除去もないため並んだ天使を対処しきることは非常に難しい。
 7マナで天使が3体出れば2ターンクロックであり、ほぼ勝つと言っても過言ではない。
 このために対ラクドスミッドレンジでは土地を伸ばす事が重要であり、マリガンは極力したくない。

 白単人間といったビートダウン系のデッキにも有効で、サイドアウトする《ドミナリアの英雄、テフェリー》を後述する《黎明をもたらす者ライラ》と組み合わせて入れ替え、ミッドレンジプランにシフトする。

 欠点としては予顕することによるテンポロス。特に一刻を争う場面においてはここがのしかかる事が多い。


・《黎明をもたらす者ライラ》

これ一枚で止まるデッキも多い

 戦闘面では5/5飛行・先制攻撃・絆魂と凄まじい強さを誇る天使。

 主にグルール機体、白単人間、スピリットといったビートダウン系にサイドインする。単体性能の高さからラクドスミッドレンジなどにも。
 アブザンパルヘリオンにも出てくる天使トークンや《エシカの戦車》に対して一方的に勝てるため、ブロッカーとして入れる。

 白のクリーチャーであるため、相手がサイドインしてくるであろう《神秘の論争》《否認》などに刺さらないのも強みの一つ。

 除去耐性はないものの、青白コントロール相手には除去をサイドアウトすることが一般的なサイドボーディングであり、そこへ強烈に刺さる一枚となる。
 《丸焼き》といったプレインズウォーカーの対処を目的とした除去の巻き添えを食らう可能性はあるものの、ほぼ突破されず強固な防衛線として機能してくれる。

 天使ロード能力も持ち合わせており、《シュタルンハイムの解放》からこれに繋げると5/5警戒飛行絆魂が並ぶ盤面になり相手にとっては悪夢の一言だろう。

 ただし、ターゲットである白単人間には《粗暴な聖戦士》《精霊への挑戦》、スピリットでは《鎖霊》があり、理解している相手だと残してくるため過信は禁物。


・《悪斬の天使》

デーモンとドラゴン絶対殺すウーマン

 《黎明をもたらす者ライラ》から天使ロード能力を無くした代わりにプロテクションデーモン・ドラゴンがつき、非伝説になった天使。
 先述した《黎明をもたらす者ライラ》とほぼ同じ役割で、これと散らす形で採用される。

 デーモンはともかく、ドラゴンは《栄光をもたらすもの》や《フェイの呪われた王、コルヴォルド》などパイオニアのデッキで採用されているものもあり、今後も追加されていく可能性が高い部族であるため注目したい。


・《夢さらい》

除去耐性がありドローもこなすフィニッシャー

 こちらはシンボルとマナが重くなった代わりにドローするたびに+1/+0の修正を受けつつ、攻撃時にドローのアドバンテージ獲得までこなす文字通りのフィニッシャー。
 サイドインする相手としては上記の《黎明をもたらす者ライラ》《悪斬の天使》と同じような形で、これらが枠を争う競合相手となる。

 カードを1枚捨てることで呪禁を得るという強力な除去耐性も持ち合わせており、これ一枚で試合が終わることもしばしば。

 一方で受ける盤面だと6/3/5飛行絆魂でしかないため、劣勢をひっくり返すほどの力はあまりない。どちらかといえば五分五分のところで突き放す一枚だろうか。

 そういった意味では消耗戦のトップ勝負になりがちなラクドスミッドレンジに対してはより効果的と言える。
 可能であれば布告除去である《ヴェールのリリアナ》《絶望招来》をケアしたい。

 欠点としては《神秘の論争》が刺さる上に6マナの重さもやや気になる点。特にビートダウン相手にはこの1ターンの差が重要。
 これらの理由により私は不採用としているが、着地すれば十二分にバリューを叩き出す一枚であるのも間違いないだろう。


・《船砕きの怪物》

コントロール絶対殺すマン

 瞬速で打ち消されず、パーマネントどころか呪文までバウンスしてしまうコントロールキラー。
 《ストーム・ジャイアントの聖堂》で受け止めきれない7/8のスタッツ、バウンスの誘発効果により一回定着してしまえば文字通りゲームを決めてしまえるモンスター

 主にコントロール系、イゼットフェニックス、ロータスコンボに入る一方で7マナという重さのため、そこまでのレンジには到達しないであろうビートダウン系には入らない。

 特定のデッキに対して非常に高いバリューを誇る一枚であり、個人的には今の環境であれば1枚は確定して入れたい枠。


・《太陽の勇者、エルズペス》

気付いたら兵士まみれになる

 1/1と言えどもワンアクションで三体も出す+1能力が強力で、飛行や全体除去を持たないラクドスミッドレンジには《戦慄掘り》か《絶望招来》しか対処手段がない。
 この+1能力を延々と行うだけでラクドスミッドレンジ側はどうにもならず、そのままゲームを決めてしまう力を持つ。

 とはいえ、ほぼ対ラクドスミッドレンジ専用に近い一枚で、これ以外に入れる相手はグルール機体ぐらいだろうか。
 私はこの枠をアグロ系にも入れやすい追加の《シュタルンハイムの解放》にしている。

 派手なプレインズウォーカーなので使ってあげたくはあるのだが、6マナという重さがどうしても気になってしまう。
 もちろんラクドスミッドレンジが多い環境であれば採用に値する一枚。


・《威厳あるカラカル》

ねこはいます。よろしくおねがいします

 最近採用が増えている一枚。《孤児護り、カヒーラ》を相棒にしつつ、複数枚採用されていることが多い。

 5マナの1枚で3/3、2/2絆魂×2が並ぶのはなかなかのものであるし、5ターン目にこの《威厳あるカラカル》から6ターン目に猫のロードでもある《孤児護り、カヒーラ》の相棒回収からキャストが繋がるのも高評価点。
 この流れになれば4/4警戒、3/3絆魂警戒×2が対戦相手へ襲い掛かる。

 本体も猫であり、重なればお互いに補強しあうため複数枚での採用がなされている。
 2ターン連続でキャストできれば4/4絆魂×2、3/3絆魂×4ととんでもない盤面になる。猫カフェかな?

 欠点としては3/3の本体を処理されると1/1絆魂×2の子猫たちが残される点。
 とはいえ青白コントロール相手に除去を抜く事が多いため、案外処理されない可能性もあるにはある。

 《孤児護り、カヒーラ》とのシナジーがあってこその一枚に見えるが、採用する価値はあるように思う。今度感触を確かめてみたいところだ。


・《原初の潮流、ネザール》

色々詰め込みすぎである

 こちらも上記の《威厳あるカラカル》と同様に《孤児護り、カヒーラ》との組み合わせで採用されている。

 同じく打ち消されないフィニッシャー《船砕きの怪物》が比較対象となるが、こちらは「クラーケン・ホラー」であり、《孤児護り、カヒーラ》の相棒条件に当てはまらない。

猫やエレメンタルばかりに目が向けられがちだが、実は恐竜やナイトメアといった部族にも対応

 そう、《孤児護り、カヒーラ》相棒時の《船砕きの怪物》枠となるわけだ。
 瞬速は持たなないものの、手札から3枚を捨てることでブリンクする除去耐性を持つ。
 非クリーチャー呪文を唱えられるたびにドローするなど、《船砕きの怪物》とはまた違ったフィニッシャー力もある。

 ただカウンターを構えたいロータスコンボ等に対してはソーサリータイミングである点が足を引っ張るのが難点。
 この点で《船砕きの怪物》の方が強いと考えており、《孤児護り、カヒーラ》を相棒にした際の苦肉の策のように感じてしまう。


■カウンターについて

 2023年1月現在、私が採用しているカウンターとしては《検閲》《かき消し》《ジュワー島の撹乱》《ドビンの拒否権》《吸収》。
 サイドからは《霊気の疾風》《神秘の論争》が該当する。

こよなく愛するカウンターたち

 これらのカウンターは先述してきた通り「1対1交換」が最大の仕事である。
 《鏡割りの寓話》などは場に出た時点でほぼアドバンテージが確定してしまうが、カウンターしてしまえば1対1交換で済む。これは他の除去等にはない利点と言えよう。

 上記のように複数のカウンターを採用すると、しばしば遭遇する場面がある。それは「どのカウンターを切るか問題」である。


▼例題:緑信心相手に《かき消し》と《ドビンの拒否権》が両方にある場合、どっちを先に使う?

 緑信心戦を例として挙げてみよう。状況としては1ターン目に《ラノワールのエルフ》、そして2ターン目に《ビヒモスを招く者、キオーラ》を唱えてきた。

緑信心の爆発的なマナ加速を担う一枚

 こちらは先手、手札のカウンターには《かき消し》《ドビンの拒否権》がある。他の手札としては土地2枚、《記憶の氾濫》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》と想定してほしい。
 《かき消し》《ドビンの拒否権》のどちらから使うか? あるいは通すか?

君はどっちを選ぶ?


 私は通さずに《ドビンの拒否権》から使う。これにはいくつか理由がある。

1.《かき消し》を使う――《老樹林のトロール》《緑の騎兵》が止められなくなる

 残る《ドビンの拒否権》はクリーチャー呪文を打ち消せない。
 よってクリーチャーであるこの二枚が通ってしまうというド裏目が生じる。実にシンプルな理由だ。

 《老樹林のトロール》はまだいい(よくない)として、《茨の騎兵》が通ると最悪である。キーカードである《ニクスの祭殿、ニクソス》《収穫祭の襲撃》を探し当てられるからだ。
 また、これらが通ると緑の信心が4以上になり、《ニクスの祭殿、ニクソス》から多くのマナが出るようになる。

 そうすると緑信心側は1ターンでの手数が増えることになり、これは青白コントロール側の負け筋になりうる

2.通す――《かき消し》が腐ってしまうリスクが生じる

 かといって《ドビンの拒否権》を温存してこれら《老樹林のトロール》《茨の騎兵》に《かき消し》を当てようとしても、《ビヒモスを招く者、キオーラ》の+1能力でアンタップから《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》《ニッサの誓い》などが出てくる可能性は高いだろう。

 このマナクリーチャーや増加した信心と+1能力によってアンタップされる《ニクスの祭殿、ニクソス》の存在も考慮すると、結果的に《かき消し》が腐ってしまうという展開は想像に難しくない。
 このように膨大なマナを活かした手数で攻められるのはコントロールにとって非常に苦しい展開になってしまう。

3.《ドビンの拒否権》を使う――次ターンの動きを《かき消し》で対応可能

 確定カウンターであり、《収穫祭の襲撃》《大いなる創造者、カーン》に対して当てたい《ドビンの拒否権》だが、1.で語った理由によりここで先に切ってしまう。

 《かき消し》はソフトカウンターではあるものの、4マナしか産み出さない次ターンでの《老樹林のトロール》やあるいは《大いなる創造者、カーン》に対しては打ち消す事ができる。
 これによって相手の盤面には《ラノワールのエルフ》しかいない状態で4ターン目に到達し、回答札のドローや《記憶の氾濫》でさらなる回答を引き込めるようになる。

 そうして《ドミナリアの英雄、テフェリー》までに繋ぐことが出来ると考えられる。そうなればドローが全て土地などの例外的なケースでない限り、勝ちに大きく近づくことになるだろう。


 これらの理由により、ソフトカウンターである《かき消し》を温存し、確定カウンターである《ドビンの拒否権》を先に切っていくのが私の回答になる。

 緑信心以外にもグルール機体に対する《ドビンの拒否権》と《吸収》の選択であったり、あるいは単純にその時のマナと他の札に応じて効率的・効果的なカウンターの切り方が存在する。

 例を挙げると3ターン目で《吸収》と《かき消し》があり、相手のアクションに対してはソフトカウンターである《かき消し》を先に切るのが常道ではある。

ダブルアクションしやすい2マナ

 しかし、場に相手のクリーチャーがおり、かつ《魂の仕切り》といった2マナで動けるカードがある場合、《吸収》を先に切るケースも存在する。
 次のターンに《かき消し》と《魂の仕切り》などのダブルアクションをする事で押されている盤面を返す導線の一つになるからだ。

 このようにカウンターの切り方でも一つの分岐点になりうるため、結構奥深いデッキであることがわかる。


■マッチアップ解説

▼基本的な考え方

 相手のベストムーブ、自分にとっての最悪を常に想定しケアできるものは出来る限りケアをする。
 優勢と劣勢の場面においてはより強く意識する。優勢でも一つ間違えれば瞬く間に崖っぷちに追い込まれるのだ。

 また、特に劣勢の場面では「こちらの薄い勝ち筋」を手繰り寄せるための最短ルートを選択する必要がある。 
 そのため、《サメ台風》を2マナ1ドローとしてX=0で容赦なくサイクリングする勇気を持つこと。せめて最低でも1/1を出したいところだが、至急を要する場面においてはこの踏ん切りが必要となる。

時として見捨てる選択肢も重要

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》は「生き残る」のが大事ではあるが、「忠誠度は無理に維持しなくてもいい」事も意識する。
 奥義を狙わずとも、+1能力でドローするだけで差は勝手に開いていくからだ。故に《ドミナリアの英雄、テフェリー》が死なない程度のコンバットであれば無理矢理止める必要はない。
 (盤面と場合によっては止めた方がいい時もあるが、この辺りは経験を積んでいくしかないだろう)


 また、コントロールに限らないことではあるが「ライフはリソースの一つ」であることを強く意識する。0点にならなければ負けではないのだ。
 相手はこちらのアクションを強要するために様々なアクションを起こしてくる事を前提の下、それに対してどのように対応するのかベストなのかを常に思案すること。


▼相手のデッキが不明な時のマリガン基準

 土地3枚と2マナのカウンターもしくは除去があれば基本的にキープする

 現在のパイオニア環境では後手の3ターン目で初めて対応出来るハンド(《吸収》など)だと間に合わないパターンがかなり多い。先手ならばギリギリ検討できるレベル。
 先手で土地2枚の場合、《かき消し》《ポータブル・ホール》といった軽いアクションが多く、かつ《検閲》といったサイクリングがあれば検討する程度。
 そうでなければ青白コントロールは土地が欲しいため、詰まるリスクを考慮してマリガンしたほうがよい。

 後手ならばドロー機会が先手よりも1つ多いため、軽いアクションが多ければキープを検討できるがあまりやりたくはない。


▼サイドボーディングについて

 サイドボーディングはこのマジック・ザ・ギャザリングにおいて最も難しく、奥深いシステムである。私自身も完璧なサイドボーディングが出来ているとは言い難い。

 ミッドレンジ環境かつ先手や後手、相手がどういったプレイスタイルかといった要素で細かく変わる現在のスタンダードとは異なり、パイオニアでは不要牌・必要牌が明確であるため、サイドボーディングはスタンダードと比べれば容易と言える。
 特に青白コントロールではマッチアップ毎の不要牌と必要牌が明確であるので、適切なサイドボーディングを学ぶにはいいデッキのように思う。

 サイドボーディングを行う主な目的としては、「不要牌を有効牌に入れ替え、勝ち筋を増やす・補強する」ことにある。

クリーチャーは打ち消せません!

 例えば《ドビンの拒否権》を例に挙げよう。

 これは非クリーチャーを主とするデッキに対しては打ち消されない最強のカウンターとして機能する一方で、極端な例ではあるがクリーチャーしか入っていないデッキに対しては土地にも劣る一枚になってしまう。

 そのクリーチャーしか入っていないデッキには無力な《ドビンの拒否権》をサイドアウトし、全体除去である《至高の評決》であったり、あるいは赤緑系であれば《霊気の疾風》であったりと有効なカードをサイドインする。

 こうすることで「不要牌を有効牌に入れ替える」事になる。これがサイドボーディングの基本と言えるだろう。

 その一方で、構造的に有利な相手に対しては無理に大きくサイドボーディングを行う必要はない、という点についても意識したい。
 せっかくサイドボーディングを行うのだから、大きく変えたい……! という気持ちはよくわかるが、無理にサイドボーディングを行う事でデッキの完成度を損なってしまう事も多々ある。

 除去などの相手のアクションに対する対応札ばかり増やし、勝ち筋を減らした結果「相手の動きに対応は出来ても試合に勝てるカードを引けず負けた」というのが分かりやすい例だろう。

 総括すると「どのようにして勝つか」を考え、そのための道程に貢献するように調整するのが適切なサイドボーディングである。
 この適切なサイドボーディングを行うためには「経験」と「知識」の二点が必要であると私は考えているので、この拙作で少しでも「知識」の部分を補強する手助けになれば幸甚だ。


VS 緑信心 - 微不利~五分

https://www.mtggoldfish.com/deck/5252965#online

▼マストカウンター
 《収穫祭の襲撃》《大いなる創造者、カーン》

▼負け筋
 《ニクスの祭殿、ニクソス》から出る豊富なマナからダブルアクション以上を取られてしまい、カウンターが追い付かなくなる。

・マリガン基準


土地3
《ポータブル・ホール》
《ドビンの拒否権》
《かき消し》
《吸収》
《魂の仕切り》
《冥途灯りの行進》(先手限定)

 このマッチアップでは、2ターン目での《ビヒモスを招く者、キオーラ》や《老樹林のトロール》に対して対応できるかどうかが焦点となる。

 このスタートの基幹となる《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》といった1マナ加速に対して《ポータブル・ホール》は最高の回答となる。
 同様に先手での《冥途灯りの行進》もキープ基準の一つと言えるわけだ。

黄金パターン

 後手だと2ターン目の《ビヒモスを招く者、キオーラ》《老樹林のトロール》に対してカウンターが間に合わない。
 それを止められる《ポータブル・ホール》は是非とも欲しく、出た後に対処できる《魂の仕切り》もあるとよい。

 また、これらが通った後に《大いなる創造者、カーン》や《茨の騎兵》(1T目マナクリ、2T目《老樹林のトロール》、3T《ニクスの祭殿、ニクソス》でも信心4から計5マナが出る)を止める手段は確保したい。

 そうするとやはり各種カウンター。先述したマストカウンターたちを弾き続け、《記憶の氾濫》《放浪皇》《ドミナリアの英雄、テフェリー》までに繋げれば勝利は近い。

×
《サメ台風》
《至高の評決》

 一方でマリガンするハンドとしては《サメ台風》《至高の評決》といった序盤の攻防に貢献しないカード群が多く、かつカウンターといった干渉手段が無い時。

あまり引きたくない

 雑多なクリーチャーデッキには無類の強さを誇る《至高の評決》だが、緑信心に限っては《老樹林のトロール》《茨の騎兵》といった死亡誘発が存在しており、そこまで有効でない一枚となっている。

 とにかく緑信心の1~3ターンの動きに対して干渉する札が必要。3ターンあれば緑信心は盤面を構築しきってしまう。


・立ち回り方

 緑信心に対する主な勝ちパターンとしては、1ターン目のマナ加速に対して除去で減速させつつ、場に出てしまった《ビヒモスを招く者、キオーラ》や《老樹林のトロール》には《魂の仕切り》などで相手のテンポロスを図る。
 そしてマストカウンターである《収穫祭の襲撃》《大いなる創造者、カーン》を弾く。
 こうして相手の攻め手が無くなった時に《放浪皇》《ドミナリアの英雄、テフェリー》で盤面を掌握しつつ、そのまま蓋する流れとなる。

 この勝ちパターンを遂行する上で重要なのは、負け筋であるダブルアクションを取られないように動くこと。

出てきたら動悸がする

 つまり、《ニクスの祭殿、ニクソス》から生み出すマナの源である信心を極力減らすことが重要である。

 故に信心を3つ稼ぐ《茨の騎兵》《老樹林のトロール》を戦場に残さない事を意識する必要がある。
 そうすれば《収穫祭の襲撃》などの大きいアクションを1回しか取ることが出来なくなり、カウンターでの1-1交換が出来るようになるわけだ。

 マストカウンターの一つである《大いなる創造者、カーン》だが、ハンドに《サメ台風》があり、かつ3/3以上のサイズを出せるマナがあれば話は別。
 大体は-2からスタートするため、そのまま通したうえで処理することも可能だからだ。

なんでキャスト誘発なんですか?

 とはいえ、《街並みの地ならし屋》はキャスト誘発のため、マナの状況等を確認するなど意識しておきたい。
 なんであいつキャスト誘発なんだろうな……ウラモグじゃあるまいし……

 噛み合いが要求されるマッチアップで、噛み合えば勝つが噛み合わなければ一瞬で負ける。
 求められる要求値としては青白コントロール側の方が高いと考えており、メインでは微不利よりと認識している。


・サイドボーディング - 微有利

out候補
《至高の評決》
《サメ台風》

 普段ならば頼もしい《至高の評決》だが、先述した通り緑信心戦では《老樹林のトロール》による信心を残したマナジャンプ、《茨の騎兵》による《収穫祭の襲撃》《大いなる創造者、カーン》等の回収からのビッグアクションに繋げられてしまう危険性がある。

 少なくとも《至高の評決》は《ドビンの拒否権》を構えられる6ターン目以降か、ほぼないとは思うがマナクリーチャーを大量に展開してきて土地から出るマナが3マナぐらいしかない時に打ちたい一枚。
 このように重要な序盤にほとんど貢献しないため、サイドアウト候補。

 《サメ台風》に関しても同様で、1-3ターン目の動きに対応する事が重要な緑信心において序盤の攻防に貢献しないことからサイドアウト候補となる。

in候補
《ドビンの拒否権》
《神秘の論争》
《霊気の疾風》
《ナーセットの逆転》

 不要牌を全てカウンターにする。《至高の評決》全抜きで盤面を作られたらどうするのか、という疑問もあるだろうが、「そもそも盤面を作られた時点で負け」である。
 しっかり対処していけば相手の大きなアクションは1ターンに1回ぐらいしかないため、カウンターによる1-1交換や《魂の仕切り》《放浪皇》などの除去で対応は十分可能。

青くないデッキが相手でも入れる時がある。それが緑信心戦。

 《神秘の論争》だが、緑信心戦においては追加のカウンターとして機能するためサイドインする。
 基本的にビッグアクションであり3マナ要求に引っかかる事も多いことから、概ねカウンターできる。

 混成マナに青が含まれている《ビヒモスを招く者、キオーラ》に対してはより強く突き刺さる。実は青いんですよそいつ。

 《ナーセットの逆転》は無理して入れなくてもいいが、サイドアウトによる空き枠があれば入れておいてもいい程度の立ち位置。
 ターゲットとなるのは《収穫祭の襲撃》のみだが、最悪でもマナ加速、上振れると《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《放浪皇》が揃い踏みする。
 フラッシュバックに対しては手札に戻らず追放される点は覚えておきたい。


 サイド後も基本的な動きは変わらないものの不要牌がカウンターに変わるため、マリガン基準やプレイ指針ともに大きく楽になる。
 緑信心側はサイドが《大いなる創造者、カーン》でほぼ固定されていることから、その面でも有利に傾くだろう。


VS ラクドスミッドレンジ - 微不利

https://www.mtggoldfish.com/deck/visual/5337878

▼マストカウンター
 《鏡割りの寓話》
▼負け筋
 《思考囲い》でキーカードを落とされ、消耗戦の末にミシュラランドや《鏡割りの寓話》などに撲殺される。

・マリガン基準


土地3
《かき消し》
《放浪皇》
《至高の評決》

×
土地2枚以下
3-4ターン目までに動きがない

 《思考囲い》の存在により不利。《思考囲い》さえ引かれなければ勝ち目は割とある、ということで微不利という印象。
 大体《思考囲い》で致命的なところを抜かれて負けることが多い

 《思考囲い》からドハマりする可能性もあり、土地も欲しいマッチアップであることからマリガンは極力したくない
 無論必要な時にマリガンはすべきだが、先述した緑信心と比べるとマリガン基準は緩め。

 ただ負けパターンとしては《税血の収穫者》《墓地の侵入者》《鏡割りの寓話》などを通され、《思考囲い》のバックアップで序盤から押し切られてしまう点。
 クリーチャーのクロックが高いため、干渉手段がないと思ったより猶予はない。

 よって基本的に《鏡割りの寓話》等に干渉できる軽量カウンター、複数枚との交換が見込める《至高の評決》《放浪皇》などがあるとよい。

 土地が2枚しかないなどの極端なハンドでなければ基本的にノーマリガンでいいだろう。


▼キープ・マリガン問題

キープしますか?マリガンしますか?

 ラクドスミッドレンジに対し、先手で上記のハンドが来たらどうするか?



 私はキープする。先手に限り、だが。

 というのも、先述した通りラクドスミッドレンジとは複数交換が見込めるカードが求められる
 1枚で2~3枚のクリーチャーを除去する《至高の評決》、説明不要の強さ《放浪皇》はその代表格である。

 ラクドスミッドレンジ側は1ターン目《思考囲い》、2ターン目《税血の収穫者》、3ターン目《鏡割りの寓話》or《墓地の侵入者》or《砕骨の巨人》という動きがベストムーブになると思われるが、これに対して《至高の評決》で対応できる

 《至高の評決》を恐れて展開してこなければ《放浪皇》で能動的に動ける点も大きい
 先にこちらが4マナに到達してこの二択を迫る事ができるため、キープするという考え方だ。

 なお後手では先に動かれる関係上、マリガンの方に思考が寄っていたものの、2023/2/2にTwitterにてキープ/マリガン問題として出題してみたところ、様々なご意見をいただき後手でも十分にキープ可能なハンドであると認識のアップデートができた。
 この場を借りて、重ねて感謝申し上げる。ありがとうございます。


・立ち回り方

 基本的に消耗戦になりがちなので、《記憶の氾濫》《放浪皇》《至高の評決》《ドミナリアの英雄、テフェリー》といった複数交換可能、あるいはアドバンテージを獲得するカードが特に重要。

許せねえ……許せねえよ……

 《ドビンの拒否権》は基本的に《鏡割りの寓話》に当てる。もしカウンターしそびれた場合、《至高の評決》で裏面ごと他のクリーチャーと巻き込む事を意識するといいだろう。

 とはいえ、《思考囲い》で抜かれる可能性もあるため、厳しい盤面であれば裏返っていなくとも一旦《至高の評決》でリセットしてもよい。魔法の言葉ケースバイケース

 ただ、《至高の評決》の後に《バグベアの居住地》で殴られると血管がブチギレそうになるので、こういったミシュラランドに対応できる《冥途灯りの行進》などは温存できるならばしておきたいところ。

 メインだと《致命的な一押し》《砕骨の巨人》があるため、《サメ台風》のサメトークンへの信頼度は低い。どんどんサイクリングしていこう。


・サイドボーディング - 微不利

out候補
《ポータブル・ホール》
《魂の仕切り》

 相手は《強迫》《真っ白》などを入れてくるため、消耗戦の末にトップ勝負になりがちなので追放したところで再び出されてしまう《魂の仕切り》はサイドアウト候補になる。
 《ポータブル・ホール》については当たる範囲の狭さ、またグルール機体を意識した《コラガンの命令》などを強く使われてしまう点からも抜きたい一枚。

in候補
《黎明をもたらす者ライラ》
《シュタルンハイムの解放》
《太陽の勇者、エルズペス》

 「一枚で勝てる」カードを入れる。
 《黎明をもたらす者ライラ》は《戦慄堀り》でやられてしまうものの、インスタントで除去できるカードはかなり少なく、《ドミナリアの英雄、テフェリー》などが生き延びやすくなると考えればよい。

 後述する《シュタルンハイムの解放》から出せるとまさしく宇宙。《ヴェールのリリアナ》にはご用心。

対ラクドス最終兵器

 《シュタルンハイムの解放》は文字通り一枚で勝てるカードのひとつ。X=3で打てれば勝利は目前と言ってもいいぐらいで、問題のハンデスにも予顕で耐性を持つのが非常に大きい。
 《致命的な一押し》はほぼサイドアウトされるため、こういった面でも効果的な一枚となっている。

 《太陽の勇者、エルズペス》は対ラクドスミッドレンジ専用に近いサイドだが、それに見合うだけの強さがある。
 ラクドスミッドレンジには飛行持ちは採用されておらず、+1能力から繰り出される1/1兵士三体を乗り越える事は不可能に近い。
 返しで《戦慄堀り》等による除去ができなければ、そのまま兵士トークンで戦場を埋め尽くすことだろう。

俺の思考を見るな! やめろォ!!!!!

 察しのいい読者方ならお分かりだろうが、サイド後の戦い方としては「トップから強いカードを叩きつける」。これに尽きる。
 《強迫》《真っ白》《思考囲い》のハンデス8枚体制でこちらのハンドをズタズタにし、お互いに手札が空になったところで対処出来なくなった《墓地の侵入者》や《バグベアの居住地》《目玉の暴君の住処》といったミシュラランドで殴り切るのがラクドスミッドレンジ側の勝ち筋。

 それに対して青白コントロール側は《放浪皇》《ドミナリアの英雄、テフェリー》《シュタルンハイムの解放》などを引く事を祈りながら凌ぐ構図となっている。

 特に《シュタルンハイムの解放》のXを大きく唱えたいため、土地は重要となる。
 そういう意味ではシンプルに2枚ハンデスをしてくる《真っ白》もキツく、カウンターの切りどころの一つでもある。

 上記の理由からマリガンは極力したくない。どうせ《思考囲い》か《強迫》をされるのだから、土地2枚などのよほど酷いハンドでなければキープでいいだろう。

 効率よく相手の攻めを凌ぎつつ、右手力を鍛えろ。以上。

VS 青白コントロール - 腕次第

https://www.mtggoldfish.com/deck/visual/5345234
Yellowhatことナシフ氏のレシピ

▼マストカウンター
 《放浪皇》《ドミナリアの英雄、テフェリー》
▼負け筋
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》が通ってしまい、アドバンテージ差をつけられる。
 《放浪皇》が通り、そのままクロックパーミッションを遂行される。
 《サメ台風》のサメトークンに撲殺される。

・マリガン基準


土地3-4
《ドビンの拒否権》
《記憶の氾濫》
《放浪皇》
《サメ台風》

 《ドビンの拒否権》が最強のカウンターとして機能するマッチアップであるため、これに関してはいくらあっても困らない。
 《記憶の氾濫》はお手軽に動ける能動的なアクションである点がポイント。カウンターをされる心配もあまりないものの、腐りがちな《検閲》などの当て先になりやすいので余裕があれば1マナを余らせて打つとよい。

ほぼ打ち消されず隙も見せない

 《サメ台風》は言わずもがな、ほぼカウンター不可の瞬速キャントリップつきのフライヤー。可能であればX=2以上でサイクリングし、圧をかけていきたいところ。
 《放浪皇》は相手の隙を突ける瞬速持ちであり、通れば相手に対処を強要させることができる。
 ただし《サメ台風》で返してくるケースもあるので、可能であれば《冥途灯りの行進》《魂の仕切り》など対処できる一枚を用意しておくとより盤石だろう。

×
土地2以下
《至高の評決》
《ドミナリアの英雄、テフェリー》(但し先手で《放浪皇》と一緒なら別)

 一方でマリガンする判断として真っ先に挙げられるのは土地2枚以下。青白コントロールミラーにおいて、土地が止まること、それはすなわち死である

 大振りなソーサリーである《至高の評決》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》は唱える機会がほとんどなく、手札に留まり続けるためこれが複数枚あるのであればマリガンでいいだろう。
 ただし、《ドミナリアの英雄、テフェリー》に関しては後述するが、先手かつ《放浪皇》もある場合に限り評価が上がる。

 《冥途灯りの行進》《魂の仕切り》に関しては相手の《サメ台風》を対処できる点が大きく、1枚あると安心できる。
 しかしながら、これらが2~3枚重なり、かつ《ドビンの拒否権》《記憶の氾濫》《サメ台風》などがないならマリガンを検討したい。


・立ち回り方

 青白コントロールミラーは土地が最も重要と言っても過言ではない。土地が止まること、それはすなわち死である。(大事なことなので二回言いました)
 故に序盤では《灌漑農地》のサイクリングは出来る限りせず、セットする。
 序盤ではほぼ動かないので、タップイン処理は2-3ターン目でもガンガンしておく。後手では《覆いを割く者、ナーセット》をケアし、2ターン目では立たせておくとよい。

ズッ友

 メインの先手であれば4ターン目のエンド時に《放浪皇》、カウンターされてから次の5ターン目で《ドミナリアの英雄、テフェリー》の動きを意識するとよいだろう。
 この動きには4ターン目に土地がアンタップインかつ2マナカウンターが2枚ない限り対処が出来ないからだ。この4ターン目に限っては先手に大きな優位があるため、意識しておきたい点。

 もし《放浪皇》に《吸収》を打ってくれれば1マナしかないため、メイン《神秘の論争》とかいうドオタクが相手でない限りは《ドミナリアの英雄、テフェリー》が確実に通る。

重要そうで実は重要でない

 青白コントロールミラーのゴールは《ドビンの拒否権》で打ち消される《ドミナリアの英雄、テフェリー》ではない
《ストーム・ジャイアントの聖堂》および《サメ台風》のサメトークンや《放浪皇》の侍トークンでの殴り切りを意識する。
 このビートダウンプランを遂行するにあたり、不用意に唱えて《吸収》をされるとキルターンが伸びてしまうため、ここは慎重に。

 逆に《サメ台風》のサイクリングをされた際、状況次第ではあるがこちらのターンでも対応して《冥途灯りの行進》か《魂の仕切り》で処理することが多い。(《ポータブル・ホール》があるならそちらを優先する)

 カウンターされる事はあまりないだろうが、どのみち除去するものに対して今除去するか、後で除去するかの違いであり、「カウンターできる」という選択肢は与えない方がよい


 もちろん《ドミナリアの英雄、テフェリー》が一度通ってしまえば勝ちに近づくものの、ほぼ打ち消されながら《放浪皇》が飛んでくるので先に動くべきではない。
 その《放浪皇》を打ち消すと大体の場合は土地がほぼ寝てしまうため、相手の《ドミナリアの英雄、テフェリー》が通るという最悪のパターンになる。

 よって青白コントロールミラーでは先に動かない事を意識する必要がある。であれば、相手に「動かざるを得ない状況」に持ち込む事が重要である事は自明の理とも言えるだろう。

青白ミラーの勝敗を決める一枚

 その点相手のターンでの能動的なアクションである《サメ台風》や《放浪皇》、土地の《アーデンベイル城》等はうってつけの一枚。

 逆に《アーデンベイル城》《ヴァントレス城》《ストーム・ジャイアントの聖堂》を置かれてしまうと厳しい。これらはゲームを決めうる土地であるため、可能な限り《廃墟の地》で壊しておきたい。

 基本的にこちらのターンではアクションは起こさないが、ある条件においてこちらのターンで動くケースも存在する。
 例えばこちらが先手の6ターン目、お互いに土地を毎ターンセットしており、ハンドには《ドビンの拒否権》《放浪皇》があると仮定しよう。

★こちらのターンエンドステップ
 相手:《記憶の氾濫》キャスト(立っている土地は1枚のみ)
    打ち消さずに解決。2枚選び、手札に加える。

 自分:優先権をもらい、《放浪皇》キャスト(立っている土地は2枚)
    相手はカウンターできず、そのまま通る。-1能力起動。
    《ドビンの拒否権》を構えたまま相手のターンに。 

 このように《放浪皇》が通りつつ、《ドビンの拒否権》で相手の《ドミナリアの英雄、テフェリー》《放浪皇》などをシャットアウトできる、という流れになる。
 逆にこういった《放浪皇》を通す隙を作らないように立ち回る必要もある、ということも意識せねばならないポイントの一つ。


・サイドボーディング - 腕次第

out候補
《至高の評決》
《ポータブル・ホール》

 主に除去を抜く。
 しかしインスタント除去の《冥途灯りの行進》は《サメ台風》のサメトークンや《ストーム・ジャイアントの聖堂》に対する明確な回答であるため残す。
 《魂の仕切り》は《ストーム・ジャイアントの聖堂》を対象に取れない一方で、一回場に出てしまった《船砕きの怪物》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》などを一時的に対処する役割を担う事ができる。

 とはいえ複数引きたいものではないので、サイドインするカードが多ければ枚数を減らす調整先として。

in候補
《神秘の論争》
《ドビンの拒否権》
《才能の試験》
《ナーセットの逆転》
《サメ台風》
《記憶の氾濫》
《覆いを割く者、ナーセット》
《船砕きの怪物》

 カウンターの増量はもちろん、青白コントロールに有効な《サメ台風》《覆いを割く者、ナーセット》《船砕きの怪物》などを入れる。

 《覆いを割く者、ナーセット》は定着すれば《ドミナリアの英雄、テフェリー》の+1能力がただ土地を2枚起こすだけのものになり脅威度が大きく減る。
 ただし、《サメ台風》の存在により対処される可能性も結構高く信頼性はやや低め。《冥途灯りの行進》といったバックアップがあるといいだろう。

これ1枚で青白コントロールは死ぬ

 《船砕きの怪物》は「瞬速 この呪文は打ち消されない」の能力を持ち、文字通りのコントロールキラー。定着すれば瞬く間にゲームを終わらせるだろう。
 《ストーム・ジャイアントの聖堂》では止められない7/8のスタッツ、《冥途灯りの行進》はX=7の8マナで打たなければならず、《魂の仕切り》も9マナになるだけでその場しのぎ。
 最速で着地したところに《運命的不在》のみが唯一のスマートな回答と言える。それも1~2枚程度しか取られておらず、先に定着できた時点で大きな優位に立てる事は間違いない。

 サイド後の展開としてはサメトークンや《放浪皇》をめぐる戦いになりがち。
 土地7枚以降はいかに《船砕きの怪物》を先に出せるかどうかの勝負であり、それまでに《記憶の氾濫》なりで対処札および《船砕きの怪物》本体を探し出したい。
 初期ハンドに土地3~4と《船砕きの怪物》があればキープでもいいぐらい。これに《ドビンの拒否権》《サメ台風》などがあればほぼ百点。


▼《夢さらい》について

打ち消されるソーサリータイミングで6マナとか正気か?

 青白コントロールミラーでのサイドで《夢さらい》を入れる方もいるが、私は否定派である。

先述した通り動かないことを意識する必要があるのに、5マナである《ドミナリアの英雄、テフェリー》より重い6マナの《夢さらい》を入れるという事は矛盾しているのだ。
 確かに《ドビンの拒否権》に刺さらないクリーチャー呪文ではあるのだが、それでも《吸収》に加えて《神秘の論争》に強く突き刺さる6マナという重さは有効なサイドボーディングとは言えない。

自分論争いいすか?

 一回通ってしまえば優位に立てる事は間違いないのだが、それは《ドミナリアの英雄、テフェリー》にも同じ事が言えるし、その通すという行為に対して大きなリスクを孕んでいるのもまた事実。

 この《夢さらい》が打ち消されてしまうとその返しで満を持して《放浪皇》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えられてしまうことだろう。
 6ターン目で即出すわけにもいかず、カウンターでのバックアップなどが必要であることから「それまでに抱えている《夢さらい》の分だけ損していないか?」という問題も生じる。

 上記の理由から、私は《夢さらい》を青白コントロールミラーでは入れない。


▼《至高の評決》について

その評決、本当に必要ですか?

 上記の《夢さらい》と同様に、《至高の評決》を1枚ほど入れたままにする方もいる。これも同様に私は否定派である。

 《サメ台風》のサメトークンであったり、《放浪皇》の侍トークンであったり、あるいは上記の《夢さらい》であったり……これらを「打ち消されない」効果で処理できるということで入れたままにする、というのが《至高の評決》を残す主な理由であると考えられる。

 これも同様にソーサリータイミングの4マナという「自分から動かざるを得ない」というリスクのある動きであるし、サメトークンの対処は《冥途灯りの行進》や《魂の仕切り》で十分である。
 《放浪皇》の侍トークンに関しては《至高の評決》で流したところで《放浪皇》自体は残ってしまうため、その場しのぎでしかない。
 もし《夢さらい》を出されたら……という仮定に関してはそもそも《夢さらい》を入れてこない事を考慮すべきであるし、そもそも打ち消せるものだろう。

 もしそうなったら手札で腐ってしまう一枚になり得てしまうのだ。


 有効な場面があるという事に対して否定はしないが、この《至高の評決》が他の一枚、例えば主に入れ替えるであろう追加のカウンターであればどうだっただろうか。
 マストカウンターである《放浪皇》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》を巡るカウンター合戦に勝てていたのかもしれない。

 《至高の評決》の代わりに抜いた《魂の仕切り》であればどうだっただろうか。
 《サメ台風》のサメ・トークンを除去できていたかもしれないし、相手の《放浪皇》《ドミナリアの英雄、テフェリー》《船砕きの怪物》に対応できていたかもしれない。
 これらのシチュエーションは《至高の評決》が有効な場面よりも頻出するだろう。

 このように、上記の夢さらいと同じく、引いてしまうことで損しやすい一枚であると考えている。

 限られた状況を想定した結果、デッキとしての強さを弱めてしまっては本末転倒というものだ。


VS グルール機体 - 有利

https://www.mtggoldfish.com/deck/visual/5345272
MOでは《鏡割りの寓話》が採用されていないが、日本では《鏡割りの寓話》採用型が主流。
個人的には《鏡割りの寓話》があった方が嫌。

 基本的にGoldfishでMOのリストから引っ張ってきているため、上記のリストでは《鏡割りの寓話》は採用されていないが《鏡割りの寓話》が採用されていることを前提として記していく。

▼マストカウンター
 《鏡割りの寓話》《無謀な嵐探し》《エシカの戦車》

▼負け筋
 先手《ラノワールのエルフ》から《無謀な嵐探し》から《砕骨の巨人》などに速攻を付与される。
 《恋煩いの野獣》に4回殴られる。
 《至高の評決》で流した後に《エシカの戦車》が通り、盤面を作られつつミシュラランドと共に撲殺される。

・マリガン基準


《ポータブル・ホール》
《かき消し》
《魂の仕切り》
《吸収》
《放浪皇》
《至高の評決》

グルール機体を支える二枚

 グルール機体は《ラノワールのエルフ》や《エルフの神秘家》から《無謀な嵐探し》《恋煩いの野獣》といった3マナに2ターン目で繋げるロケットスタートが特徴。
 それを後手で咎められる《ポータブル・ホール》があるとよい。先手であれば《検閲》《魂の仕切り》でもいい。

 《放浪皇》と《至高の評決》はこのデッキに対するアンサー。1枚はあると安心だろう。

×
《サメ台風》

 一方でテンポが非常に早く、3ターン目以降で強い《サメ台風》は初手では欲しくない一枚となっている。

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》に関してはゴールの一つであるため、1枚かつ他に除去などの求められているものがあればであればキープに値する。

寓話? エシカ? 出来事? ン拒否スルゥ

 主にクリーチャーでビートダウンしていくデッキのため《ドビンの拒否権》の仕事はあまりないと思われがちだが、《鏡割りの寓話》や《エシカの戦車》を筆頭に《恋煩いの野獣/切なる思い》《砕骨の巨人/踏みつけ》の出来事など当て先は結構ある。


・立ち回り方

 元々ラクドスミッドレンジを強く意識して構成されたアーキタイプであり、《アクロス戦争》《抹消する稲妻》《領事の旗艦、スカイソブリン》などの青白コントロール相手だと腐りがちなカードも多い。

 クリーチャーによるビートダウンを主体とする関係上《至高の評決》を苦手としており、こちらの各種除去が刺さるため一般的には青白コントロール有利とされているマッチアップ。

 その一方で、基本的に1ターン目《ラノワールのエルフ》か《エルフの神秘家》から始まり、2ターン目に《砕骨の巨人》《鏡割りの寓話》《恋煩いの野獣》《無謀な嵐探し》でテンポよく展開してくる流れは後手だと非常に止めづらい。
 《変わり谷》《ハイドラの巣》《バグベアの居住地》といったコントロールに効果的なミシュラランドも豊富であり、決して油断できない相手。

 これらに対して《魂の仕切り》《検閲》などで対処しつつ、マストカウンターである《鏡割りの寓話》《エシカの戦車》を通さないという立ち回りが求められる。

もふもふでかわいいのに人が死ぬ一枚。ネコと和解せよ。

 コツとしてはライフをリソースとして受けながらとにかく我慢
 《至高の評決》をケアして小出ししてくるようであれば《魂の仕切り》《放浪皇》などで対処し、展開してくれれば《至高の評決》と最高のタイミングで唱えて返すことを意識する。

 《恋煩いの野獣》に4回殴られたら死ぬということは3回までならセーフであるということだ。
 「ダームは一匹は通せ」という格言もあるように、ギリギリを見極めるべし。(とはいえミシュラランドや《砕骨の巨人/踏みつけ》などもあるので、これらも踏まえて考えていく必要があるが)

・サイドボーディング - 有利

out候補
《サメ台風》
《ドビンの拒否権》
《検閲》(後手のみ)

 先述した通り、序盤の攻防が重要なマッチアップであるため《サメ台風》はサイドアウト候補として真っ先に上がるものとなっている。

 《ドビンの拒否権》については《鏡割りの寓話》《エシカの戦車》に対して刺さるものの、やはりクリーチャーが主体となるので全抜きはせずとも1枚程度を減らす先として選ばれる事が多い。

後手での《検閲》も同様にサイドアウト候補の一つである。
 というのも、1ターン目に《ラノワールのエルフ》から2ターン目に3マナ域を唱えるのが定番であり、後手だと《ポータブル・ホール》しか止める手段が存在しない。
 そこから《検閲》をようやく構えられる相手の3ターン目には《検閲》をケアし、1マナ浮きで《砕骨の巨人》といった3マナ域を再度唱えるといった流れになりがち。

 このようにマナクリーチャーによって《検閲》が有効でない事から、サイドインするカードが多ければ《検閲》も減らす候補となりうる。

 なお、先手であれば先に構えられる関係上、《検閲》を強く使えるためその限りではない。


in候補
《霊気の疾風》
《黎明をもたらす者ライラ》
《シュタルンハイムの解放》

 《霊気の疾風》は《変わり谷》と《恋煩いの野獣/切なる思い》で出てくる1/1人間トークン以外すべてに有効な一枚

 《アクロス戦争》を抜いてくるため、そこに《黎明をもたらす者ライラ》が刺さる構図にもなる。一般的にグルール機体に採用されているクリーチャーでこの天使を超えるクリーチャーは存在しない。

 《シュタルンハイムの解放》に関しては先手であればいいものの、後手だと受け続ける構図になるため入れづらい面がある。私は先手と後手で使い分けている。


 サイド後でも有利。メインの構成によってはほとんど変わらないというケースもあるだろう。
 《霊気の疾風》がかなり強く使えるマッチアップのため、《ドミナリアの英雄、テフェリー》から+1能力で2マナを立てて返しやすいのもポイント。

 とはいえ、《目覚めた猛火、チャンドラ》や《群れの希望、アーリン》など対処しづらいプレインズウォーカーをサイドインしてくるので油断は禁物。


VS 白単人間 - 不利

https://www.mtggoldfish.com/deck/5365811#paper

▼マストカウンター
 《スレイベンの守護者、サリア》《輝かしい聖戦士、エーデリン》
▼負け筋
 《スレイベンの守護者、サリア》が通り、手札のカウンターが腐ったところで《輝かしい聖戦士、エーデリン》も通される。

・マリガン基準


土地3
《ポータブル・ホール》
《かき消し》
《魂の仕切り》
《冥途灯りの行進》(先手限定)
《吸収》(先手かつ《スレイベンの守護者、サリアに対応できる札がある時のみ)

×
《サメ台風》
《記憶の氾濫》
《ドミナリアの英雄、テフェリー》
2ターン目のアクションがない

 とにかく序盤に干渉する札と《至高の評決》《放浪皇》が求められる。ドローソースなど不要。

 後手だとどうあがいても《スレイベンの守護者、サリア》にカウンターによる対応ができず、かつ腐る可能性も非常に高いためカウンターの価値が著しく落ちる。

 出た後の対応を考えて《ポータブル・ホール》《魂の仕切り》などの除去が最優先となる。
 それでも《スレイベンの守護者、サリア》から《輝かしい聖戦士、エーデリン》と繋げられるとどうしょうもないのだが……

2T《スレイベンの守護者、サリア》に対して先手なら対処できる最高の一枚になる。
後手だと最悪のゴミになる。

 その一方で先手であれば《検閲》《かき消し》といったカウンターで《スレイベンの守護者、サリア》や《輝かしい聖戦士、エーデリン》に対応できるため、カウンターの価値は逆に上がる

 よって、《冥途灯りの行進》《かき消し》《吸収》《放浪皇》というハンドは先手であればほぼ100点のものであり、後手では《スレイベンの守護者、サリア》による強烈な裏目が生じる危険な手でもある。
 ここの先手・後手での感覚の違いを理解できれば一人前だろう。私は死んで覚えた。

 《吸収》しか対処手段がないハンドは先手でもまず間に合わないと考えていい。2ターン目までに確実に干渉できる手段がなければマリガン。でなければ死ぬぞ。


・立ち回り方

 とにかく除去する。除去の優先度としては《スレイベンの守護者、サリア》、《輝かしい聖戦士、エーデリン》が第一候補
 同時に並んできた時は異常なクロック速度を産み出す《輝かしい聖戦士、エーデリン》の方が優先される。
 しかし次のターンに《至高の評決》が唱えられるのであれば《スレイベンの守護者、サリア》を対処するケースも存在する。ケースバイケース。

神様仏様

 《至高の評決》《放浪皇》の強さが身に染みるマッチアップだろう。人間の猛攻を乗り越えた後にぱあっと視界が大きく開くような感覚は病みつきになる。

 言うなれば顔面を水面に沈まれ、ごぼごぼと息が出来ない苦しい状況から顔を上げて新鮮な空気を思いきり吸う感じだろうか。
 それほどまでに息苦しいのである。《スレイベンの守護者、サリア》死すべし

 ただ、《放浪皇》含めた単体除去は《精霊への挑戦》で躱される可能性があり、可能であれば極力ケアしたい。
 《皇国の地、永岩城》は無色であり《精霊への挑戦》が効かない事は覚えておくこと。

《至高の評決》の後に大体走ってくるやつら

 《変わり谷》《ミシュラの鋳造所》や裏返った《粗暴な聖戦士》は白のクリーチャーではないため、プロテクションの対象外となる点についても同様に覚えておきたい。
 特に《変わり谷》《ミシュラの鋳造所》は《至高の評決》の後にクロックを刻んでくる厄介な存在。可能であれば優先して除去すべし。


・サイドボーディング - 不利

out候補
《ドミナリアの英雄、テフェリー》
《ドビンの拒否権》
《記憶の氾濫》
《サメ台風》

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えている暇はない。よって全て抜く。

 -3能力が一応除去ではあるのだが、5マナ(《スレイベンの守護者、サリア》がいると6マナ!)でやることではない。
 《ドビンの拒否権》は言わずもがな。ほとんどがクリーチャーであるため全抜きしたい。(《精霊への挑戦》《婚礼の発表》など当て先はあるといえばあるのだが……)

 《記憶の氾濫》は序盤では何もせず、盤面にも干渉できないため減らす候補の一つ。
 とはいえ《至高の評決》などの回答を探し出すための一枚ではあるし、これよりも先に抜けるカードがあるため全抜きはほぼしない。
 《サメ台風》はサメトークンが出るとはいえ、ほぼチャンプブロック要員になりがちであり有効とは言い難いため、サイドの有効枚数に応じて減らす形になるだろう。

 サイドインする枚数に対してサイドアウトする枚数が足りていないという事はまずないとは思うが、その場合は後手であればケアされやすい《検閲》を減らす事も考慮できる。

in候補
《敬虔な新米、デニック》
《高名な弁護士、トミク》
《一時的封鎖》
《黎明をもたらす者ライラ》
《シュタルンハイムの解放》

2/3のスタッツでしっかり盤面を支えてくれるグッドカード

 《敬虔な新米、デニック》と《高名な弁護士、トミク》は2/3のスタッツで《スレイベンの守護者、サリア》などに攻撃させない壁として立ち塞がってくれる。

 《一時的封鎖》は2マナ以下が多い白単人間へ非常に強く突き刺さる一枚。青白コントロールで白単人間を意識するのであればこれを増量するのがベストだろう。
 とはいえ、《スカイクレイブの亡霊》《聖戦士の奇襲兵》などで対応されるため過信は禁物。

 《黎明をもたらす者ライラ》《シュタルンハイムの解放》は逆にこちらが攻める側に転じる事ができる。特に後者ではX=2で唱えられば3ターンクロックであり、警戒飛行も相まって攻防一体の一枚となっている。
 これを見越して《粗暴な聖戦士》を残してくるため注意。また《精霊への挑戦》でのすり抜けも留意したい。

 《太陽の勇者、エルズペス》に関しては抜けるカードに対して入る枠があれば……程度。
 6マナなのであまり入れたくないし、+1能力で兵士たちをばらまいても《精霊への挑戦》ですり抜けられる事を考えるとそこまで有効ではない。


 サイド後は《ドミナリアの英雄、テフェリー》を全て抜くため、除去が多く打ち消しもあるミッドレンジとして立ち振る舞う
 除去や打消しで序盤を凌いだ後、《放浪皇》《シュタルンハイムの解放》《黎明をもたらす者ライラ》など相手よりスケールの大きいカード群で勝利を目指す。

 対する白単人間側は《婚礼の発表》で粘り強く戦い、《傑士の神、レーデイン》でこちらの《至高の評決》《放浪皇》を唱えられないようにしてくる。悪魔。

 特に後者は《至高の評決》でなんとかしようとした所に刺してくるため、ドハマりしてしまわないように《魂の仕切り》や《吸収》などの切り所には気を付けたい。


VS ロータスコンボ - 微不利~五分

https://www.mtggoldfish.com/deck/5337538#online
チームメンバーでありロータスの名手ことkytk321のリスト

▼マストカウンター
 《熟読》《出現の根本原理》
▼負け筋
 《砂時計の侍臣》などによって大きくマナジャンプされ、複数のアクションでこちらのカウンターを乗り越えて《出現の根本原理》を通される。

・マリガン基準


《放浪皇》
《ドビンの拒否権》

×
《ポータブル・ホール》
《至高の評決》

 速やかにゲームをたたむことが出来る《放浪皇》と確定カウンターである《ドビンの拒否権》。
 これに尽きる。クロックの一枚である《サメ台風》でも可。

 逆に除去が多く、《放浪皇》やカウンターがないハンドであればマリガン。
 いかにコンボを阻害し、試合を速やかに終わらせられるかを考える。


・立ち回り方

このマッチアップでの女神枠。初手に欲しい。

 《サメ台風》《放浪皇》などのクロックを早めに用意し、カウンターで弾きながら削りきる事を最優先する。青白コントロールがビートダウン側に立つ数少ないマッチアップ。

 青白コントロールが有利とよく聞くマッチアップだが……個人的には五分程度ではないかと考えている。むしろ微不利まである

 例えば5〜7ターン目あたり、つまりロータスコンボ側は《睡蓮の原野》《演劇の舞台》が揃っている状況としよう。
 ここでロータスコンボが仕掛けてくるターンにおいて、こちらのカウンターは多くても2回程度しか打てないのだ。

 5ターン目の後手だと4マナであるため《ドビンの拒否権》2枚かつ《廃墟の地》がないという最高の条件でなければ1回ぐらいしか打ち消せないだろう。
 これを想定した上で仕掛けられてくると厳しい、というのが私の認識だ。緑信心と同じく、豊富なマナからの複数アクションを取られるとかなりキツい。


6マナ出るところからさらに4マナブーストするすごいやつ

 例えカウンターを持っていたとしても《感電の反復》や《見えざる糸》などで無理矢理乗り越えてくる時もあるのだからたまらない。

 一方で4ターン目で《放浪皇》を着地させることが出来れば、2-5-5-8でちょうど4ターンで削りきれる計算になる。これによってロータスコンボに対して強烈な時間制限を課する事ができる。

 逆に言えば《放浪皇》を早めに出せなければロータスコンボ側はどんどん《睡蓮の原野》を《演劇の舞台》でコピーし、コントロールの天敵である「複数アクション」によってカウンターを乗り越えられやすくなる危険性が高まる。

 とはいえ、より長引けば長引くほど青白コントロール側も《記憶の氾濫》などで《ドビンの拒否権》《吸収》の確定カウンターを集められる事ができるため、ここでまた相性差が逆転する。

 具体的にまとめてしまうと、下記のような形になると考えられる。

 5-7ターン目:ロータスコンボ有利
 8ターン目以降:青白コントロール有利

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》については隙が大きいのであまり唱えたくないものの、こちらが先手の5ターン目などはロータスコンボ側もコンボをスタートできない可能性が高い。
 その時は《ドビンの拒否権》を構えながら《ドミナリアの英雄、テフェリー》をキャストして祈る。祈れ。ただそれだけしかできないのだから。


 ちなみにカウンターの当て先についてだが、これは状況による。
 元々ロータスコンボはマリガンがしやすいデッキであり、積極的にマリガンしてくるのが常。
 ダブルマリガン後の《森の占術》はそもそも《睡蓮の原野》もしくは《演劇の舞台》が手札にない可能性も高いため、カウンターの優先度が上がる

 その一方でノーマリガンでの《森の占術》では両方揃っている可能性が高いと思われるため、通してその後の《熟慮》などに当てる……といった具合。
 これに関しては相手の手札を見ない限り答えはなく、人によって分かれる点だろう。

 ちなみに《検閲》や《かき消し》が刺さるのであればどんなスペルにでも遠慮なく打つ。どうせ《睡蓮の原野》で消費期限は短く、有効に使えるのであれば使うに越した事はない。


・サイドボーディング - 五分(可変)

out候補
《ポータブル・ホール》
《冥途灯りの行進》
《至高の評決》
《ドミナリアの英雄、テフェリー》

 あまり有効でない除去である《ポータブル・ホール》や《冥途灯りの行進》がサイドアウト候補になる。
 《魂の仕切り》については《遵法長、バラル》《砂時計の侍臣》《希望守り》などと対応できる幅が広いため、残す方が多い。
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》も《神秘の論争》からコンボをスタートされたら目も当てられないため、全抜きこそはしないが数を減らす。

要約:お前を殺す

 《至高の評決》に関しては《終止符のスフィンクス》を採用しているかどうかで話が変わってくる。採用されていた場合、唯一対応できる手段になるため残す選択肢も存在する。
 一応《サメ台風》X=5で相打ちにはなるものの、そこまで行くと相手もケアしてきて殴らない可能性が高い。何より打ち取ろうとしてタップアウトした結果、致命的な動きを通されて負けては本末転倒というもの。

 特に《遵法長、バラル》《砂時計の侍臣》《希望守り》をポン置きからこの《終止符のスフィンクス》を早期に出してくるプランもあり、それに対する返しとして有効でもある。

in候補
《ドビンの拒否権》
《神秘の論争》
《霊気の疾風》
《減衰球》
《ナーセットの逆転》
《才能の試験》
《高名な弁護士、トミク》
《船砕きの怪物》
《安らかなる眠り》

ロータスコンボ使いが見たらショック死する光景らしい。魔除けかな?

 《睡蓮の原野》から無色マナしか出なくなる上に唱える度にコストが重くなる《減衰球》!
 《演劇の舞台》の指定、《見えざる糸》のアンタップが出来なくなる《高名な弁護士、トミク》!
 二回目以降のキャストを封じる《エメリアのアルコン》!
 《見えざる糸》《熟読》《出現の根本原理》を根絶やしにする《才能の試験》!

 これらを4枚入れたら1000%勝ちます
 ロータスしかいない環境なら4枚ずつ入れましょう。

 冗談はさておいて、それぞれ1〜2枚採用できると出せた時には大きく減速させることができるため、カウンターなどを集める時間を稼ぐことができるだろう。

オタクカードの一つ

 また、MOなどで採用枚数が増えている《ナーセットの逆転》もロータスコンボに対して強烈に刺さる一枚である。

 《出源の根本原理》を跳ね返すことで、《船砕きの怪物》《サメ台風》《放浪皇》という逆に詰ませられる択を迫ることができる。
《船砕きの怪物》《エメリアのアルコン》《安らかなる眠り》なんていうパイルも見かけた。
 普段理不尽な選択肢を押し付けられている側の気分をたんと味わってほしい。

 また、《思考のひずみ》も跳ね返すとほぼオールハンデスになり、勝ちに大きく近づくだろう。(ロータスコンボは《出現の根本原理》をトップするだけで勝ててしまうため、勝ち確定とは言えないのが辛いところ)

 《安らかな眠り》を入れる理由は《バーラ・ゲドの復活》《溺神の信奉者、リーア》対策。1枚だけ入っている《時を越えた探索》にも効果的である。
 《霊気の疾風》は《森の占術》《出現の根本原理》などに。


 ロータスコンボに対するクリティカルなカードは多いものの、それらはいずれもほぼロータスコンボ専用のサイドになりがち。
 どれぐらい意識を割いているかでサイド後の相性は大きく変化する。極端な話、ダイレクトに刺さるカードを3枚ほど採用していれば有利まで改善されるだろう。
 その一方でロータスコンボに対して一切意識を割いていなければ確実に不利であるとも言える。

 ……MOではともかく、関東周辺での紙だとみどり氏とチームメンバーのkytk321の二人ぐらいしかロータスコンボの使い手がいないのが頭痛の種だし、この二人のためにサイドを割きたくないというのが本音。

 まあこう言ってはいるのだが、サイドにはロータスコンボの対策札を入れるべきと考えている。
 二人とも屈指の強豪であるため、上位卓もしくはSEで当たる確率が非常に高い。であればお二人方に敬意を表し、意識しない選択肢はない


VS イゼットフェニックス - 微有利

https://www.mtggoldfish.com/deck/5345210#online

▼マストカウンター
 《パズルの欠片》《宝船の巡航》
▼負け筋
 《パズルの欠片》が通り、墓地を肥やされた所に《宝船の巡航》で3ドローされつつ《弧光のフェニックス》が飛んでくる。

・マリガン基準


《ドビンの拒否権》
《魂の仕切り》

×
《至高の評決》
カウンターがない

 イゼットフェニックスの核である《パズルの欠片》は是が非でも打ち消したい。よってカウンターがないハンドだと厳しいと言わざるを得ない。
 通してしまうとアドバンテージを稼がれ、墓地も肥やされ《感電の反復》から《宝船の巡航》という理不尽な6ドローをかましながら《弧光のフェニックス》が飛んでくるのである。

 《帳簿裂き》にも対処したいため、バランスよく単体除去とカウンターが揃っているハンドが望ましい。


・立ち回り方

墓地肥やしとアドバンテージ獲得を全部やる欲張りさん

 まずは《パズルの欠片》を通さない事を意識するところから始まる。
 《感電の反復》から《パズルの欠片》あるいは《宝船の巡航》でこちらのカウンターを乗り越えつつ、アドバンテージを獲得するのがイゼットフェニックス側の勝ち筋。

 よってこちらは《パズルの欠片》を確実にカウンターしつつ、要所で《放浪皇》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》を通し、そこから蓋していくのが主な勝ち方となる。
 一般的なリストでは《呪文貫き》が2枚ほど入っており、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱える際にはこれを意識しておく必要がある。

 《弧光のフェニックス》には《放浪皇》の-2能力が効くのはもちろん、《魂の仕切り》も「追放領域に放り込まれ、再度戦場に出すためには6マナを支払わねばならない」という呪いの装備と化させる事が出来る。

 青白コントロール相手に6マナソーサリーの動きでただの3/2飛行速攻は致命的と言ってよく、ほぼ追放除去に近い働きをするだろう。

な~にが金玉漂流在外じゃい!

 探査込みと言えども1マナで3ドローという違法な動きをする《宝船の巡航》は必ず打ち消す。
 《感電の反復》でコピーされて1枚しか打ち消せない場合でも打ち消した方がいい場合も多い。
 打ち消せないと6ドローで全てが終わるが、打ち消せれば3ドローと致命傷で済む

火力でしか対処できないデッキには恐ろしく強い

 《ストーム・ジャイアントの聖堂》が非常に強いマッチアップでもある。
 これを対処するためには《稲妻の斧》と《焦熱の衝動》を切らねばならないわけだが、護法の存在により合計8マナ、手札3枚(《稲妻の斧》コスト)が必要になる

 イゼットフェニックス側にも同じく《ストーム・ジャイアントの聖堂》があるものの、こちらは《冥途灯りの行進》《廃墟の地》といったスマートな回答がある。
 隙を見て3回殴れば終わりであり、こういった勝ち方もあるということを意識しておくとよいだろう。

 個人的にやっている事としては、「相手の墓地枚数をダイスで数えること」、「墓地に落ちたスペル(特に《宝船の巡航》と《呪文貫き》)の枚数を確認すること」の二点。

 前者は《宝船の巡航》のコスト計算。
 《航路の作成》は2枚、《巧みな軍略》は3枚、《パズルの欠片》は4枚墓地が肥えるのでそこから《宝船の巡航》につながるかどうかを確認。

 後者は主たる有効牌の計算。
 《呪文貫き》が2枚落ちていればメインでは他にカウンターはないことが多いため、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えられる。

 細かい事ではあるが、これらの積み重ねで勝利に近づくのだ。


・サイドボーディング - 有利

out候補
《吸収》
《ドミナリアの英雄、テフェリー》
《告別》

カウンターされるとつらい

 人によって様々なサイドボーディング方法があるとは思うが、私は《吸収》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》を全て抜く
 というのも、イゼットフェニックスにはメインから《呪文貫き》が2枚、サイドからは《否認》《神秘の論争》が少なくとも3枚以上は入ってくる。

 イゼットフェニックスは重くても3マナの《パズルの欠片》で、カウンターを構えながら動きやすい。
 そこに3マナのカウンターである《吸収》を合わせても大抵の場合はバックアップのカウンターに打ち消されるケースが多い。

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》に至っては《軽蔑的な一撃》も当たってしまう。これは6マナソーサリーである《告別》も同様。

 このように、《吸収》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》はバリューが大きく落ちてしまう。よってこれらを抜くという考え方だ。
 とはいえ長期戦になりがちなので、相手のサイドプランによっては後半のアドバンテージ獲得手段として1〜2枚程度残すケースもある。

 フィニッシャー不足になると思われがちだが、《放浪皇》《サメ台風》《ストーム・ジャイアントの聖堂》によるビートダウンプランにシフトする。

 《至高の評決》については相手のサイドによるが、基本的には抜かないか減らすとしても1枚程度。
 《若き紅蓮術士》や《弾けるドレイク》といった墓地対策に依存しないビートダウンプランを取ってくるため、サイドインしてくるカウンターを無視して安心して打てる全体除去は必要になるからだ。

 《ポータブル・ホール》については《帳簿裂き》《若き紅蓮術士》などに対応したいため、2枚程度は欲しい。


in候補
《安らかなる眠り》
《減衰球》
《神秘の論争》
《サメ台風》
《ドビンの拒否権》
《ナーセットの逆転》
《才能の試験》
《船砕きの怪物》
《黎明をもたらす者ライラ》
《シュタルンハイムの解放》

その墓地、しまっちゃおうねえ

 《安らかなる眠り》が通ってしまえば《弧光のフェニックス》は4マナで唱えるしかなく、《宝船の巡航》も8マナ3ドローとほぼ機能不全に持ち込める
 相手も打ち消したい一枚であるため、最大限《呪文貫き》をケアをしてから唱えたい。

 軽いスペルを連打する関係上、《減衰球》もそこそこ効果的。

 先述した通り《パズルの欠片》《宝船の巡航》を打ち消すために追加のカウンターを入れる。
 特に《神秘の論争》《ドビンの拒否権》はこのマッチアップでは重要。

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》を抜いた枠には《黎明をもたらす者ライラ》《シュタルンハイムの解放》《船砕きの怪物》などが入る。

場に出れば《溶岩の斧》以外では対処されない

 特に《黎明をもたらす者ライラ》は《稲妻の斧》ぐらいしか対処されず、《呪文貫き》《否認》《神秘の論争》に刺さらず《弾けるドレイク》《弧光のフェニックス》を一方的に勝つことが出来る。

 ただし、《軽蔑的な一撃》には刺さるので、この点に関しては注意。


 サイド後では2ターン目の《若き紅蓮術師》や《帳簿裂き》以外ではほとんど動かず、《パズルの欠片》もカウンターのバックアップつきで唱えてくることからメインよりも長期戦になりがち。

 いくらカウンターのバックアップがあっても問答無用で打ち消す《ドビンの拒否権》打ち消されず隙なくクロックを形成する《サメ台風》の二枚がキーマン。
 特に後者は《焦熱の衝動》を減らしてくるため、より効果的に刺さる。

 《サメ台風》に関してはメインでは手札に溜まった除去の打ち先になってしまうため、1/1でも積極的にサイクリングを行う。
 しかしサイド後では除去されにくくなるため、余裕があればクロックとしての有効な2/2〜3/3から出すようにしたい。

 これらはイゼットフェニックスが出来ない事であるので、この強みを押し付ける形がいいだろう。君の《否認》打ち消されるの? 時代遅れだね~と言いながら《ドビンの拒否権》を叩きつけていきましょう。


VS 天使 - 有利

https://www.mtggoldfish.com/deck/visual/5348087

▼マストカウンター
 《集合した中隊》《カイラの再建》

▼負け筋
 全体除去がない時に《集合した中隊》《カイラの再建》が通り、一気に展開されて圧殺される。
 《正義の戦乙女》によって大きく強化されたクリーチャーたちに撲殺される。


・マリガン基準


《至高の評決》
《魂の仕切り》
《ポータブル・ホール》
《かき消し》
《吸収》

×
3マナ以下のカードがない

 クリーチャーを主としたデッキだが、4枚積みされている《集合した中隊》《カイラの再建》に《ドビンの拒否権》が刺さる。
 各種除去も刺さるし、《ドミナリアの英雄、テフェリー》も守りやすい相手。

 3マナの《正義の戦乙女》などに対処できるカードがなければマリガンする程度でいいだろう。


・立ち回り方

 明確に有利なマッチアップ

 脅威は《正義の戦乙女》《輝かしい天使》の3マナクリーチャーで、これらには《検閲》《魂の仕切り》《吸収》などで対応可能。
 《集合した中隊》《カイラの再建》も4マナ〜のスペルでカウンターも容易であり、仮に通ってしまったとしても《至高の評決》で処理できる。

どんなに並んでもこれ一枚で終わる

 天使はビートダウン同士の対決では暴力的なライフゲインとそれに伴う展開力が武器だが、先述した通り青白コントロールにとっては単体除去も全体除去もカウンターも全て刺さるいわゆるお客様
 《正義の戦乙女》による+2/+2という暴力的な修正がないとクロックも低く、容易く青白コントロールの得意とするレンジである5ターン目に到達しやすい。

 基本を忠実に、上記に対処すべきカードに対して対処しつつ《ドミナリアの英雄、テフェリー》の着地から蓋しきって終わりという勝ち方が多い。


・サイドボーディング - 有利

 ほぼなし。

 大真面目に天使相手に対してはコンセプトそのものが有利であるため、サイドボーディングを行う余地はほとんどない
 あるとすればサイドに追加の《至高の評決》《告別》あるいは《一時的封鎖》などの全体除去を取っている時ぐらいだろうか。

 そうした場合は《サメ台風》はチャンプブロック要員になることが多いため、サイドアウトするとしたらこの辺りになる。
 後は《ドビンの拒否権》を1枚減らす選択肢もあるが、《集合した中隊》《カイラの再建》は打ち消したいため減らさない事も多々ある。

 サイド後もやることは特段変わらず、丁寧に対処していけば自ずと勝利するだろう。

 とはいえ、《傑士の神、レーデイン》で《至高の評決》をズラしてくるため、ここは意識しておく必要がある。


VS エニグマファイアーズ - 有利

https://www.mtggoldfish.com/deck/5361590#online

▼マストカウンター
 《鏡割りの寓話》《創案の火》《奇怪な具現》

▼負け筋
 《創案の火》が通り、そこから繰り出される理不尽なダブルアクションの前にカウンターが追い付かなくなる。
 《魂の仕切り》がない時に《奇怪な具現》で《力線の束縛》から《星界の大蛇、コーマ》が出てくる。


・マリガン基準


《ドビンの拒否権》
《吸収》
《魂の仕切り》

×
《至高の評決》

カウンターがない

 上記に記した通り、《鏡割りの寓話》《創案の火》《奇怪な具現》は確実に抑えたいため、これらをカウンターする札は必要。
 《魂の仕切り》に関しては次善策で、《奇怪な具現》の誘発タイミングがエンドステップであるため、通した後にメインフェイズで打つことで遅延が可能。

 横並びするわけでもないため《至高の評決》は初手に不要な一枚。
 基本的に対処ができなければマリガン、ぐらいの温度感でよい。


・立ち回り方

 ラクドスミッドレンジを意識した中速デッキで序盤ではトライオームによるタップインも多く、《苦々しい再会》《ナイレアの存在》などでゆっくり動き出すのが特徴。

 青白コントロールが苦手とする1~3ターン目のレンジだと《鏡割りの寓話》以外は特に脅威がないため、こちらが得意とするレンジである4~5ターン目まで容易に到達できる。
 基本的にソーサリータイミングで動くため、《ドビンの拒否権》《吸収》といったカウンターが刺さる相手。

 これらの理由により、有利と言えるマッチアップの一つ。

マナを踏み倒すんじゃない!

 ただし、もちろん負け筋にも記載した通り《創案の火》が通ってしまうと青白コントロールが苦手な「ダブルアクション」を取ってくるため、カウンターが追い付かなくなることが多々ある。

 その一方で、エニグマファイアーズ側の手札が少ない時の《創案の火》は大きくバリューが落ちるため、それをあえて通してから後続を打ち消した方が効果的であることも覚えておくべき点だろう。
 そうすることでこちらの《ドミナリアの英雄、テフェリー》を「メインフェイズ」で対処せざるを得なくなるため、テンポを大きく損なわせることができる。

基本土地タイプが揃っているとなんと1マナで万能除去に

 《力線の束縛》は大半の場合、こちらの《放浪皇》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》を対処するために使われる。
 特に《ドミナリアの英雄、テフェリー》に関しては5マナのアクションを1マナで対処されるという点で苦手意識を抱いている方も多いだろう。

 しかしこちらはすでに+1能力によるドローを行っており、1枚分のアドバンテージを獲得していると考えていくべきだ。
 そうしてアドバンテージ差を作り出し、次の《ドミナリアの英雄、テフェリー》を定着させていくのが勝ち筋の一つ。

 《放浪皇》でプレッシャーをかけつつ、《力線の束縛》を使わせたところで《ドミナリアの英雄、テフェリー》を定着させていくといった形でもよい。

 相手の土地の立ち方で《力線の束縛》を構えているかどうかで分かるので、そこから手札を推測しつつ今後の動きを決める事が出来れば中級者といったところ。


・サイドボーディング - 有利

out候補
《ポータブル・ホール》
《至高の評決》
《冥途灯りの行進》

 明確な脅威は非クリーチャーであり、序盤~中盤に出てくるクリーチャーはそこまで強くはないためこれらの除去を減らす。
 《至高の評決》と《冥途灯りの行進》は有効な場面も多々あるため、全抜きはせず枚数調整程度に留める。

 フリースロット枠として採用されている《一時的封鎖》などの除去を少し減らす形になるだろう。

in候補
《霊気の疾風》
《神秘の論争》
《ドビンの拒否権》

 先述した通りマストカウンターを確実に打ち消すためにこれらのカウンターを追加する。
 《神秘の論争》は《創案の火》自体も4マナと大振りであるため、最悪3マナカウンターとしての用途もあることを覚えておくこと。

 サイド後のエニグマファイアーズでは《神秘の論争》《軽蔑的な一撃》といったカウンターが入ってくるため、これらを念頭に置きながら立ち回っていく。
 《神秘の論争》は《奇怪な具現》や《空を放浪するもの、ヨーリオン》といった青いカードに当てるのはもちろんだが、これらのサイドから入ってくるカウンターに対する回答の側面もある。

 構造的に有利な相手であるので、天使と同様に基本を忠実に立ち回っていけばいいだろう。


VS アブザンパルヘリオン - 五分


https://www.mtggoldfish.com/deck/5366052#online

▼マストカウンター
 《大牙勢団の総長、脂牙》《エシカの戦車》《異界の進化》

▼負け筋
 《パルヘリオンⅡ》が墓地に落ち、《思考囲い》でこちらのカウンターを落とされた後に《大牙勢団の総長、脂牙》から《パルヘリオンⅡ》をリアニされる。
 《エシカの戦車》の猫たちによって撲殺される。


・マリガン基準


《魂の仕切り》
《冥途灯りの行進》

×
3マナ以下の干渉手段がない

 いかに《大牙勢団の総長、脂牙》を止められるかどうかにかかっているため、2マナで対応できる《魂の仕切り》が非常に強く使えるマッチアップ。
 次点で同じく追放し《未練残り》でのリアニも許さない《冥途灯りの行進》。
 この二つさえあればキープと言ってもいい。

 先手であれば《吸収》も同様に対応できるため、キープ基準の一つとして考える事もできる。

うわああああああああああ!!!!!

 とはいえ《思考囲い》もあるため、可能であれば《大牙勢団の総長、脂牙》を止められる手段は2枚あると嬉しい。

 カウンターなどの序盤に止める手段がないと、そのまま《パルヘリオンⅡ》からの5/5飛行警戒先制攻撃 4/4飛行警戒 4/4飛行警戒が出てきたり、《エシカの戦車》に好き放題されたりしてしまう。


・立ち回り方

可愛い顔してやってる事はエグい

 このマッチアップでは《大牙勢団の総長、脂牙》を巡る攻防が主となる。

 前提としてアブザンパルヘリオンの勝ち筋は主に二点。上記の負け筋にも記載した通り、「《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》をリアニメイトされ攻撃される」「《エシカの戦車》を強く使われる」となる。

 前者のリアニメイトプランは下記のようにステップを分解できる。

 STEP1.墓地に機体を落とす
 必要:1マナ
  自分に《思考囲い》、《縫い師への供給者》
 必要:2マナ
 《ラフィーンの密通者》《サテュロスの道探し》《忌まわしい回収》
 《未練残り》で上記のクリーチャーをリアニメイト

 STEP2.《大牙勢団の総長、脂牙》を戦場に出す
 必要:2マナ
  《未練残り》(墓地に落ちている場合のみ)
 必要:3マナ
  《異界の進化》(場に1~2マナクリーチャー)
  手札からキャスト

 STEP3.リアニメイトによって場に出た機体が攻撃する
 必要:搭乗4を満たすクリーチャー

  これらを考慮し、STEP1.の段階で《検閲》などのカウンターを打つべきかを考える。
 特に《忌まわしい回収》は墓地肥やしによるSTEP1.の達成と、STEP2.に繋がる《大牙勢団の総長、脂牙》の回収をワンアクションでこなす事ができる。

インスタントタイミングで5枚も掘る!

 状況次第ではあるものの、一気にステップを進めるこの《忌まわしい回収》のカウンター優先度は他に比べて高いと言えるだろう。
 なお、墓地が十分に肥えていたり、《エシカの戦車》をキャストできる時間帯ではその限りではない。

 STEP2.は当然ながらマストカウンター。しかし、手札と盤面によっては通す事も検討できる。
 というのも、STEP3.の機体で攻撃するためには搭乗4を満たすクリーチャーが場に出ている必要がある。

 あえて通し、《大牙勢団の総長、脂牙》の誘発・対象の指定に合わせて《魂の仕切り》《冥途灯りの行進》などで対処することで、他に搭乗4を満たすクリーチャーがいなければ《パルヘリオンⅡ》の搭乗ができず、そのまま手札に戻る。

搭乗できなければただの置物

 そう、STEP1.までやり直させる事ができるのである。
 特に手札にある《パルヘリオンⅡ》は《ラフィーンの密通者》などのディスカード手段に頼らないと捨てられない
 パルヘリオン戦ではこれを意識をしておくといいだろう。

 もちろんETBで2/2を二体出してしまう《エシカの戦車》が墓地にあるならばSTEP2.の段階で阻止する。ネコとは和解しません。


 先述してきた通り《大牙勢団の総長、脂牙》を巡る攻防が主であるものの、《エシカの戦車》も実に厄介。
 《エシカの戦車》が通り、猫たちによるビートダウンに我慢できず《至高の評決》などでタップアウトすれば、リアニメイトプランでゲーム終了という展開をアブザンパルヘリオン側は狙ってくる。

 そのため、出来る限り《エシカの戦車》にはカウンターを当てたい事を念頭に置く必要がある。

 ミシュラランドもないため、ギリギリまでライフを計算しながら《大牙勢団の総長、脂牙》を対処できる札を構えつつ《至高の評決》ができるといいだろう。


あれ? もしかして……"無い"んですか?(ニチャア

 また、アブザンパルヘリオンはかなりタイトなマナベースであり、基本土地は《沼》の1枚しかない。そもそも基本土地自体を採用していないリストも多く見られる。
 よって……そう、《廃墟の地》でランデスだ!!

 基本的には《大牙勢団の総長、脂牙》が出ないように、白か黒を縛りたいところ。
 とはいえ二色土地も多いため、基本的には「出ている中で一番少ない色」を落とすことになるだろう。

 《異界の進化》型であれば緑マナを縛れるなら縛るし、《ヴェールのリリアナ》が見えていたら黒マナを縛っていくというように、臨機応変に対応したい。


・サイドボーディング - 微有利

out候補
《ポータブル・ホール》
《サメ台風》

 是非がでも除去したい小粒はいなく、《大牙勢団の総長、脂牙》に対応できない除去である《ポータブル・ホール》はサイドアウト候補。
 《サメ台風》も序盤の攻防に貢献しない考え方から、枚数を調整する先として候補に挙がってくる。

in候補
《安らかなる眠り》
《敬虔な新米、デニック》
《黎明をもたらす者ライラ》

安らかに眠れ

 このマッチアップで入れずに何に入れるのか、当然ながら《安らかなる眠り》をサイドインする。
 ただし《羅利骨灰》《突然の衰微》《秋の騎士》などでアブザンパルヘリオン側もこの対策の対策をしてくるので過信は禁物。
 できる限り機体もしくは《大牙勢団の総長、脂牙》が墓地に落ちた後に設置したいものの、《思考囲い》で抜かれる可能性もあるため悩ましいところ。
 《思考囲い》を打たれた時をイメージして《安らかなる眠り》が一番優先度の高い手札であれば設置、他にも脅威があるのであれば温存というように立ち回っていきたい。

 《敬虔な新米、デニック》は墓地にあるカードを対象にできないため、《大牙勢団の総長、脂牙》はもちろん《未練残り》もただの紙になる。
 墓地肥やし要員のクロックも止める事ができ、《秋の騎士》などにも刺さらない。アブザンパルヘリオンに対していい一枚となっている。

 《黎明をもたらす者ライラ》は《パルヘリオンⅡ》が通ったとしても防ぎきってくれる最終防衛ライン。《羅利骨灰》以外では対処できない一枚となっている。
 ただし《ヴェールのリリアナ》が入っている型も多く、過信は禁物。


 サイド後はマリガン基準が明確になり、サイドからクリティカルな墓地対策が入るためある程度は楽になるだろう。
 それでも《思考囲い》からの最速ルートには間に合わなかったりするので、割り切る必要もある。

 アブザンパルヘリオン側も《茨橋の追跡者》や《朽ちゆくレギサウルス》《婚礼の発表》などをサイドインし、ミッドレンジプランという追加の勝ち筋で墓地対策をかわす動きをしてくるため、どのようなサイドプランを取ってくるかを注視して対応をしていきたい。



 他にもスピリット、ラクドスサクリファイス、赤単などもあるが、これについては後ほど追記という形でご容赦いただきたい。


■最後に

 ここまで約5万8千字の長文をお読みいただき、誠に感謝申し上げる。
 いや本当に

 当初は軽い気持ちで「青白コントロールの事を少しだけわかってきたし、自分が考えている事を文字に起こしてみるか~」と書き始めたのが始まりだった。

 それがまさかこんなに……多くなるとは……

 これでもまだ「知識を全て詰め込めた」とは言えないあたり、MTGの奥深さを改めて痛感させられたいい経験だった。

 また、様々な方々との意見交換や議論などにより、私の中でこのように考え方が定まったおかげで本記事を作る事ができたと痛感している。
 Twitterやディスコードなどで私と交流いただき、意見や議論などを交わしていただいている方々へこの場を借りて感謝申し上げる。

 各マッチアップで記してきた通り、パイオニアはアグロ、ミッドレンジ、コントロール、コンボとあらゆるデッキが環境に存在し、どのデッキでも勝ちうる可能性を秘めている魅力的なフォーマットなのだ。

 手の内を全て明かす形になったが、これがパイオニアというフォーマットの盛り上がりに少しでも貢献になれば幸甚である。

 光栄にも「無料にするにはもったいなさすぎる」といった声をいくつかおかけいただき、これまでは特段サポートといった設定はしてこなかったが今回は試験的に設定させていただいた。

 ご寄付などの目に見える形でご評価いただけると私自身が今後記事を執筆する上でのモチベーションになり、励みになります。
 よろしくお願いいたします。





 本記事「【5万字】0から始めるパイオニアで7割勝てる青白コントロールの教科書」はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。
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