オルゾフミッドレンジ備忘録 ~目が見えないプレインズウォーカーと耳が聞こえないプレインズウォーカーの邂逅~
2021/12/18 投稿
2021/12/23 更新(メイン・サイドの変更に伴い解説内容も変更)
2022/01/08 更新(メイン・サイド数枚変更、晴れる屋TCのPWCS優勝)
▼はじめに
この記事は12/4(土)にテーブルトップのスタンダードデッキをオルゾフミッドレンジに決め、購入した経緯および所見・調整内容などを言語化し、自分なりに整理したものである。
一つ一つ言語化していっているため、文字数が約2万7千字と多くなってしまった点について予めご了承願いたい。
MTGアリーナでの戦績およびデッキ購入後のテーブルトップ戦績としては下記の通り。
2021/12/23現在
48勝11敗 勝率81%
▶12/4:ミント横浜店 ストアチャンピオンシップ
【スイスラウンド】
イゼット天啓〇〇
ラクドストレジャー×〇〇
イゼット天啓〇〇
ID
3-0-1 2位?
【決勝ラウンド】
ラクドストレジャー××
Top8、《集合した中隊》獲得
▶12/5:晴れる屋横浜店 ストアチャンピオンシップ
ジャンド狼男○××
ゴルガリ氷雪○○
オルゾフデスタク○○
セレズニア人間×○○
ID
3-1-1 8位
【決勝ラウンド】
白単××
Top8、《集合した中隊》獲得
▶12/12:晴れる屋横浜店 スタンダード提督戦
【スイスラウンド】
イゼット天啓〇×-
緑単〇〇
緑単〇×〇
ID
セレズニア人間×〇〇
3-0-2 3位
【決勝ラウンド】
緑単〇〇
ジェスカイ天啓〇〇
イゼット天啓〇××
準優勝
▶12/13:晴れる屋TC ラストサン予選
【スイスラウンド】
ラクドス吸血鬼〇〇
イゼット天啓〇××
緑白人間〇-(時間切れ勝利)
エスパーコントロール〇〇
ディミーアコントロール〇〇
バント人間×〇(トス)
5-1-0 3位
【決勝ラウンド】
白単〇×〇
ディミーアコントロール〇〇
イゼット天啓×〇×
準優勝
このように、4回連続Top8、2回準優勝という望外の結果を残し続ける事ができた。
また、12/13(日)のラストサン予選の決勝ラウンドで対戦した白単の方が目の見えない、いわゆる視覚障害者の方であり、耳の聞こえない聴覚障害者である私と対戦するという大変貴重な体験をさせていただいた。
これを機会に、貴重な体験も含めて記事として書き連ねようと考えたのが筆を取った理由である。
追記:2022/01/08(土)のPWCS(BO3)にて優勝した。
【スイスラウンド】
白単×○○
青黒コントロール×○○(ゆうやん氏)
白単○○
白単×○○(目の見えない方と再戦)
イゼット天啓○×○
5-0 1位通過
【決勝ラウンド】
白単○○
白単○×○(目の見えない方と再戦)
優勝、《情け無用のケイヤ》《不詳の安息地》獲得
▼オルゾフミッドレンジとの出会い
始まりは12/3のこのツイートだった。
しばらくテーブルトップを触れる機会がなく、構築のデッキが2年前で止まっていたため、リミテッド専としてドラフト等に参加し続けていた。
しかしこのドラフトで土地含めカード資産が少しずつ増えていき、ローテーションもされたということでそろそろスタンダードのデッキを買うべきかと考えていたところだった。
そんな時、普段行っている店舗であるミント横浜店、そして晴れる屋横浜店で「ストアチャンピオンシップ」がスタンダードで開催されることを知った。この機会に紙のデッキを組もう、と決意した。
候補の最大手はもちろんイゼット天啓。しかし、トップメタと呼ぶには目立ちすぎているこのデッキは禁止の可能性が孕んでいる。
《アールンドの天啓》か、あるいは《表現の反復》かは分からないが、過去の《創造の座、オムナス》や《創案の火》等の例を考えるとこの可能性は否定できないものであり、この選択肢は除外した。
そうすると、次は白単あるいは緑単が候補となった。しかし、私個人の嗜好はコントロール寄りであり、アグロに振り切ったこのデッキたちとはあまり合わなかった。強いには強いのだが、好みはどうしょうもない。
他に良いデッキはないかと様々な大会結果などを調べていたところ、あるデッキが目に入った。
日本選手権で4位の成績を残した森山 真秀氏(@SakeIzumo)のオルゾフミッドレンジである。イゼット天啓、白単、続いてジャンドトレジャーや緑単など良く見かける面子の中で異彩を放っているリストだった。
森山 真秀氏のYoutubeチャンネルはこちら。精力的に配信を行っており、オルゾフミッドレンジに関する解説等の録画も残されている。
https://www.youtube.com/channel/UCn4XtJM3IP_U3SNE5ICU_Og
百聞は一見に如かず。幸いにもドラフトをやり続け、大量のワイルドカードがあった私はMTGAで早速デッキを組み、久々にBO3のランク戦を回した。
すると勝つわ勝つわ。連戦連勝である。
何よりプレイしていて楽しいのだ。相棒とするデッキに最も必要な要素と考えているだけに、これは天啓以外の何者でもなかった。
▼オルゾフミッドレンジとは?
1.幅広い戦略を立てられるデッキ
上記の曳山まつりか氏(@hikiyamajasmine)の茉莉花新報で紹介されていたデッキ図鑑の図解が分かりやすいため、引用させていただいた。
《光輝王の野心家》《シルバークイルの口封じ》で序盤からプレッシャーをかけていける点は、長引くと《感電の反復》+《アールンドの天啓》のコンボで終わってしまうイゼット天啓相手には強みとなりうる。
更に言えば除去をこの軽量生物群に吐かせる事で、後続の《魅せられた花婿、エドガー》《ヘンリカ・ダムナティ》といった脅威が通りやすいという利点もある。
また、白単等のアグロ相手には《消失の詩句》《食肉鉤虐殺事件》によりボードコントロールの選択肢も取る事ができる。
裏返るまで1/1を提供し続ける《婚礼の発表》、1/1絆魂の吸血鬼を生み出しつつ、3ターン後には《魅せられた花婿、エドガー》として蘇る《エドガー・マルコフの棺》。
これに加えて2/1到達・威迫の蜘蛛を二体出す《蜘蛛の女王、ロルス》等が控えており、ボード・アドバンテージを生み出す構築となっている。
これらの存在により、ミッドレンジの弱点である全体除去をされたとしても戦線の立て直しが容易であり、粘り強く戦える構成だ。
アドバンテージ獲得手段も《婚礼の発表》《不笑のソリン》《蜘蛛の女王、ロルス》などが存在しており、コントロール相手にも強く立ち回れるという柔軟性に富む点も強みの一つだろう。
何より長引けば屈指のフィニッシャーである《星界の騙し屋、ティボルト》がいる!
優秀なクリーチャーおよびプレインズウォーカーを同じく優秀な除去でバックアップする序盤・中盤・終盤ともに隙のない正統派なミッドレンジである。
2.《消失の詩句》という強力無比な除去の存在
この《消失の詩句》は現在の環境において非常に強力な除去であると言える。
というのも、トップメタの一角である白単と緑単にはクリーチャーだけでなく、《レンと七番》、《エシカの戦車》などのあらゆるパーマネントに対しても2マナで追放という対応が可能となっている。
特にただでは死なない《老樹林のトロール》に対して最も効果的な除去である事は特筆すべき点だろう。
また、イゼット天啓も《黄金架のドラゴン》、《溺神の信奉者、リーア》、《船砕きの怪物》《くすぶる卵》等といずれも単色クリーチャーである。
一方でこの除去が通用しないカードはジャンドトレジャー等が採用している《イマースタームの捕食者》、《結ばれた者、ハラナとアレイナ》等の多色クリーチャーが挙げられる。
しかし、このジャンドトレジャーにも《エシカの戦車》《無謀な嵐探し》等の単色パーマネントが多く採用されているため、腐るシチュエーションはまずないと言ってもよい。
▼元のレシピで気になった点
回していく中で、採用に関して疑問に思った・気になった点がいくつかあった。
1.《剛胆な敵対者》2枚
この《剛胆な敵対者》は2/3/1絆魂という素晴らしいスタッツに加え、2マナを望む回数支払うことで自身含む全体に回数分+1/+1の修正をもたらす《栄光の頌歌》内蔵クリーチャーにもなると神話レアに相応しい性能をしている。
序盤のプレッシャーを担当しつつも、中盤以降の後引きでも強く、マナフラッドの受け皿までこなすこのカードの強さは言うまでもない。
しかしながら、弱点もある。
除去、特に《棘平原の危険》に対して致命的なまでに弱いのである。先手2ターン目に出して《棘平原の危険》1枚で対処されるケースが散見された。
また、戦場に出た時に誘発する能力は例えば2回分の4マナを支払ったとして、その後に「2個の武勇カウンターを置く」スタックが乗る。つまり3/1のままなのだ。
そこに《棘平原の危険》等の除去を打たれたら目にも当てられない。タフネスが1というだけで評価が下がるこの環境において、これを採用すること自体にリスクが生じてしまう事になる。
この枠に関して森山 真秀氏は日本選手権の後に《ネフィリアのグール呼び、ジャダー》を試されていたようだ。事実、《婚礼の発表》や《蜘蛛の女王、ロルス》《食肉鉤虐殺事件》との相性がよいカードではある。
しかしながら、私個人としては「白単・緑単に弱い上、結局同じタフネス1なので《棘平原の危険》《燃えがら地獄》を擁するイゼット天啓にも効果的ではない」という結論に至った。
むしろ3/1絆魂のスタッツを持つ《剛胆な敵対者》と比べて白単へのガードが下がってしまう点がマイナスポイントだった。
2.サイドボードの《真髄の針》1枚
これは《ストーム・ジャイアントの聖堂》や《不評の安息地》等のミシュラランド、白黒氷雪コントロールの《蜘蛛の女王、ロルス》や緑単の《エシカの戦車》、《レンと七番》に対しても有効なサイドカードであり、その幅は思ったより広いと言える。
一方で《消失の詩句》があるとはいえ、優秀なスタッツを持ち《食肉鉤虐殺事件》が効きづらく、《婚礼の発表》による時間稼ぎも《群れ勢いの人狼》、《老樹林のトロール》を擁する緑単は難しいマッチアップであると感じた。
さらに、頼みの綱である《消失の詩句》を呪禁でかわせる《蛇皮のヴェール》をメイン・サイドで合わせて4枚採用している事も多い。
これに対応できる追加の除去が欲しい場面があり、この枠を緑単等に意識したカードを入れたいという感想を抱いた。
3.《イマースタームの捕食者》への弱さ
多色のクリーチャーであるため《消失の詩句》が通用しない上、毎ターンサイズが上がっていく事で《食肉鉤虐殺事件》の射程圏外になりやすい。
さらに破壊不能もあり、《ヘンリカ・ダムナティ》の接死も効かないとまさしく天敵と言えるクリーチャーだ。
サイドも含めてこの《イマースタームの捕食者》に対して対処できる手段は《ヘンリカ・ダナムティ》の生贄モード(これも他にクリーチャーがいたら除去できなくなってしまう)、《星界の騙し屋、ティボルト》の-3能力、サイドの《悪意の熟達》のみである。
トップメタには食い込んでいないものの、この1枚だけで負け筋となりうるカードであるため、この対策は必要であろうと考えた。
4.《エメリアのアルコン》4枚について
この採用理由は実に明確で、イゼット天啓への一つの回答である。
ターンに1回しか呪文を唱えられない効果は除去やバウンスなどの対処手段がなければ劇的に刺さる。2回目の呪文を前提としている《感電の反復》は役立たずになり、《表現の反復》で回答を探したとしてもそのターンに唱えることはできない。
基本土地でない土地をタップインさせる効果もイゼット天啓は基本土地を《山》2枚と《島》2枚ぐらいしか採用しておらず、この点でも一つの拘束として活躍する事が見込める。
これらの能力でイゼット天啓の動きを縛り、20点のライフを削りきってしまおうというのが主なプランとなり、採用理由であろうと考えられる。
しかしながら、インスタントタイミングで動ける《予想外の授かり物》や《多元宇宙の警告》、あるいはごくたまに採用される《記憶の氾濫》でこのアルコンに対する回答を探すことはできる。
そうして探し出した除去やバウンス等の回答で《エメリアのアルコン》を対処し、そのまま《感電の反復》+《アールンドの天啓》等の脅威を繰り出すことができてしまう。
この《エメリアのアルコン》を対処できる除去やバウンス等の枚数はサイドボード込みで15枚ほど。《表現の反復》を筆頭としたドローソースが多いイゼット天啓にとって十分すぎる枚数と言えるだろう。
イゼット天啓を使用している方々にこの《エメリアのアルコン》について感触を伺ったところ、「インスタントで除去できるし、相手も1回しか呪文を唱えられないからそこまで脅威に感じる事はあまりない」「除去が手札にない時は強く感じるが、追加の除去をサイドインするのでそういうケースは少ない」といったご意見をいただいた。
ただ、この問題点も解決方法がある。それは《強迫》などを入れ、前方確認した上で除去を落とし、除去が消えたところに《エメリアのアルコン》を出すのだ。
このように《エメリアのアルコン》が強い場面を作るという事も重要である。とはいえ、お膳立てしないといけないという点はやはりマイナス要素に感じられてしまった。
5.《シルバークイルの口封じ》4枚
基本的には3/2のスタッツによる序盤のクロック要員として扱われる。
ただし履修を活用するイゼット天啓および氷雪コントロール等に対しては、《環境科学》など履修で取ってきたカードを指定することで動きづらくさせる事ができる。
《嘘の神、ヴァルキー》やサイドボードの《侮辱》のピーピングで「次に唱えるであろうカード」を指定する事もできる点も忘れてはいけない。
ただ、Meleeでのリスト公開制がほとんどであるMTGアリーナの大会と比べ、相手のリストが不明なテーブルトップやラダーでは強さがかなり変動するカードでもある。
また、相手に選択肢が複数ある場合は指定されていないカードを使えばいい、という事にもなってしまうためこの能力が誘発する事は1割もあればいい方だった。
しっかり誘発させられるとライフ・カードアドバンテージを稼いでくれるものの、そういった上振れが難しく、ただの2/3/2であることがほとんどになってしまう点はマイナスポイントだった。
▼現在のデッキリスト
これらの気になった点を踏まえ、現在のデッキリストは下記の通り。
▶インポート用テキスト
▼更新履歴
▶2021/12/23
メインボード
out
《シルバークイルの口封じ》4枚
in
《穢れた敵対者》1枚
《墓地の侵入者》3枚
《シルバークイルの口封じ》はやはりリスト公開制ならではの採用で、ラダーやテーブルトップだと強さをあまり感じる事ができなかった。
一方であらゆるマッチアップにも一定以上の役割を担える《穢れた敵対者》の増量、白単・イゼット天啓・コントロール系にサイドインする《墓地の侵入者》をメインに移動し、メインの勝率を上げる形にした。
サイドボード
out
《墓地の侵入者》3枚
in
《侮辱》1枚
《魂の粉砕》1枚
《危難の道》1枚
空いた《墓地の侵入者》の枠は《侮辱》《魂の粉砕》《危難の道》を1枚ずつ増量し、イゼット天啓・緑単・白単らにガードを上げた。
▶2022/01/08
メインボード
out
《荒廃踏みの小道》1枚
《針縁の小道》1枚
《ハグラの噛み殺し》1枚
in
《憑依された峰》1枚
《日没の道》1枚
《ペラッカの捕食》1枚
赤絡みの両面土地を1枚ずつ、いわゆるスローランドに差し替えた形。タップインのリスクに関しては6枚程度であれば許容範囲だし、1ターン目に置いても問題はない。
《ハグラの噛み殺し》から《ペラッカの捕食》に差し替えた理由としては主にイゼット天啓へのメインから入れる対策。たかが1枚、されど1枚。特にハンデスに関しては0枚と1枚は大きく違うと感じられた。
サイドボード
out
《真っ白》1枚
in
《強迫》1枚
試験的にハンデスを分散。《ジュワー島の撹乱》《ゼロ除算》、サイドからは《才能の試験》を入れてくるイゼット天啓に対して3マナという大ぶりは致命的になる部分があった。
《溺神の信奉者、リーア》対策としては《墓地の侵入者》がおり、《真っ白》3枚は過剰ではないかと最近感じたため、試験的に《強迫》と1枚差し替えた。今のところは概ね好感触である。
▼調整した点
1.《魂の粉砕》の採用
マナ総量が最も大きいクリーチャーかプレインズウォーカーを生贄に捧げさせる効果、いわゆる条件付の布告除去である。
確実性はないとはいえ、マナ総量が大きいものは大体マスト除去の対象となるためそこまで気にならない。
何より《蛇皮のヴェール》の呪禁が通用しない除去であるし、生贄に捧げることから《イマースタームの捕食者》に対するアンサーとなる。このデッキが抱えていた問題点を解決できる除去と言えるだろう。
また、対象を取らない布告除去であるため、イゼット天啓の5ターン目《黄金架のドラゴン》に対する完璧な回答の一つでもあり、詰めの《ストーム・ジャイアントの聖堂》等も護法を誘発させずに対応可能である利点は大きなものである。
氷雪コントロールの《蜘蛛の女王、ロルス》、緑単のサイドボードに存在する《レンと七番》といったプレインズウォーカーにも対応できる点も見逃せない。
とはいえ、メインボードから除去を入れすぎるとイゼット天啓とのメインゲームで腐ってしまうジレンマも抱えている。
そのため、メインに1枚。サイドに2枚の計3枚採用という形を取った。
これにより緑単およびジャンドトレジャー等に対して相性が大きく改善されたことを実感できた。
2.《穢れた敵対者》の採用
先述した《剛胆な敵対者》を筆頭とする敵対者サイクルの黒担当である。
2/2/3接死という優秀なスタッツに加え、「3マナを望む回数支払うことでその回数の+1/+1カウンターが乗り、その回数の二倍の数の2/2ゾンビトークン(腐乱)を生成する」のETB能力を持つ。
これは《剛胆な敵対者》とは異なり、誘発能力でマナを支払った後に除去されてもゾンビトークンを生成する。これにより除去にも強く、中盤以降でトップした時に確実なリターンが約束されている利点は大きい。
他の敵対者サイクルも同様に本体が除去されても効果を発揮するものであり、除去1枚で対応されてしまうのは《剛胆な敵対者》のみである。
さて、この《穢れた敵対者》の採用理由としてはいくつかある。
▶2-1.優秀なスタッツの2/2/3接死
この接死というキーワード能力は緑単に対して多大な影響を与える能力である。
緑単のサイドボードに緑単のミラー対策として、後手で盤面に干渉できる1/1/1の接死持ちである《タジュールの荒廃刃》が採用されている事からも明らかと言える。
《老樹林のトロール》《エシカの戦車》《ウルヴェンワルドの奇異》といったタフネス4以上のクリーチャーと相打ちが可能な点、《エシカの戦車》により生まれる2/2の猫トークンに対して強い点も見逃せない。
また、白単に対しても《スレイベンの守護者、サリア》に対して優位に立ち、+1/+1カウンターが1個乗った《有望な信徒》にも一方的に打ち取る事が出来る大きな壁として立ち塞がる。
《光輝王の野心家》によってサイズが大きくなったクリーチャーに対しても接死でトレードが可能であり(先制攻撃を持つサリアは除く)、序盤の要となる。
問題の対イゼット天啓にも《棘平原の危険》で死なず、序盤の壁となる《くすぶる卵》が止められない接死持ちである。
さらに《消えゆく希望》や《ゼロ除算》などのバウンスに対しても、土地が伸びていればETB能力を再度誘発させる事もできる利点がある。
▶2-2.腐乱ゾンビトークンによる様々なシナジー
生み出すゾンビトークンは腐乱によりブロックできず、腐乱により攻撃も一回しかできない。サイズも2/2と控えめ。
しかしながら、《婚礼の祭典》でサイズが大きくなる。これが重なれば4/4以上にもなり、さらなる脅威となり得る。
また、自壊する腐乱能力も《蜘蛛の女王、ロルス》の忠誠度増加に貢献する上、《食肉鉤虐殺事件》のライフロストとのシナジーも存在する。
例えば4体が並び、フルアタックすると4(本体)+2×4(ゾンビ)+4(食肉鉤虐殺事件)の合計16点となる。
《ヘンリカ・ダムナティ》のお互いに生贄を捧げる能力の対象としても利用でき、様々なシナジーを発揮できる一枚なのである。
このように、《剛胆な敵対者》2枚、《シルバークイルの口封じ》1枚の枠をこの《穢れた敵対者》に差し替えたことで、緑単や白単へのガードを上げつつ、イゼット天啓に対しても後引きによる追加のフィニッシャー枠として貢献してくれるようになった。
3.サイドボードでの《招待制》1枚の採用
《危難の道》は3マナで打てば2マナ以下のクリーチャーを全て破壊し、6マナで打てば《神の怒り》と同様の効果になり柔軟性のある全体除去である。
2マナ以下が多い白単に対しては効果を発揮する一方で、先述した破壊不能を持つ《イマースタームの捕食者》には通用しない。
また、緑単は《老樹林のトロール》《カサンドゥのマンモス》《ウルヴェンワルドの奇異》など、3マナ以上がやや目立つ構成であり、他にも6マナと5マナの1マナ差が大きく感じるマッチアップも存在する。
そこでこの《招待制》に白羽の矢が立った。
予顕すれば3マナで打てる《ドゥームスカール》との差別点としては、このデッキが《婚礼の発表》《蜘蛛の女王、ロルス》などで横並びするため、相手のクリーチャーの数よりこちらの方が多いという状況になる場面が多い。
その時に《招待制》で相手の数を指定すれば、《ヘンリカ・ダムナティ》などの脅威を生き残らせる事もできるというわけだ。これは《招待制》にしかない強みであり、この強みを発揮できるデッキであると考えたがゆえの採用である。
また《魅せられた花婿、エドガー》がいれば生贄に捧げてしまっても《エドガー・マルコフの棺》となりボード・アドバンテージをもたらしてくれる。そういった面でも相性はよいと言えるだろう。
試験的に1枚の採用として分散したが、感触的には良好であった。
ただ、《危難の道》は白単にかなり強いため、メタによって変えていく事になりそうだ。
4.サイドボードでの《エメリアのアルコン》の不採用
この環境のスタンダードと付き合っていく上で、トップメタであるイゼット天啓に対するサイドボードは欠かせない。
サイドボードを構築していく上で重要なのは「どういうゲームプランで勝つか」を明確にすることであると考えている。
イゼット天啓は最終的には《感電の反復》+《アールンドの天啓》のコンボで勝利をもぎ取るコントロールデッキである。
他の勝ち筋として《くすぶる卵》《黄金架のドラゴン》《溺神の信奉者、リーア》《船砕きの怪物》などがあり、強度の高いデッキだ。
長引けば豊富なドローソースで《感電の反復》+《アールンドの天啓》のセットを引かれてしまい、それでゲームセットとなってしまうだろう。
それを阻止するためには脅威を繰り出し続け、早期決着を狙う事になる。
このオルゾフカラーで考えると、「脅威を早期から繰り出し、それをハンデス等でバックアップする」というプランになるだろう。
《エメリアのアルコン》は先述した通り、相手の土地をタップインさせ、呪文を1回しか唱えられなくすることで殴り切るまでの時間を稼いでくれることだろう。
しかしながら、除去されてしまえばそれで終わってしまう。イゼット天啓の除去は元々多く、サイドボードで増量してくるため、このプランは思いの外うまくいかなかった。
5.メインボードでの《シルバークイルの口封じ》の不採用
先述した通り、ラダーやテーブルトップだとリスト公開制と比べて強みを引き出せないため、ただの2/3/2バニラになる事が多かったこの《シルバークイルの口封じ》を不採用とした。
▶4,5-1.《墓地の侵入者/墓地の大食い》のメインボード採用
他に良いカードはないか模索したところ、リミテッドで強かった《墓地の侵入者》の存在を思い出した。カード1枚を捨てるという護法で除去耐性があり、かつ構えるデッキには夜になることで4/4という太いクロックにもなり得る。
墓地の追放効果も《溺神の信奉者、リーア》およびフラッシュバックを持つ《感電の反復》対策にもなる。
さらに言えば、《光輝王の野心家》でサイズを上げる事も可能である。6/6まで上がればバウンスしか対処手段はなくなるが、出し直す事で0-2の交換となる。
晴れる屋横浜店スタンダード提督戦の決勝で敗北したイゼット天啓の方にこの事を聞くと、「《エメリアのアルコン》より《墓地の侵入者》の方が嫌ですね。除去するとアド損するし、構えるとすぐ夜になるからクロックも太くなり《くすぶる卵》でも止められなくなる。これに加えてハンデスもされたらキツイですね」という具体的な意見をいただいた。
また《粗暴な聖戦士》《スカイクレイブの亡霊》にも強く、3/3のスタッツも頼もしいため、白単にも対応出来るという《エメリアのアルコン》にはない利点もある。
これらの理由から《エメリアのアルコン》を不採用とし、《墓地の侵入者》をメインボードで採用するに至った。
この二枚の併用も考えたが、《真っ白》も考えるとサイドボード後の3マナが多くなってしまい、テンポが悪くなる事から断念した。
二枚ずつ分けての採用も可能性はあると思うのだが、まだ試行回数を重ねていないため、この辺りの可能性を探っていきたいところではある。
6.サイドボードでの《侮辱》の採用
《真っ白》はイゼット天啓には効果的ではあるのだが、相手に選択肢権があることで「手札が二枚しかない」という状況でない限り、クリティカルなカードは抱えられてしまうというデメリットが存在する。
また、これを見越して《才能の試験》をサイドインしてくるため、下手に打つと二度と打てなくなってしまうケースも散見された。
元々は《強迫》を考えていたが、サイド後では《くすぶる卵》などのクリーチャーを増量してくるため、それらにも対応できるカードが欲しかった。
上記の提督戦決勝で話したイゼット天啓の方からも「《罠を探す》が少し流行ってましたね、これでハンデスを分散させるというのはどうですか?」という言葉をいただいた。
確かに《罠を探す》ならばクリーチャーも落とすことができる。事実、ジャンドトレジャーやディミーアコントロールなどで採用しているリストを見たことがある。
……待てよ。確か、ストリクスヘイヴンのリミテッドでオルゾフカラーの2マナハンデスを使ったはずだ。しかも、+1/+1カウンターが乗るオマケもついているやつが。
そう、《侮辱》である。
《罠を探す》とは異なり、追放こそはしないが「+1/+1カウンターが乗る」点がミソであり、先述の《墓地の侵入者》のサイズアップにも貢献するのである。
相手のクリティカルなカードを落としつつ、こちらのクロックを太くする。
これはイゼット天啓に対する「脅威を早期から繰り出し、ハンデス等でバックアップする」プランにマッチするのではないか。
《真っ白》四枚を三枚にし、この《侮辱》を二枚採用することでハンデスの枠を五枚に増量。感触的にも悪くない。
事実、12/13の晴れる屋トーナメントセンターのラストサン予選の決勝でのイゼット天啓との対戦では《墓地の侵入者》→《侮辱》→《侮辱》で《予想外の授かり物》《黄金架のドラゴン》と落としていき、太くなったクロックを重ね、押し切って1ゲームを勝ち取った。
このサイドプランは理論的には間違っていないと言えるだろう。
余談ではあるが、このラストサン予選決勝に立ち会っていたジャッジが《侮辱》を見た瞬間に意外そうな表情になったのが印象的だった。
その後に4/4、5/5となった《墓地の侵入者》がクロックを刻んでいき勝利をもぎ取った様子を見て、「好きなカードを落とせ、かつクロックも強くなる。なるほど!」という内容を筆談で伝えていただいた事はよい思い出の一つになっている。
▼オルゾフミッドレンジのパーツ解説
ようやく本題である解説に辿り着いた。ここまで読んでいただいた方々には感謝を申し上げる。
さて、このデッキはミッドレンジである以上マナカーブ通りに脅威を叩きつけ続けるという正道から逸れることはない。
意識すべき点としては同じ2マナである《光輝王の野心家》《嘘の神、ヴァルキー》《穢れた敵対者》、4マナの《ヘンリカ・ダムナティ》《魅せられた花婿、エドガー》《不笑のソリン》が同時に手札にある場合、場面によって唱えるべきカードが異なるぐらいだろう。
以下は各々のパーツについて解説を挟んでいこうと思う。
▼メインボード解説
▼2マナ域
・《光輝王の野心家》4枚
白単の躍進を支えている一人。マスト除去の一つであり、序盤から圧を掛けていけるカードとしては上から数えた方が速いほどのカードだ。
数ある2マナ帯が手札に来た場合、基本的には早めに出すほど強力なこの《光輝王の野心家》を最優先して出す。
この+1/+1カウンターを乗せることでワンサイズを上げる能力は、《不笑のソリン》の-2能力で出す吸血鬼に乗せて3/4絆魂飛行を作り出したり、あるいは《ヘンリカ・ダムナティ》に乗せて4/5絆魂接死飛行にすることで明らかな脅威へと変貌するのに役立つ。
ミシュラランドのサイズを上げ続ける事も可能であり、後引きでも+1/+1カウンターを置く対象に困らないという点は一つの利点と言える。
・《嘘の神、ヴァルキー/星界の騙し屋、ティボルト》2枚
赤の入った両面土地を採用している唯一つの理由。序盤は2マナでピーピングしつつ、相手の脅威となるクリーチャーを奪う。
死亡したら相手の手札に戻るとはいえ、いわゆるブン回りを未然に阻止できる役割は唯一無二と言えるだろう。
7マナのプレインズウォーカーである裏面の存在で、中盤~終盤にトップしても嬉しいカードとなっている。
これを出す頃に《婚礼の発表》や《蜘蛛の女王、ロルス》、あるいは《ヘンリカ・ダムナティ》などでボードコントロールが取れている状況であれば、+2能力を2回起動→-8能力の奥義まで守り切る事は容易だろう。
また、《星界の騙し屋、ティボルト》が着地した際にすぐ処理出来る手段が現在のメタでは少ないという点も追い風だろう。《ゼロ除算》はやめてください。
・《穢れた敵対者》3枚
上記に採用理由を語った通り、白単、緑単に対して後手でも強く出られ、かつ中盤以降に引いても嬉しい1枚としての採用である。
採用枚数こそは3枚だが、2マナだけでなく5、8マナ域にもなるこのカードの増量は十分に検討する余地ありと感じている。
・《消失の詩句》4枚
現在のスタンダード環境でも屈指の除去であり、フル採用。このカードが減るのはコントロール系が隆盛しているか、あるいは多色クリーチャーだらけになった時ぐらいだろう。
死亡誘発なども誘発させないが、無色の土地である《不詳の安息地》には刺さらない点に注意。
強すぎて特筆すべき点があまりない。すごいよこのカード。
▼3マナ枠
・《婚礼の発表/婚礼の祭典》4枚
このデッキのキーカード。これなくしてこのオルゾフミッドレンジは成り立たないと言っても過言ではないだろう。
というのも、1/1人間トークンを最大三体生み出しつつ、最終的に《婚礼の祭典》になりサイズアップする効果はクリーチャーをメインとするデッキ相手に強く出られる。
その一方で、コントロールデッキにも「ニ体以上のクリーチャーで攻撃していた場合、カード1枚を引く」というアドバンテージを得られる能力が非常に強力なのである。
これを嫌って1/1を除去してくれればその時点でカードアドバンテージを得られるし、追加の1/1が出てくる。
裏面の効果も《穢れた敵対者》が3/4、ゾンビも3/3になったり、あるいは《蜘蛛の女王、ロルス》も3/2到達威迫の蜘蛛を二体出すというおぞましい脅威になり得る。
何より《目玉の暴君の住処》《フロスト・ドラゴンの洞窟》のミシュラランドもサイズアップし、全てのカードが脅威となるのだ。
重なれば重なるほど強くなるカード筆頭で、このカードに関しては4枚が固定枠である。《婚礼の発表》→《婚礼の発表》→《婚礼の発表》と三回連続で出せた時点で勝利は約束される。
みんなも《婚礼の発表》、使おう! いや使わないでくれ! 使われたら嫌だ!
・《墓地の侵入者/墓地の大食い》3枚
白単には3/3/3のスタッツに加えて1枚捨てさせる護法が素晴らしく、《粗暴な聖戦士》《スカイクレイブの亡霊》に対して強い。
特にこの2枚は追放するものの、除去すると本体もしくは3/3スピリットが帰ってくるため、白単側からすると非常に嫌らしいカード。
コントロール系には夜になりやすく、3/4/4という驚異的なスペックと対応しようとすれば護法でアドバンテージ損を強いる。
たださえ触りたくないカードなのに、《光輝王の野心家》《婚礼の祭典》でサイズアップして除去を強いる点もポイント。
手札を消耗させる関係上、サイドボードの《真っ白》《侮辱》との相性も非常によく、どのような状況でも一定以上の活躍を見込めるナイスカード。
ただ、《老樹林のトロール》《ウルヴェンワルドの奇異》などを擁する緑単相手にはサイズ負けしやすいのが難点。
・《ペラッカの捕食》1枚
イゼット天啓に対するメイン対策の1枚。《ゼロ除算》《予想外の授かり物》《黄金架のドラゴン》《アールンドの天啓》など、3マナ以上で落としたいものはたくさんある!
サイドのハンデスと含めて7枚体制になる点がとてもよい。
使う暇がなさそうな相手ならさっと土地にしやすいのも長所の一つ。
・《魂の粉砕》1枚
採用理由については先述した通り。
荒地であればミシュラランドも対処できるのが◎。
緑単や《イマースタームの捕食者》に対して特に強く、もし今後環境が変わるようであればこの《魂の粉砕》の増量を検討してもいいだろう。
▼4マナ枠
・《ハグラの噛み殺し》1枚
《消失の詩句》が効かない《不詳の安息地》に対して対処できる除去兼土地。基本的には土地枠だが、中盤以降に引けば除去にもなるという点はありがたい。
特にこのデッキは4マナ域が厚いため、少なくとも4ターン目までは毎ターン土地をセットしたい。
その点でも土地としてカウントできるこのカードは貴重であると言えよう。
土地枠でもあるため、基本的にサイドアウトはしないがそのおかげでイゼット天啓のクリーチャー達に刺さる事もしばしばある。
・《ヘンリカ・ダムナティ/冥府の予見者、ヘンリカ》3枚
ぱっと見では4/1/3飛行という貧弱なスタッツが目につく。戦闘開始前に選ぶモードも悠長で、「そこまで強いか?」というのが第一印象である。
ただ、除去出来る手段が限られているリミテッドではボムの一枚であり、その強さは身に沁みて知っている。
それでも構築で通用するスペックなのか?
通用した。
読めなかった、このリハクの目をもってしても!
というのも、いずれのモードもこのデッキと全て噛み合っているからだ。
各プレイヤーが生贄に捧げるモードも《婚礼の発表》や《蜘蛛の女王、ロルス》で出すトークンがうってつけな生贄先である。
なんなら《穢れた敵対者》等でもいい。相手の《黄金架のドラゴン》などの大型クリーチャーと交換できれば上々だろう。
二番目のカードを1枚引き、1点のライフを失うモードもシンプルながらアドバンテージをもたらしてくれる。
ライフを失うデメリットも《不笑のソリン》やこの《冥府の予見者、ヘンリカ》の絆魂があるし、《食肉鉤虐殺事件》でのライフゲイン要素でカバーできる。
そして三番目の《冥府の予見者、ヘンリカ》へ変身するモード。これで実質4/3/4飛行接死絆魂というスーパースペックに加え、3マナで「飛行や接死や絆魂を持つ全てのクリーチャーが+1/+0の修正を受ける」という能力も持つ。
《冥府の予見者、ヘンリカ》本人のみならず、《穢れた敵対者》、《不笑のソリン》で出す2/3飛行絆魂の吸血鬼トークンも対象となる。なんなら《エドガー・マルコフの棺》で出る1/1絆魂の吸血鬼トークンも対象である。
白単や緑単に対して、ライフが苦しい盤面であれば即変身して4/3/4飛行接死絆魂として使うのもよし。
落ち着いた盤面であれば1ドローでゆっくりしてもよし、《イマースタームの捕食者》などが単体で出ている、あるいは複数いる時には生贄のモードで対処するのもよし。
このように、様々な状況に対応出来る一枚だった。使ってみないと分からない強さであった。
とはいえコントロール相手には1枚抜く事も多々ある。状況次第である。
2枚までは確定でよいと思うが、3枚目はメタや好みが分かれるところかもしれない。
・《不笑のソリン》2枚
基本的に-2能力で2/3飛行絆魂の吸血鬼トークンを出し、その後は+1能力を使用、そこから再度-2能力という運用になる。
2/3というサイズはやや頼りないものの、《光輝王の野心家》《婚礼の祭典》、そして《魅せられた花婿、エドガー》で3/4以上にサイズアップすると一気に頼もしくなる。
+1能力は-2能力で生み出した飛行絆魂で取り戻せるため、基本的にライフロストを受け入れる。土地であれば失わず引けるのがいい。
白単や緑単のアグロ相手には無理に維持せず、-2能力を二回使用するケースが多い。4マナで2/3絆魂飛行を二体と考えれば破格のコストパフォーマンス。
一方でイゼット天啓に対しては《消えゆく希望》や《ドラゴンの火》などで除去されてしまうため、盤面にもよるが+1能力からスタートする場合もある。
・《魅せられた花婿、エドガー/エドガー・マルコフの棺》2枚
4/4/4というシンプルなスタッツに加え、吸血鬼ロードの能力を持つ。
この吸血鬼ロードの対象は《不笑のソリン》から出る吸血鬼トークン、《ヘンリカ・ダムナティ》、そして死亡時に裏返る《エドガー・マルコフの棺》から出る吸血鬼トークンであり、活躍する場面も結構ある。
このカードの真価は死亡時に裏返る《エドガー・マルコフの棺》。
死亡しても1/1絆魂を生み出し、3ターン後には自力で復帰するというボード・アドバンテージを詰め込んだような能力である。
こちらの《食肉鉤虐殺事件》でまとめて一掃した後でもこの《エドガー・マルコフの棺》で盤面を整えることができ、このデッキの粘り強さの源であるカードだ。
現在の環境においてこの《魅せられた花婿、エドガー》に対して回答となり得るものとしては《スカイクレイブの亡霊》ぐらいだろう。《粗暴な聖戦士》も同様に対処できるが、こちらは死亡時に戻ってくる。
追放除去である《悪意の熟達》等で対処できるが、これを採用しているデッキは少ない。あらゆるデッキに対して確実に仕事をこなす4マナクリーチャーと言えるだろう。
▼5マナ枠
・《蜘蛛の女王、ロルス》2枚
-3能力で2/1威迫到達の蜘蛛を二体も出すという点が白眉。
+能力こそ無いが、こちらのクリーチャーが死亡するたびに忠誠カウンターが乗っていく能力は《食肉鉤虐殺事件》との相性もよいし、《婚礼の発表》で出た1/1人間トークンに一つの役割を担わせる事ができる。
-3能力で盤面を固め、0能力で延々とアドバンテージを稼いでいくというのが主な勝ち筋の一つ。
《婚礼の祭典》の恩恵を大きく受けられる点も見逃せない点。3T目で《婚礼の発表》を出し、5T目で《蜘蛛の女王、ロルス》を出すとちょうど裏返り、二体の蜘蛛が3/2威迫到達になる。恐ろしい。
▼7マナ~枠
・《エメリアの呼び声》2枚
基本的に土地枠だが、ボード・アドバンテージを稼ぐことで長引きやすいこのデッキにとってマナフラッドの受け皿となりつつフィニッシャーの役割も担えるこのカードとはマッチする。
このデッキに天使は存在しないため、確実に破壊不能の恩恵を受けられる点がありがたい。《エドガー・マルコフの棺》で絆魂持ちクリーチャーが並んでいたら一気にアタックしてライフを回復できるぞ!
・《食肉鉤虐殺事件》3枚
書いてあることがおかしいカード。これを採用できる事もオルゾフミッドレンジの強みの一つだろう。
こちらのクリーチャーが死亡すると対戦相手のライフを削る能力も《婚礼の発表》《エドガー・マルコフの棺》《蜘蛛の女王、ロルス》等で予想以上に高価を発揮してくれる。
事実、相手のライフを減らしていき、最後にこの《食肉鉤虐殺事件》でこちらのクリーチャーを一掃しトドメを刺すという勝ち方も多かった。
白単を筆頭に、様々なクリーチャーデッキにも刺さるこのカードは是非引きたいカードではあるのだが、4枚はさすがに多すぎると判断し元のリストの3枚に留めた。
決して高すぎるからもう1枚も買いたくなかった訳……でもあるのだが。だって高いんだもん。
▼土地
これについてはミシュラランド以外に特筆すべき点は《星界の騙し屋、ティボルト》を出すために赤を含む両面土地が入っている事ぐらいしかないので省く。
マナベースは黒19、白16、赤8。黒のカードが多いためこのような比率としている。《星界の騙し屋、ティボルト》は7マナかつ2枚しかないため、8枚でも十二分に出る。
・《目玉の暴君の住処》3枚
このオルゾフミッドレンジは黒の比率、特に《ヘンリカ・ダムナティ》《不笑のソリン》《蜘蛛の女王、ロルス》などダブルシンボルが多いため、黒のマナソースであるこれは3枚としている。
《食肉鉤虐殺事件》の後に荒地となった戦場でこのミシュラランドが完走するという事がしばしばある。
3/3威迫というスペックも悪くなく、《婚礼の祭典》や《光輝王の野心家》があればさらに存在感も増す。起動も4マナと程よくマナフラッド受けにもなれるという点がありがたい。
3枚目以降の土地として置くとタップインするデメリットに関しては、2マナ域の多さでカバー可能な範囲内ではある。
・《フロスト・ドラゴンの洞窟》1枚
《目玉の暴君の住処》と同サイクルのミシュラランド。3/4飛行のスペックはすばらしいが、5マナかかるという点は厳しいと言わざるを得ない。
2枚目はいらないと判断し、元のリストからは1枚抜いている。
その一方でやはり飛行の強みは他のミシュラランドにない利点であり、トドメの一撃あるいは飛行クリーチャーへの対処札の一つとして貢献してくれているカードである。
▶Tips:土地の置き方について
上記のミシュラランドが4枚入っている以上、「3枚目以降の土地として置くとタップイン」を意識する必要がある。
逆に3枚目以降の土地として置くとアンタップインする二色ランドこと《砕かれた聖域》が初手にある場合、必ず《砕かれた聖域》から置くようにする。
このデッキはサイドボードの《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》以外に1マナ域が存在しないため、1ターン目に限ればタップインはノーリスクである。
こうすることで《目玉の暴君の住処》と《フロスト・ドラゴンの洞窟》のどちらかを引いても、アンタップインかつ白・黒が出るようになるというわけだ。
《針縁の小道》《荒廃踏みの小道》の赤が出る両面ランドについてだが、赤で置くタイミングとしては5枚目以降が望ましい。
基本的にこのデッキは白が出る土地は2枚あればよい。《エメリアの呼び声》を考えると3枚は欲しいが、それまでマナが伸びている場合は唱えられるマナ基盤となっているだろう。
一方で黒のシンボルが濃いこのデッキは黒が出る土地は3枚は欲しい。
というのも、6マナで《不笑のソリン》もしくは《ヘンリカ・ダムナティ》を出し、《消失の詩句》を構えるという動きが望ましいからだ。
これを踏まえると、赤/白マナである《針縁の小道》を引いた場合、かつ出るマナが「黒黒白白」だった場合は一旦赤の方で置く。これ以上白カウントはいらないからだ。
一方で《荒廃踏みの小道》を引いた場合は手札と相談し、黒で置くか赤で置くかを考えておく必要がある。
《星界の騙し屋、ティボルト》が手札にあるのであれば赤で置くが、それがなく《消失の詩句》と《ヘンリカ・ダムナティ》《不笑のソリン》がありダブルアクションが見込める場合は黒で置く、といった具合だ。
▼サイドボード解説
サイドボードに関して、私は「マナカーブ」まで考慮する事にしている。
可能なら《エメリアのアルコン》と《墓地の侵入者》を両方入れてイゼット天啓絶対殺すマン! になりたいが、そうすると《真っ白》も含めて3マナ域が大渋滞してしまう。
サイドボードは対戦相手に応じてデッキを変えられる革新的なシステムだが、デッキそのもののバランスを考えていかないと逆に弱くなってしまいかねない諸刃の剣となりうる。
マナベースもそうで、このオルゾフミッドレンジは主に黒のカードが多いためそれに合わせたマナベース(黒19白16)にしている。
これに対応してサイドボードも黒が多めとなっており、白のダブルシンボルである《招待制》が1枚しかない理由でもある。
・《強迫》1枚
対コントロールの定番。
墓地をまとめて追放する《真っ白》は強力ではあるのだが、相手が捨てるカードを選べる点、3マナという絶妙な重さがどうしても気になってしまう場面がしばしばあった。そのため3枚の内1枚をこの《強迫》に差し替えた。
やはり1マナのアクションが行える《強迫》の方が小回りも効きやすく、前方確認からのアクションも取れる点が優秀に感じた。《侮辱》1枚を《強迫》に差し替えるかもしれない。
一方でクリーチャーが追放出来ないデメリットも無視できないものである。《思考囲い》をスタンダードにください。だめ? そんなー
・《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》2枚
対白単の最終兵器。ほぼ専用サイドボードではあるものの、白のクリーチャーが入ったデッキなら大体入る。
-4/-4の修正が非常に頼もしく、《輝かしい聖騎士、エーデリン》に対しても対処可能な点がポイント。《スレイベンの守護者、サリア》がいても2マナで打てる点もうれしい。
もし白単がトップメタになったら殺意を込めてこれを4枚に増量します。
・《侮辱》3枚
主にイゼット天啓を筆頭としたコントロール系にサイドインするカード。
ハンデスの定石のひとつに「早い段階で打たない」事にある。この《侮辱》はクリーチャーがいる状態で打ちたいため、そういった意味ではマッチしていると言える。
《強迫》との差別点はやはりクリーチャーも落とせる点で、メタの移り変わりによって枚数が変わっていく枠。
ただでは死なない《墓地の侵入者》に乗せられると最善だが、《穢れた敵対者》あたりに乗せても3点火力で死ななくなるので面白いかもしれない。
・《真っ白》2枚
《侮辱》と同じく主にコントロール系相手にサイドインするカード。
墓地を利用するデッキが増えた事で、墓地を全て追放する点を買われて採用されるようになったカード。
このカードの在庫が無く、探し回った末に親切な方に2枚いただいた。この場を借りて改めてお礼を申し上げます。
《侮辱》《強迫》との兼ね合いで2枚。《墓地の侵入者》を筆頭に脅威を次々と繰り出して消耗させ、手札が2枚になったところで打ちたいところ。
・《魂の粉砕》2枚
主に緑単、ジャンドトレジャー等のクリーチャーデッキにサイドイン。
白単には入らなかったりするが、4マナの対処しづらい飛行である《軍団の天使》が見えたらインしたい。
呪禁や破壊不能が通用しない布告除去はありがたいが、同じマナコストが複数存在していた場合は相手に選択権があるデメリットを忘れないようにしたい。
可能であれば《消失の詩句》などで対処し、《魂の粉砕》の効果が最大限発揮できるよう誘導していきたい。
・《危難の道》2枚
いわゆるラス枠としてクリーチャーデッキ全般にサイドインする。
2マナ以下が多い白単に強く、緑単に対しても《エシカの戦車》《レンジャー・クラス》などでトークンが並ぶため、2マナ以下を破壊する効果も一定の効果が見込める。
《招待制》との兼ね合いについてはメタに応じて変わっていくだろう。白単が増えるようであればこちらの方に軍配が上がる。
私のラダーでは白単が多かったため、こちらを2枚にしている。
・《悪意の熟達》2枚
主に緑単、ジャンドトレジャー等のクリーチャーデッキにサイドインするが、白単には4マナの単体除去という点が足を引っ張るためサイドインしない。
条件なしの追放除去という点が強みであり、《消失の詩句》では対応できない《魅せられた花婿、エドガー》《イマースタームの捕食者》、そして無色のミシュラランドである《不詳の安息地》等に対する回答となる。
《老樹林のトロール》に対しても効果的なのが○。
いざという時は2マナで打てるが、1ドローのデメリットは大きいため「ここで打たなければいけない」もしくは「1枚のドローがあまりデメリットにならない場面」で打ちたいところ。
後者の例だと、アドバンテージを取り戻せる《不笑のソリン》《蜘蛛の女王、ロルス》が着地するのに安全な盤面を作り出すといった例が考えられるだろう。
・《招待制》1枚
主にクリーチャーデッキにサイドイン。
白単に対しても《傑士の神、レーデイン》に引っかかるのはデメリットではあるものの、追加のラス枠としてサイドインする。
強みについては先述した通り。
こちらのクリーチャーの方が多いという盤面を作りやすいこのデッキにおいて、《招待制》はフィニッシャーとしての役割を担う事ができる。
《絶滅の契機》と同じく、唱えた際に相手の対応がなければ指定した数でスタックを挟まずに生贄に捧げる。相手がミシュラランド等の対応をしなければ、その場にあるクリーチャーだけを考慮するだけでよい事を覚えておくとよいだろう。
▼サイドボードプラン
vs白単
in
《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》2枚
《危難の道》2枚
《招待制》1枚
out
《光輝王の野心家》1枚
《魅せられた花婿、エドガー》1枚
《魂の粉砕》1枚
《ペラッカの捕食》1枚
《エメリアの呼び声》1枚
3マナクリーチャーが並び相手に選択権がある《魂の粉砕》、序盤を凌げばよいマッチアップであるので《エメリアの呼び声》1枚と《ペラッカの捕食》を抜く。
《スカイクレイブの亡霊》で対処されてしまう《魅せられた花婿、エドガー》を1枚、後は《光輝王の野心家》を1枚。先手であれば《嘘の神、ヴァルキー》1枚でもよいだろう。
土地数は《ハグラの噛み殺し》含めて25枚なので十分。
《消失の詩句》がとにかく強いマッチアップ。
《穢れた敵対者》《婚礼の発表》《墓地の侵入者》で地上を固めつつ、飛行には《ヘンリカ・ダムナティ》《不笑のソリン》の飛行クリーチャー、《消失の詩句》《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》の除去で対処したい。
《危難の道》《招待制》《食肉鉤虐殺事件》と有効な各種ラスがあり、これらを使うまで時間を稼ぎやすい構成であるので、有利と言えるだろう。
サイド後は《ガーディアン・オヴ・フェイス》を必ず入れてくるため、3マナ立っている場合はしっかりケアしよう。
vs緑単
in
《魂の粉砕》2枚
《危難の道》2枚
《悪意の熟達》2枚
《招待制》1枚
out
《墓地の侵入者》3枚
《光輝王の野心家》4枚
単純にサイズ負けしてしまう《墓地の侵入者》を全抜き。
先手以外の《光輝王の野心家》は弱いマッチアップと感じたため、アウトしている。
ただし先手であれば2Tで出す《光輝王の野心家》は非常に強いため、残すというプランも考慮できる。
その場合は同じ役割を担う《危難の道》《招待制》が増える上、サイズが大きく処理しづらい《食肉鉤虐殺事件》。
あるいはトランプルが多く1/1のチャンプブロックがあまり期待できず、かつ《辺境地の罠外し》をサイドインしてくるため《婚礼の発表》などを抜く形になるだろう。
ゲームプランとしては《消失の詩句》《魂の粉砕》《悪意の熟達》などで除去コントロールとして振る舞う。
相手のマナが完全に寝ている状態であれば、メインから《消失の詩句》を《老樹林のトロール》に打つなど《蛇皮のヴェール》をケアする立ち回りをする。
相手の《吹雪の乱闘》《豊穣の碑文》には除去を合わせたい。このケースの場合、《悪意の熟達》を最悪2マナで打ってもいい。
4/4である《魅せられた花婿、エドガー》が頼もしいマッチアップでは3るが、サイドインしてくる《辺境地の罠外し》《絡み罠》で裏面を壊される点には留意したい。
vsイゼット天啓
in
《侮辱》3枚
《真っ白》2枚
《強迫》1枚
out
《食肉鉤虐殺事件》3枚
《嘘の神、ヴァルキー》2枚
《消失の詩句》1枚 or 《ヘンリカ・ダムナティ》1枚
《アールンドの天啓》《家の焼き払い》以外に効果がほとんどない《食肉鉤虐殺事件》は真っ先に抜ける。
《嘘の神、ヴァルキー》も《棘平原の危険》《燃えがら地獄》で死ぬ上、裏面の《星界の騙し屋、ティボルト》も《ゼロ除算》で対応されたり、あるいは返しに《アールンドの天啓》をされたりと散々なマッチアップであるため2枚全て抜く。
コントロール相手には腐りがちな除去である《消失の詩句》だが、《くすぶる卵》や《黄金架のドラゴン》といったクリーチャープランを取ってくる事が多いため、1枚のみ抜く事にしている。
このクリーチャープランで生物が多いことが分かっている場合、イゼット天啓にはあまり効果的とは言えない《ヘンリカ・ダムナティ》を1枚抜く。
《消失の詩句》で相手の《くすぶる卵》《黄金架のドラゴン》等を除去しつつ、殴りきっていこう。
ゲームプランとしては前のめりなアグロとして振る舞う。
ハンデスで脅威を落とし、《墓地の侵入者》で殴り切る事がゴール。
vsディミーアコントロール
in
《侮辱》3枚
《真っ白》3枚
《魂の粉砕》1枚
out
《食肉鉤虐殺事件》3枚
《光輝王の野心家》4枚
《消えゆく希望》《冥府の掌握》《血の長の渇き》等でサイズに関係なく処理してくるため、《光輝王の野心家》は全抜きする。
当然ながら《食肉鉤虐殺事件》にはお帰り頂いて、空いた枠は《セッジムーアの魔女》《溺神の信奉者、リーア》《船砕きの怪物》などのフィニッシャーを考慮し、《魂の粉砕》を1枚入れる。
ゲームプランとしてはハンデスしつつ《墓地の侵入者》を大暴れさせる。時間制限があるイゼット天啓とは異なり、長期戦上等なのでアドバンテージを稼ぐ事を意識していく。
基本的には有利なマッチアップ。相手のフィニッシャーに対しては《消失の詩句》《魂の粉砕》等で対処可能であり、《不笑のソリン》《蜘蛛の女王、ロルス》でアドバンテージを稼ぐ事ができる。
《魅せられた花婿、エドガー》に対して明確な回答を持たないのも一つの強み。4点のクロックを嫌って除去を切ってくれれば、1/1絆魂を生み出しつつ復帰するこの存在は悪夢そのものだろう。
▼目の見えないプレインズウォーカーとの邂逅
さて、一番はじめに記載した通り、決勝ラウンドの初戦で目の見えない方と対戦することに。
これに辺り、ヘッドジャッジから「ジャッジが間に立ち、あなたとは筆談で会話→目の見えない方に声で伝え、目の見えない方とは声で会話→あなたに筆談で伝えるという形でコミュニケーションを取る方法でやります」とご説明いただいた。
先手後手などのいくつかの確認を行い、いざ勝負。
・1戦目
《婚礼の発表》から相手の猛攻をチャンプし続け、相手が並んだところに《食肉鉤虐殺事件》X=2で荒地に。
その後に2枚目の《婚礼の発表》→3枚目の《婚礼の発表》と出し、3/3が5体並んだところでサレンダー。
この1戦目でコミュニケーションにズレもなく、驚くほど違和感なくプレイできることを確認できた。
お互いに確認を密にしながらやり取りを行ったぐらいだろうか。
・2戦目
2ターン目で《スレイベンの守護者、サリア》に対してこちらは《嘘の神、ヴァルキー》。
ハンドは《光輝王の野心家》《輝かしい聖戦士、エーデリン》《堕ちたる者の案内者》《冠雪の平地》《粗暴な聖戦士》。
こちらのハンドには《食肉鉤虐殺事件》があり、かつ単体除去がなかったためサイズアップされる《光輝王の野心家》を指定。
《墓地の侵入者》《穢れた敵対者》等で盤面が止まったところで《精鋭呪文縛り》、指定は《食肉鉤虐殺事件》かと思いきや《婚礼の発表》。
相手から判明している土地はハンド含め4枚で、盤面が止まるのを嫌った形だろうか? と思いきや、その後に《剛胆な敵対者》で2マナを支払い《食肉鉤虐殺事件》X=1の射程圏外に。
X=2で打とうにも《スレイベンの守護者、サリア》で唱えられない。なるほど。
その後はこちらの土地が4枚で止まり続ける。
相手が《嘘の神、ヴァルキー》で分かっているはずの《粗暴な聖戦士》を出さず、3マナを立て続けてきたので《ガーディアン・オヴ・フェイス》を引いていると確信。
ここまで読んで《婚礼の発表》を追放し、《食肉鉤虐殺事件》を使わせるように誘い込んだと気付き、「こりゃ相当うまいな」と心の中で褒めた。
ならば《消失の詩句》などの除去を引き、《精鋭呪文縛り》さえ処理できれば相手は3マナを使えない分こちらのほうが有利のはず。ここは辛抱の時。
しかしながら土地を引けず、単体除去も引けず。
《精鋭呪文縛り》のクロックでライフが16、12、と減らされたところでようやく5枚目の土地。
他にアクションもなく、やむを得ず《食肉鉤虐殺事件》をX=2で唱えるも当然ながら《ガーディアン・オヴ・フェイス》。ここまでは予定調和。
次のドローで二枚目の《食肉鉤虐殺事件》か単体除去を期待するものの来ず、敗北。
・3戦目
《冠雪の平地》から《堕ちたる者の案内者》。
こちらの先手2ターン目で《嘘の神、ヴァルキー》を出したところ、《スレイベンの守護者、サリア》《光輝王の野心家》《光輝王の野心家》《剛胆な敵対者》《ガーディアン・オヴ・フェイス》《不詳の安息地》。
うわ、と思わず口に出した。
見た目では土地が2枚で止まっているとはいえ、なかなかエグいハンドだ……!
こちらには《婚礼の発表》《食肉鉤虐殺事件》があるので、《スレイベンの守護者、サリア》を指定。案の定《光輝王の野心家》が出てくる。
《嘘の神、ヴァルキー》で3/2となった《堕ちたる者の案内者》と相打ち。二体目の《光輝王の野心家》が出てきたところに《食肉鉤虐殺事件》で何とか片方を処理。
その後は《婚礼の発表》を設置、チャンプしつつ《穢れた敵対者》が着地し、何とかしのげるかといったところ。
ここで3枚目の土地である2枚目の《不詳の安息地》と共に出てきたのは飛行の《精鋭呪文縛り》!
こちらの土地は4枚であったが、《蜘蛛の女王、ロルス》が追放されてしまい唱えられなくなってしまう。
《光輝王の野心家》で《精鋭呪文縛り》に+1/+1が乗る。こちらも《墓地の侵入者》を出してドレインしこちらのライフが20、相手のライフが16に。
ここでさらに追加の《精鋭呪文縛り》。手札は1枚の土地のみだが、止められない飛行クロックの追加はつらい。
最初に出した《精鋭呪文縛り》に追加の+1/+1が乗り、アタックで20点あったライフが15。
こちらも負けじと《婚礼の祭典》で強化された《墓地の侵入者》で果敢に攻めていき、ドレインによりこちらのライフが16。
もともと1/1人間トークンのチャンプと《食肉鉤虐殺事件》で減っていた相手のライフが11に。
次ターンでもう片方の《精鋭呪文縛り》に+1/+1カウンターが乗り、5+4の9点! こちらのライフが16→7になり、さらに飛行のクロックである《傑士の神、レーデイン》まで出てきたことで風前の灯火。
《精鋭呪文縛り》によって追放された《蜘蛛の女王、ロルス》が9マナになってしまい、もはやこのゲームでは唱えられないだろう。
ここでトップが《消失の詩句》!
《墓地の侵入者》の攻撃誘発でクリーチャーを追放し1点ドレイン、《光輝王の野心家》でチャンプしてきたことにより《食肉鉤虐殺事件》で1点回復しこちらのライフが7→9。
《穢れた敵対者》のアタックが通り相手のライフが11→10→7。
次ターン、相手のフルアタックに対して5/3の《精鋭呪文縛り》に《消失の詩句》。何とか1ターン延命するも、ライフは残りわずか3点。
最後に《スレイベンの守護者、サリア》を出し相手がエンド。
祈りながらトップを見ると……《危難の道》。
デッキは勝ちたがっているようだ。
相手の土地も《スレイベンの守護者、サリア》によってタップしており《ガーディアン・オヴ・フェイス》は出せない。白カウントも1のみだ。
しかし土地は6枚、《スレイベンの守護者、サリア》によって7マナになるため唱えられない! 《剛胆な敵対者》であれば流せたというのに!
通常のモード、つまり2マナ以下のクリーチャーを全て破壊する方で唱えるしかないのだが、盤面はこのような形となっている。
5/5となった《墓地の大食い》はマストブロック。そうすると相手のクリーチャーは死亡するため、《食肉鉤虐殺事件》で1点ゲイン。さらに墓地の《光輝王の野心家》で1点ドレイン。こちらのライフは3→5になる。
ここまでは確定路線で、3/4の《穢れた敵対者》と2/2の人間トークンをどうするかという形になる。《傑士の神、レーデイン》で2/2の人間をブロックすれば《食肉鉤虐殺事件》により1点ロスト、《穢れた敵対者》が通り3点で相手のライフは残り3。
こうなると《危難の道》を打っても《穢れた敵対者》の1点ロストで相手は死ななず、こちらのライフも5→6になり2/3の《傑士の神、レーデイン》4/2の《精鋭呪文縛り》で合計6点で敗北してしまう。
だが、相手はこちらが《危難の道》であることは知らない。つまり「マストブロックの《墓地の大食い》のみ《スレイベンの守護者、サリア》でブロック、後は通しで残り1点残し」もありえるのではないか。
こうして悩み抜いた末にフルアタック。
その結果は……《墓地の大食い》のみ《スレイベンの守護者、サリア》でブロック! 相手のライフは残り1となった。
《危難の道》を《スレイベレンの守護者、サリア》込みで4マナで唱え、《穢れた敵対者》と人間トークンを死亡させ《食肉鉤虐殺事件》の誘発で2点。
最後のライフ1を削りきり、皮一枚の差で勝利となった。
このゲームのMVPは《墓地の侵入者》。
これ1枚でライフを6点ほど回復し、相手のライフを削ってくれた。
私がこれまで経験してきたMTGの試合の中でも個人的なベストバウトに入るほどの試合だった。
耳が聞こえず、視覚でしか情報を得られない者。
目が見えず、聴覚でしか情報を得られない者。
この相反する障害を持つもの同士の試合で、これほどの試合を繰り広げられた事を私は忘れることはないだろう。
「トップが強すぎました」「そちらも2ゲーム目、とても上手でした」といった感想戦を経て、「また当たることがあれば対戦よろしくお願いします」とお互いに固く握手し合った。
対戦相手、そしてご協力いただいた晴れる屋トーナメントセンターのジャッジの方々へこの場を借りて感謝とお礼を申し上げる。
ありがとうございました。
さて、以上でこの記事は終わりだ。何か疑問点や質問点などがあれば私のTwitterアカウント(@enzyutuheika)等で声をかけていただきたい。
ここまで読んでいただいた方々に感謝の意を。
最後にお約束とも言えるこの台詞で締めようと思う。
「当記事の閲覧は無料です。必ずご寄付を。」
了