Twitterのあんたがたに挑戦します2020GW後記
はじめに
このnoteは2020/04/29〜2020/05/08まで開催された、「Twitterのあんたがたに挑戦します2020GW」というイベントのメインGM(主催者)の後記です。全てのログはtogetterにまとめられているようです。#atgt2020gw というTwitterのタグ検索でもログを追えますが、尋常じゃない長さのログです。ご注意を。
「Twitterのあんたがたに挑戦します」とは?
この後記を開いているような方々には説明不要かと思いますが、元々は2chのVIP板で2005年に開催された、「VIPPERのあんたがたに挑戦します」というイベントがきっかけでN番煎じの同様のイベントが数十にまで開催されていました。現在では僕がTwitterを舞台に、年に1度か2度、開催しています。ルールは単純で、
1. 8桁のパスワードをメモし、財布を持ってセブンイレブンへ。
2. コピー機で「ネットプリント」を選択し、パスワードを入力して問題を印刷。
3. 印刷された問題を解いて現地を突き止める。
4. 現地でパスワードが書かれたガムテープを探す。
5. 1~4を繰り返し、ゴールを目指す。
というものです。例年行われているルールはそうでした。と、いうことは今回は違うルールだったのです。なぜかというと、緊急事態宣言が発令されるようなご時世に、感染症のリスクをGMにも、プレイヤーであるあんたがたにも、背負わせる訳にはいかなかったのです。
LINEを使った現地突撃システム
「あんたがた」では、主催者側をGM(ゲームマスター)と呼んでいます。そのゲームマスターを集め出したのは3/14でした。何故そのタイミングで集めたかというと、たぶん暇だったからだと思います。
そして、結果的にはGMは51人になりました。基本的に応募して下さった方をお断りすることは、僕はありません。各問題については、いつも3人1組のチームで取り掛かってもらっています。一人は主に現地にガムテを貼る人、残りの二人は主に作問です。「主に」というのは、チーム内なら作問にどれだけ手を出してもらってもかまわない、という考えだからです。3月の三連休くらいまでは、その仕組みでいいかな〜と思っていた所、3月末になり、「現地」という物理的なハードルが非常に高くなってしまいました。数人でボイスチャットで会議を行い、「やる」か「やらない」という議論をしていました。議事録が残っているわけではないので、自分の記憶を頼りにその時のやりとりを思い出すと、「現地までの道のりの検索結果を勇者(現地に突撃する人)にツイートしてもらって、GMがそれを確認して、現地が正しく、その経路時間がたつと、GMがパスワードをつぶやく」みたいな話をしていた所に、LINEで各個人の位置情報登録して、現地はwhat3wordsで3つの単語を入れて判定して、あとは都道府県ごとに待機時間を設定しておけばいいんじゃないか、と僕が提案しました。結果的に実装したものは、それプラス経路情報を使う仕様でした。これが決まったのは4/1のことでした。
メインGMとしては、各チームの進捗確認や、50人も人が集まれば当然起こりうる様々な人間関係的問題を解決する仕事が発生します。大体のチームにおいて、予定通りに事が進む方が珍しいのです。また、僕の場合は本業がITエンジニアなので、スプレッドシートの情報を元にエンドロールを生成するシステムを作ったり、解説wordpressの設定、そして最後の問題を考えたりする必要がありました。それに追加してLINEのシステムを開発する必要があったので、その開発を優先順位を一番上にして、進捗確認や、複数箇所受け持っていた自分の作問担当を代わってもらったりしました。リモートで仕事して、ノートPCを閉じて、自分のPCを開いて、コードをガリガリ書きつつ、50人の様子をみつつ、気がつけば深夜1時、みたいな生活を過ごして、LINEで突撃するシステムが完成したのは4/26でした。開催まで残り3日。モチベーションの波がなければもっと早く完成したよなぁと思います。
開催日(4/29)前後
まずラス問の話をします。今回はガムテパスが自由に設定できるので、そこにラス問の仕込みをすることは、LINEのシステムを構想した段階で決まっていました。そして、高輪ゲートウェイ駅は今年っぽくていいよなぁと思っていたので、最終現地も高輪ゲートウェイ駅というのも決まっていました。そして、GMの一人である epoch_maker さんが、高輪ゲートウェイ駅構内に ありがとう・きゅうじつ・しごと という奇跡的なwhat3wordsを発見したので、ラスト現地はそこで確定していました。なぜ奇跡的かというと、僕がメインのあんたがたでは、最終的にエンドロールのURLにたどり着きます。今回は arigatou.kyuujitsu.work でしたが、.workという格安のドメインを使えることと、「ありがとう」から始まるしそれっぽいと思ったのです。じゃあ休日って何かに使えないかなと考え、たどり着いたのが世界の祝日でした。Jetroのwebサイトで世界の祝日を網羅的に調べられることと、国コードというものがISO規格にて定められているので、これを使おうというアイデアは出ていました。問題は、開催日の4/29に至るまで、アイデアで止まっていたことです。ラス問の問題用紙はさておき、国コードと祝日のデータを使ってネプリパスを作成していたのは4/29の午前2時頃だったかと思います。一旦作成がおわり、再度チェックした時に、「あーこれ初手で間違った文字を拾うけど、がんばれば文章にできるなー」ということに気付き、ボイスチャットで連立水平思考ウミガメの詰めをしていた3人に声をかけて、一緒に考えてくれんかとお願いし、「もういちどかんがえなおして」というダミー文字列をkaialex22 さんが捻り出してくれました。そこから一時間くらいかけて再度パスワードを作成し、データベースに登録できたのは日が昇った頃でした。
12時のイベント開始ぎりぎりまで、データのチェックを行い、LINEのシステムがちゃんと稼働するか見守っていました。1匁が解けるまで予想以上の時間がかかりましたが、what3words・プレイヤーの位置情報・googleの経路探索APIを連携したシステムが、公式アカウントからパスワード発見をツイートし、同時に勇者にパスワードをメッセージでちゃんと報せているのを確認して、ひとまず安心しました。「ひとまず」というのは、このLINEで構築したシステムがイベント終了まで安定稼働しないといけないからです。
このシステムの仕様についてちょっと触れると、登録したプレイヤーの位置情報からwhat3wordsの位置まで、google mapの経路情報(車で移動した場合の経路。何故か日本はAPIで交通機関の情報が取れない。)の所要時間をベースに、各都道府県の人口密度を元にした倍率をかけて、所要時間を長くしたり短くしたりしました。また、同様に都道府県の人口密度を元に、「最低限これだけ近くないといけない所要時間」も設定しました。例えば東京だと30分以内、一方で北海道だと8時間以内です。近いのに突撃できなかった!というのはおそらくgoogle mapの経路情報が遠回りをするようになっていたんじゃないかと思います。APIで取得できる情報は、web画面での検索結果とかなり解離があったので、ロジックが違うんだろうなと考えています。
完走した感想
自分たちが今、提供できるあんたがたを作りあげることができたな、と思います。「あんたがた」という冠がある以上は、初代のルールに則って開催されるべきですが、そこに茶々を入れない初代GMあめちゃんは偉いな、と思います。
さて、ものづくりをする人間というのは喉元すぎればその辛さをサクっと忘れてしまう生き物です。という訳で僕は次の企画をはじめました。今度は謎解きです。
最近はどこの団体からも出てきていますが、プログラムを用いた制限時間付きのLINE謎解きを去年夏から提供していました。(ゴールに使用していた電話回線維持費が馬鹿にならなくて)第一弾の提供を終了させ、次回作の制作を考えていたのですが、新型コロナ感染拡大防止の外出自粛に伴って、雨後の筍のようにプログラムを用いたLINE謎が溢れる中、もっと面白いものが提供できるのではないかと思い、零狐春様が毎年開催されているようなトーナメント戦をやってみたくて企画しました。死ぬ気で実装がんばるのでよろしくどうぞ!