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「週刊プラグインレビュー」Soundtheory / Kraftur

いよいよもって梅雨・・そして夏・・・という時期がやってきましたね。
例年僕はこの時期、皆がテンション上がる一方で下がっています。
スタジオの湿度管理が大変なんですよね笑

僕個人の近況は~~~というと、ありがたいことに繁忙期を迎え、新しい家への引っ越しもきまり大変バタバタしております。
歴史的な円安が進んでいるので、こういったコンテンツを作っておきながら言うことではないのですが・・・。
やはり、円で体験を買っていくのは費用対効果が良いと思います。

ですので、皆さまにおかれましても、今は無理は禁物かなと。
円も株も、総悲観に次ぐ総悲観が出た結果、ロジックと直近の実績を置いてきぼりにして一気に逆転する瞬間があります。
それがいつなのかはわかりませんが、今は堅実に立ち回るようにすると良いでしょう。自戒も兼ねて、あえて書いておきます。

さて、今回はSoundtheoryから出た話題の新作Krafturについてレビューしていきたいと思います!
実際に最近の仕事でトライ&エラーを繰り返したので、辛口気味ではありますが、それだけポテンシャルを秘めているということでご理解いただけたら嬉しいです。

では、今回もやっていきます!
プラグインレビュー!!

Krafturとは?

KrafturはSoundtheoryが出してきた、マルチバンドソフトクリッパーだ。
AIを使っていない、独自哲学のオートマティックEQのGullfossを出してきたメーカーで、各方面からの期待値が非常に高い。

ミックスのダイナミクスを保ちながら、ラウドネスを高めるためにこの設計をしたとのことのようで、元々はマスタリング用途として制作をしたが、個別のボーカルやドラムなどのMIXでの要素にも使いやすいようにつくられている。

特徴としては、独自のDSP手法を用いて、従来のソフトクリッピングで発生するアーティファクトを避けるためのアルゴリズムを積んでいるとのこと。

個人的には、Soudtheory自体はかなり思想が強いメーカーであるようにお見受けしていて、その思想がハマったときの強さは代えがたいものがあるように感じている。今回もそんな感じの印象だ。

機能面

では、そんなKrafturの機能についてひとつづつ見ていこう。

各パラメーターについて
パラメーター操作はドラッグ&ドロップか、ボタンで行うように設計されている。気の利いていることに、数値ボックスをダブルクリックで直接数値を指定して入力をすることができ、Shift+ドラッグで微調整が出来る。
また、各種スライダーについてはダブルクリックでデフォルトの値にリセットできる。

MIX&マルチバンド

三角形コントロールで各プロセッサとドライ信号のバランスを調整する。水平移動でシングル/マルチバンドバランス、垂直移動で処理/未処理信号バランスを操作する。

各種スライダーについて


ドライブ
入力レベルを調整する。上げるとラウドネス増加、サチュレーション発生の可能性がある。ドライ信号レベルには影響しない。

OFFSET&KNEE
伝達曲線の形状の調整をする。
それぞれのパラメーターの数値を上げることで、曲線の”やわらかさ”を足していくことが出来る。
オフセットは広範囲に、ニーはサチュレーション領域周辺に作用するようにできていて、グラフ上でも調整可能だ。

LOW、MID、HIGH SHIFT
マルチバンドモードで各バンドの伝達曲線の位置を調整する。
鎖マークをクリックすると全バンドを同期して操作ができる。
曲線を直接ドラッグをしても操作が可能だ。


プラグイン上部の項目

プラグイン上部のコントロールについて

バンドソロ
各バンドの□マークを押すと、そのバンドだけをソロにして聞くことができる。

バンド周波数
クロスオーバーをどこに設定するか?を周波数指定で調整できる。

MATCH
処理をバイパスした信号のラウドネスに合わせて音量を出力する。
ドライブでプッシュしているとき、かなり音量がDryWetで変わってしまうのでこのボタンは重宝する。

右部メーター類について

CLIP
0dBFS以上の信号をクリッピングで制御をする。
これはマルチバンドやドライ信号を組み合わせると0dBFSを超えてしまうことがあるため・・とのこと。

CEIL
クリップシーリングのこと。
出力信号の上限を設定して、ヘッドルームを確保するのに使う。

OUTPUT
出力ゲインを調整するノブだが、このゲイン自体はCLIPによって制御される前に適用されるので、2段目のドライヴとして活用することができる。
ただし、マッチやバイパスが有効になっているとこの機能は自動的にOFFになる。

このようによくよく読んでみると・・・
ドライブ→マルチバンドソフトクリッパー→アウトプット→クリッパー
といった、やや変則てきな信号の流れになっているようだ。


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検証してみる

かなり複合的につくられているので一つ一つの要素について検証していく。

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