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「週刊プラグインレビュー」Pulsar / Poseidon

今月3記事目の記事になります!
前回、DATAMIXについて書いたものの、全然あれ、EQ as Faderじゃなかったな・・・(まぁ、それが良いんだけど)と感じたので、今度こそEQ as FaderであろうPoseidonについてご紹介できればと思います笑

それでは、今回もやっていきます!
プラグインレビュー!

Pulsar Poseidonとは?

Pulsarは高品質なモデリングが特徴のメーカーで、Vari-MuやMassive Passiveの超似ている作品を輩出した実績がある。

プラグイン業界で15年以上勤めて、さらなる品質要件を求めて独立して起こした会社ということで、基本的には間違いないチョイスを提供しているように思う。

で、そんなPulsarが出してきたのが、TridentAコンソールのモデリングのPoseidonだ。

Tridentのコンソール自体をそもそも知らない読者の方もいらっしゃると思うので、ざっくりと説明をしておくと・・・。

Trident A-Rangeコンソール自体は、1971年に制作されたコンソールだ。
13台しか製造されなかったにもかかわらず、まさしく前回のDATAMIXと同様数々の名盤を世に送り出していることで、伝説として語り継がれている。

EAST WETST STUDIOのstudio 3で使われていたり・・
ハリウッドのチェロキースタジオで使われたことによって、数々の名盤の音がこのA-Rangeコンソールを通ってリリースされている。

詳しくは、TridentのHPから歴史を確認することができるので、興味がある方は是非。

説明書の冒頭の紹介も引用しておきたい。

Trident A-Rangeコンソールを知らないエンジニアがいるでしょうか?わずか13台しか製造されなかったこの伝説的なスタジオ機器は、アナログ録音の黄金時代を象徴する存在です。4バンドのイコライザーは、その音楽性で知られ、上下のミッドバンドにインダクターを採用することで特徴的なサウンドを生み出しています。ミッドバンド用のピーキングフィルターと、高低域用のシェルフフィルターを備えたEQセクションは、広範な調整と緻密な調整の両方が可能で、その動作には独特の相互依存性があります。A-Range EQのもう一つのユニークな特徴は、回転式ポテンショメーターの代わりにフェーダーを使用してレベル調整を行うことで、ゲインの加減量を視覚的にフィードバックできることです。

A-Rangeコンソールは、多くの象徴的な録音の中心的存在でした。デヴィッド・ボウイ、クイーン、エルトン・ジョン、メタリカなど、その優れたEQによって形作られた楽曲を録音したアーティストは数多くいます。プロデューサーやエンジニアたちは、ミックスの中で際立つ温かみのあるパンチの効いたサウンドを作り出せる能力から、A-Rangeを求め続けてきました。このコンソールのプリアンプとEQは音楽業界に消えることのない足跡を残し、比類のないアナログ機器のサウンドを重視する人々にとって垂涎の的となっています。Trident A-Rangeコンソールは単なる歴史的な機器ではなく、今日も音楽制作に影響を与え続けるアート作品なのです。

現在でも、この象徴的なEQのカラーとイコライゼーションカーブは非常に人気があります。しかし、その特徴的なカーブとバンド間の相互作用には代償があります:設定の調整が難しく予測不可能なのです。これまでのところ、デジタルで再現されたものでこの問題に適切に対処できたものはないと考え、私たちは理想的なエミュレーションを作ることを決意しました - オリジナルの魅力を維持しながら、現代の音楽制作の文脈で使いやすく、より緩やかな学習曲線を持つよう、適切な修正を加えたものです。

Pulsar Poseidonでは、EQカーブの視覚的な表示によってバンド間の相互作用を分かりやすくし、各コントロールが全体的なサウンドをどのように形作るかを明確に理解できるようにしています。さらに、オリジナルEQの内部サチュレーションと象徴的な出力トランスフォーマーを正確にエミュレートするだけでなく、代替モード、mid/side機能、自動ゲイン補正などで音響の可能性を拡張しています。最終的に、私たちは歴史に名を残したこの機器を現代のワークフローに導入することで、その功績を讃えています。

説明書より

エンジニアリングが好きな人だと、使ったことはなくても、その音を聞いたことないほうがオカシイ・・ぐらいの定番の音という感じである。

そんな元ネタのA-Rangeに対して、Pulsar流の現代で使いやすい以下の改良を加えたのがPoseidonということらしい。

連続ノブでの周波数調整と可変幅の拡張

スペアナ上でのカーヴ変更

M/S、ゲインスケール、AutoGain機能

オリジナルユニット、独自のSATと2つのトランスの切替

バンド間相互作用の綿密なモデリング

さて、そんなPoseidonの機能面について見ていこう。

機能面

大体見れば分かると思うんで、一応説明しておいたほうが良さそうなところだけざっくりと書いていく。

ドライブセクション
ドライブセクションは、ドライブノブ、ドライブLED、3つのサチュレーションモードボタンで構成されている。

ドライブノブ
ドライブノブは、モデル化された電子部品による入力段階および/または追加されたトランスフォーマー段階での歪みの量を調整する。ドライブを上げることは、アナログイコライザーの入力レベルを上げることと同じ効果があるが、ゲイン補正が自動的に行われるため、ドライブノブは歪み効果のみを増加させることが出来る。
※サチュレーションモードとトランスフォーマーモードの両方がOffに設定されていると、ドライブノブは効果を実質的に持たない。

サチュレーションモード
サチュレーションモードボタンでは、エミュレートするアナログ歪み回路を選択することができる。

最上部のモード(三叉矛に似たギリシャ文字Phiで表示)は、このプラグインの元となったコンソールのアナログ回路を忠実にエミュレートし、比較的柔らかい歪みを生成する。

2番目のモード(Pulsarロゴのシンボル)は、このEQ用に設計したオリジナル回路で、より現代的でアグレッシブな特性を持つ。

最後の下部ボタンはサチュレーションを無効にする。

ドライブLED
ドライブLEDは、選択されたサチュレーションモードによって生成される歪みの量を示している。

出力トランスフォーマー
Trident A-Rangeコンソールチャンネルはクリーンな入力トランスフォーマーを備えていたが、回路設計に専用の出力トランスフォーマーは搭載されていなかった。
Pulsar Poseidonでは、信号パスの最後に出力トランスフォーマーを追加するオプションを導入し、アナログ機器でよく見られる特徴である超低周波数への微妙なサチュレーションをモードとして追加している。インターフェースの3つのTRANSFOボタンで3つのモードを選択することが出来る:

  • 下部ボタン:トランスフォーマーエミュレーションを完全に無効化

  • 1:ビンテージNeveプリアンプに搭載されていたMarinairトランスフォーマーにインスパイアされたエミュレーション

  • 2:超低域で微妙なハーモニクスを強調・導入するPulsarカスタムトランスフォーマーアルゴリズム

Driveノブはトランスフォーマーへのオーディオレベルもコントロールするため、Driveが高いほどトランスフォーマーの効果が大きくなるようになっているとのこと。

オートゲイン
オートゲインスイッチがオンの場合、異なるバンドの設定から導き出された補正ゲインが適用される。
これにより、EQコントロールを調整中でもサウンドパワーを一定に保ち、レベル変化に惑わされない判断が可能になる。

他、オプションから、オンライン時とオフライン時のオーバーサンプリングを切り替えられるなど、相変わらず小回りの効いた設計になっている。

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さて、いつものごとく検証をしてみる。

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