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「週刊プラグインレビュー」PSP DATAMIX A567

続いて、以下にも僕が好きそうなリリースがPSPからあったので、早速試してみたレビューを書いていきたいと思います。

それでは今回もやっていきます!
プラグインレビュー!!

PSP DATAMIXとは?

DATAMIX CONSOLEと聞いてピンと来る人はこの中にいるだろうか?
正直に言って、僕も、「あー、あのELECTRIC LADY STUDIOの。」ぐらいの情報としてしか知らず、、。
PSPは相変わらず随分渋いところを突いてくるな・・と感心した。

恐らく読者の方は、ELECTRIC LADY STUDIOって何なんだ?という話になると思うので、一応一通り調べたざっくりした流れをここに書いておければ良いなと思う。

1968年半ばにジミヘンドリックスとそのマネージャー、マイケルジェフリーズがグリニッジビレッジの閉鎖したクラブを買い取り、改装して8トラックの小規模なレコーディングスタジオを作ろうとしていた。

デビューからすべてのアルバムを手掛けていたエンジニアのエディークレーマーが、「どうせだったら世界最高のレコーディングスタジオを作ろう!」と提案、計画は白紙に戻ったものの、ジミとマネージャーはそれを了承。

音響技師のボブハンソンと共に、ロンドンのオリンピックスタジオをリファレンスとして設計。

そこで選ばれたのがDATAMIXのコンソールで、納期は遅れるわ、コンソールの製作者の税金未納などの問題で走り出すまで悪戦苦闘。そんな中、工場からパーツをかき集め再構築。

恐らく世界初の24トラック対応コンソールが完成。

ジミヘンドリクスはスタジオ資金を得るために、100万ドル近くを投資、1970年の5月に建設完了。そこからテスト期間中の3か月~4か月で録音を行う。

1970年8月25日にジミは他界。
スタジオのオープニングパーティーから1か月も経っていない出来事であった。そこで、プライベートスタジオから商業スタジオに移行。
現在も営業中。

この経緯は上記記事から引用させていただいた。

こんな歴史を持つ伝説的なスタジオがエレクトリックレディースタジオである。
見た目の雰囲気も滅茶苦茶かっこいいので、興味を持った人がいれば、この映画を見てみて欲しい。


メインブースの写真・・・カッコイイ!

なお、僕が働いているparasight mastaeringのREC部門であるstudio parasightの内装も恐らくその影響を多大に受けているので、機会があれば是非見学に来ていただきたい笑

さて、前置きが随分ながくなったが、まだ続く。

実際に納入当時のDATAMIXコンソールのEQはどんな形だったか?というと・・こんな形だ。


Reverbに出品されていたDATAMIXコンソール from ELECTRIC LADY STUDIO

このチャンネルが各インプットについていたという状況だった様子。
考え方としてはPEQというよりもグラフィックイコライザーで出来上がっていて、ロー、ミッド、ハイのフェーダーをそれぞれ操作することでチャンネルを成形していくスタイルだ。
その後、このスタイルはTridentに継承されていく・・という流れになっていったと把握している。

このPRE&EQモジュールを現代でも扱いやすいようにしたカタチにしたのがPSP DATAMIX A567だ。

見た目とカタチはずいぶん違うモノの、「じゃあ、どうやって使うか?」については、このモジュールのかたちを知っていれば明白だ。
そう、EQ as Fader の考え方で行けば良いんじゃないかと予想。

「1967年と1968年の最初の数ヶ月、ロンドンのオリンピック・スタジオでジミ・ヘンドリックスと出会い、彼の最初の2枚のアルバムをレコーディングしました。1968年4月17日、私はアメリカに移住し、レコード・プラントという新しいスタジオに移りました。4月18日にスタジオに到着すると、ヘンドリックスが最初に私に言った言葉は「一体どこにいたんだ?」でした。

スタジオを見回すと、1インチ12トラックのスカリーテープマシンと、各モジュールにイコライザーを備えた新品の36チャンネルのDatamixコンソールに感銘を受けました。私はこれを使って『エレクトリック・レディランド』のレコーディングとミックスを行い、ヴァニラ・ファッジ、ジョー・コッカー、グラハム・ナッシュ、NRBQなど、多くのアーティストのトラックやアルバムも手がけました。

このコンソールには独特のサウンドがあり、イコライザーが非常に繊細だったため、その操作方法のすべてを慎重に調整する必要がありました。中域のゲインを上げすぎると頭が飛びそうになりました!しかし、2kから3.5kの間の周波数を慎重にコントロールすることで、素晴らしいギターサウンドを作り出すことができました。エレキギターやアコースティックギター、ピアノ、ホーンなどに存在感を与えることができました。

10k以上の高域は独特の艶のある音で、ミッチ・ミッチェルのシンバルに最適でした。低域も同様に効果的で、100Hz以下の非常に強いレスポンスがあり、バスドラムやベースギターに最適でした。

マイクプリアンプはすぐにオーバーロードしたため、慎重な調整が必要でした。しかし、その独特のサウンドのおかげで、歪みを使ってよりアグレッシブなエフェクトを得ることができました。全体的にイコライザーはニュートラルではありませんでしたが、それがミキサーにかなりフォワードでエッジの効いたサウンドを与えていました。

常に「このEQをプッシュしすぎて大丈夫だろうか?」というリスクがありましたが、なんとかうまくいきました - そのコンソールから生まれた音楽は時代の試練に耐えてきたからです。

現在の市場では、ポップ/ロック、R&B、ヒップホップ、メタルなど、すべてのプロデューサー/エンジニアが何か違うものを探している中で、Datamixのマイクプリとイコライザーが使えるのは素晴らしいことです。これは最高の武器です!」

Eddie Krammer先生の御言葉を説明書から引用

歴史を支えてきたコンソールは一味違うぞ・・!ということなわけですね。
そしてあのエッジーなサウンドは歪みやすいヘッドルームとEQの仕様のおかげでもあったと。なかなか味わい深い。

↑現在イントロセール中で、35%OFFになっています。
この序文でぐっと来た人はこのタイミングでどうぞ。

機能面

早速だが、そんなPSP DATAMIX A567について見ていこう。

EQ(OUT/IN):イコライザーセクションを有効(IN)または無効(OUT)にする切り替えスイッチである。プラグイン全体をバイパスするものではなく、プリアンプと出力段のエミュレーションは常に有効で、EQバンドを使用していない状態でもトラックにパンチと粒立ちを付加する。

DRIVE:全アルゴリズムのグローバルドライブレベルを調整する。-30dBから+30dBの範囲で可変である。ドライブ設定は通常、出力レベルに大きな影響を与えないが、強いサチュレーション時には出力レベルがわずかに低下する場合がある。

ドライブオーバーロードライト:プリアンプまたは出力段がサチュレーション状態になると点滅する。

LOW、MID、HIGH:選択したトグルスイッチをクリックし、イコライザーの各セクションを有効(バンド名)または無効(OFF)にする。

赤いゲインノブ:選択したバンドのゲインを制御する。-16dBから+16dBの範囲を持つ。これらのノブのニュートラル位置が、必ずしもフィルターのニュートラルな特性を示すものではない。

黒い周波数リング:これらの外側のリングでバンドの周波数を選択する。マウスをホバーすると、アクティブなコントロール領域に2つのグレーのリングが表示される。クリックしてドラッグするか、マウスホイールで周波数を変更する。ラベル表示された周波数以外にも、中間値および実機以上・以下の周波数が追加されている。

OUTPUT:グローバル出力レベルを調整する。-20dBから+20dBの範囲で可変である。

オーバーロードライト:出力が0dBFSを超えると点滅する。これは望ましくないデジタル歪みを示すものではない。ただし、PSP Datamix A567の後段に0dBFS以上の信号を処理できない機器が接続されている場合は注意が必要である。


チャンネル切替、VARIATION、ALTQ、SHARP

チャンネルセレクト:プラグインのチャンネル固有のチューニングを選択する。PSP Datamix A567は、Datamixコンソールの8つの固有のチャンネルイコライザーをモデリングしており、各チャンネル間のバンドパラメーターの微妙な違いを再現できる。

  • µ:8チャンネルの平均チューニングを選択

  • 1-8:8つの個別チャンネルの中から1つを選択

  • #:プラグインノブの実際のラベルに従った「理想的な」チューニングを選択

バリエーション:選択したチャンネルと平均チャンネルµとの間の変動量(またはステレオスプレッド)を調整する。モノラルトラックでは左チャンネルの変動を、ステレオトラックでは両チャンネルの逆方向の変動を制御する。µチャンネル選択時はステレオスプレッドが効果を持たない。

バリエーションのスライダーのデフォルト位置(中央)では選択したチャンネルの正確なチューニングを維持する。右(+)に動かすとモノ/左チャンネルが平均値(µ)から離れ、右チャンネルは逆方向に移動する。左(-)に動かすとモノ/左チャンネルが平均値に近づき、右チャンネルは平均値から離れる。

※#チャンネルでもこのスライダーは使用可能。
ただし、理想化されたラベル値と実機との間に大きな差があるため、サウンドに大きな影響を与えるとのこと。

Alt Q:代替Qモードを有効にする。このモードでは、3つのバンドいずれの周波数を上げても、Qが狭くならない特性を持つ。実機には存在しない機能だが、プラグインにより「穏やかな」全体的な効果を与えることを目的としている。

Sharp:イコライザーのシャープモードを有効にする。全てのA567イコライザーが同じバンド特性を持つわけではなく、一部のユニットでは回路の微細な変更により、Highバンドに顕著な共鳴が生じている。この共鳴は変動的であるが、Highセクションのゲイン範囲全体で聴き取ることができる。設定によっては、シャープモードがMidセクションのサウンドにも影響を与える場合がある。


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僕は現在、parasight masteringという場所でマスタリングエンジニアをやっています。
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そんなご不安がありましたら、是非一度、依頼をしてみてください。
日本屈指の環境と、僕の技術できっとご満足いただける音をお届けしてみせます。



検証してみる

さて、この古すぎるコンソールの最新モデリングはどんな感じなのか・・
検証をしてみたい。

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