【週刊プラグインレビュー】Crave / Transient EQ
コロナもあけて夏フェスもあり、だんだん音楽に活気が戻ってきたような、でもまだまだでもあるような・・・そんな日々が続いてます。
僕の方はといえば、相変わらず、保育園から子供が持って帰った何かの菌にやられ続ける日常をおくっております笑
さて、今回はプラグインレビューで初めてとりあげるベンダーであるCraveからTransient EQをお届けしたいと思います。
早速ですが、今回もやっていきます!
プラグインレビュー!
CraveTransientEQとは?
Craveは、Kirch-offに搭載されているMIXEQモードの元ネタになった、「高域へのEQはリニアフェイズだが、中域移行はミニマムフェイズ」といった、それぞれのモードのいいとこどりをしたCraveEQをリリースしている技術力、論理力高めのメーカー。
数は少ないけれども、中々勉強になるブログポストをしてくれていて、個人的に考え方を勉強させてもらったメーカーでもある。
Our Audio Blog - Crave DSP
・リニアフェーズEQのメリットデメリット
・EQのブーストとカットどっちがいいの問題
・EQの位相の変化と遅延について
の3記事が上がっていて、どれも簡潔にそれぞれの論点について事実を語ってくれている。
デジタルのEQってどれも一緒じゃないの?という人はのぞいてみると面白いと思う。
で、そんなCraveから、それぞれのEQごとにTransientとStationary(定常したという意味。)を個別に調整できるダイナミックEQが発表された。
それがCrave Transient EQだ。
ざっくりとした特徴を紹介しておくと、以下の通りだ。
・EQは直列ではなく並列(パラレル)EQ
・アップワード方向、ダウンワード方向に自在にいけるダイナミックEQ
・Transientのみ、Stationaryのみ、そしてその中間をシームレスに指定して各バンドごとに指定が出来る。
この3つの大きな特徴がある。
どんな機能があるのか?それぞれ見ていこう。
Crave Transient EQ, three powerful EQs in one plugin - VST, VST3, Audio Unit, AAX (cravedsp.com
機能面
特徴的な部分を説明書からかいつまんでご紹介していきたい。
大筋画面の通りの機能で、普通のデジタルEQのようにダブルクリックでバンドを追加していくことが出来る。
ダイナミックEQモードについて
ダイナミックEQモードは2種類のモードを搭載している。
QuietモードとLoudモードだ。
Quietモードのときは、設定したスレショルド以下の信号(スレショルドより静かな音)に対して設定したEQのゲイン値を上限として以下のプロセスを加える。
・ゲインが正の数値のときは静かなパートをブーストする。(アップワードコンプレッション)
・ゲインが負の値の時には静かなパートをカットする(ダウンワードエクスパッション)
Loudモードは、Quietモードの逆で、スレショルド以上の信号(スレショルドより大きい音)に対して、作用する。
・ゲインが正の数字のときは、大きな音がよりブーストされる。(アップワードエクスパンション)
・ゲインが負の数字の時には、大きい音を狙ってカットする。(ダウンワードコンプレッション)
地味に便利なのが、この機能を有効にすると、Transientが黄色で、Stationaryが青色でそれぞれレベルが表示されるようになっている。
なので、タイミングを信号の大きさと、その大きさの種類によって、4種類の処理ができるように設計されている。
こう聞くとなかなか難しそうに聞こえるが、アタックとリリースは自動で設定してくれるため、Pro-Q3に近い感覚で実際にはサクサクと音をつくっていくことが出来る。
Transient/Stationaryモード
このCraveTransientEQではそれぞれの音を以下のように定義しているとのこと。
Transient→急速に変化する非調和音
Stationary→ゆっくり変化する調和音
各EQバンドのほか、全体のトーナルバランスを右側のセクションで編集していくことができる。
変化の幅と調和か非調和なのか?を見ている・・というのが従来のTransient Shaperとの大きな違いのようだ。
Spectgram
これもつかってみて地味に便利だな・・・と思ったのが、画面上にスペクトグラムを表示してくれるように出来ているんだが、Transientと検知されたものに関しては黄色で示してくれるというところ。
なので、視覚的にもどこがトランジェントなのかを把握しやすい。
EQの種別について
Crave Transient EQはいわゆる通常のパラメトリックEQではなく、パラレルEQが採用されている。
これは、通常のカスケード式のEQよりもデメリットを少なく、ダイナミックEQを適用することができるらしい。
後述するが、実際にこの手の製品としてはノイズレベルは低い。
詳細としては、パラレル処理になっているフィルターは以下とのことだ。
・ピークフィルター
・ハイシェルフ
・ローシェルフ
ローカット、ハイカットについては通常のカスケード式になっている。
検証してみる
プラグインドクターだと、動的な部分の色々は見えにくいので、あくまでも補足的な情報しかとらえることが出来ないが・・・
一応それぞれ見ていこう。
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