学振DCについて
秋になり今年も科研費の申請の時期がやってきました。
アカデミアにいる研究者にとってはこれまでの成果をもとに新たな目標を設定して研究のための糧を得るための大事な季節でもあります。収穫の時期に種まきをするという感じですね。
大学生や大学院生の皆さんのなかには,9月くらいになると指導教官がピリピリし始めたり,何かとPCに向かって遅くまで作業してたり...というのを見た人もいるんじゃないでしょうか。
そんな皆さんの中で博士課程に進学することを迷っている人はいませんか?理由は少しわかります。周りが卒業し社会へ出ていくなか自分が取り残されていく感じがする...とか,仮に博士課程に進学しても当面の生活費をまた奨学金を借りたりアルバイトをしながら続けるのは難しい...とか,そもそも博士課程卒業後の将来に対する漠然とした不安がある...などかと思います。
でも,博士課程への進学を迷っているということは,察するにアカデミアに対する漠然とした興味,研究や課題解決の楽しさなどが心のどこかにあるのではないでしょうか?
そんなあなたをサポートする制度が日本にはあります。
日本学術振興会が設置している特別研究員という制度です。
この制度は1985年にスタートしたもので,学振DCは大学院博士課程在学者の中から "我が国の優れた若手研究者に対して、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図る制度" です。
ざっくり内容を説明すると,
1. 博士課程の学生でありながら研究員という役職を与えられる
2. 月額20万円のお給料がもらえる
3. 年額最大150万円の研究費が与えられる
という制度になっています。前述のような不安とアカデミアに対する期待を抱く学生にとっては,かなり期待できるものではないかなと思います。
応募に必要なものは申請書類と研究する意欲のみです。
もちろん審査を通過して選ばれるものですので,申請書類や研究計画にはそれなりのクオリティを求められますし,アカデミアにおけるある程度の業績も評価の対象となります。採択率は概ね20%前後ですので狭き門ではあります。
今後おそらく議論されるであろうとは思われますが,日本学術振興会との直接的な雇用関係にない(もろもろの保険の問題),大学院の授業料を研究遂行経費(給料の一部を研究に当てるという裏技みたいなもの)にはできない,85年の制度開始から給料20万円は据置(当時の修士卒の初任給が18万円→現在22万円)など,制度自体にも少々問題点もあるのが現状です。
しかしながら,普通に博士課程を大学院生として過ごすのではなく,一研究員として研究計画を立て,遂行し,皆さんの税金で生活をするという経験は貴重なものであると思います。もちろんこの先アカデミアで生きることを志す学生にとっては,研究生活の第一歩となることは間違い無いでしょう。
もし今,あなたが博士課程への進学を迷っているなら,頭の片隅にこの制度の存在を置いておくといいかも知れませんね。
もちろん,日本には学振特別研究員の他にも博士課程の学生にたいする様々なサポート制度があります。興味を持った人は合わせて調べてみるのもいいかも知れませんね。
申請書類の作成方法や面接に呼ばれた時の対策などはまた後日アップロードしたいと思います。