今週読んだ本「月のぶどう」「四十九日のレシピ」
前回、月と私と甘い寓話を読んだときに本の最後に広告に載っていた小説を2冊借りてみた。どちらも食べ物にまつわる話でどちらもすっごくよい話だった。最近ヒットが多いなあ。
44.月のぶどう
手元に置きたい度:★★☆☆☆
ワイナリーを営んでいた母が急死したことで、ワイナリーに携わることになった主人公。
これまで双子の姉と比べられては「出来が悪い」と言われ続けてきたことで、周りからもそういう扱いを受け、自分自身も「何か成果を発揮できるのでは」と思ってはそうじゃなかった、という経験を繰り返して、自分には大したことはできないのだ、という自己肯定感がとても低い状態で始めたワイナリーのお手伝い。
それが、心底自己肯定感低い私からするとびっくりするくらい、真摯に真面目に向き合って一生懸命勉強して、どれだけ面と向かってなじられようと、嫌がらせを受けようと、ただただ、ぶどうに向き合うということをしていくのに驚いた。
そして、そんな地道な努力は次第に周りにも影響を与え、また自分自身への自信にもつながり…。
私からすると、「めちゃくちゃできる子じゃん!」て感じだった。
こんなにへこたれない(もう慣れてるから受け流す)力を持っていて、ただただ真っ直ぐに自分ができることに対して努力できる人なんてなかなかいない。
あとはワインを造る過程もものすごく興味深かった。
ぶどう一つ一つにここまで労力を費やすんだ、てのも衝撃だったし、あとやっぱり神秘的なのがぶどうが発酵していく様子。
長野で日本酒を造る体験をしたことがあるけど、そのときも1番神秘的だったのが発酵していく段階だった。
香りといい、音といい、生き物が動いているというか、醸している感覚が鳥肌が立つような素晴らしい体験だったのを思い出した。
すっごくいいワイナリーだな!と思ったのと、ちょうど読み終わった夜にワインを飲みに行ったので、しみじみと「美味しいなあ」と思いながら味わうことができた。
ああ、ワイナリーに遊びに行きたい!
45.四十九日のレシピ
手元に置きたい度:★★☆☆☆
突然亡くなってしまった妻。それを受け入れられず風呂にも入らずただ酒を飲み、妻の部屋で暮らしていた良平。そして、そんなときに旦那が浮気をして子供を作ったとどうにもできなくなり帰ってきた娘。
という、もうどうにもこうにも悲惨な状況で始まる。
そしてそれを救い出してくれたのが、妻が生前に契約していた若いギャルの女の子の登場と、四十九日では盛大に宴会をしてほしいという遺言。
実は妻は、家庭環境や様々な問題を抱えた互助施設で働いていて、そこで色々な子たちに家事の仕方や社会人としての礼儀や振る舞い方など、様々なことを教え、愛されていたということを知る。
最初は反発していた良平や娘の百合子も、だんだんと、その井本という女の子の存在に救われ、全うな生活を始めだし、ちゃんと四十九日の宴会をやりとげよう、と思い立ち始める。
そしてこの本でも、きちんと作られた美味しい食事、地元の丁寧に作られた食材がふんだんに出てきて、それをちゃんと調理していく描写が美しい。
やはりこの作者のお話はどれも暖かくて優しくて心がほっこりとする。
最後も笑えて泣けて、なんだか色々思ったりするところもあるんだけど、そうか、こういう結末もあるのか、と思える。
今回もとってもよいお話でした。
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