ファンタジー詩:君に夢中
「今年もまた会ったね」と
子供部屋に入って来たサンタに
言われて苦笑いしながら
ペコリと“耳”を曲げて挨拶した
彼が置いていったプレゼントは
今年もお人形だったけれど
彼女はそれをベッド脇に放置して
薄汚れた僕の抜け殻を
再び抱きしめて眠ってしまった
あと数年もすれば彼女も
子供ではいられなくなるだろう
それまでは君の夢の中で
一緒に遊んであげるんだ
『ずっと大切にしてくれて
ありがとう』そして
夢中だったのは君ではなくて
ずっと僕の方だったんだ
僕は寿命を迎えて彼女を見守る
うさぎのぬいぐるみの霊魂さ
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