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松脂のお掃除

 なんとなく、ぼやっと、このnoteを使うにあたっては、日本史を旧石器時代から順繰りに進んでいくようにしようと考えていたけど、ディアゴスティーニ方式で行こうかなと思い改めた。同方式は某コレクター雑誌の内容や付録がそうであるように、順を追わずに進むものの全てを揃えると最終的には完成するところを、そのままネーミングに引用させてもらったものである。noteの意図するところでもあるかもしれない。

 先日、松脂の汚れがこびりついたヴァイオリンのクリーニングをおこないました(ヘッダー画像は本稿と無関係)。新作の部類に入る楽器で、最近流行りのアンティーク仕上げではないピカピカニスのヴァイオリン。松脂は指板と駒の間のエリアに、降り積もった雪が溶けて再度固まった感じで薄黒い層を形成しておったわけですね。で、専用クロスで拭いてみたがビクともしない。市販のクリーナーにも参戦してもらったけれど、成人男性が逸ノ城関に挑むようなもんでして、仕方がないので企業秘密というか自分が調合したクリーナーと方法で、コツコツ丹念に松脂君とおさらばしてもらったという感じでした。

演奏家の中には、「確かに綺麗なのが良いけど、松脂の粉が乗ってるほうが練習してますって感じがするんですよね〜」とか「クロスで拭けばいいのは分かっているんですが、駒を倒してしまいそうで怖いんです」というお声をいただくことがある。なるほど、それも確かになんですが、やはり松脂はなるべく毎回の演奏後には綺麗に拭き取ってあげるほうがよろしいかと思います。

駒は基本的には触れただけで簡単に倒れるようなことはありません。粉のときに取り除くほうが、今回のように固着してしまい自分ではどうしようもなくなって、余計な出費になることもありません。

費用の他にも、実はその固着した松脂が表板や駒の自由でしなやかな振動を妨げてしまうことになるのです。人間の体でいうと脂肪みたいなものですね。沢山脂肪がついてしまうと素早く反応できないのは想像できると思います。少しばかりの脂肪(松脂)なら簡単に落とせますが、たっぷりの脂肪(松脂)となると、、、ですよね。

 そんな訳で、今回は松脂のお掃除について。粉が付いたら直ぐに拭き取って差し上げましょう。これから夏になると更に気温も湿度も上がるので、粉が簡単に溶けてしまう季節となりますし。ちょっと厳しい言い方をするのであれば、Bowingしていて粉が舞うようであれば、それは松脂の付け過ぎとも言えます。その辺はまたの機会に、どれくらいの松脂量が適切なのかということで買いてみようと思います。

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