第121回おうちでレガシー カバレージ Round1 ぴかいち(ジェスカイ奇跡) VS 柳統也(マーベリック)
むかしむかし、「奇跡」と銘打たれたコントロールデッキが存在した。《師範の占い独楽》+《相殺》によるロックを前提とし、更に「任意のカードをライブラリートップに仕込むことが可能」というシステムと奇跡の相性が極めて高く、特にクリーチャーを全て吹き飛ばせる《終末》と併せ、鉄壁の守りを誇っていたコントロールデッキである。
《師範の占い独楽》が禁止され、その後もメタの中核をなしていたコントロールデッキではあったものの、次第に受け身の姿勢ではカードパワーについていけなくなり、ひっそりとメタゲームから姿を消したデッキではあるのだが、ここに待ったをかけたプレイヤーがいる。彼の名は「ぴかいち」。彼の主張はこうだ。
「「モダンホライゾン3」で獲得した《脈打つ知識》が全てを解決する。」
確かに、奇跡からすると待望の2枚目の《渦まく知識》と言える。更に手薄だった3マナ枠を埋めるという意味でも、待望のドロー呪文と言えるのかもしれない。
この新たな戦力を得て今再びメタゲームに返り咲かんとする奇跡。対するは「柳統也」の持ち込んだ「マーベリック」。こちらも古くから存在するアーキタイプであり、《緑の太陽の頂点》を起点とし、様々な攻め手を実現可能なデッキである。
果たして、奇跡は今でもいけるのか。その復活劇の一部始終をご覧いただこう。
■Round 1
「コントロールは、相手に何もさせないことを是とすべし。」この哲学に従い、ぴかいちが動いていく。
相手の《エルフの開墾者》などの攻めの起点となるクリーチャーは《剣を鍬に》で処理しつつ、《渦まく知識》で手札を整えていくぴかいち。更に《瞬唱の魔道士》をプレイし、柳から《忍耐》を引きずり出す。
その上でぴかいちは《知りたがりの学徒、タミヨウ》をプレイ。更に柳のターンで《脈打つ知識》でカードを引き、変身させようとするが、ここには柳が《剣を鍬に》で対処。続けざまに2体目の《知りたがりの学徒、タミヨウ》も投下していくが、2枚目の《剣を鍬に》でこれも対処される。
場が少し柳に傾くか。しかし、柳は後続を展開できず、目の前の《忍耐》でぴかいちのライフを削るにとどまる。しかし、この動きもぴかいちの《剣を鍬に》で処理される。
柳が満を持して展開した《聖遺の騎士》には《意志の力》と、徹底して柳の攻めを封じ込めるぴかいち。柳は手札を切らしてしまい、青色吐息となってしまう。
ここからがぴかいちの真骨頂。《アノールの焔》で柳が序盤に展開した《貴族の教主》を焼き払いつつ、消費した手札を補充しにかかる。その上で3体目の《知りたがりの学徒、タミヨウ》を展開する。
柳は悲鳴を上げつつも、引いてきた《漁る軟泥》を展開するが、これに《アノールの焔》が突き刺さる。その上で《老練の学匠、タミヨウ》へと変身する《知りたがりの学徒、タミヨウ》。更に設置される《相殺》。
そのまま《老練の学匠、タミヨウ》の奥義の起動を見送る柳。パンパンに膨れ上がるぴかいちの手札。しかし柳は「こんなに手札を増やしても勝ち手段がないなら俺は負けないのでは?」という淡い希望を抱きつつ、ぴかいちの挙動を見守る。
そしてその希望を打ち砕くがごとく、ぴかいちは《進め、エオルの家の子よ!》をX=7で展開。柳の盤面を完全に粉砕した。
ぴかいち1ー柳0
■Round 2
2ゲーム目、慎重に打ちまわす柳を尻目に、ぴかいちは好機と土地を伸ばしていく。ゲームが動いたのは4ターン目、柳が《カラカス》をセットしつつ、《エルフの開墾者》を展開したところから戦端が開かれる。
ぴかいちは《渦まく知識》で手札を整えつつ、不要牌をリフレッシュすべく《溢れかえる岸辺》を起動。ここにスタックして柳は《敵対工作員》を展開するが、これには《意志の力》が突き刺さる。
その上でぴかいちはターンを貰うと、《知りたがりの学徒、タミヨウ》→《アノールの焔》で《エルフの開墾者》を処理しつつ、《老練の学匠、タミヨウ》へ変身させていく。
すわ先のゲームの再来か。しかし、ここで柳は《探索する獣》を展開。《老練の学匠、タミヨウ》を落としていく。負けじとぴかいちも《終末》を奇跡コストでプレイ。盤面をフラットな状況へ持っていく。
次に動いたのは柳。《飢餓の潮流、グリスト》を展開すると、トークンを横へ並べ始める。これに対し、ぴかいちは《瞬唱の魔道士》を展開し、機を伺っていく。
ぴかいちは《相殺》をセットすると、柳の《聖遺の騎士》を《意志の力》でさばきつつ、《進め、エオルの家の子よ!》を展開。《飢餓の潮流、グリスト》を追い落とし、盤面をこちら側に引き込んでいく。
追いつめられた柳。しかし、それは手札が無くなったぴかいちも同じこと。これを最後のチャンスと踏んだ柳は《ガドック・ティーグ》《聖遺の騎士》と一気に展開し、攻勢に転ずる。
しかし、手札が無くなったとはいえ、統治者によるドローがついているのも事実。ぴかいちの圧は収まらない。《瞬唱の魔道士》で《アノールの焔》を使いまわし、《ガドック・ティーグ》を処理しつつ手札を補充し、《聖遺の騎士》は横に出てきた《聖遺のワイト》と併せて《剣を鍬に》2枚で対処。
これが決定打となり、最後はぴかいちの騎士トークンと《瞬唱の魔道士》が走り切り試合終了。次世代でも奇跡は十分活躍できる。その可能性を十分に見せつける試合運びだった。
ぴかいち2ー柳0