心に刻まれたvs帰国子女魂
私が通っていた小学校は今覚えば異様だった。
私は公立小学校出身だが、その土地柄故に割と裕福な家庭な子供達が沢山通っていた、当時の私は全く理解できなかったが、親が会社を経営している子、帰国子女の子が結構いた。
特に私が小学校5年の時のクラスの仲良しグループに帰国子女が固まっていた。
メンバーの数は私含め6人で、そのうち四人が帰国子女で英語が話せ、私ともう一人の子が普通の小学生だった(英語が話せない)。
皆、それぞれ仲良かったから仲良しグループだったのだが、
彼女達たちは普段から英語で会話をし、全く英語に触れたことがない私にとって彼女達の言っている事がさっぱり分からず、
公立小学校には珍しい光景がそこにはあった。
そして、彼女達は何かに味をしめたのか、私のような英語を分からないクラスメイトがいる前で、聞こえるようにわざとらしく英語で会話をするという状況が度々あった。
また、当時の小学生の間ではセカイノオワリが流行っており、私も大好きだったのだが、
そんなある日、クラスメイトのある男の子が親に買ってもらったセカオワのCDを持ってきて、皆に見せびらかし、休み時間になるとそのCDをクラスにあるCDプレイヤーで流し始めた。
すると、クラスメイトが、ワーっとそのCDプレイヤーの周りに集まりだし、当然私もそこに駆け寄りみんなで一緒に盛り上がっていた。
しかし、ふと周りを見るとそこには私が所属していたグループの子達は誰一人いなかった。
そして、あからさまにお互いの顔を見合わせ、「こんな日本の曲のどこがいいの?」と言わんばかりの表情をしながら、英語で何かぶつぶつと言っていた。
それはそのはず、当時私のグループの間では、テイラースウィフトとケイティーペリーが流行っていて、AKBなど日本の世間一般の小学生の間で流行っている音楽に対し、あの曲を聴くのはダサいと鼻から日本の音楽をバカにする風習があった。
そしてこの風習のせいで私と同じく英語を話せない友達が完全に外国かぶれになってしまった。
具体的にはその子は皆(帰国子女達)と同じようにになりたいと、英会話を習い始め、テイラースウィフトのCDを買ってもらい、服はfoever21とAmerican Eagleの服を着始め、皆と同じように日本の曲のどこがいいの?と言うようになった。
今考えると、ク◯ガ◯め!と思ってしまうし、この小学校の経験以降、この出来事を思い出し、その度に「あいつら本当生意気だな、やっぱ帰国子女大っ嫌いだわー」と怒りと悔しさと嫉みが湧き上がってくるようになった。
確実にこの経験は、この先の私の「たりない人生」が始まってしまうきっかけの一つだと言える。
しかし、今の自分で考えられないが、当時の私はこれらに対し何の感情も湧かなかった。
皆と同じように全く英語を話せるようになりたいとも思わなかったし、テイラースウィフトの曲も聴きたいとも思わず、ただ「皆英語が話せて凄いな」と純粋に思う気持ちしかなかった。
きっと当時の私の窓は曇りひとつなかったはずだ。
しかしながら、もうとっくに現在の私の窓は曇ってしまった。
どんなに綺麗な景色でも曇って濁って見えてしまう。
セカオワ事件には後日談がある。
クラス中にセカオワの曲が流れて、私のグループ以外のクラスメイト皆が盛り上がっている最中、私のグループの子達がその輪に近づき、わざと「この曲が何がいいんだろうね?」とクラスメイト達に聞こえるように言った。
当然セカオワで盛り上がっていたクラスメイト全員がその声を聞いただろうが、当時他のクラスメイトよりも彼女達はませており、小学生の頭でさえなんとなく近寄りがたい雰囲気を感じ、みんな逆らえないような風潮があったため、誰も反抗できなかった。
しかし、CDを持ってきたクラスメイトの男の子がそれを聞き、「何で俺が好きな曲に文句を言う権限があるの?」と言い放った。
本当にその通りだと思う。
よく言ってくれたありがとう!
(現在の私から彼への激励)
まさか言い返されると思っていなかったであろう「この曲が何がいいんだろうね?」と言った彼女の引きつった顔は今でも忘れない。
やっぱり振り返ると当時のあの私の周りの環境はかなり異常だった。
かなり小学生の頭では辿り着けないぐらい、日本を見下していた。
おそらく彼女達の親が言っている事を、そのままオウム返しのようにクラスで言っていたのだと思う。
小学校を卒業してグループの私以外の子達は全員私立の中学校に行った。
私はというともちろん、家から1番近い公立中学校に進み、やっと自分と合う大切な友達が沢山できた。
彼らとは小学校卒業以来、音信不通状態になっていたが、インスタグラムの普及によりここ数年で全員の近況を知れるようになった。
ちなみにだが、彼女達のプロフィールを見ると全員揃いも揃って名だたる大学の名前が書いてある、全く小学生の頃の私のように何とも思わないかと言われたらもちろん嘘になるが、生まれ変わっても私は無理してテイラースウィフトを好きと言ったりせず、素直にセカオワを好きと言える小学生でありたい事は変わらない。
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