![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157966331/rectangle_large_type_2_b281fc678898add515e1ad1bc5fdff57.png?width=1200)
「地面師たち」にぐちを言う
人気ドラマ「地面師たち」を見ました。正直言って自分の中で評価がとにかく曖昧です。人気作品にこたえる質がなくて、平凡よりそれ以下だと思います。
原作小説は読んでいないが、これはあくまでドラマを見た感触です。
犯罪組織に焦点を当てる作品は別に珍しくない、名誉高きピーキー・ブラインダーズ、ブレイキング・バッド,悪人主人公のドラマは既に長い歴史を持っています。
登場人物たちの内面的な葛藤、不正な利益を手に入れた快感、そして彼らが誤った道に進む原因となった残酷な現実を体験することができます。犯罪ドラマにおいて最も重要な要素は犯罪ではなく、キャラクターだと言っても過言ではないと思います。 学べる優れた作品がたくさんあったものの、「地面師たち」は登場人物の描写を見事に台無しにしました。
地面師組織のリーダーであるハリソン山中、一見紳士的冷静な性格だが、内面に残酷な趣味を持っています。でも全編に見渡しても、このキャラクターの内面世界を支える背景ストーリーが全く存在せず、ただ彼が高級な酒や狩りが好きな変態紳士であるという認識しか持てません。ハリソンだけではなく、他のサイドキャラクターにも必要な描写が足りないと思います。
教育担当の麗子、情報屋の竹下、名前でも忘れたあのスーパーハッカーなどなど。彼たちについて背景ストーリー、動機、私生活、成長など、説得力があるキャラクターにとって大事な要素は一切説明されませんでした。
ノンフィクション犯罪作品でキャラクターの説得力が不足ということは多分まだ致命傷ではないかもしれませんが、その上に追い打ちをかけるのはハリソンの魅力がないことです。筆者から見るとこのキャラクターはヴィランとして美学がなさすぎ、笑えるほどの小物臭さがにじみ出ています。
ピーキー・ブラインダーズのトーマス・シェルビー、ゴールデンカムイの鶴見中尉とか、娯楽作品で犯罪者集団の指揮を執る人が持つ魅力は大事だと思います。合理性から見ると、魅力でもいいし能力でもいい、メンバーが全員命かけて働いているのに、リーダーが人並み以上のスペックを持てないと辻褄が合わないはずなので思い込んで責任を取れない小悪党の命令を聞くわけがない。
作中、ハリソン山中が披露した実績は、闇業者を召喚して人を暗殺できる魔法のような力を持っているだけ。地面師活動に関して重要な仕事は全部他のチームメンバーに任せてしまう。 作品の意図によって、頭がおかしい小悪党は全然行けるが、一応リーダーであるハリソンは、仕切る人物に相応しいアクションは一切取ってないのは知能犯罪作品としての致命傷だと思います。
話を作品の意図に戻すと、第一人称スリラー犯罪作品である本ドラマの価値観は何方付かず、宙ぶらりんで終わってしまう感じが強いと思います。
レイキング・バッドみたいな犯罪スリラーを目指すなら、頭脳戦の部分は完全にぞっとしない。一番難しそうな身分証明書の偽造部分はスーパーハッカ的なスキルで解決し、二つの事件で主人公側がトラブルが起きるたびに、臨機応変な演技に頼ることだけもやや飽きを感じさせました。
社会問題喚起を目指すなら、地面師チームを主人公と選ぶ価値はあまりない、拓海の復讐伏線は全部意味不明になってしまいました。
犯罪はダメだ(常識)地面師詐欺は良くない(常識)、どんな年齢層の視聴者にも常識であることはずですが、最終回で女主人公(?)倉持刑事が「地面師は仕事じゃなくて犯罪ですよ」という無意味な正論を言った瞬間、自分の時間が無駄にされていることに気付きました。