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いつか仲良く

4年ほど前の秋口、雨の中近所のスーパーへ行ったときのこと。

駐車場へ停めようとバックしていると、助手席の妻が突然「ちょ、待った!」とけっこうな声をあげました。

車止めのところに、子猫が。もちろん、ずぶ濡れで、震えていました。ずいぶん鳴いたのでしょう、口を開けて、鳴いているつもりなのでしょうが、声がかすれて出ていません。

買うものも買わず、とりあえずタオルに包んで動物病院へ走りました。うちには既にロシアンブルーが1匹いて、通っている医院がありました。


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1週間ほど入院しましたが、元気になりました。ただ、右目にばい菌が入ってしまっていて、右はほぼ見えなくなっていました。白濁して、眼球はありません。種類的には白と黒のシャム系でした。

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保護はしましたが、飼うつもりまではなかったので、一時的に預かっているだけの認識、その頃は写真も撮っていませんでした。画像は最近のものです。正直、シャム系は見た感じが苦手で、人懐きが悪く、飼うなら茶系がいいなと思っていたのです。顔、耳、手足の先、しっぽが黒く、小さいころなどは、猫というよりタヌキみたいな顔だなと思っていました。ところが、右目のケガがあるため、いわゆる里親さんも見つけられないという現実がわかってきました。

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先住猫、ロシアンブルーは自分以外の猫の登場にめちゃくちゃびっくりして、警戒しています。この子は身体も小さく、ほとんど鳴くこともなく、性格も臆病で慎重です。シャムの子猫を自分の子のように仲良くしてくれればいいなと思ったのですが、子猫をケージから出すとロシアンは2階まで飛んで逃げるような状態で、しばらくはケージから出さずに慣れさせることにしました。

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しばらくして、大きくなってきたシャムにマリンという名前を付けて、私たちは家族として育てる気になっていました。右目が見えない以外はむしろ元気すぎるくらいで、よく寝てよく食べてよく鳴きました。特に食べることについてはたいへんな執着を見せて、体調が良い時はごはん後30分も経つと「もっとくれ」と騒ぎだすような状態です。

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しかしとにかく顔は真っ黒で、色があるのは左目のブルー部分だけです。2匹を会わせてみると、マリンは尻尾を太くして「シャー!!」となり、ロシアンはとにかく逃げるばかりです。1度は、マリンが襲い掛かり、ロシアンの首の近くに傷を負わせてしまいました。

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それから、ロシアンは2階に閉じこもり、まったく1階に降りることはありません。せいぜい階段付近で恐る恐るまわりを警戒し、また戻る。

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対してシャムのマリンは「ここは自分のうちだ」と思っているようで堂々と生活しています。昼間はずーっと寝て、起きたらごはんを食べてる。

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ごはんをもらえないと、耳のそばまで来て私の鼓膜に直接「にゃー!!」と訴えるほどです。

今は階を分けてなんとか共存していますが、早く仲良くしてくれないかと切に願っています。

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