巨乳達へのレクイエム〜でけえおっぱいでマジすまんな〜
私はおっぱいが大きい。
上位なん%やねん、というくらい大きい。
具体的に言うと、今のサイズだとブラジャーは顔よりも大きい。
初めてのブラジャーをつけたのは小学校3年生に上がる時だった。
周りはまだみんな、胸のところが二重になったキャミソールだった。
中学生の時は、体育の時間の着替えで、友達にブラジャーを見られるのも、友達の可愛いブラジャーを見るのも本当は嫌だった。
ちょっと可愛いのを買って貰えば、一部の女子に陰口を叩かれ
事あるごとに、「ゆうは胸大きいからいいよねー」と言われる。
『いや、よくねぇよ』と思っていた。
思えばいつも、胸で苦しんだ子供時代だったような気がする。
なにより一番最悪だったのは、宿泊行事のお風呂だった。
明らかに他の子よりも大きくって大人っぽい下着を見られるのはもちろん、普段はブラジャーで守られているその大きな大きなおっぱいを見られるのが嫌だった。
当時仲の悪かったグループの子たちが、ヒソヒソ小声で
「垂れてんじゃんwww」と私を嘲っていた。
名誉のために言うと、あの時はまだ垂れてなかったはずだ。
本当はすごく傷ついたし、泣きたかったけれど、仲良しの子たちに心配かけたくなかったから聞こえないふりをしていた。
もちろん男性からだって、胸のことで嫌な思いをさせられたことはある。
じろじろ見られたりするのは当たり前、すれ違いざまに「オネェちゃんおっぱいおっきいねぇ!」とセクハラされたりした。
マジで呪ってやろうか、と思ったのは一度や二度ではない。
でも、言葉や態度によって呪いをかけられていたのは私だった。
学生の時は、いつも少し小さいブラをつけて締め付けていたし、あんまり胸の目立たない服を着ていた。
胸が大きいことは、恥ずかしいことで、いやらしい事で、隠しておいた方がいいことなんだと思っていた。
私がかけられていた呪いは、Twitterでさらに強められた。
「Jカップという奇形のような巨乳属性」
「乳房縮小手術」「普通居ない大きさの乳房」
「頭弱いJカップの名誉男性」
数え切れないほどの呪いを浴びた。
そして、傷ついていたあのときの私のような女性たちをたくさん見つけた。
みんな本当に苦しんでいた。悲しんでいた。
私は本当に怒っていた。
「何がボディポジティブやねん」と心の底から怒っていた。
何が女性から胸のことで嫌な思いさせられたことないもん!
だって?
ほとんどが男だろって?
私にとって、男からのセクハラはもちろんゴミだけど、正直大したことない。馬鹿がなんか言ってら、で終わらせられる。
だけど、同性である女からの揶揄や屈辱的な物言いは、手のひらに刺さって取れない鉛筆の芯みたいに残り続けてるんだ。
言われて嫌なこと、傷つくこと、分かってて言ってるもんな。知ってるよ。
それでも優しい言葉をかけてくれた人や、私を丸ごと大事にしてくれた人もいる。
傷ついて傷ついてずっと小さいブラをつけていた私が、初めてきちんと測ってもらったブラジャーをつけたときの感動は忘れられない。
慣れない某高級老舗下着店で、優しい店員さんにフィッティングしてもらい、おずおずと身につけたあのピンクのブラジャー。
あるべき場所に、あるべきものが収まり、必要以上に苦しくなく、それでいて安定感が凄かった。
冗談じゃなく、『私は自由だ』と思った。
最近は脱コルやなんやで批判の的になることも多いブラジャーだけど、私はブラジャーで自由になった。
どこへでも行けると思えたんだ。
「大きくて柔らかいからお肉が動いてしまいやすいけど、でも逆にいうと形を自在に操れるいいお胸ですよ」
と言ってくれたワ○コールの店員さん、本当にありがとう。
嫌らしい、なんて微塵も感じさせずに一緒に選んでくれてありがとう。
あの時から少しずつ私の心の凍った部分が溶けていく様な気がする。
いや、何度も誰かに凍らせれしまうけれど、その度に誰かが溶かしてくれているんだな。
それに気がつける様になったんだ。
私たちはどんな体型で存在してもいいし、どんな服装をしてもいい
こんな当たり前のことを取り戻すのに、時間がかかった。
正直いうと今でも完全に取り戻せてはいない。
タイトな服を着れば、周りの目が気になる瞬間はある。
胸について発信すれば、また嫌な思いをするかもしれないとも思う。
でも、私はこの受けてきた呪いを脱ぎ捨てるつもりはない。
みんなは脱ぎ捨ててくれて構わない、というか頼むから脱ぎ捨てて。
私はこの呪いも、あなたが脱ぐことのできた呪いも全部背負って生きてゆく。
この呪いが私を強くするから。
許してなんかあげないよ、忘れてなんかあげないよ。
私は乳袋大明神だからね。
絶対絶対ずーっとみんなのおっぱいの味方でいるからね。
あなたの大きい胸も、私の大きい胸も、あなたの小さい胸も、あなたの片方だけの胸も、あなたと私の垂れた胸も、あなたにとって忌々しい胸も、切り取ってしまいたい胸も、全部全部そのまんまで丸ごと愛してるから。
いつでも胸のことでどこかの誰かに傷付けられたら言ってね、ぴゅんっと参上するよ。
一緒に戦うよ。
合言葉は「私の体は私のもの」だよ。
これからも、クソみたいなセクハラと、クソみたいな巨乳差別に「でけえおっぱいでマジすまんなwww」のマインドで戦っていくから見ててね。
ほんっと、でけえおっぱいでマジすまんな!!!!
愛を込めて 大親友
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