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ちょっとほっこりした話

日本人って優しいなって思った出来事があった。

私はほぼ毎日バスを利用している。
ある日、幼稚園生とみられる男の子が1人でバスに乗ってきた。

「ピーー」

どうやら、パスモの残高が足りなかったようだ。
男の子はチャージしようと鞄を探り始める。しかしそれは見つからなくて、男の子は消え入りそうな声で言った。

「僕、お金ない...」

男の子はお金を持っていなかった。私は男の子を下ろす訳にはいかないと思い、お金を貸そうとすかさず千円札を出して男の子に渡そうとした。

「これ使いな!」
「どうぞ!」
「おばちゃん貸してあげるよ!」

しかし男の子に伸びた手は3本だった。私以外にもお金を貸そうと動いた人が2人いたのである。ああ、なんて優しい世界なんだろう。私は胸がぎゅっとなった。
それを見た車掌さんが言った。

「今回は特別に乗せてあげるから、次バスに乗る時に2回分払ってね」

そして男の子は無事にバスに乗ることができた。

毎日テレビで悲惨なニュースを見ていると、世界は残酷なのだろうかと思う時がある。だけど周りに共有されないだけで、こうやって温かい話が沢山あるんだと思う。見知らぬ人を助けようと思う心は、自分自身に助けられた経験があるから育つのだろう。優しさの連鎖は美しい。なんだかこの日は心が温かかった。

世界はもっと、優しいニュースを配信すべきだと思う。

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