「これはもはや恋ではない、きっと愛でもない。」
恋に深刻になりすぎている人はいませんか?彼に振り回されて、傷つき泣いているあなたに見てもらいたいなと思う映画です。
テルちゃんは一途だ。一途すぎるくらい一途だ。
それは、まもちゃんには重い、象より重い。
彼以外は仕事も、なにもかもどうでもよくなってしまうてるちゃん。
そんなてるちゃんはよく、身近にもいるタイプの女の子だ。
恋愛はつねに、惚れた方が劣勢。主人公のてるちゃんはまもちゃんのことが、好きで好きで逢いたくて逢いたくて、呼び出されれば、夜中だろうが、面接中だろうが、すっ飛んでいく。自分が辛くたって全然苦にならない。むしろ尽くすことが最高の喜びみたいだ。
でも、こういうタイプの女性は相手にたいてい疎ましがられ、恋は終わる。それか、報われることがないため、いずれ自分から耐え切れなくなり、離れていく。
こういう女性は暗くて、重くて、フラれると「あんなにつくしたのに~もう死にたい!!!」とかいう展開になりがちだが、てるちゃんは明るい。自分だって、やさしくしてほしい。大切にしてほしいとは思っている。でも、彼女の場合はそこにうらみ、つらみはなく、どこまでも、どこまでも尋常を軽々と超えていく。
周りにはバカだと言われるが、逆にそこまで純粋に人を好きになれるって幸せなんじゃないだろうかと思う。
ここに出てくる会社の同僚のように、冷静に恋が上手くなった人からしたら、羨ましくさえ思うだろう。
そこまで夢中になれる人っているだろうか。それはてるちゃんにさえ、もはやわからない域にまですっ飛んでいる。
「そこまでして、まもちゃんにくっいていたいの?」
「そうだよ」
「それってなんなの?好きってことなの?」
「スキ?なにそれ?」
「私はできることなら、まもちゃんになりたい。」
こんなセリフがある。一歩間違えばストーカーだけれど、
てるちゃん自身も、これが恋でもなく、愛でもないことはもうとっくにどうでもよくなっている。自分の気持ちが報われなくたって、そうしたいからそうするだけ。子供みたいにまっすぐだ。
楽しんでるんだ。切なささえも。悲しみさえも。もはや超越しすぎて、趣味に近いんじゃないかなとさえ思ってしまう。
でも、この域まで行けたら逆に重さが軽くなる。 水が一定温度を超えると蒸発するみたいに、別の物に変化する。
てるちゃんはきっと、人生を終えるときニコニコしながら、 この恋を振り返るだろう。 そんな恋がしてみたくなる映画です。