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晴れ空の下、風を食む。
数日前。
ジョギングに行くと、まるで春のような陽気だった。
梅の木が並ぶ道があり、よく見ると
「この木は白、この木はピンク色の花が咲くんだね」と判別できるくらいには、小さな蕾がポツポツ。可愛らしかった。
目まぐるしい日々と、交感神経が常に優勢な頭の中。
…チョコパイを食べてようやく訪れた、穏やかな気持ちが離れていく前に、今月のことを振り返りながら、あと数日間をどう過ごすか、考えてみようと思う。
レモンの香りのシャンプー
美容院のお正月休みが明けると同時に、私は伸びていた長い髪をバッサリと切った。
色を暗めの栗色から、ほんの少しベージュの色味を強くした明るさに。
年末年始の生活から、徐々に日常に戻りつつ
ちょっとだけ首から上の雰囲気が変わった、新しい私として、2025年のスタートだ。
今回初めてお世話になった美容院は、こじんまりとしていた。
無駄がなくて、でも余白があって
打ちっぱなしのグレーの壁に、明るい木の枠の鏡。
雑誌の並ぶカウンターの隅に、色とりどりのドライフラワーが生けられている。
ポロポロとギターのBGMが聞こえる、穏やかな空間。
担当してくれたのは、おそらく同世代の美容師さん。
踏み込みもせず、無視もせず
程よい距離感で話すことができたのが心地よかった。
仕事とか友人とか結婚とか子供とか
何気ない会話も、先入観や価値観によって
発する言葉も、受け取り方も大きく変わってしまう。
…新年一発目の、初めましての人との会話。
少し緊張していたかもしれない。
本当に、会話って奥が深いなと、改めて思う。
シャンプーがレモンの爽やかな香り。
華奢な美容師さんの、力強い数分間のヘッドマッサージに脱帽だった。
想像よりも若干短めに仕上がったけれど
すぐに伸びるのだから、今の長さを楽しみたいと思う。
歌い初め。
1月9日木曜日、歌い初め。
しばらく思い切り歌っていなかったけれど
想像していたよりも、声が出た。
自分の声が聞こえる。
「ああそうだ、私ってこんな声だった」と思う。
息遣いがそのまま歌に変わる。
呼吸が浅くて、届かなかった音。
身体が硬くて、ズレるリズム。
指先が冷たい。
乾燥した室内。
それでも歌い続けていれば
心がついてきて、身体は慣れてくる。
最近、ヨルシカさんの『風を食む』という曲がよく頭の中で自動再生されている。
優しい歌声と、優しいギターの音色。
詩的な歌詞と、奥ゆかしい日本語。
「食む(はむ)」という音が好きで、何度でも口ずさみたくなってしまう。
この優しくて、穏やかな曲を「いかに力を抜いて歌えるか」と、脱力を課題のようにして歌うと、逆に力が入ってしまうような気がする。
反対に、リラックスしていればいるほど、驚くほどスムーズに声が出たりする。
人間って面白い。
最近よく行くジョギングのコースは、自然豊かで見晴らしも良くて、人も少ない。
あんな気持ちの良いところで、それこそ風を食むように歌を歌ったら、きっと心地いいだろうな。今度誰もいない時に歌ってみようかな。…なんて思いながら、あっという間に時間は過ぎた。
公募に応募
書きたい気持ち、書けない気持ち。
書いてはみたけど、公開せずに自分の中に収めた気持ち。
今年に入ってから、今まで生きてきた中で一番「言葉」と正面から向き合っているような気がする。
それは間違いなく、15ヶ月前の自分がnoteを始めたからだ。
苦しいと思う事もある。
noteを始めていなかったら、こんな気持ちは知らなかったかもしれない。
でも、「この苦しい気持ちを知らないままの自分が、今ここにいなくてよかった」とも思う。
きっと
自分の心を表現できないのって、時にとても苦しいことなのかもしれないな。と思ったのだ。その表現方法が、言葉でも、表情でも、音楽でも、文章でも。
そして、なんとなく
「この可能性を忘れないようにしたいな」とも思った。
生徒に音楽のレッスンをする時も
自分で何かを表現する時も
「ひょっとして今、言葉や感情を、何か飲み込んでいるかもしれない」とほんの少し気にかけることで、気づける何かがあったりするかもしれない。
杞憂なら問題ない。でも、大切にしたい。
…そんなわけで、小さな一歩を。
賞に選ばれれば図書カードをいくらかいただけるエッセイの公募に、応募してみた。
「文章を仕上げて、データにして、提出する」という行為は初めてで、ちょっとだけワクワクした。
書き始めたら
これまでnoteを書いていたから、気づけた気持ちがあった。
これまでnoteを書いていた中に、ヒントがあったりもした。
15ヶ月前の自分、よくやった。と言いたい。
今月は、あと5日間。
自分がレッスンに通ったり
試験のようなものが控えていたり
そろそろ決断しなければならないことがあったり
ただ待つしかないことにウズウズしたり。
きっとこの曇り空のような心が、快晴になる日はまだ遠いけれど
間違いなく、良い方向に進んでいる。
こうして書き出せば、何か一つは、良いことが見つけられる。
そう信じていきたい。
2025.1.26