わたしの望む冬月くんの幸せとはなんだろう、という話
このドラマが終わった時、深澤辰哉さん演じる冬月くんが迎えたラストに納得がいかなかった。
周りに振り回され傷つけられて、挙句の果てにあっさりと放り出されたように見えたからだ。
最終回からはや数週間、FODオリジナルストーリー『ぼくの宝物』まで見て改めて考えると、あのラスト、冬月くんは幸せと言えば幸せだったのではないかと思えるようになった。
美羽と栞とはお別れすることになったとは言え動物園での思い出は残ったし、一度は頓挫したアフリカに学校を作るという夢は実現に向かって着々と進んでいる。
一度は離れた仲間の莉紗ともいずれ関係が修復されるような気配がみられた。
じゃあ、なぜわたしはそのラストに納得がいかなかったのか。
わたしが冬月くんにあげたかった(自分勝手で自己満足な)幸せとはなんだったのか。
どんなラストなら納得いったのかを残しておこうと思う。
そもそも最初に発表された時の冬月くんの立ち位置は「最愛の幼なじみ」だった。
これを見たら普通に美羽は冬月くんのことを愛していると思うじゃないか。
だからわたしは最初から最後まで、美羽は冬月くんを愛していると思っていたし、最終回のラストで「なんで!?」と叫んだのである。
いや、最愛ってそういうことやん!?最も愛してるってことやん!?嘘やろ!?
で、ある。
『ぼくの宝物』まで見て気づいてしまった。
あ、美羽は冬月くんのこと愛してたわけじゃないわ。
辛くて辛くて一人ではもうどうにもできないくらい追い詰められていた時に、忘れてた笑顔を思い出させてくれて、心の痛みに気づかせてくれて、手を差し伸べてくれて。
確かに好きだったかもしれない、でも助けてくれそうな人だったから、優しくしてくれたからただすがった、それだけだったんじゃないだろうか。
もちろん、それは責められない。
美羽も必死だっただろうし、冬月くんの優しさは間違いなく彼女を救ったのだから。
ただ、それは冬月くんが美羽に差し出した愛とはまったくちがうものだったんだと思う。
ちなみに不倫に対してのわたしのスタンスは、積極的に賛成はしないけど、絶対許さないと言うわけではない。ケースバイケース。人それぞれ、色々あるよね人生、くらい。
フィクションの中であれば特にどうこう言うつもりもなし。
とはいえ、木曜22時のドラマで不倫の恋も托卵も成就してハッピーエンドにはならんやろ、とは思って見ていました。
閑話休題
わたしの見たかったハッピーエンドは決して冬月くんが美羽と栞の3人で幸せな家庭を築くことではない。
そうなったとして、冬月くんは宏樹への罪悪感で心から幸せ!となれる人ではないだろうし、美羽にも小さな栞を連れて一緒にアフリカに来て欲しいとは言わないだろうから夢を諦めることになる。
そうなのだ。
美羽はきっとアフリカに一緒行くとは言わない気がする。
冬月くんの幸せを考えるとどうしても美羽の幸せについても考えることになるのだけれど、そういえば美羽の言う「わたしの宝物」ってなに?となる。
冬月くん?栞?宏樹?となった時、わたしが思ったのは、幸せな家庭と言う名前のステキな鳥籠なんじゃないか、だった。
彼女の生い立ちを考えると可能性ゼロではないと思う。
優しい旦那さまと可愛い娘がいて、ステキなお家とやりがいのある仕事とお金に困らない生活。
彼女が最後に手に入れたもの。
もちろん、全ての人がそれに幸せを感じるとは限らないとしても、宏樹のモラハラを受けていた彼女が冬月くんに再会した時に、冬月くんとのそれを想像しなかったとは言えない。
けれど紆余曲折を経て、彼女が選んだのは冬月くんではなくて宏樹と一緒に栞を育てていくことだった。
最終回が終わった時に、わたしは「宏樹が愛してるって言った時、宏樹に知られないように美羽はちょっと困った顔をして、本当はやっぱり最愛の人は冬月くんで、だけど冬月くんの夢を壊さないように、冬月くんとのこどもを苦労させず幸せに育てるために、宏樹に嘘をついてでもこの生活を守る、わたしは悪い女、って最初の伏線回収して最後鳥籠の扉が閉まる音で終わったら最高だったのに!!」と思いましたよ…。
結局、わたしは冬月くんがどの道を選んだとしても彼が幸せだと言うならそれで良いとは思うものの、冬月くんの大切なものを大切にしてくれて、自分のことよりも人のことばかり大切に守ろうとする冬月くんを誰よりも大切に守ってくれる存在が物語の中に欲しかったんです。
それは別に莉紗でもよかった。
わたしは彼女のちょっと気が強くて素直になれないところや、真っ直ぐなところは嫌いではない。
だけど莉紗は冬月くんの幸せを、大切なものを一番に考え大切にしてくれる人ではなかったから嫌だった。
それは彼の大切な人だという美羽に対しての言動や、アフリカでの嘘がそう。
もし、最後の冬月くんとのシーンで、一緒にもう一度アフリカに行かないかって告げたのが冬月くんではなくて莉紗の方だったら、応援できたかもしれない。
自分と同じ気持ちの好きでなくてもいいから一緒にいたい、一緒の夢を見たいし叶えたいし守りたいって言ってくれたら。
あくまでもかもしれない、ですが。
無垢な優しさと綺麗な愛を最初から最後まで周りの人にそっと差し出して笑っていた冬月くんをたぶんわたしはずっと好きでいるので、もうわたしの木曜日に冬月くんはいないけれど、お話が終わればどこにもいなくなってしまう人だけど、わたしは彼をずっと大切にして忘れないでいたいな、と思うのです。
拙い長文にお付き合いくださった方がもしいらしたら、ありがとうございました。
※冬月くん以外の登場人物が全て敬称略なのに冬月くんだけくん付けなのは冬月くんは冬月くんだからです。あと贔屓です。そこは素直にごめんなさいします。