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孤独と向上心

私の心の中では、向上心と孤独がよく一緒にいる。
孤独と手を繋いだ向上心が、前へ前へと歩かせながら、景色が変わっていく姿を孤独に見せた。
孤独はその度に、こんな世界があるのだと口にしてほとほとと涙を落として笑う。向上心はそれに安心して、また前へと歩みを進める。

それでも時々、孤独は進もうとする向上心の手を逆に引っ張り、なぜこの世界にいてはだめなのかと問う。どんなに違う世界を見ても、孤独は孤独のままなのに。見える景色が変わったとして、それで向上心は孤独にどうなって欲しいのか。向上心はそっと手を下ろして、言うのだ。

「生きる理由も、生きない理由もないと君は言った。孤独はどこにいても孤独だから。だから、君が唯一捨てられないもの、唯一大切にしたい願いを叶えるためだけに、僕は一緒にいる。何もいらないと言った君の目を、僅かでも揺らがせるものがこの世にあることを知ってるから。」

孤独は歯を食いしばって泣き出して、ここまで来た道のりを思い出す。ここまで来たからもういいじゃないか、願いなんて持てただけで十分だ、たくさんの事をしてきたから、もうたくさん歩くことはできないんだ。わかるだろう、君だってぼろぼろじゃないか。

「だから僕にだって君は必要なんだ、君がいなきゃ僕がいる意味がない。こんなぼろぼろの手でも手を繋いでくれる君がいなけりゃ、僕なんて。」

口を噤んだ向上心に、孤独はまた沸き上がる気持ちにいたたまれなくなり、抱きしめるしかないのだ。
自分が微かに抱いた願いなどなければ、もっと早く終わりは来ていただろう。向上心が握る手の強さがどこから来るのかなんて知らずに。今ならわかる。だからこそ、互いに手を握りあって立つことが精一杯でも、それが『生きる』ことになるなら、これでいい。

こじつけでも、言い訳でも、なんでもいい。
生きない理由がないなら、生きるしかないから。
そうやって私を生かしてきたんだ。

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