触れた言葉の熱さに火傷する
手探りで言葉を集めている。集める力ができたことを実感しながら、今の私を生かす言葉を探している。気休めでもなく、誰からの優しさでもなく、心に刻まれるような、殻に篭った自分を打ち破るような言葉を。
いつだって人は孤独で、誰よりも一緒にいるのは自分で、どうやっても逃げられない存在だ。他人に何かを求めたとしても、自分が自分でなくなるわけでもない。瞬きをしている間、自分を忘れているだけのこと。ただそれだけのこと。
誰かから魔法をかけてもらうのをじっと待っているだけでは何も起きない。期待ばかりが大きくなると、かけてもらった魔法にすら気付かずに失ってしまうから。無我夢中になっている時ほど、魔法はかけられていると私は思う。そして立ち止まった時に、体のあちこちに残った魔法のカケラに気付くのだ。まるで雪のように、愛おしむ間もなく私の体温で溶けてゆくカケラたち。
私は完璧を求めたがるくせに、長い息の続かない人だ。交友関係が途切れるのも、私の連絡不精によるものだ。仲良くしたいと思いながらも、失望されたくない故の威勢だけ発揮し、期待されたものに応えられず自己嫌悪に陥る。本当に悪い癖だと思う。どこかで仕方ないと思っている節もあり、タチが悪い。完璧な姿で人前にいれなくなると、たちまち醜い人間になってしまう。折角「いい子」で「優しい」人だと信じてもらえたのに。そんな自分に呆れることにも飽きた。そろそろ素直になってもいい頃では?
生き方を変えることはとても難しい。自分の思考パターンや価値観は、生まれた時から共にあるこの身体に染み着いている。それこそ個性とも呼べるはずのものが、生きる上に置いて歯車が回らなくなる原因なのだとしたら、それを潤滑にする油が必要だ。その油こそ、定期的にささなければならない。だから私には生きる言葉が必要で、揺るぎなく伝えるべきだと誰かが願った作品から言葉を集めようとするのだ。想いが込められた言葉は熱があり、読み上げていく息すらも無駄にできないものがある。自分に気付きをくれる存在は常に身近な人とは限らない。人は独りであるからこそ、自分以外の誰かへ伝えたくなるのだ。どうか届いてほしいという願いと共に。私は私を失わないために、私を忘れないために、私を生かし続けるために、私を私だけで終わらせないために、言葉を探し続けるだろう。
そして触れた言葉の熱さに火傷をして、心に刻みつけよう。