見出し画像

一目でわかることは絶対的な正義ではないのかもしれない、の巻

少し前に取り上げた「マメシバ一郎とフーテンの芝二郎」に出ていた女優さんが、絶妙の演技で気になっていました。南沢奈央さん。

彼女がなんと、諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズに出ているというので、さっそく観てみた。またしても10年前のTVドラマの感想だよ!

原作の方ですが、「マッドメン」「西遊妖猿伝」などの長編、他にも素晴らしい短編はたくさんありますが、基本はシリアス路線の諸星先生。その独特な画風(手塚先生がシットしたらしいですね)とストーリーテリングでまるで面白過ぎる悪夢を観ている感覚になりますが、「栞と紙魚子」は氏にとって初の?少女マンガという事もあり、その緊張感のない、つかみどころのない日常的で非現実な世界観はクセになります。こんな引き出しもあったとは・・・。

で、ドラマの方ですけど全くキャラのちがう栞(南沢奈央)と紙魚子(前田敦子)。前田さんの動く姿は初めてみたけど、意外と(失礼)演技できるじゃないの!そして、毎回脇を固める演劇出身ぽい濃い俳優陣。高校生に全く見えないのに堂々とやる高校生を演じる人もいたりして、その「ドカベン」でおそろしく老けた高校生を演じた川谷拓三サンを彷彿とさせて、また趣深し。

それにしても南沢さんは周囲の迷惑を気にしないで、いろいろ騒動を巻き起こすキャラを演じてもなんか嫌みがなくて、やっぱり良い。「マメシバ」の時は二郎さんに悪態を突くキャラだったけど、ヘタな役者だったらツンツンしてる不快感だけが伝わるけど、そうじゃないサムシングがあったし・・・。でも、そんな実力派が今は脚光をあまり浴びていないようなのが日本芸能界の闇というか。。。まあドラマをふだん観ない身で何を言っても仕方ないですが。

ドラマ自体も原作と全然違う面も目立ちますが、あの掴みどころの無い「お涙頂戴」でもなく「悪人がやっつけられて気分スッキリ」ともちがう独特の味はちゃんと受け継がれてて安心。

でも、このドラマもゴールデンタイムでは無かったし、諸星先生も出身こそジャンプだったりするけど、「アンケート至上主義!」みたいなところとは違う分野で活躍されてたし、コマーシャルではあるけどある程度やりたい放題できる場所、ってやっぱ大事なんですよね・・・。

でも、「メジャー」と「マイナー」の境界線があらゆるジャンルで溶解している現在、この先どうなっていくんのでしょうか。まあドメジャーの週刊マンガ誌がグラビアもマンガも「巨乳」という究極のわかりやすさを追求しまくってるのはどうなんだろ?性別を逆転させれば、常に布面積少なめのパンツで巨根っぷりを見せつけてる若い男を始終目にするワケでしょ?!・・・って、それは話が違ってくるのでまた次回。。。


いいなと思ったら応援しよう!