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JUNK FILM by TOEIを楽しく観る方法vol:01「舶来仁義 カポネの舎弟」

語尾に特徴的な単語をクドいくらいに付け加えるという方法が昔からありますね。

「サイボーグ009」を筆頭に中国人役が出てきたかと思えば「~アル」と必ず喋っていましたよね。今の作品ではさすがにやってないのかな?「キテレツ大百科」のコロ助とか「~ナリ」を付け加えることで、強烈にキャラクターを主張できるナリ、と。

「~アル」と同じような現象といえば、外国人が喋っている…しかし日本人の少年少女または学の無い人には英語をそのまま喋らせて字幕をつけるのも不親切(面倒だというのもあるのでしょうが)、じゃあなんか妙なアクセントで日本語をしゃべらせれば外国語っぽくなるんじゃね?

「オー、それはいけませーンネ」「それはボスがたぶん困りますネ」などなどアジア系じゃない人がしゃべるあの口調。あ…中国人は区別するために「アル」をつけてたのか。どっちにしろ今だと糾弾されそうな安直かつ分かりやすいこの演出方法。発生から変遷、そのバリエーションをまとめただけで大部の本ができそうです!もうあるのかしら?

そして、そんな怪しげな外国人アクセントをフル活用して若山富三郎先生が暴れたらどうなるのか!?それが今回ご紹介する「舶来仁義 カポネの舎弟」なのであります。

映画のタイトルを音読するだけで軽くトリップしそうな異物感がすごいのですが、「カポネの元で修業した日系人のマフィアが日本に凱旋?帰国して大暴れ」というのが大まかな内容になります。

前振りのように「ニッポンのキョウカク、ジンギ大切にスルネ」などと怪しい言葉使いが作品を支配しております。こんなフザケた映画を丸々一本観んのかよ!と苦情も出てきそうですが、「コワモテ+コメディ」の微妙なカクテルを演らせれば日本一の若山さんの演技!和式便所に四苦八苦して…なんて「いかにも東映」のシナリオも相まって「何も予定のない休日にホッピー片手にダラダラ楽しく観る」のに最適な映画となっております。

「〇〇賞受賞!」「全米も南米も泣いた!」「巨匠の〇〇年ぶりの新作!」「○○億円を費やした!」よくある煽りフレーズですが、こんなものに観客も作り手側の方も悪酔いしてしまったのが現代の映画(特に邦画)界の姿ではないだろうか?職人的に当時の東映の客層(ご想像にお任せします…)を喜ばせる作り手より、やれブルーリボン賞だのなんだのをありがたがる芸術至上主義な風潮。90年代、まさにそういう目で映画を判断していた自分への反省を込めて、ですが。東映を偏愛する理由に関してはまたおいおい…。

この作品に話を戻すと、ある意味普段通りの若山さんと山城新伍は置いといて、その2人と珍しく主人公側で組んだ渡辺文雄さんの存在。


オイラの年代で言うと胃薬のCMや「連想ゲーム」で活躍する知的な良いパパ…しかし、東映に開眼してからはホントに無数のヤクザ映画で一貫して「現代的なシノギに秀でた酷薄な暴力団幹部」を演じている姿に驚きました。「ボクの知ってるパパが実は…」ですよ(狼狽)!

しかし、東大→電通→松竹(出向)というエリートの側面を東映でも堂々と表現したのが、かの傑作「色情大名 徳川セックス禁止令」!サンドラ・ジュリアンを相手にフランス語で喋り字幕がちゃんと付いてました(別にイバることじゃないですが)!

時期は前後しますが、渡辺文雄さんもそんな素地を隠してインチキ外国人しゃべりで一本演ってたとは。本人の気持ちはどのようなものか…。しかし、なんと劇中でも特に説明もされずに「ジョー(?)はなちょっと訳があって別行動してマスネ」なんて若山さんの雑な説明でしばらくいなくなるんですよね。

さすがに渡辺文雄さんも「いつもの悪役だったら割り切れるけど、これはさすがに…」なんてことで失踪してたのかしら?…なんて妄想が膨らまさせられてる時点でこの映画の勝ちですね。なんの勝敗を競ってるかわかりませんが。。。


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