
74.道をひらく【松下幸之助】読書感想文
松下幸之助をご存じでしょうか。
もしくは「松下電器産業株式会社」をご存じでしょうか。
私自信は、ほんとに半年前くらいにその名前を知りました。
たまたま親戚の人が、旧松下電器産業、現パナソニックで働いていたことで、その沿革を聞いたことがきっかけです。
そのパナソニックホールディングスを一代で築き上げた経営者こそ、松下幸之助であり、「経営の神様」という異名もあります。
そんな松下幸之助さんの書籍「道をひらく」を多くの経営者の方が読むべき本として取り上げており、手に取ってみました。
自身の体験と人生に対する深い思慮が表れており、人生観・仕事観に大きく刺さる言葉が並べられておりました。
本の中では、淡々とサブタイトルとともに言葉が短く並べられています。
大きな章分けとして
人生 → 仕事 → 事業 → 人生 → 国
というような。なんとも最後はスケール感の大きな話。
私のような未熟者には、目が点になるような内容ばかりでしたが、理論理屈では理解できてしまう内容がほとんどで、親しみやすいものでした。
素直に生きる
逆境とはその人に与えられた尊い試練であり、逆境に鍛えられてきた人は強靭だ。という言葉がありました。
では、順境は尊くないのでしょうか。
そんなことはなく、どちらもその人に与えられた一つの運命なのです。
なので、順境だろうが逆境だろうが、与えられた運命とその生涯に素直に生きる大切さを説いていました。
素直に生きることで、強靭になれるのです。
逆境に素直に生きることは、ある種、挑戦だったり、逃げないという行動になると思います。
じゃあ、順境に素直に生きるとは、どういうことでしょうか。
自惚れない、過信しない、という風に私は捉えました。
今ある居心地のいい生活について、慢心しない心を持ち合わせているかどうか。んー、100%YESとは、私は言えなさそうです。
生と死
人生とは、毎日が死への旅路。だそうです。
なんて怖いこと言うんだと思いました。
まあでも確かに、明日にどころか、今、文章を書いている最中にも何が起こるかわからないですよね。こうやって私が読書記録をnoteに残していることも、いわば死ぬ準備です。
死ぬことは怖いですが、多くの人は今死んだら困ると思います。
私もそうです。やりたかったことやり切ってません。死ぬ準備が完了していないんです。
生があるということは死がある。
生が尊いからこそ、死を恐れる。
やりたいことを死ぬ準備と言い換えるだけで、「やばい、準備しなきゃ」
と思うのは私だけでしょうか。
本領を生かす
仕事をしていると、自分の強みはなんだろう、と考えてしまいます。
友人の話を聞くと、隣の芝が青く見えます。
その領域だったら、本領だせるかな、なんて勘違いもあれば、
それは私にはできない、と縁を切る領域もあると思います。
本領ってなんでしょうかね。
もしくは、仕事に限らずやりたいこと・やってみたいことが多い人は少なくないはずです。では、全部できるんでしょうか。やっぱ難しそうですよね。
社会は大きな歯車ですが、それを回しているのは小さな歯車がそれを囲っているからで、小さな歯車こそちっぽけな我々です。
小さな歯車ができることは、精一杯できるかぎりその歯車を回すことにつきます。
別に小さい歯車は一つじゃない。たくさんあるから大きな歯車は回っています。
自分一人が世界を変えてやろう、という意気込みをもって、本領をさがすと、なんかでっかい規模になって大変そうです。
自分に精一杯できることを心がけて、素直に愚直に頑張ってみよう。
判断と実行と
判断するのも、実行するのも、頭のなかでは描けてしまいますよね。
想像くらいできます。
でもそれは他人から見たらわかりません。
見てわかるようにするには、現実に判断を下し、実行をするわけです。
そこにSTOPをかけるのが不安であり、結局そこを乗り越えるためには勇気が必要です。
勇気を持たない判断と実行が過去にあったかもしれませんが、
勇気を持った判断と実行は覚悟が違います。
じゃあ自分が勇気をもって飛び込める基準はどこでしょうか。
本の中では、60パーセントの見通しと確信があれば、と書かれていました。
私自身、この基準が分かっていない人間だったので、まずは60パーセントにするための行動をする。
そして100パーセントにする勇気と実行力をもって望んでいきたいと思います。
熱意をもって
経営のみならず、仕事には必ずしも成果が求められます。
成果を出している人には、人が集まります。
なぜ人は集まるのか。
おそらく成果を出していること、も理由の1つでしょうが、成果を出すための熱量や、価値を与えることへの熱量にリスペクト抱いてるからではないでしょうか。
自分の周りを見返しても、結局熱意ある人は、人に恵まれています。
また熱意のレベルで合う合わないはあると思いますが、同じ志を持っている人を見ると、少なくとも頑張れる経験はだれしも必ずあると思います。
私は、手を抜いて時間が過ぎるのは、なんかもったいないと感じてしまう人です。
賛否両論あると思いますが、楽しい時間、仕事する時間、常に全力で向き合うほうが豊かな気がしています。
そういう姿勢を貫いて、人に伝播していけば、私自身とても幸せです。
さいごに
まるで哲学本のような、濃密な内容で、これまた難しい日本語で書いてあった本でした。
文面からもあると思いますが、なんか重たく見えます。
いい意味で自分には、強くメッセージが入ってくるのですが。。
よく本は1000円~2000円で3時間程度かけて、先人の知恵や経験を学ぶことができるコスパのいい投資と言われます。
まさにこの本はそれに当てはまる本です。
松下幸之助さんが現世にいても直接会って話を聞けない中で、奇跡的に文章としてそれが残っている。
経営やビジネス書として捉えられるかもしれませんが、人生の教科書としても素晴らしい一冊だと思いました。