人妻オメガバース_脚本(シナリオ)
※連載漫画用の脚本(シナリオ)です。
※こちらのプロットの第1話をシナリオ化したものです。
※横読み漫画で28p前後の尺になるかと思います。
■タイトル
「人妻オメガバース(仮題)」
■登場人物
二ノ宮 紫帆(28) 専業主婦
二ノ宮 瑛二(24) 国会議員秘書、礼一郎の弟
二ノ宮 礼一郎(30) 国会議員秘書、紫帆の夫
■脚本(シナリオ)
〇紫帆の自宅・昼
高級住宅街の一角にある真新しい一軒家・外観。
庭木が綺麗に整えられ、家の中もモデルルームのように片付いている。
ソファでテレビを見ていた紫帆、テーブルに置いたスマホが鳴ったのに気づく。
メッセージは夫・礼一郎からで「今夜帰る」とひと言。
紫帆「礼一郎さんが帰ってくる……!」
顔に緊張を走らせ、スマホを持ったまま立ち上がる紫帆。
紫帆「今夜の夕食は何がいいかしら。礼一郎さんが喜ぶものを作らなくちゃ」
紫帆、慌ててキッチンに走り、エプロンをつける。
紫帆M「私は二ノ宮紫帆。28才専業主婦。国会議員秘書をしている夫は多忙で、家に帰ってくるのは月に一度ぐらい」
紫帆M「寂しくはあるけれど、十分に満たされた生活をしていると思っていた。あの日が来るまでは……」
と、玄関チャイムが鳴り、
紫帆「はーい」
紫帆、モニターを覗き込む。
モニターの中には、制服を着た宅配業者の姿。手には大きな段ボール箱。
宅配業者「お届け物です」
紫帆「そこに置いておいていただけますか?」
宅配業者「はい。あとハンコをお願いできますか?」
紫帆、申し訳なさそうに眉を下げて、
紫帆「すみません。夫から外に出るなと言われているものでして……」
宅配業者「はぁ……」
困惑する宅配業者。
紫帆、宅配業者が帰ったのを確認してから、ようやく荷物を受け取る。
紫帆「ネットスーパーからだわ」
ダイニングで段ボールを開封し、食材を手に取る紫帆。
と、再びスマホが鳴り、今度は親友の早紀からのメッセージが表示される。
早紀(メッセージ)『久しぶり。近くに来たから今からお茶でもどう?』
紫帆M「早紀……! 会いたい! ……けれど、駄目よね」
紫帆、残念そうな表情で返信メッセージを打ち込む。
紫帆(メッセージ)「ごめんね。夫の許可なく誰かと会うことを禁止されてて……」
メッセージを送信すると、ピロンピロンと立て続けにスマホが鳴る。
早紀(メッセージ)「え、それ大丈夫?」
早紀(メッセージ)「旦那さん、ちょっとやばくない?」
早紀からのメッセージを読んだ紫帆、そっと早紀をブロックする。
〇同(夜)
壁時計が十二時を指している。
ダイニングテーブルに突っ伏してうとうとしながら、夫の帰りを待つ紫帆。
テーブルの上にはラップをかけた豪華な食事。
紫帆、背後に人の気配を感じて、はっと目覚める。
振り向くと、不機嫌そうな礼一郎がコート姿で立っている。
紫帆「お帰りなさい、あなた」
礼一郎「……いいご身分だな、専業主婦というやつは。旦那の帰りを起きて待つこともできないのか」
紫帆「ごめんなさい。ついうとうとしちゃって」
礼一郎が脱いだコートを受け取り、紫帆、礼一郎の椅子を引く。
紫帆「すぐにごはんにしますね」
礼一郎「いい。外で食ってきた」
礼一郎のシャツの襟元には、キスマークの痕。
紫帆「外って……」
礼一郎「なんだ。不満そうな顔だな」
礼一郎、にやりと微笑んで、
礼一郎「この一ヶ月、俺に相手にされなくて、欲求不満か?」
紫帆「そんなこと……!」
カッと頬を染める紫帆。
礼一郎「これだからオメガは嫌なんだ。いつも俺のことを物欲しそうに見て」
礼一郎、おもむろにスラックスのベルトを外し、股間のチャックを引き下げる。
下着越しに、萎えたままのペニスを紫帆の顔に押し付け、
礼一郎「舐めろ」
紫帆「え……?」
紫帆、信じられないといった表情で礼一郎を見上げる。
礼一郎「これが欲しかったんだろう? 浮気相手に嫉妬している暇があったら、さっさと奉仕しろ」
紫帆「嫌っ……!」
紫帆、激しく顔を背ける。
怒った礼一郎、紫帆の髪を鷲掴みにして、
礼一郎「うるさい! オメガのくせに、性欲処理すらまともにできないのか!?」
礼一郎、紫帆の頬を平手打ちする。
さらに、苛立ちのまま、用意していた食事をすべて床にぶちまける。
紫帆、それらを呆然と見つめる。
紫帆「礼一郎さん……」
礼一郎「来い」
礼一郎、紫帆の髪を引っ掴んで、寝室へ直行。
〇同・寝室(夜)
暗がりの中、ベッドの上で一方的なセックスが行われている。
紫帆「あ……ぁ……、いや……」
礼一郎「嫌がる素振りだけは一人前だな。体はこんなに感じてるくせに」
紫帆「そんな……」
悲しくて恥ずかしくて、きゅっと眉根を寄せる紫帆。
紫帆M「感じてると言うけれど、夫とのセックスはいつも痛いだけ」
紫帆M「初めて抱かれたときから、そうだった。あれはもう十年も前……」
〇回想・紫帆の実家・自室・昼
紫帆、ベッドに横たわっている。
紫帆「なんだか熱っぽいな……」
脇で測っていた体温計が鳴り、「37.5℃」と表示される。
紫帆「やっぱり。風邪かな? でも、それにしてはなんだか……」
紫帆、目を閉じ、両手でぎゅっと全身を抱きしめる。
紫帆M「二次性徴診断で、私がオメガと判定されたのは15才のとき」
ここでオメガバースの設定を説明。
紫帆M「噂には聞いていたけけど、この体の熱さ……もしかして……」
礼一郎「ようやく発情期(ヒート)が来たようだな」
紫帆「礼一郎……くん……?」
目を開くと、幼馴染の礼一郎が部屋にいて、紫帆の体に覆い被さってくる。
礼一郎「俺はずっとこのときを待っていた。お前を俺のものにする、このときを」
礼一郎、困惑する紫帆のうなじに噛みつく。
紫帆「痛っ……! 何をしたの……?」
礼一郎「これでお前のフェロモンはもう俺にしか効かない。お前は俺のつがいになったんだ」
紫帆「つがい……?」
礼一郎「結婚しよう、紫帆。一生、俺がお前を大切にしてやるから」
紫帆「んっ……!」
礼一郎にキスをされ、そのまま初体験をする紫帆。
〇回想戻って・紫帆の自宅・寝室(夜)
事後。礼一郎、紫帆に背中を向けて寝息を立てている。
全裸のまま放置された紫帆、荒い呼吸を整えながら、
紫帆M「今思えば、あのとき勢いに押されるがまま結婚したのが間違いだったのかもしれない……」
紫帆M「礼一郎さんのご実家・二ノ宮家は代々国会議員を排出する名家。そこに何の変哲もないオメガの私が急に嫁ぐことになって……」
〇回想・礼一郎の実家
二ノ宮家と紫帆の実家の親族一同が集まって、揉めている。
礼一郎の母「私は嫌ですよ! 礼一郎さんとオメガの結婚を認めるだなんて!」
紫帆の母「そうは言っても、うちの娘はもう疵物になってしまったんです!」
紫帆の父「謝るのは、そちらの方じゃないんですか?」
礼一郎の父「……こんなことは言いたくないが、そちらのお嬢さんはうちの財産目当てで、わざと息子を誘惑したんじゃないのか?」
紫帆の父「なんてことを……!」
〇回想戻って・紫帆の自宅・寝室(夜)
紫帆、眠る礼一郎に背を背け、
紫帆M「アルファとオメガの間に揉め事が起きた際、オメガが悪く言われるのは当たり前。無事結婚してもらえただけも有難く思わなくちゃ」
紫帆、礼一郎に叩かれ腫れた頬をさすりながら、
紫帆M「私が我慢すれば、すべてが丸く収まるんだから」
紫帆M「綺麗な家に、恵まれた生活。立派な旦那様。これ以上何を望むと言うの?」
紫帆、ゆっくりと目を閉じる。
〇紫帆の自宅・リビング(昼)
翌日。仕事に行く礼一郎を見送ったあと、玄関のチャイムが鳴る。
モニターを覗くと、スーツ姿の男性(首から下)が映っている。
紫帆「礼一郎さん? 忘れ物かしら」
紫帆、玄関ドアを開けると、そこには礼一郎の弟・瑛二がいて。
瑛二「久しぶり、紫帆さん」
紫帆「え……?」
瑛二「俺だよ、俺。瑛二」
紫帆「瑛二くん!? 海外に行ってたんじゃなかったの……っあ!」
瑛二の顔を見た途端、発情期(ヒート)を起こす紫帆の体。
紫帆M「うそ……なんで急にヒートが……!」
思わずその場にくずれおれる紫帆。
瑛二、紫帆の体を支えながら、はにかみ、
瑛二「今朝帰ってきたんだ。紫帆さんに一刻も早く会いたくて」
瑛二、紫帆の首筋に顔を埋めて、
瑛二「あ~すっげー甘い匂い。……もう我慢できないけど、いいよね?」
瑛二、紫帆にキスをする。大混乱する紫帆。
紫帆「んっ~~~!?!?!?」
瑛二「ただいま、俺の<運命のつがい>」
瑛二、うっとりと目を閉じ、紫帆の髪を撫でる。
<2話につづく>
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