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深澤直人氏が語る「デザイン」にしびれた話@Designship2021

10/23~10/24にDesignship2021に参加した。
デザイン業界の垣根を超えた数々の講演が聞けて楽しいイベントだった!

数ある講演のなかで、個人的に一番おもしろかったのが深澤直人氏の「今デザインにできること」だ。
中学時代にau design projectに魅了されていた身として、INFOBARなどのデザインで有名な深澤直人氏の講演を聞くことができてテンションが上がった。

この記事では深澤氏が語った「デザイン」・「創造」・「美しい考え方」についてと感想をまとめる。

(※発言は講演を聞いた時に個人的に取ったメモをベースに書き起こしているので、ニュアンスが違ったりしている可能性があります。正確な発言内容はアーカイブをご参照ください。)

「デザイン」とは

「デザインは問題解決の手段。」
「デザインは何を問題とするのかの定義を見出すもの。それに対応した最適解を導き出すことである。」
「優れた問題解決は問題を定義するところから始まっている。」

私は「アートは問いで、デザインは答え」という意識をもってデザインに取り組んでいた。
(↑これを初めて聞いたのは大学時代。誰から聞いたのか、誰の言葉なのかがわからなかった。調べてみるとジョン・マエダ氏のツイートがヒットした!)


「優れた問題解決は問題を定義するところから始まっている。」を聞いて
振り返ると、もう存在している問題や課題に対してどのようにアプローチをするかは考えてきたが、問題や課題自体を疑うことまで踏み込めていなかったな…と身に刺さった。

答えを出すことに集中することがデザイナーの仕事で、問いの部分はアートの管轄だろうと自分の中で線引きしていたのかもしれない。

いい答えを生むためにも、答えをブラッシュアップするだけでなく、問いにも目を向けられるよう意識しようと思った。

名称未設定のアートワーク 2

「創造」とは

「創造とは共感を得ることを生み出すこと。」
「(ユーザに)共感の一員だったことに気づかせてあげるのがデザイン。」
「感じていることを自覚できることは創造の基本。」

創造の説明をするときに、ドアストッパーがないときにゴム靴のドアストッパーがわりに使う写真を例に挙げられていた。

画像1

(参照元: http://preview.gupmagazine.com/articles/making-do-and-getting-by

これは人間がゴム靴の摩擦力や弾性を無意識に理解しているので、ゴム靴でドアを止めることができる。
このように、人間は置かれた環境のアフォーダンスに気づくことによって、その場にあるものでクリエイションすることができるのだ。

自分が無意識の中で当たり前と思っていることが認識することがインスピレーションになるということを教えてくれる。だから「感じていることを自覚できることは創造の基本。」ということだ。

私は「創造 = 何もないところから創る」のイメージを持っていたので「創造」の敷居が高くなっていた。
「何もないところから創る」のではなく、「何もないように見えるところを観察して気づいたことをヒントに創る」と心持ちを変えることで少しだけ肩の力が抜ける感じがした。(それでも、もちろん創造は難しいけど)

名称未設定のアートワーク 3

まずは観察することで何かに気づくところから始めようと前向きな気持ちになった。

「美しい考え方」とは

「行為は選択することであり、人間の無意識の行動は生きる方向に動く。これを美しい考え方とするのであれば、美しい考え方をしようとするのではなく、無意識に美しい考え方をしているのではないか?」
「選択の岐路に立ったら美しい考えのようを選べば、自ずと正しい考えが見つかる。」

人間が転びそうになると受け身を取ろうとするように、人間は無意識に生きるための行為を選択する。この考え方を深澤氏は「美しい考え方」としているのだ。

名称未設定のアートワーク 5

私はこの話を聞いて、生存本能や防衛本能といった人間のDNAに刻まれていることを「美しい」と捉えることが面白いと思った。
「創造」の話でも出てきた「無意識を自覚する」に通じることで、「美しい」も作り出すものではなく、気づくものなのかもしれない。
小手先で作ったものより、大昔から脈々と生物的に形作られたものや感覚の方が美しさの理屈が通っているということなのだろう。

私もデザインする時に自分の中の違和感や心地の悪さに正直になることを大事にしたくなった。そうすることで美しいデザインが実現できたらなと思う。

さいごに

深澤氏が自身の中にある「デザインとは」を言語化されているのを目の当たりにして、優れたデザイナーは物事を抽象的に捉えて、具体的に表現する能力がとてつもなく高いことを身に沁みて感じた。
整っていて破綻がないプロダクトデザインが生まれる理由がちょっとだけわかった気がした。

日々の業務の中で、知らず知らずに思考範囲がスマホやPCの中のUI・UXと狭くなっていったデザイナーとして今回の話は背筋がシャキッとする内容だった。
自分の中の感覚を研ぎ澄ませて、これからもデザインしていくぞ〜!

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