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日本の田舎が時代の最先端である理由。

今回はかなり真面目な話。
堅苦しい話になるかもしれない。

私はUターンで地方に住んでいる。
最近では、リモートワークが増えて田舎への移住を決める人が増えているそうだ。

私の地元にも移住者が一人増えた。

とても嬉しい。

今回は、田舎が時代の最先端である理由についてお話します。

は?田舎なんて遅れてるでしょ?
って思うかもしれない。

以前の私もそう思っていた。
しかし、どうも風向きが変わってきているようなのだ。

もしかすると、地方に対する考えが180°変わるかもしれない。

私の願いはこの一言に尽きる。

都会から地方を見るのではなく、
世界から日本の地方を見てみてほしい。

それでは、いってみましょう。

世界は持続可能性という難題に立ち向かっている。

世界の抱える問題は、経済発展と環境汚染のバランスだ。

とくに環境汚染についてはかなりの危機感を抱いていることをリアルに感じてほしい。

私がこの問題を知ったのは、地元が世界農業遺産に選ばれたからである。

世界遺産ではなく、世界農業遺産だ。
聞いたことがない人がほとんどだろう。
私もこの時初めて聞いた。
そんな名誉をもらったことすら知らない地元民も多い。

簡単に説明すると、環境保護や生物多様性を守りながら経済発展を行なう世界のモデル地区のようなものだ。

いわゆる田園風景や里山里海といった、人間と自然が共存できる暮らしを称賛していただいたのだ。

非常に名誉なことだが、残念ながら観光資源のよび水として扱われていることが多い。

さて、ここで多くの人が勘違いしている田舎は遅れているという価値観。

これは改めて考えてほしいと思う。
時代の向きが一方方向ではなくなりつつあるからだ。

理由は簡単。
経済発展は自然資源あってのものだからだ。
経済発展だけを目指すわけにはいかなくなってきたのだ。

考えてみてほしい。

今周りにあるものすべて、衣服も住居も食料もエネルギーも薬もすべては自然資源なのだ。

自然資源なくては人間も動物も生きてはいけない。本当に何もかもがなくなるのだ。

このままいけば地球の資源は枯渇し、生物が生きていけなくなる現実をつきつけられている。

だからといって、経済発展を止めるのは容易いことではない。
簡単に切り替えできるほど、人間も社会も単純ではない。
地球を代表する賢人たちは自然と経済を共存する可能性を模索しているのだ。

さて、話を戻そう。

そんな時代の先を行く、自然と共存する経済モデルとして日本の農業が選ばれたのだ。

ちなみに私の地元が世界農業遺産に選ばれたのは平成23年。もう10年以上前になる。

私は、式典でGIAHS(ジアス)の会長が『持続可能な社会』と言葉をしていたことが気になっていた。

色々調べてみていると、TEEB-ティーブ-(生態系と生物多様性の経済学)の中間報告書を読むことになった。

極論を言えば経済学の見直しをはかる内容だったと思う。

内容の一部の、一次産業への経済指標の見直しに強く惹かれた。

農業や林業、漁業は、作物を作ったり獲ったりしたものを売って利益を得ています。
しかし、これらの一次産業は自然環境保護に大きな貢献をしていることを指摘していました。

田舎では、田んぼや林業を辞める人が増え、山は荒れ、田んぼは草だらけの荒廃地となり、かつてそこに生息していた、タニシ、ドジョウ、ゲンゴロウなどの生態系にも影響を及ぼし、それは波及するように他の生態系にも影響を及ぼしはじめる。

この一節をご存知でしょうか?

「もしこの地球上からハチが消えたなら、人類は4年しか生きられない」

真実は定かではありませんがアインシュタインが言い残したと言われています。

根拠はというと、人はハチの協力があって作物を作れているからです。ハチが絶滅してしまうと、作物の受粉ができなくなり、生産量は激減し、あっという間に食糧危機になります。

ハチだけではなく送分者といわれる受粉の役割を担う様々な生物によって私たちの生活や一次産業は支えられているのです。

話を戻します。

環境と生物多様性は山、川、海といった循環に悪影響を及ぼす。農業、林業、漁業のどれか一つでも欠けると、欠けた部分から徐々に循環は崩れていってしまう。

一次産業は作物を売る以前に、自然資源を守っていることを経済指標として考えないか?といった内容だったのだ。
つまり、米を売るだけではなく、田んぼを作ることですでに自然資源への経済活動を行なっていると考えるということだ。
(10年前なので間違ってたらごめんなさい)

私はこれを知ったとき、地球の命を考えている人がいることをリアルに感じられて、人間を誇りに思えた。
多くの場合、環境問題や地球の話をしても、どこか綺麗事で済ませられることが多いからだ。
偉い人たちの視座はやはり高い。

それと同時に、人間はつい他の生態系をコントロールするところまで来たのかと、厨二病が再発しかけたのをおぼえている。

また、常々思っていた農家さんの矛盾。
『農業で飯が食えない』
私はこの言葉に違和感が拭えない。
農業は飯を作っているのに、なぜ飯が食えないのか?
そもそも、
農家より加工屋が儲かるのはなぜだ?
米よりチャーハンが高いのはなぜだ?
果物よりスイーツが高いのはなぜだ?
元主にもう少しメリットがあっても良いと考えてた。TEEBの自然資源保護への貢献を経済に反映するのは良い考えだと思った。

私が田舎が時代の最先端だという理由はもう一つある。

人口割合推移だ。

私の地元の人口年代割合は20年後の東京都の人口割合とほぼ同じと言われている。

つまり、今の田舎の労働環境は未来の都市部の労働環境のプロトタイプなのである。

現在田舎が抱える問題を解決できれば、未来の都市部の問題解決にも応用が効くのだ。
また、高齢化問題は日本だけではない。ヨーロッパを含め、世界でも高齢化問題を抱えている国々はある。

どうだろうか?
今、日本の地方が世界で重要なポジションだと考えられないだろうか?

残念ながら地方の人も、今まで通り都会の後追い、追いつこうと考える人の方がおおい。
田舎は遅れていると。

たしかに生産主義、資本主義では遅れていたかもしれないが、自然共存主義ではリードしていると言えないだろうか?

本当に今は時代の転換期。

サイコロが一角でくるくる回っているイメージだ。

元の目を出すか、過去の目を出すか、それとも新しい目を出すか。

誰もがイニシアティブを握れる時代なのだと考えている。

専門家ではないので説得力にかけるかもしれないが、地方に住む、しがないおっさんのひとつの考えと受けとってくださると嬉しいです。

日本の地方は遅れている。
を改めて考えてみてくれると嬉しいです。

それではまた。

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