「それぞれの相手」
これは2つのショートストーリーを繋ぎ合わせるための話です。上から順に読んでもらえると嬉しいです。
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「それぞれの相手」
「頼む、今日はひとまず帰ってくれ」
そう言っても加奈子にその素振りは見えない。彼女のことだからそのうち激昂して何を口走るか分からない。そんなことを感じていた矢先に加奈子は言った。
「それどういうこと?あの婚姻届はウソだったの?」
「いいから、ちょっと外に出よう」
僕はそう言って僕は彼女を無理やり家から引きずり出した。もうこれ以上の修羅場はごめんだ。ごめんっていったい何にごめんなんだ。自分で全て招いておいて何様なんだ。いよいよ天罰が食らったか。
家から徒歩で5分のところにある公園まで歩き加奈子の顔を見ると涙が頬を伝っている。僕はこんなに加奈子を傷つけている。家では妻も傷ついていることだろう。みんなを苦しめて僕はいったい何をやっているんだ。
「もう少し待ってくれないか?加奈子のことは僕が絶対幸せにする。妻と話し合いをする時間をとるから少し待ってて欲しい」
そう言って僕は加奈子を抱きしめた。
加奈子を駅まで送ってからもう一度家に引き返した。そこは修羅場と化していた。妻は家の中にあるものを見境なく投げつけている。テーブルに置いてあったガラスのコップが跡形もなく粉々になって砕け散っていた。
娘たちは知らん顔でテレビをまだ見ていた。ふと振り返った長女は私の顔を見て
「ママは本当にパパのことが好きなのね」
と呆れたように言い放ちまたテレビの方に目をやった。そんなこと私たちは知りませんからと言わんばかりの態度。やはり僕が不甲斐ないからこんな結果になったんだな。娘たちは僕のことを本当によく分かっている。
私はいてもたってもいられなくなり家を出た。こんなにものに当たり散らしてもエネルギーを吸い取られるばかりだ。こういう時はやはりあの人に電話するしかない。スマホを手に取り慣れた手つきで番号を押す。
「あ、私。ちょっと会いたいんだけど出てこれる?」
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別々の意図で作ったストーリーをこじつけて繋ぎ合わせました。誰も幸せになれないこんな話があっていいのか?よく分からんですけど。まあ、フィクションだから、ええやん?三部作、完成ということで。
また創作、頑張らななあ…。