星が降る シロクマ文芸部
星が降る日があるんだよ、と友達から教えてもらった。その日夜になると無数の星が落ちてくるらしい。一体どんなことが待ち受けているのだろう。
僕はその日を待ち侘びた。一体どんな石が落ちてくるのだろう。ダイヤの石程度なら拾い集めることができる。それとも隕石みたいなもの?だとしたら危険じゃないか。避難しなくてもいいのだろうか。なんだかワクワクするような、怖いような。
遂にその日がやってきた。でも窓から眺めていても何も落ちてこないし落ちてくる様子もない。気になって家の外に出てみた。
玄関を出るなり無数の石の欠片が僕の頬を刺した。ふと傷口を触ってみると出血している。そうこうしているうちに次から次へとハサミのように鋭利な石が落ちてきた。想像してたよりも大変なことになっているのかもしれないぞ。
その場を立ち去り近所の人のところへ走った。今大変なことが起きてるんです。外に出たら怪我をするかもしれません。どうか今は家にいてください。外に出ないでください。しばらくは様子を見てください。
そんなことを伝えて回るのが精一杯だった。それから僕は家に戻り窓から外の様子を伺ったが、睡魔に襲われて布団に潜り込み眠りに落ちてしまった。
目が覚めた。ちゃんと朝日が上っている。窓の外を覗いてみたものの星なんてどこにも落ちてはいない。
階下の母親に尋ねてみた。
「あー昨日確かに流星群はあったわよ。キレイだったわ。何?あんた早くから寝てたじゃない。あんたも見れば良かったのに。もったいないことしたねえ。それより、その顔どうしたの?」
ふと僕は自分の頬を触ってみた。なんか傷のようなものがある。鏡で見てみるとそこには鋭利なものが突き刺さったような傷跡があった。
【了】
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小牧部長、この度もよろしくお願いいたします。
ヘッダー画像はひいろさんよりお借りしました。
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