霧の朝 シロクマ文芸部
霧の朝
私は眠れず朝を迎えた
私は 外に出た
散歩ではなかった
ただひたすら
霧の正体を知るために
闇雲に彷徨い出した
眠れずに過ごした夜
この世から消えたいと
願った朝
霧が心地よく
私を包んでくれる
霧が私を呼んでいたのかも
霧が私を選んだのかも
家に戻ろうと
ひたすら来た道を
歩いているうちに
霧は止み
朝陽が私を包んだ
明るい光が刺した木々の上で
美しく鳥たちは囀る
つらいことなんて全て
忘れて生きてと
言わんばかりに
家に着くと
夫がにこやかに微笑んで
私を迎え入れてくれた
何も知らないのか
全てを知っているのか
そんなことは
どうだっていい
私も黙って微笑んで
何もない人生を
何の意味もない人生を
また一から始める
小牧部長、この度もよろしくお願いいたします。