グランパスくんバッグ(製作:2017年10月)
お父さんが最後
名古屋グランパスのマスコット・グランパスくんは独特の存在感と愛嬌で他クラブのサポーターからも人気です。
試合時はもちろん、ホームタウン活動も普段から熱心にこなしている働き者。
一方で、奥さん(グランパコちゃん)と2シャチの子供(グランパスくんJr./グララ)を抱える一家のお父さんでもあるので、一家総出でお仕事をすることもしばしば。姿を見せればたちまちファンに囲まれる光景も珍しくありません。
そんなグランパスくんについて、自分も勿論好きなので彼のお誕生日にはもともと何かしらプレゼントを贈ってきました。それが、以前投稿したグララバッグの製作をきっかけにパコちゃんバッグも作った時点で「もういっそ家族全員分のバッグ作っちゃおうか」と思うようになったので、更にJr.のバッグも製作。これまたJr.も喜んでくれてホッとしたところで、いよいよ最後にお父さん(グランパスくん)のバッグ製作に着手したのです。
製作開始~女子は円形、男子は四角~
グララ&パコちゃんの時は女子っぽいイメージとしてバッグの形を円形にしましたが、男子(Jr.&グランパスくん)の場合はそれより締まった感じにしたかったので四角形に。
そしてJr.のは彼の顔のフォルムに合わせて横長の長方形にしたのに対し、グランパスくんはもう少し丸っこいフォルムなので、正方形でいく事にしました(①)。
バッグ本体のデザインに関しては、一家でお揃いにしたかったのでグララ達と同じく”顔のどアップ”。グランパスくんは一家で最もデザインがシンプルなためか、原画製作も一家の中で一番スムーズにできましたね(笑)。
原画ができたらこれまでのバッグ製作と同様に、トレーシングペーパーによるトレース版原画も作成し、顔パーツ縫製の際に使います。
なおバッグ本体後ろ側の仕様については、奥さんのパコちゃんとお揃いでお尻の模様のスリットポケットを付ける事にしたので原画・型紙はパコちゃんのをそのまま流用。画像は以下に載せてあります。↓
バッグ本体の型紙も正方形なので、円形や長方形よりも寸法取りがしやすい分、これまたスムーズに作れました。
マチ幅は今回、皆からのお土産をなるべく入れられるようにとやや太めに設定。グランパスくんのがっしりした体格にもフィットするような幅になるよう調整しました。
ファスナーはシングルタイプですが、物の出し入れがしやすいよう少し長めにとってあります(②)。
顔部分の各パーツは全部で4種類。やはりデザインがシンプルだとパーツ数も少なく済むのは楽ですね(③)。
前回投稿した柏のレイくんバッグと比べてみれば、パーツ数の違いがよく分かります。
こうして必要な型紙を作成したら、本革と裏地の裁断及び縫製に入ります。手順の大まかな内容は、下記グララバッグ編に載せた通りです。
完成~シンプル故の難しさ~
実際に完成したのがこちら↓(④)ですが、顔部分の縫製についてはグララバッグの時以上に慎重さを要しました。
何故かと言いますと、デザインがシンプルであるほど失敗した時の荒が目立ちやすいという”落とし穴”があるので、下手なごまかしが効かないからです(特にステッチのズレ・ヨレが怖い)。この点がシンプル故の難しさですが、実際には何とかなったので一安心。
本革に関してグランパスくん一家全員のバッグに共通して言える事なのですが、顔の模様の白い部分や白目のところに使う白い革、これは現物に沿った色合いのを見つけるのに時間が掛かりました。
一口に白といっても、実際は「黄色がかった白」「青みがかった白」といった具合に色合いの幅が結構広いので、革専門店で探してもイメージに一番近い白革というのは見つからないこともしばしば(店の規模にもよりますが)。
それだけに、どうしても無かった場合はなるたけ近い色味で妥協するか、染料で調合して染めるかになるのですが、今作の場合は現物ぴったりのは無かったものの、近い色味ならあったので妥協を選択。
本体の後ろ側は先述した通り、パコちゃんバッグのとお揃いでお尻の模様のスリットポケット付き(⑤)。
また画像にはありませんが、今作もショルダーストラップのテープは軽くて扱いやすいアクリルテープにしました。
マチ幅は割と広めにとったので、見た目以上に物が入る仕様になっています。ファスナーは長さ的にダブルにしてもよかったのですが、バッグ側面はスッキリさせたかったので敢えてシングルに(⑥)。
裏地はサッカークラブのマスコットだから、そのままの意味でサッカーボール柄の生地を選びました(⑦)。この画像では逆方向で見えませんが、内ポケットも一つ付けてあります。
今作を作った当時(2017年)、丁度グランパス公式から「グランパスくんリュック」が販売されたのでお互いのサイズ比較もしてみたのですが・・・(⑧)、偶然にも、ほぼ同じくらいという結果に(苦笑)。
自分はバッグ製作の際、サイズに関してはキャラ物・一般向けを問わず贈る相手の体形やイメージに沿うように大きさを割り出しているのですが(相手から指定があった場合を除く)、今作もグランパスくんの体の大きさに合わせて作ったところ、たまたまこんな感じになりました。
ちなみにリュック(旧)の方はジャージー素材でしたが、後に現物グランパスくんの肌触りを再現したモフモフ素材の新バージョンも出てましたね。
いざ長良川へ
完成したところでいよいよお渡しになるわけですが、当時の試合日程ではグランパスくんのお誕生日に一番近い試合がアウェイ岐阜戦でした。
隣県であるFC岐阜との対戦という事で「名岐ダービー」と銘打ち、盛り上げの一環としてグランパスくんもアウェイ出張するのが決まったので自分も会場である長良川競技場へ。
当日はダービーだけあって早くから両チームのサポーターで賑わい、10月と思えない熱気で暑かったのを覚えています。そしてグランパスくんの場外グリーティングが始まると、いつもながらあっという間に人だかりが。
これでちゃんとお渡しできるのか、不安になりましたがお付きのアテンドさんには話しかけれそうだったので、とりあえず先にアテンドさんにバッグの事をお伝えしました。
すると、それまで他の家族のを作ってきたことでこちらの顔を覚えて下さったようで、直に渡せるようわざわざグランパスくんのいるところまで誘導して頂いたのです。
このおかげで無事にグランパスくんにお祝いの言葉と共にバッグを贈れたのですが、既に人垣が出来上がっている中で渡すのは流石に緊張しましたね・・アテンドさんの配慮でそのままツーショットも撮って頂けたのも嬉しい限りでしたが、緊張で表情は硬いままだったという。
一方、グランパスくんの方はバッグを見た瞬間すごく喜んでくれて、すぐモフタッチ(熱いハグ)してくれました(⑨)。
実はお渡しする直前、アテンドさんに言われたのが「いつもありがとうございます。今日はグランパスくんも、”僕もバッグ貰えるかな?”って気にしてたんですよ」とのお言葉。
・・・・・。
・・・気にしてたのか・・・。
だから尚更、嬉しかったようです。
まあ言われてみれば確かに、グララ→パコちゃん→Jr.と贈られてきたのを見ていれば、じゃあ自分のも・・と期待が湧くのは自然なこと。
自分としては最初からハッキリ一家全員分を作ろうとは思っていなかったのですが、この時のグランパスくんの反応を見て、ちゃんと作って正解だったとつくづく思いました。
そしてSNSでも、グランパスくんは今回の件について早速ご報告。
実際にバッグを身につけた後は、アテンドさんの指示でそのまま撮影会という流れに。バッグ本体を真ん中に寄せてるのは、どの位置からでも見やすいようにとの意味合いだったようです(⑩)。
なお余談ですが、この上記SNSでの報告では「蹴球風見鶏」でお馴染みのとうこくりえ先生も反応されていた模様 。↓
こちらはずいぶん後になってそれを知ったのですが、こうして業界で著名な方にも反応頂けたのは有難いことですね。
バッグ勢揃いのその後
そんなこんなで結果的に一家全員分のバッグが勢ぞろいとなり、グランパスくんも他の家族と同様、試合だけでなく地域イベント参加時でもバッグを使ってくれている姿を見せてくれるようになりました。
ただ、試合でのグリーティング時では基本的に一家バラバラで動くことが多いので、⑪ ↓ のように”バッグ持ってる状態での勢揃い”という光景が見れた回数は案外、少なかったようです。もしこの光景を直に見れたという人はたまたま運が良かったかもしれません。
また、グララバッグの記事でも書いた通り、そもそもお土産入れとして使えるようにと作ったので実際、当時は皆から何かとお土産をもらってそれぞれのバッグがパンパンになる様も割と見られました。
アテンドさんの手を借りることなく、自分が貰った物をマイバッグでそのまま保持できて嬉しそうにしているグランパスくん一家を見て、改めて作り甲斐を感じたものです。
そしてグランパスくんに限って言えば、個人的には2018年のJリーグマスコット総選挙で最終結果発表時にバッグを持っていた姿も思い出されますね( ↓ )。
この発表時、自分は都合により中継をリアルタイムで見れなかったため間をおいて結果を知りましたが、バッグ云々よりまず念願の1位になれた事が嬉しかったです。
その上で、わざわざバッグも身につけてくれていたので驚きもありましたが、おかげで一層嬉しくなれたという思い出深い出来事となりました。
他クラブのサポさん達からもバッグは概ね好評だったそうで、僅かでもグランパスくんの魅力向上に貢献できたならありがたいことです。
それから数年後、コロナ禍に入って暫くはグリーティングやホームタウン活動も自粛期間が続き、それを境にバッグを使う機会が皆無に。しかしそんな中でも、名古屋市博物館でのイベント出演があった際には、マスク必須ながら久々に元気な姿を見せてくれたグランパスくん(⑬)。
こんな時も変わらずバッグを使ってくれていたのが嬉しかったし、ありがたかったですね。
観戦規制が緩和された今では夏場になると「金鯱グランパスくん」に変身したり、グランパス音頭を広めるリーダーとして先頭に立って活動したり、他競技のマスコット達ともより交流を深めたりと益々動きが活発になっている様子。
今後もそんな”頑張るお父さん”の活躍を願っています。
オマケ~バッグのバリエーション~
これまた余談になりますが、先述したマスコット総選挙でグランパスくんは翌2019年にも1位となって見事、2連覇を達成。これを記念して、連覇の喜びや感謝を表現したかごバッグを作った事もありました( ↓ )。
たまに見かける”鏡餅(お座りした状態)”な姿がモチーフになっています。
このかごバッグもちょうど直にお渡しできたので、その場ですぐ写真も撮らせてもらえました( ↓ )。
グリーティング時、これの中にしるこサンドを入れて皆に配ったり、下記キャンペーン告知動画( ↓ )で小道具として使われたりと、少なからず出番はあったようです。
そしてこのニコニコ仕様を更に展開させ、より手軽に使えそうな型としてスマホポシェットも試しに作ったりもしましたね( ↓ )。
これは総選挙とか関係無く、純粋にお誕生日祝いとして贈ったものでした。マチ無しの薄手ながら、スマホや財布など必要最低限の物はちゃんと入るサイズにしてあります。
口はマグネット開閉式で、後ろ側はクリアポケット仕様( ↓ )。ストラップ部分が両翼型なのは、本体が小ぶりなので両翼をつけないとグランパスくんの体に上手くフィットしないと考えての事です。
このスマホポシェットに関しては一応、直に贈れたものの自分の都合上、実際に身につけている所は撮影できなかったのでこの点だけは唯一の心残り。
クラブ公式の情報等によると、いつぞやのアウェイ札幌戦で現地観戦ツアーが企画され、グランパスくんもこれに同行した際このポシェットを持ってたそうですが・・この先、また見れる機会でもあれば嬉しいですがどうなるやら。
ちなみにかごバッグの方は、これまた一家全員分を作ってみたので余裕があれば今後詳細をアップする予定です。スマホポシェットも、バッグとしては小さいぶん作りやすい型ではあるので、他クラブの子たちのバージョンも気が向いたら、もしくはオファーでもあればまた作ることになるでしょう。
デザインがシンプルだからこそ、こうした展開もしやすいのがグランパスくんの魅力の一つだと思うので、これら全てを受け取って使ってくれたことに、改めて感謝しています。
では最後にもう一つ、個人的に好きな父娘のやり取りの様子を ↓ 。こういう大人げないところも好きですね。
ここまでお読み頂きありがとうございました。