急性散在性脳脊髄炎(ADEM) ~ 入院中の記録 ~
このnoteは、2019年3月に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と診断を受けてからの記録です。前回はこちらで入院までの経緯と、"手の痺れと歩きづらさ"を感じたらすぐに神経内科もしくは神経外科領域のある病院に行くことをおすすめしています。
以下では、1日ごとに経緯を追っていきます、ちょっと長くなりますが、同じ病気を患った方の参考になりましたら幸いです。
1日目(入院翌日)
ギランバレー症候群の疑いで紹介状が出ていましたので、ギランバレー治療の第一選択である免疫グロブリン療法と他の病気の可能性を探るための検査がその日のうちに実施されました。緊急入院したのですが、この時点では歩行がほとんどできなくなっていました。排泄障害が発生し、導尿カテーテルとなりました。造影剤を使用した腰椎MRIの撮影、画像診断と、急性散在性脳脊髄炎の疑いが強い、という診断に変わりました。2~3日で急速に進行する可能性があり、呼吸器、心臓に症状が出た場合、人口器などの処置を施す旨の話がありました。同時に視神経脳脊髄炎の疑いを検査するため、骨髄液の検査を実施、結果は1週間後、とのことでした。アジア人では、この時点で目に症状が発生することが多いらしいのですが、目には自覚症状がない状態でした。
2日目
お腹の下あたりまで、デルマトームという中枢神経系と身体の関係を示した図によると、T6あたりから下に痺れの症状が出始めました。胴回りの皮膚および体幹まで震えるような痺れがあり、下肢全体まで広がりました、人によって痺れの症状はかなり違うようです。
3日目
左脚が完全に麻痺しました。この時点で、最悪の場合は一生左脚が動かない可能性がありました。ステロイドパルス(大量のステロイドを数日感連続で点滴投与すること)を開始しました。グロブリンは継続。
4日目
呼吸の浅さが発生し、若干の不安を感じていましたが、焦っても何かできる病気ではないので、自分の身体を観察することに集中していました。ステロイドパルス、グロブリンは継続。ステロイドの副作用による胃のもたれに若干悩まされました。
5日目
ステロイドパルス、グロブリンは継続。前述の治療の効果が低い場合、血液浄化療法と呼ばれる、透析に近い方法で血液の中の自己免疫をフィルタリングする方法をとる可能性がある、とのことでした。実施にリスクがあるので、第2選択であるとのことでした。ステロイドパルス、グロブリンは継続。
6日目
胸椎MRIの結果、胸椎にも病変が発生していました。ステロイドパルスが3日間で完了し、プレドニゾロン80mgの内服に変わりました。グロブリンは継続。急性期リハビリが開始されました、今考えるとこのタイミングの開始は非常に有益でした。
7日目
頚椎MRIの結果、頚椎にも病変が発生していました。脳にも若干の病変が見つかる。脳に関する自覚症状はなし。意識障害などが発生する場合は、脳の病変が大きい可能性が高いとのこと。グロブリンは継続。視神経の骨髄関連要素は陰性であったため、視神経性脳脊髄炎の可能性が極めて低くなりました。
8日目
左脚に感覚が戻るが、車いす移動以外の許可は出ませんでした。グロブリンは終了。
9日目
ステロイドの効果が出ているという診断。来週ステロイドパルスを追加で1クール実施予定。
10~11目
症状は変化せず。病室を神経内科の病棟に移動(入院時は空いていなかった)。入院後初めてのシャワー。左脚が動かない状態なので時間がかかりました。
12~13日目
ステロイドパルスの2クール目開始。脚、手、胸の感覚は、若干だが良くなっている感覚がありました。左脚が若干うごくようになりました。ドクター、理学療法士さんたちの驚きと安堵の表情。ステロイドパルス。
14~15日目
感覚には変化なし、運動機能は若干回復を感じました、フラットな床で、支えがあれば脚を前に出せるようになってきました。2回目の造影MRIを数日間かけて撮影開始。カンチョー排便にて疼痛が激しい。ステロイドパルス。フラットな床で歩行に向けたリハビリ。
16~17日目
身体的変化はあまり感じず、血糖低下、血圧低下などの影響で寝ているほうが楽な状態。身体の観察に務める。フラットな床で歩行に向けたリハビリ。
18~20日目
疼痛症状が強くでている感覚。排泄障害の検査を行うがまだ回復しておらず、カテーテルを戻しました。造影MRIの結果、病巣の拡大はなく、急性期進行は終了した可能性があるとの診断。フラットな床で歩行に向けたリハビリ。
21~22日目
自己導尿開始。自分で尿道にカテーテルを通して尿を出す訓練を実施しました。留置カテーテルの副作用を考えると、自己導尿のほうが良いと判断したためです。フラットな床で歩行に向けたリハビリ。
23~30日目
症状に大きな変化なし、身体機能は、短い時間のフラットな床における補助なし歩行ができるようになるまで回復。プレドニゾロン40mgで様子を見ましょうとのこと。病院が自宅から近いため、通院治療も可能との判断。通院のほうが日常生活に何かと不便がないので通院を選択し、退院しました。また、歩行訓練まで進んでいるため、リハビリについてもリハビリ病院に通院可能であるため、通院を選択しました。
31日目
夜、症状に変化があり、翌日電話連絡しようと考えていました。
32日目
症状の変化を伝え、即日ステロイドパルスを1クール追加。ここから3日間かけてパルスおよび造影MRIを実施。症状が緩和し、画像所見においても病巣の拡大は確認されず。2週間後にふただび診察MRIを予約して自宅療養に切り替え完了。
まとめ
以上が、私が急性散在性脳脊髄炎(ADEM)で入院してから退院するまでの約1ヶ月間です。発症してから様々な情報をWEBで集めましたが、今回担当していただいたドクターの検査および診断が早期から非常に合理的かつ素早く、1ヶ月で退院できたことに大きく関連していると思います。また、担当理学療法士の急性期リハビリも有効であったのだとわかりました。担当医が脳神経内科領域で評判の高い東京女子医科大学出身であり、研究成果なども専門性が高く内容は理解できませんが公開されており、ひとつ安心材料になっていました。また説明が非常に丁寧であったため、セカンドオピニオンの必要性も感じませんでした。
次回は、通院で実施しているニューロリハビリテーションについても書きたいと思います。
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