夏の太陽、夏の月 13 みんな‼ぬってるかい!
絵本「みんな‼ぬってるかい!ローラーくん」の作成も年末年始で少しの間中断。キャラクターデザインも修正が加わりより親しみのあるキャラクターになってきました。ゆうやくんと相棒のローラーくんの友情物語に加え、人間と文具や工具などのモノとの共存共栄の世界観です。
この絵本では「いじめ問題」にも取り組んでます。久々に邦画の「砂の器」をサブスクで観ました。松本清張の推理小説の映画化です。日本と美しい風景と相まって、村を追い出され放浪する親と子の絆、当時の云われなき根拠のない感染症差別とそれへの偏見。涙無くして観れませんでした。
私は邦画の中でも特に「砂の器」と「はなれ瞽女(ごぜ)おりん 」と最近では岩井俊二監督の中山美穂主演の「ラブレター」が好きです。
便利な世の中で、この3作とも観ようと思えばすぐに見えます。名作ですね。特に「砂の器」はテレビとかでも何度もリメイクされて、中居正広、玉木宏も演じてます。
邦画の方は松竹映画です。「砂の器」は父親がハンセン氏病(今ではこの病気偏見でしかありません)で、父親と主人公(犯人、息子、子役)と村を追い出され、漂浪の旅をする。太平洋戦争前です。親子は親切な警察官に助けられ、父親は施設に隔離されます。息子は警察官の養子になります。その息子は、戦中戦後のどさくさに紛れ警官の元を離れ、戸籍も偽り有名で若手の新進気鋭の音楽家・加藤剛になります。政治家かなんかの金持ちのフィアンセもいます。戦後かなりたって、退職後の警察官・緒形拳は有名な音楽家になった和賀・加藤剛に気づくんですね。出自がバレないように和賀は警察官を殺害します。ここからは松本清張らしいミステリーになって、東北と山陰のとある地方の訛りが一緒とかがヒントになって刑事役の丹波哲郎と森田健作が追い詰めていきます。加藤剛のピアノで奏でる父と子の「宿命」が日本海側の厳しいくも美しい冬と言われなき差別と相まって涙をそそぎます。
「はなれ瞽女おりん 」も、瞽女(ごぜ)という盲目の女芸人の一生の物語です。普段は瞽女同士、集団で三味線を弾いて歌う旅芸人ですが、男と交わるとその集団から追い出され、はなれ瞽女になります。岩下志麻が演じるおりんは、ものすごく色気もあり綺麗です。粗暴だけど純真な原田芳雄と2人旅をするんですが・・・幸せは長くは続きませんね。原田芳雄は脱獄兵っていう事と、おりんを守るために傷害事件を引き起こし軍隊やら警察にしょつぴかれます。原田芳雄と無理やり別れされたおりんはその後、元の瞽女屋敷の女主を訪ね行きますが、死んでしまっていて屋敷は誰もいない。失意漂浪の末、ボロボロの格好で崖で転落死?孤独死?するというストーリーです。
両作品とも日本海側の冬の景色が素晴らしく、砂の器は太平洋戦争、はなれはシベリア出兵が大きくかかわっています。人間の持つ素晴らしさや情とともに、エゴや偏見、差別や裏切りをすごくうまく描いてます。この時の日本映画は素晴らしいです。
和賀、おりんとも可哀そうな末路を迎えますが、逆境をバネに逞しく前向きに生きてます。その時代当たり前だったかもしれませんが、とてもメンタルが強い。現在、千葉県知事の森田健作氏は、もう一度「砂の器」を見た方がいいのでは。
それと私、今は亡き丹波哲郎が好きで、「日本沈没」とか「二百三高地」の迫力のある演技は今の役者では出来ないのではと思っています。「砂の器」でも若手刑事役の森田健作さんとともに主役の一人のベテラン刑事役で出ています。最初はロードムービーで、刑事のバディものになってます。絵本もゆうやくんの最高のバディがローラーくんです。決して裏切らないし諦めないキャラです。「砂の器」に負けじ劣らず多くのキャラクターが出てきますが、この絵本を読んでいただいて一人でも多くの方が友情や絆の大切さ、人やモノとの接触が難しいコロナ禍で少しでも温かみを感じていただけたら幸いです。