ペット葬で泣き笑い
過日、実家で長年飼っていたワンコが息を引き取ったと連絡があった。
思い起こせば祖母が亡くなった時に傍らで大事にしていた箱の中から、もういい大人になっている父親たち子や自分たち孫に5万円づつ包んだ季節外れのお年玉が見つかったことがあった。
「ばあちゃんは自分が死にそうやのに何でまたお年玉の心配しとるん・・・」
集まった親戚とひとしきり泣きながら笑い、そのお年玉で自分は数珠を、妹は一匹の子犬を買い求めたのだった。
そうだった。5万円だったよ。この子。
妙に人慣れして、他の犬とはあまり打ち解けなかったこの子。
あれから18年か。ようがんばった。
そういえば、その少し前に親戚内で集まった時に自分の娘や従兄弟ら、ちびっ子達の手をペロペロ舐めてから逝ったのも、親族一同集まってから一旦意識を取り戻して、みなありがとの、と言っていた祖母の時と鏡合わせのようでもある。
そんなことが思い起こされてしんみりした。
翌日はたまたま有休を取っていたので、ペット葬に参列した。
開始前、しめやかなBGMが流れる中、折り鶴をお供えしたりして、妹と母と神妙な気持ちでいたところ、
「それでは今から葬儀を始めさせて頂きます」
と般若心経の再生音に切り替わり、葬儀がスタート。
ポク
ポク
ポク
ポク
〜〜〜(読経)
その再生音の音質が粗く、祭壇もペット葬ならではの小道具っぽさがあって、「ちょっとコントっぽいなぁ」とムズがゆく感じてしまった。すると隣に座っている妹(飼い主)が、
「これって・・・ドリフやったら金ダライ落ちて来るヤツやわ・・」
ヒソヒソ耳打ちをした。同感である。
すると母もそうだったようで、
「アンタ、こんな時にか、金ダライて(笑)」
ツボに入り、それを見て自分たちも悲しいのに笑いがこみ上げて来て、後ろに立っている葬儀場の人から見ると参列者は肩を震わせている→実際は笑いをコラえている、という自分たちがコントみたいなシチュエーションになってしまった。
この悲しみの中の笑いも祖母の葬儀の時の泣き笑いにも似ている気がする。
ともあれ、小型犬の18歳は大往生には違いない。
あの世で祖母の周りを元気に駆け回っているといいなと願いつつ、今はただお疲れさまと言ってやりたい。