黄金の3年
岸田首相に訪れるとされる、安定した3年間のことを、最近このような表現をするようになりました。2022年夏から2025年夏までのことです。
つまり、2022年7月に予定されている参議院選挙で自民党が勝利すれば、衆議院の解散・総選挙がない限り、次の国政選挙は2025年夏に予定される参議院選挙しかありません。そのため、その3年間、岸田首相は選挙を気にせず、じっくり腰を据えて政策を実施できるということになります。まさに岸田首相にとって「黄金の3年」になるということです。
この3年間を利用して、初の憲法改正を実現させるのではないか……という声も聞かれてきます。
もっとも、たとえ2022年の参院選で圧勝したとしても、2024年9月に任期が切れる自民党総裁選で再選を果たさなければ、黄金の3年を実現することはできません。
もっとも、現役の総裁が再選されないことは少ないことを考えると、岸田首相への高支持率が続くようであれば、無投票当選も十分ありえます。ハードルはそんなに高くないかも知れません。
もっと大きな問題は、衆議院の解散・総選挙をいつにするかということです。
「黄金の3年」が終わる2025年参院選の直後、あるいは同日に衆議院総選挙を実施する、という手もあるかもしれません。しかしそうはいかないのが難しいところです。
衆議院解散の決定は首相の「専権事項」といわれています。そのため、首相は支持率の高いときに解散・総選挙に打って出て勝利し、自民党総裁選の再選を確固たるものにする、それが「永田町の常識」です。
しかし、3年もあとの2025年参院選のときまで、衆院選で勝利を確実にするような高支持率が維持できているかどうかは分かりません。そう考えると、3年間まるまる衆議院の解散・総選挙をしないことを選択するのは難しそうです。
そのため、2025年参院選の前に解散・総選挙をせざるをえないとしたら、結局は「黄金の3年」の間であっても、国政選挙を意識した政権運営をせざるを得ません。こうして、「黄金の3年」は実現しない可能性も強まります。
とはいえ、2022年参院選で圧勝すれば、2023年いっぱいまでは選挙の心配をしない政権運営ができるようになり、岸田政権の長期政権化の可能性は高まるでしょう。そうはいっても、「一寸先は闇」というのもまた「永田町の常識」ですが。