
2025年1月7日(火)「未利用魚・ギンザメ」
今日の東京は午前中まで雨、その後晴れ。晴れたアトも一時雨、その後に晴れ。
朝方の最低気温は4℃、日中の最高気温は13℃。今日は比較的暖かい日ではありましたが、ナニやらヘンなお天気でしたなぁ。さて、
昨日は「二十四節気・『小寒』の時季のメニュー(案)」についてお伝えしましたが、本日は今年一発目の「未利用魚・ギンザメ」について書いて行きたいと思います。
ギンザメ。
サメと言う名前が付けられているのでサメの一種かと思わされるけれども、然に非ず。まぁ、サメのお仲間と言えばお仲間ではあるのだけれど。ギンザメは軟骨魚類と言うカテゴリーに分類されていて、その軟骨魚類には大きく分けて3つのグループがあり、1つがサメ類(エラは側面に付いてる)、2つ目がエイ類(エラは腹側に付いてる)、そして3つ目がギンザメ類。なので、お仲間と言えばお仲間なんです。が、前2者は板鰓類(ばんさいるい)と言ってエラ(5対以上の鰓裂)がビラビラしてるヤツなんだけれども、ギンザメは全頭類と言う古い軟骨魚類で鰓裂(鰓孔?)は1対のみ。ドレだけ古いかと言うと、古生代デボン紀(約4億年前…シーラカンスと同世代)。見付かっているこの頃の化石と今のギンザメは殆どその姿を変えていないと言われている為、ある意味奇跡のおサカナであると言えます。
また、オモシロいのはその名前。標準和名はギンザメなので、然程オモシロくは無いのだけれども、学名は”Chimaera phantasma”(幻影のキマイラ)。キマイラはギリシャ神話にも登場するアタマはライオン、胴体はヤギ、尻尾は龍(ヘビ?)の姿をした火を吐く怪獣。ソコ迄勇ましくは見えないけれども(笑)。英語での通称は”Rat Fish”(ネズミ魚)・”Rabbit Fish” (ウサギ魚)・”Elephant Fish”(ゾウ魚)等があり、日本でも地方によっては「ウサギ」やら「ウサギザメ」と呼ばれていたりするようなので、キマイラよりはウサギなんでしょうねぇ(笑)。


彼らの棲息域は割と全世界中のドコにでもいるようだし、日本でもほぼ全国的にいるみたいです。但し、やや深海系で水深100~500m程度の深いトコロにいるコトが多いようです。だから、一色なんかの深海底引網漁をやってるトコロでの水揚げがあるんですね。
そんなに全国的に棲息しているにも拘らず、全国的にあまり流通していないのにはやっぱりワケがあり、その1つは深海系であり深海底引網漁の水揚げがある場所が限られているコト、も1つは第一背鰭の前縁に強大な1棘があってソコには毒腺を有するとされているコト、最後に食ってもソレ程に美味いと言うワケではないコト(笑)。特に、2番目のトゲに刺された場合には強い痛みが長く続くらしいので漁師さん達には嫌われているようです(だから、漁師さんはコレが上がってくるとスグに棘を切り落とすか、或いは廃棄してしまうのだとか)。
で、捌いてみると。
軟骨魚類だけあって、ホネが柔らかいので捌き易い(アタマなんかも簡単に割れます)。でも、体型を見てもお分かりの通り、アタマでっかちなので可食部は然程多くは無い。身は水っぽいし、そのママ食べても旨味が無いと言われていて刺身には向かないけれども、揚げる・焼く・煮る等火を通す料理にすれば、言うホドに不味いモンでもありません。特に、フライやムニエル、煮魚なんかにしたら、身もフワフワになって美味いです。軟骨も食べられるので、中々にイケる。
中々入手し易いサカナではありませんが、あれば是非お出ししたいモノです。
明日は「内臓料理(魚)・アブラツノザメの卵」についてお届けしたいと思います。