2024年3月25日(月)「未利用魚・ボラ」
今日の豊田は終日小雨。
朝方の最低気温は9℃、日中の最高気温は12.5℃。
昨日からまたしても実家のある愛知県に戻っています。
今日からは二十四節気・春分の次項で、七十二候の「桜始開(さくらはじめてひらく)」(桜の花が開き始める時季)となります。先週から割と気温の低い日々が続いていて、サクラの開花予報では昨日辺りから咲き始めて今週末には満開予報となってはいるものの、現状ではホンマかいな?と言うカンジですね。さて、
先週末は「内臓料理(ではないですが)・牛タン」についてお届けしましたが、本日は「未利用魚・ボラ」について書いて行きたいと思います。
ボラ。
このサカナを知らないヒトはいないと思いますが、イメージは悪いですよねぇ。そう、河口にワサワサと群れていて、泥臭いサカナ。そのイメージが強いよなぁ…。その意味からすると、知られてはいるものの、殆ど食べられてはいないと言うコトからは、有名な未利用魚なのかも知れません(笑)。
でもですよ、ボラは江戸の昔には実は高級魚扱いで贈答品にされたりもしていた一方で、庶民の食べ物としても良く食されていたおサカナなんですよね。そんなサカナのイメージが変わってしまったのは、恐らく高度成長期時代の都市化や工業廃水等の影響による河川の水質悪化なのでしょう。確かに、今の時代であっても水質の良くない河口で育ったボラは矢張り泥臭くて食べられたモノではないモノが多いようです。
が、しかし。
上述のような水質の悪いトコロのじゃなくて、水質の良いトコロで育ったモノ、特に沖で育った冬に獲れる寒ボラなんてのは、実は大変美味なのであります。そんな大変美味なる寒ボラであっても、豊洲市場等にくれば大抵は3桁百円程度の値しか付かないので、安いおサカナでありますね。
この時季の寒ボラはホントに良く脂が乗っていて(特に、目の周りが白濁したヤツなんて…)、捌いただけでも包丁が脂べったりになったりするホドで、刺身で食べて良し、焼いて良し、煮て良し、和で良し、洋で良しの万能選手。確かに、香りに超敏感なヒトは奥底にあるソコはかとない泥臭さを嗅ぎ付けてしまうコトもあるかも知れませんが、ソコは調理方法で何とか。コスパ的にはモノ凄く優れたおサカナの一つであると言えると思います。コレを利用しないのは勿体ない(と言っても、今時ボラはそのヘンのスーパーなんかでは売られているコトが殆どありませんけどね)。
一方で、ココ迄親子の格差が激しい魚も珍しいと思うのですが、ボラ子の珍重されっぷり、高値の付き具合には驚きますよね。上述の通り、身の方はキロ1,000円付けば良い方なのに、ピーク時のカラスミの原料となるボラ子(卵巣)は安くてキロ5,000円、昨年11月末頃に豊洲で見た最高値はキロ78,000円でしたからね。コレにはビックリです。しかも、ボラ子の値段は年々上昇してる…。白子はボラ子に比べたら安いですが、ソレでもキロ1,500~2,000円程度の値は付くので、誠にヘンな話になってます(笑)。
そして、ボラは出世魚。
東京近辺では、オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド、となっています。
小さい子や世慣れていない処女のコトはオボコと言うし、江戸時代の若くて粋な男性を指してイナセとも言ったりするし、ソレ以上大きくならないコトから「結局」を意味するコトバとして「トドのつまり」なんてのもある。意外にも、出世魚であるボラから派生した言葉は多かったんですね(恐らく、ソレだけ庶民に身近なおサカナであった、と言うコトではないでしょうかね)。
と言うコトで色んな意味で実は身近であったボラ。安くて美味い未利用魚なので、もっと食べてあげましょうよ。出しますので。
明日は「内臓料理(魚)・モウカの星」についてお届けする予定です。
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