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2025年1月24日(金)「醗酵飲料(焼酎)・東京島酒」

今日の東京は晴れ。この後、夜からは曇りとなる予報です。
朝の最低気温は2℃弱、日中の最高気温は13℃超。大寒と言う割には寒さは然程厳しくはありませんね。さて、

昨日は「調味料・醤油」についてお伝えしましたが、本日は「醗酵飲料(焼酎)・東京島酒」についてお届けしたいと思います(冒頭画像はコチラから拝借しました)。

島酒。
フツー島酒と聞くと、沖縄や奄美の泡盛等を思い浮かべられる方が多いと思いますが、本日取り上げるのは、東京の島酒についてなのであります。
東京の島酒?と思われるかも知れませんが、東京都に属する伊豆諸島には意外にも多くの焼酎蔵があって、中々に個性豊かな焼酎が造られているのであります。
しかも。
2024年3月にその「東京島酒」が地域の風土と結び付いた特産品を保護する国の制度である「地理的表示(GI:Geographic Indications)」として国税庁長官からの指定を受けたのであります。焼酎としてのGI指定は、2005年以来18年振りの快挙で、「壱岐焼酎」・「球磨焼酎」・「薩摩焼酎」・「琉球泡盛」に次いで5件目となったのだそう(WTO(世界貿易機関)の「トリプス協定」により、知的財産権のひとつとして)。世界的なGIと言えば、ウイスキーの「スコッチ」や「バーボン」、ブランデーの「コニャック」、ワインの「ボルドー」や「シャブリ」、「シャンパーニュ」などが有名ですね。

話を戻しまして、一括りに伊豆諸島と言っても、流石に諸島と言われるだけあって、焼酎を造っている島だけでも、伊豆では大島・新島・神津島・三宅島・八丈島・青ヶ島の6島で9蔵、(焼酎じゃあないので)オマケとして小笠原で造られているラムも加えると、全部で10蔵もあるんですね(改めて足してみてビックリ!)。
その具体的な蔵名とブランドを列挙してみると、以下の通り。

大島:谷口酒造「御神火」(麦・麦麹)
新島:宮原「嶋自慢」(麦)
神津島:神津島酒造「盛若」(麦)
三宅島:三宅島酒造「雄山一」(麦・米麹)
八丈島:坂下酒造「黒潮」「Jonnalie」「黄八丈」(芋・麦)、樫立酒造「島の華」「潮梅」(麦・麦麹)、八丈興発「情け島」(麦・芋)、八丈島酒造「島流し」(芋・麦)「八重椿」(麦・芋)「江戸酎」(芋)
青ヶ島:青ヶ島酒造「青酎」(芋)
小笠原:小笠原ラム・リキュール「無人酒」・「海底熟成ラムMother」(黒糖)

因みに、東京島酒のGI指定の生産基準は以下の通り。特に、1.(2)と2.(3)は特徴的ですね。

  1. 原料
    (1) 芋類に国内で収穫されたさつまいものみを用いたものであること。
    (2) こうじに麦のみを用いたものであること。
    (3) 水に伊豆諸島の島内で採水した水のみを用いたものであること。

  2. 製法
    (1) 伊豆諸島の島内で発酵、蒸留及び貯蔵が行われていること。
    (2) 原酒及び製品の貯蔵は常温で行うこと。
    (3) 麦又は芋類、こうじ及び水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機をもって蒸留したもの及びそれらを混和したものであること。
    (4) 消費者に引き渡すことを予定した容器に伊豆諸島の島内で詰めること。

また、そもそもナンで伊豆諸島で焼酎が造られるようになったのかを紐解くと、コレがまたオモシロい。元来、日本の焼酎ってのは東南アジア方面(タイ?当時のシャム)から当時の琉球(今の沖縄)を経由して薩摩(鹿児島)に入り、その後九州から全国的に広まって行ったと言うのが定説となっています。伊豆諸島での焼酎造りは江戸時代後期に薩摩の丹宗庄右衛門と言う廻船問屋を営む商人が琉球との密貿易のカドで島流しによって八丈島送りとなり、そのヒトが島民に焼酎造りを教えたのが始まりとされています。八丈島への島流し制度が伊豆諸島に於ける焼酎造りの元となっていたと言うのは、中々に興味深いお話ではありますね(ああ、だから今でも八丈島に蔵が多いってワケなんですね)。
更に言えば、上述の生産基準でも挙げた東京島酒の特徴でもある麦麹使用については、当時は米が貴重な作物だったため米麹が使えず、その代替として麦麹を用いる製法が根付いたコトで「麦麹で仕込む芋焼酎」という全国的にも珍しいスタイルが定着。昭和初期になると、観葉植物を栽培する農家が増え始め、原料芋の確保が難しくなった為、島の各蔵元では麦焼酎の導入を始めたコトで、現在の様に八丈島特有の文化である芋麦ブレンド焼酎と麦焼酎が造られ始め、麦焼酎・芋麦焼酎・芋焼酎の3種類がある独自の酒文化が生まれたのだとか。特に、芋麦焼酎では麦麹特有の爽やかな香りと芋の旨みのバランスに優れた味わいが島酒の特徴となった、と言うワケなのだとか。

今までは、東京島酒の中でも青ヶ島の「青酎」とか、「情け島」等割と一般的な銘柄については時々口にするコトはありましたが(昔ダイビングで三宅と八丈に通っていた頃は島酒も飲んでた記憶はありますが、どの銘柄飲んでたのか全然覚えてない…(汗))、東京島酒として意識して飲んでいなかったので、今後はもっと探求心を持って(?)この方面にも多少語れる位にはなっておきたいかな、と思った次第であります。
実は昨晩も神津島の「盛若」飲んだのですが、同じ麦焼酎でも麦チョコ系と言われる「兼八」や「泰明」なんかとは異なり、優しくて旨味の強いお酒で、とっても旨かったですねぇ。

神津島の麦焼酎「盛若」。旨い酒です~。

と言うコトで今週はコレにて。
週末はやや気温低下するようですが、お天気の方はまずまずの予報です。
今季の冬の一番寒い時季を楽しみましょう。
来週初には「未利用魚・ヌタウナギ」について書いて行きたいと思います。
ソレでは、良い週末をお過ごし下さりませ~!

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