11月30日(木)「醗酵食品・辛子明太子」
今日の東京は晴れ。
朝方の最低気温は4℃台、日中の最高気温は16℃台まで上昇。
昨晩東京に戻りました。
11月も今日で最後、明日からはお坊さん(師匠じゃないよ)も仏事に忙しく走り回らざるを得ない「師走」突入ですね。今年も残すトコロあと1ヶ月。ホント、時の経つのは速いモノです。さて、
昨日は「漁師料理・潮汁(うしおじる)」について書いてみましたが、本日は「醗酵食品・辛子明太子」について書いて行こうと思います(冒頭写真はコチラから拝借しました)。
辛子明太子。
言わずと知れた日本に於ける国民的ゴハンのオカズ兼酒の肴ですね。
そもそも、ヘンな名前ですよね。
このコトバの構成はと言うと、「辛子」+「明太」+「子」の3つのパートから成り立っています。「辛子」については漬け込んでいる液に粉唐辛子を使っているからで、「明太」と言うのは韓国語のスケトウダラのこと、「子」と言うのはそのスケトウダラの真子(卵巣)が原料なので。
また、発音的にもヘンだと思うのは、最初の「からし」と最後の「こ」は日本語なので良いとしても、中間にある「メンタイ」は韓国語のスケトウダラを意味する「ミョンテ:명태」とも異なるし、日本語で音読みしたら「メイタイ」か「ミョウタイ」となるハズなのに。スケトウダラのコトはロシア語では「ミンタイ:минтай」と言うらしいので、どうもその辺りから来てるのかも知れませんね。
そもそも、日本では博多名物なんて言われている辛子明太子ですが、そもそも九州近辺はスケトウダラの棲息域ではなく(いないコトもないのかな?)、日本だと主として北海道や東北地方近辺なんですよね。
ソレでも、博多名物とされているのは、朝鮮半島で作られていたスケトウダラの卵巣の塩辛?である「ミョンランヂョッ(明卵ヂョッ):명란젓」を博多のヒトが日本風にアレンジして売り出したモノだから。
嘗ての韓国では特に東海岸の北側(北朝鮮との境界線=38度線近辺)でスケトウダラが大量に獲れていたので、スケトウダラを使った各種料理が盛んに作られていて(干物、塩辛、焼物、煮もの等)、ミョンランヂョッもその一環として作らていたモノだと思われます。ただ、そのままだと日本人には塩辛過ぎるし、唐辛子で辛過ぎるコトもあって、日本人向けに塩辛さと唐辛子からさをマイルドにして、和風調味料で漬け込んで優しく仕上げたのが、現在の辛子明太子のルーツと言うワケです。
その元祖が「ふくや」さん。その歴史・来歴・普及理由等についてはwikipediaに詳解されているので、ソチラに譲るとして。
しかし、エラいですよねぇ、ふくやの川原さんと言うお方は、その製造方法をヒミツとせず、特許も取らずに他企業にも教えた為に、明太子が全国区の食べ物となったと言うことなので。中々に太っ腹であり、豪胆なおヒトでいらっしゃったようです。
もう一つ、韓国に於けるそもそもの明太子の親元?であるミョンランヂョッに纏わるちょっと悲しいおハナシも。
地球温暖化・海水温上昇の影響を受けて、嘗て韓国の東海岸の北側で盛んに水揚げされていたスケトウダラは、今や殆ど獲れなくなってしまっているんです。
ただ、スケトウダラ関連の干物やら冷凍品やらソレこそ卵巣やらは食文化として韓国人の生活に非常に重要であり、深く根付いているモノだから、現在ではロシアや日本(!)から輸入せざるを得ない状況になってしまっているんですよね。ソウル駐在時にホームグランド市場としていたノリャンジン水産市場でも、良く室蘭とか根室とか書かれた発泡スチロールに入れられたスケトウダラを売ってました。
また、韓国の伝統的なスケトウダラの塩辛的なミョンランヂョッについても日本式の辛子明太子に押されて(?)、日本式の作り方が一般化されてしまっていて、伝統的な塩っ辛くて唐辛子辛いヤツが殆ど姿を消してしまいつつある、と言うコト。本家本元が新興勢力に駆逐されてしまうなんて、食文化的には悲しいモノがありますよね。嗚呼。
そんな辛子明太子を自作してみました。
作り方は意外にカンタンだし、安上がりかも。
豊洲市場等に行けば、この時季スケトウダラの生の真子(=卵巣、通称「スケ子」)は1パック大体500g位、7~8腹分位入っていて1,000~1,200円程度で買えます(多少気の利いたスーパーやデパ地下の魚屋、通販等でも売られているコトがありますね)。
コレを取り出してヨゴレや血管等をキレイに取り除き、日本酒に10%程度の塩を入れたモノに一晩漬け込み(下漬け)。その後、昆布と鰹で取った出汁に日本酒・醤油・みりん・砂糖少々・韓国産の粉唐辛子入れて一煮立ちさせたモノを冷まし、ソレに下漬け後の卵巣を漬け込んで(本漬け)、待つコト3・4日~1週間で出来上がり。
市販のモノは保存を利かせたり、色合いの見栄えを良くしたりする為に、色んな食品添加物を混ぜ込んでしまっているけれども、この作り方であれば、全くの無添加で自然のママの美味い明太子を自作するコトが出来ます。
こうして作った辛子明太子が不味かろうハズはありませぬ。
昨今のインフレ、原料高、円安等の影響もあって、市販の辛子明太子の値段も上がりつつあるので、美味さと安さを追求して自作してみるのは如何でありましょうか?(この時季、ホントはカラスミを自作したいのですが、今年は市場でもボラ子がメチャ高で全然値が下がらないコトもあり、今年は明太子自作の道に走りました(笑))
と言うコトで、本日はコレにて。
明日は12月1日。会社を休職し、居酒屋やら市場での修行(?)生活も7ヶ月が経過。自分で設定している開店目標日の2024年10月迄も1年を切り10ヶ月となっている状況なので、「そろそろ、開店準備に向けて動き始めないと…」について書いてみようかと思います。